ソフトウェアエンジニアが社会人ドクターで博士号取得した話 (費用・時系列・修了要件)
本記事では、社会人ドクターにて博士(工学)を取得した私が、どのようにして学業を進めてきたかを共有したいと思います。 社会人ドクターに取り組まれる方の一助になれば幸いです。
想定読者
社会人ドクターに興味のある方
社会人ドクターの体験談を知りたい方
社会人ドクターの具体的取り組みを知りたい方
なぜ社会人ドクターに取り組んだのか
社会人ドクターは必ずしも会社員の業務遂行には必要なものでありません。 その上で、私は以下の理由で社会人ドクターの取り組みを進めました。
若い内に学業・技術を収めきりたい
会社以外のコミュニティを持ちたい
名刺に「博士」と入れることへの憧れ
学位取得に向けた方針
企業での業務をこなしながら、社会人ドクターを進めるにあたって、以下の方針で推進することに決めました。
社会人ドクター入学前に対外発表業績を用意する
学会発表の余裕がないため、積極的に雑誌論文に投稿する
M2→D1に空白の一年の間も研究活動を継続する
社会人ドクター入学前に対外発表業績を用意する
博士後期課程修了のためには、対外発表の実績が必要となります。 私の大学では査読付き雑誌論文が3本必要でした。 また、査読付き雑誌論文はレター論文も含まれるため、こちらも積極的に活用しました。
社会人になってから対外発表実績すべてを用意することは困難であるため、入学前に雑誌論文の採録実績を作れるように、論文投稿を進めました。
一方、私の大学では博士後期課程の修了要件に「在学中に雑誌論文が1本出版される」があるため、これを満たすように論文投稿を進めました。
学会発表の余裕がないため、積極的に雑誌論文に投稿する
社会人ドクターには学会発表を行う余裕があまりないため、積極的に雑誌論文に投稿を行いました。 学会発表を経ずに、直接雑誌論文に投稿したものもあります。
結果、私の雑誌論文実績は以下のようになりました。
フルペーパ論文:3本
レター論文:2本
M2→D1に空白の一年の間も研究活動を継続する
勤め先の企業に許可をいただくため、M2からD1に直接進学することができず、1年空けることになりました。 この期間も大学の先生のご協力を頂きながら、研究活動を継続しました。
結果、早期修了制度を活用し、ドクターの期間を2年で卒業、ストレート3年の博士後期課程と同一の期間にて卒業することができました。
学位取得までの時系列
私が学位を取得するまでの時系列を紹介します。
学位取得に関する時系列に関しては、「M2→空白の一年間→D1→D2」の4年間が重要であったと振り返っています。
その節々において、役に立った書籍がありますので、合わせて紹介させていただきます。
M2
7月:1本目のフルペーパ論文投稿
和文雑誌に1本目のフルペーパ論文を投稿しました。 M2の間にメインとして取り組んでいた内容を雑誌論文として投稿しました。 このあたりから、社会人ドクターへの進学を意識し始め、計画を立て始めました。
初めて雑誌論文を執筆するにあたって、理科系の作文技術を参考にしました。 論文の書き方の具体的方法が紹介されており、今後の雑誌論文投稿に非常に役立ちました。
12月:1本目のフルペーパ論文条件付き採録、2本目レター論文・3本目フルペーパ論文投稿
1本目のフルペーパ論文が条件付きにて採録されました。 修正箇所は広範囲でしたが、すべて修正・再実験を行い、再投稿しました。
2本目のレター論文を投稿しました。 こちらは先輩の方から引き継いだ研究を発展させ、レター論文として投稿しました。
追加で、3本目のフルペーパ論文を投稿しました。 こちらはM2の間にメインとして取り組んでいた研究の発展内容をフルペーパ論文投稿の特集号に投稿しました。
2月:1本目のフルペーパ論文採録、3本目フルペーパ論文リジェクト
1本目のフルペーパ論文が採録、初めての論文採録されました。
一方、3本目のフルペーパ論文がリジェクトとなりました。 「研究アイデア自体は悪くないが、実験内容を詰めるように」とご指摘を受けました。 基本的にはポジティブな内容の査読結果ではありましたが、特集号は期日が厳しいため、期日内に修正が困難と判断され、リジェクトとなりました。
3月:2本目のレター論文条件付き採録・採録通知、3本目フルペーパ再投稿
2本目のレター論文が条件付き採録されました。 論文内容は問題なく、文言の修正の指摘を受けました。 再投稿したその月内に採録通知を受けました。
3本目のフルペーパ論文を再投稿しました。 2月に受けたリジェクト理由を修正し、再投稿しました。
空白の一年
6月:4本目レター論文投稿
4本目のレター論文を投稿しました。 こちらはM2のときに国際発表した研究成果をレター論文として投稿したものでした。
