『おっさんが「静かな女性差別」に気づいた話 』へのコメント返し

つい2日前くらいに、はてな匿名ダイアリーというサービスを使って『おっさんが「静かな女性差別」に気づいた話 』という記事(エントリ)を書かせてもらった者です。

https://anond.hatelabo.jp/20201012175534

個人的には「ちょっと自分の中でうまく消化できない、モヤモヤした出来事があったから、匿名で吐き出させてもらおう」くらいの気持ちだったのですが、2日経って記事を見にいったら、ありがたいことに結構な数のコメントが貰えていました。

「ネットに愚痴を書いたら結構な数の反響がもらえた!この話はここでおしまい」とした方が引き際としては潔いのかもしれませんが、いくつかどうしてもレスをしたいコメントがあったので、あくまで個人的な意見にはなりますが、ここでお返事させていただきます。


「そこに気づいたのなら、あなたが女性を引き上げてほしい」

自分もそうしたいのはやまやまなのですが、残念なことに人事における裁量がないので難しいです。すみません。

記事中に書いた「経営会議」に参加している5人のおっさんのうち、人事裁量があるのは上3人(社長、営業マネージャー、総務経理マネージャー)のみです。
というか、うちの会社はこの3人が設立したものですので、たとえ「経営会議」に出席しているメンバーであっても、その中での発言力の差は歴然としてあります。力不足で悔しいです。

女性は昇進を打診しても「責任が取りたくない」と言って辞退することが多い

もし違ったら申し訳ないのですが、この辞退ってサブリーダー(主任)とかリーダー(係長)みたいな「部下が出来て監督責任が発生するけど、裁量はそんなに変わらない」みたいな昇進への断りじゃないでしょうか。

だとしたらなんとなく理由がわかるというか、女性からしたら「進めばしんどくなるのが確定してるのに、アガリには絶対到達させてもらえないすごろく」への招待とイコールなので、断りたくもなるのかなと思います。

女性は結婚して辞めるかもしれない。いつ産休に入るかもわからない。

これ、そもそもで結婚も産休も、別に女性に限った話ではないんですよね。

それなのに「男性も結婚して辞めるかもしれない。いつ子育てに専念しだすかわからない」とは言われない現状が、そもそもアンフェアなのかなと思います。

たとえばですが、お子さんがいながら働く女性を一般的に「ワーママ」と呼ぶのに対して、その逆を「ワーパパ」とは呼ばないですよね。これって「子育ての主体は女性である」という暗黙の了解が、社会通念になってしまっていることの証拠の1つなんじゃないかと思うんです。

「特定のライフイベントをむかえた場合、半自動的に仕事やキャリアから引きはがされてしまう」ということが運命づけられているのって、人によっては凄く悔しいことなんじゃないかなと思います。

あと、この暗黙の了解が女性に対して区別なく全体適応されてしまっているがゆえに「この人も結婚したら辞めるだろう」「この人も育休入ったらそのまま辞めるだろう」といった風に、個々の主義や理想は無視された状態で、「かもしれない運転」みたいな判断で、出世を望む女性が出世から遠ざけられているのだとしたら、これもまた悲しいことだなと思います。

この手の話って、女性が起業すれば解決する話ではないでしょうか?

この意見は1つの正解ではあるとは思うのですが、個人的には「今の状況を考えると、他に比べていくらか良い選択肢」という程度の認識です。

というのも、この意見って現状の女性差別を是としたうえに成り立ってるんですよね。
本屋を始めようとしてる友達に「この土地に思い入れがあるのはわかるけど、正直ここらへんは治安が悪いから、万引き被害を減らしたいなら別の場所にお店出した方がいいよ」と言うような。
実際にありがたいアドバイスなのですが、それをもって万引き自体を仕方ないものとして処理してしまうのは、凄く悲観的だしその場しのぎな考えだと思います。

あと、そのようにして女性が起業してできた会社って、反動で男性に厳しい会社になってしまう可能性も高いんじゃないかなと思います。
いまうちの会社で起きていることが、今度は男性と女性が逆転した状態で起きてしまうみたいな。
だってもし自分がその立場の女性だったら、そこまでして立ち上げた会社に男性の経営陣を増やしたくないですもん。

なので「全体割合で見た時の不平等を是正する」という観点でいえば効果的かもですが、男女が入れ替わっただけで同じような境遇の人が産まれる可能性が高い試みなのであれば、自分はあまり賛成できません。

どの性の人が立ち上げたかに関係なく、平等に機会が与えられ、評価される。そんな会社が増えないかぎり、対立は過激になるばかりなんじゃないでしょうか。


とはいえ、これまで述べたことは先の記事に書いたことも含め、全部どうにもならないことなんだろうなって諦めもあります。

「理想論だ」とか「きれいごとだ」とか「そこまでいうなら、あなたがやりなさい」とか。

異分子の意見であれば男性同士ですら牽制するような空気があるのですから、この先何年経っても女性の扱いは変わらないんだと思います。
記事についたコメントを読んで、つくづくそう感じました。

だからこそ、たとえ無力に等しいとしても、自分はこの「静かな女性差別」をなくせるように頑張ろうと、そう思いました。