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講義用メモ(民法・会社法)7

「民法」 表見受領権者への弁済(478 条) 外観法理との比較 【論点】 ・478 条の適用(類推適用)の可否 ・無権代理人の詐称行為との区別 ●478 条の適用(類推適用)の可否 ・改正前の「債権の準占有者」には、詐称代理人が含まれ、表見受領権者も同じ(判例) ・外観法理とは、①虚偽の外観、②第三者の正当な信頼、③権利者に帰責事由が必要。 (94 条 2 項、109 条・110 条・112 条の外観法理と異なり、478 条は③が不要) ・478 条は、①債務者が善意無過失、②表見受領権者に対する弁済 の 2 要件で足る (日常的に大量弁済業務の実務的要請。債務者の容易な免責。第三者は拒絶できない) ●無権代理人の詐称行為との区別(判例は、銀行取引や保険金取引には 478 条を適用) ・外観法理が適用される取引は、第三者が契約締結を拒絶できる立場にある。他方、478 条適用の「弁済」は債権を失うだけ。 ・定期預金期限前払戻債権は、定期預金の「合意解約(法律行為)」と弁済を含むが、当 該払戻しに対しては、478 条が「直接適用」されるとする。 ・預金担保貸付金と相殺、保険契約者貸付と弁済については、478 条の「類推適用」とす。 (前者は期限前解約の払戻しに同視、後者も保険金・解約返戻金の前払いに同視) ・真の権利者に帰責事由なく、かつ後に悪意でも 478 条を適用する点に注意を要する。 ※偽造カード等の払戻し案件では預金者保護の特別法が存在するためバランスが必要。 「商法」 株主総会決議取消の訴えと質疑打切り 会社法 831 条 【論点】 ・株主総会の質疑打切りと採決 ・株主総会決議を取消しうる対象 ●株主総会の質疑打切りと採決 ・採決の方法 ➡ 定款に定めがない限り、議長の合理的な裁量に委ねられる(挙手等) (賛成や否決が「明白になった時点」で表決が成立する) ・株主からの質問を打切る場合には、314 条の取締役の説明義務違反で法令違反となる。 (但し、説明を拒絶できる事由はある。①総会の目的と無関係、②株主利益を害する等) ・取締役の善管注意義務(330 条、民 644 条)、忠実義務(355 条)にも抵触する可能性 ・株主が周知の事実であり、平均的な知見を有していた場合には説明義務違反はない。 ●株主総会決議を取消しうる対象 ・否決「決議」を取消すことはできない(判例) ・無関係に見えても、①当該株主総会の議題と密接な関係があり、②「可決」決議の審議 において検討/考慮に必要・有益であり、③経営陣に不都合な事情がある場合は対象 ※可決決議と内容が異なる株主提案の瑕疵関係を合理的に判断するのに必要か否かが重要

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