この辺りで学びを結果に変えるアウトプット大全を読みました。 「学びを結果としてアウトプットする」の最たる例が雑誌論文投稿であり、非常にモチベーションの上がる一冊でした。
8月:3本目フルペーパ論文条件付き採録
2月のリジェクト事由を修正した結果、フルペーパ論文が条件付き採録されました。 文言の修正受け、論文を再修正して再投稿しました。
9月:3本目フルペーパ論文採録、4本目レター論文採録
3本目のフルペーパ論文が採録されました。
4本目のレター論文が採録されました 条件付きではなく、一発で採録であったため、非常に気持ちよかったです。
11月:博士後期課程入学試験
ここで初めて、博士後期課程のトピックとなります。 入学書類を取り寄せ・提出しました。 入学試験ではこれまでの研究成果と博士後期課程での研究計画を発表しました。
この辺りで、超筋トレが最強のソリューションであるに出会いジムに通うようになりました。 社会人ドクターを進めるにはタフな体が必要であり、非常に良い取り組みになりました。
2月:5本目フルペーパ論文投稿
5本目のフルペーパ論文を投稿しました。 こちらが最後の雑誌論文となります。 博士後期課程の修了要件には「在学中に雑誌論文が1本出版される」ことが含まれるため、この条件をみたすように投稿しました。
D1
4月:博士後期課程入学、5本目フルペーパ論文条件付き採録
博士前期課程(修士)と同様の研究室にお世話になることになりました。
5本目のフルペーパ論文が条件付き採録されました。 実験内容の追加など、指摘範囲は広範囲に渡り、修正にはかなり時間を要しました。 その後、再投稿しました。
6月:5本目フルペーパ論文採録
5本目のフルペーパ論文が採録されました。 この時点にて、博士後期課程の対外発表に関する要件を満たすことができました。
3月:学内研究報告会
現時点での研究成果を学内向けに発表しました。 主には雑誌論文に採録されいている内容と社会人ドクターにて進めていた研究内容を報告しました。
D2
7月:博士論文執筆開始
早めに博士論文の執筆を開始しました。 博士論文のストーリー一貫性のため、これまでの研究成果をまとめつつ、一本の論文に仕上げる作業を進めました。
この辺りで真面目に文章を書く手段を「具体・抽象」トレーニング にて学びました。 ストーリーに一貫性を持たせる必要があるため、抽象度を上げた議論が必要でありました。 この本にて、そのあたりの文章術を学びました。
11月:学内研究報告会
早期修了のための学内向け研究成果報告を行いました。 ここで早期修了可否の判定が行われます。
この発表にて、審査の教授の方々から、博士論文骨子がわかりにくいのご指摘を受けました。 一番伝わる説明の順番を参考にして、博士論文の伝えたい事が分かる構成に修正しました。
1月:博士論文完成
7月から取り組んだ博士論文を書き上げました。 学内研究報告会で先生方から頂いた添削結果を反映させました。
2月:最終報告会
学位審査のための学内の最終報告会を迎えました。 発表を終え、無事学位授与が正式に認められました。
3月:学位授与
博士(工学)の学位を授与されました。
会社員が博士後期課程に自力で進学した方法
博士後期課程の進学には、会社の支援有無にて2つの方法に分類されます。
会社の支援を受けて、社会人ドクターに進学する
会社の支援を受けず、社会人ドクターに進学する
前者の会社の支援を受ける場合は、大学や研究機関との共同研究、支援プログラムなどの活用が考えられます。 ただし、このような仕組みは誰しもが活用できるとは限らず、運的要素を含みます。
後者の会社の支援を受けない場合は、自力での博士後期課程への進学となります。 会社の仕組みに頼らない一方、1から自分で物事を進める必要性があり、こちらもハードルがあります。
私自身、後者の会社の支援を受けない方法にて、博士後期課程を修了いたしました。 その際に、重要であると感じた3つの点について、紹介します。
職場に博士進学の目的を伝え、理解を得る
会社の成果を博士での研究活動・成果に組み込まない
自費で博士後期課程に進学する
職場に博士進学の目的を伝え、理解を得る
会社員である以上、職場に博士進学の理解を得ることは非常に重要です。 博士進学へのサポートを得たり、情報伝達不足による懸念事項の払拭が目的です。
実際、上司に博士進学を行いたい旨を伝え、職場・人事の理解を得ることができました。
進学前には、余計な懸念事項が出てくることを事前に抑えることができ、安心して進学することができました。
在籍中は大学行事への参加が必要な際は、有給の活用に理解をいただくことができました。
自力で進学するとは言え、職場への根回しは非常に重要だと感じました。
会社の成果を博士での研究活動・成果に組み込まない
博士後期課程の研究活動には、会社での取り組み・成果に組み込まないようしました。 理由は以下のとおりです。
会社のノウハウが流出するおそれがないため、進学の理解を得やすい
研究成果の発表に会社の了承が不要であり、スピード感を持たせられる
しがらみなく、自由に研究活動ができる
会社のノウハウが流出するおそれがないため、進学の理解を得やすいです。 会社の研究成果を外に出すとなると、ノウハウ流出防止の観点から、進学に難色を示される可能性があります。 会社の成果を活用しない場合、ノウハウ流出のおそれがないため、進学への許可がスムーズにいただけると考えています。
研究成果の発表に会社の了承が不要であり、スピード感を持たせられることができます。 会社での研究成果の場合、社内承認や知財出願のプロセスが入る可能性があり、テンポよく対外発表することが難しくなります。 博士後期課程では対外発表実績を揃える必要性があり、スピード感は非常に重要です。
最後に、しがらみなく、自由に研究活動ができます。 会社での業務内容とは別に研究活動ができるため、その目的が問われません。 自分自身が行いたい研究内容に集中することができます。
自費で博士後期課程に進学する
会社から金銭的な支援を受けず、自費にて博士後期課程に進学しました。
会社から金銭的な支援を受けなかったため、以下のようなメリットがありました。
会社へのフィードバックや利益貢献を求められない
会社内での承認プロセスを求められない
自費で進学しているという自分へのプレッシャーをかけられる
金銭的な支援を受けていないため、会社へのフィードバックや承認を求められませんでした。 仮に金銭的支援を受けた場合は、会社としては費用に対する効果を明示しなければなりません。 そのための作業やプロセスを排除することができたのは、スピード感という面で非常に重要でした。
また、身銭を切って進学を行うため、「絶対に卒業してやる」という自分自身へのプレッシャーをかけることができました。 博士後期課程の修了も簡単なことではないため、このようにプレッシャーを掛けることも重要なのかなと感じました。
一方、博士後期課程には多額の費用が発生いたします。 そのため、金銭的な負担を減らしたい方は、是非とも会社の支援制度を活用されることをおすすめします。
博士修了要件の業績を揃えた方法
博士後期課程修了のためには、雑誌論文等による対外発表の実績が必要となります。 私の大学では査読付き雑誌論文が3本必要でした。 多くの社会人ドクターにとって、最も大きい障壁となります。
そこで、私は以下の3つの方針で、博士修了要件の業績を揃えました。
社会人ドクター入学前に対外発表業績を揃える
レター論文を活用する
積極的に投稿する、リジェクトに価値がある
社会人ドクター入学前に対外発表業績を用意する
社会人になってから対外発表実績すべてを用意することは困難であるため、入学前に雑誌論文の採録実績を作れるように、論文投稿を進めました。
これにより、社会人ドクター入学後に雑誌論文の業績を揃えることができ、修了要件をスムーズに進めることができます。
具体的には、修了要件となる査読付き雑誌論文の内、2本は大学院入学前、1本を大学院入学後に出版しました。 私の大学では博士後期課程の修了要件に「在学中に雑誌論文が1本出版される」があるため、これを満たすように論文投稿を進めました。
そのためには、下記を満たす必要性があると思います。
修士課程の内に雑誌論文できるレベルの研究成果を仕上げておく
社会人ドクター入学前も継続的に研究活動を行う
入学前の研究成果に理解を示していただける先生の協力を仰ぐ
これら要件を満たそうと思うと、修士課程と同じ研究室での博士課程進学が現実的な路線になってくると考えています。
レター論文を活用する
私の大学において、査読付き雑誌論文にはレター論文も含まれるため、こちらも積極的に活用しました。
レター論文とは、速報性が重視される媒体であり、現在進行系の研究成果を報告することを目的としています。
ページ数が少ないため、必然的に研究成果を絞り込んだ上での発表が重要となります。 また、媒体の特性上、フルペーパ論文と比較して、採択率が高い場合があります。
研究成果がある程度目処だった段階で、レター論文にて投稿を行います。 その後、研究成果を大きくまとめることができたタイミングで、フルペーパ論文にて投稿を行います。 これにて、同一の研究内容にて業績を円滑に揃えることができます。
ただし、レター論文では、少ない文章量の中に研究成果を詰め込む必要性があるので、文章術的には難易度が高いと考えています。
積極的に投稿する、リジェクトに価値がある
リジェクトを恐れずに、積極的に論文投稿をすることも非常に重要であると感じました。
一般的に、査読プロセスは以下のようになっています。
投稿
採録 or 条件付き採録 or リジェクト
(条件付き採録の場合)再投稿
採録 or リジェクト
投稿の後は、大半は「条件付き採録」か「リジェクト」が返ってきます。 論文投稿を行わないことには、ここのステップにも乗ることができないので、チャレンジし続けることは非常に重要です。
リジェクトとなった場合でも、査読者よりコメントを頂くことで、研究の改善アイデアをいただくことができます。 有識者に丁寧に添削頂ける機会もそう多くないので、リジェクトをいただけること自体にも非常に価値があります。
条件付き採録となった場合、指摘事項の修正で採録につなげることができます。 この際、指摘事項が多かったとしても、「指摘事項の改善で採録につながる」という考えの元、やるべきことが明確となるため、最短で採録につなげることができます。
博士後期課程にかかった費用の総額→約189万円
大学への支払い(受験料・入学金・授業料)とその他の支払いに分けた際、私は以下の費用がかかりました。(国公立大学、早期修了にて2年間在籍)
総額188万4729円かかった(国公立大・2年在籍)
大学への支払いが138万4400円かかった
大学以外への支払いが40万529円かかった
以上のように、大学への支払いが大半を占めています。 一方、大学以外への支払いも積み重なり、40万円程度発生しました。 博士後期課程進学には100万円台の費用が発生するため費用計画が重要だと感じました。
大学への支払い→138万円5200円
大学への支払いは以下のようになりました。
出願資料請求:800円
受験料:3万円
入学金:28万2800円
授業料:26万7900円 x 4回(2年間)
始めに、博士後期課程の出願資料請求に800円かかりました。 これは、出願に際して、必要な書類を揃えるのにかかった費用です。
受験料は3万円かかりました。郵便局にて支払いを行いました。
入学金は大学入学前に支払いを行いました。 私は国立大学であったため、入学金は28万2800円となりました。
最後に、授業料です。 半期ごとに26万7900円が銀行口座から引き落としされるようになっていました。 私の場合、早期修了制度を活用して、2年間で卒業をしたため、合計107万1600円となりました。 早期修了すると、授業料を減らすことができるため、費用対効果は抜群であるなと感じました。
また、入学金・授業料に関しては、大学の免除制度を活用できる可能性があります。 これらの活用を検討することは非常に重要です。
大学以外への支払い→40万529円かかった
大学以外への支払いは以下のようになりました。
研究用デスクトップPC:25万2450円
ノートPC:17万7100円
学研災:2752円
大学生協への出資金:2万0522円
交通費:9120円
博士論文製本:3万1200円
手土産:5000円
始めに、私は自宅での研究が行いたいと考え、環境構築への投資を行いました。 そのため、研究用デスクトップPCとノートPCを新規購入しました。 デスクトップPCは高負荷をかけれるように、GPU付きの当時の最新スペックのPCを購入しました。
私の大学では、学研災と生協への加入が推奨であったため、これらの費用も発生いたしました。 合計で2万3千円程度かかりました。
次に、大学までの通学費用です。 記録している範囲で、9120円かかっています。 しかし、車での移動は含まれていないため、これ以上にかかったのが実態です。
次に、博士論文の製本費用です。 私は大学生協にてソフトカバーの博士論文を10冊製本しました。 これらが3万1200円しました。 外部の業者なども比較検討しましたが、手間等のトータルコストを鑑みて、大学生協にて製本しました。
社会人ドクターが第一種奨学金を取得した方法
博士後期課程進学時に、日本学生支援機構の第一種奨学金を取得しました。 無利子にて月額約12万円を貸与いただきました。
第一種奨学金は成績優秀の場合、半額もしくは全額免除が狙えるため、非常に良い奨学金制度です。
第一種奨学金の取得には、所得制限があります。 そのため、会社員が第一種奨学金を取得するには、コツが必要です。
私が第一種奨学金を取得するために、以下の3点に注意をしました。
年収が高くない若手の内に申請する
大学の教授の推薦状で所得制限が緩和される可能性がある
第一種奨学金の用途を研究計画にて示す
年収が高くない若手の内に申請する
年収が高くない、若手の内に第一種奨学金を申請することを狙います。
奨学金は申請の初年度の所得を基に、審査が行われます。 そこで、年収が高くない若手の内に申請を行うことで、所得制限をクリアすることができます。
また、所得は1月~12月にてカウントされるため、入社1年目が狙い目となります。
大学の教授の推薦状で所得制限が緩和される可能性がある
教授の推薦状により、第一種奨学金の所得制限が緩和される可能性があります。
こちらは各大学によって、ルールが異なる可能性があるため、要確認です。 私の大学では、十万円オーダで所得制限が緩和されると記載がありました。
奨学金を申請される際は、大学の先生にご協力いただき、推薦状を用意することをおすすめします。
第一種奨学金の用途を研究計画にて示す
第一種奨学金申請時に、用途を明確に示すことが重要となります。
社会人ドクターの場合、一定の所得があります。 そのため、奨学金の用途を明確に提示できるかが肝となります。
【注意点】免除狙いで第一種奨学金を取得する際の注意点
日本学生支援機構の第一種奨学金は成績優秀の場合、半額もしくは全額免除となります。 そのため、免除狙いで第一種奨学金を取得することは理にかなった戦略となります。
一方、注意点があります。 それは、「成績優秀判定は第一種奨学金取得期間の業績に限る」ことです。
第一種奨学金の取得前(=大学入学前)の業績はカウントされません。
免除狙いで奨学金を取得する際は、どのように成績優秀判定のための業績を揃えるかを計画する必要があります。
社会人ドクターのメリット
私が実際に感じた社会人ドクターのメリットはこちらです。
博士号が取れる
錯覚資産が手に入る
技術を磨くことができる
メリット1:博士号が取れる
言わずもがな、社会人ドクターのメリットは「博士号」が取れることです。
私自身は会社にて研究開発の仕事をしています。 研究開発では、博士号は評価され、非常に重要な役割を果たします。 会社の同僚の方々からは、博士号に対して好意的な印象を頂いています。
また、海外においては、博士号は非常に重要です。 海外の研究拠点の方々は博士号を持っている方が多いです。 対応に対峙する意味合いにおいても、博士号は持っていて損はないと考えています。
メリット2:錯覚資産が手に入る
「博士号」は錯覚資産となるため、間接的にキャリアアップにつなげることができます。
博士号によって、他の部分も好意的に捉えて頂ける機会が増えたのではと考えています。 実際、社会人ドクターに通っていることで、「プライベートでも頑張っている」と評価を受け、キャリアアップにつなげることができたのではと感じています。
「ある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象のこと」である、ハロー効果も有名です。
錯覚資産に関しては、人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっているが面白いです。 わかりやすく、かつユーモアを交えて、錯覚資産について学ぶことができるます。
メリット3:技術を磨くことができる
社会人ドクターでは、会社の業務から離れて、技術を磨くことに専念することができます。
会社の業務では、利益貢献や業務報告の面から、必ずしも技術研磨に時間を集中できるとは限りません。 博士後期課程では自分の研究活動に時間を割くことができるため、技術を磨くことに専念することができます!
社会人ドクターのデメリット
社会人ドクターはメリットだけではなく、デメリットも感じることがありました。 私が実際に感じた社会人ドクターのデメリットはこちらです。
多額の費用がかかる
膨大な時間がかかる
デメリット1:多額の費用がかかる
博士後期課程の進学には多額の費用がかかります。
私は関連費用含め、総額188万4729円かかりました。 百万オーダの費用がかかり、必ずしも安い金額ではありません。 費用は綿密に計画を組んでおく必要性があります。
デメリット2:膨大な時間がかかる
博士後期課程の修了には、膨大な時間を要します。
博士後期課程の修了のためには、研究活動、研究発表、博士論文作成など、膨大な時間を要します。
平日は業務終了前後、休日もなるべく博士後期課程に時間を費やすなど、時間の捻出を実行する必要があります。
朝の脳が冴えている時間帯に、思考力が必要な研究活動を行うことにしました。 結果、在籍2年の早期修了を達成しました。
まとめ
以上、私の学位取得までの道のりでした 最後に、私の道のりの考察を紹介させていただきます。
M2・D入学前に早め早めに行動してきたのが効果的であった
博士後期課程進学には100万円台の費用と膨大な時間が必要なため、事前計画が重要
学位取得の達成感は素晴らしかった
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