コーヒーの沼 第16歩 CHERRY TO CUPその2

皆さんこんにちは。
今回は、前回に引き続き収穫したコーヒーチェリーから生豆を取り出す
なくてはならない作業行程『精製』についてです。

前回はこれまで主流だった2つの精製方法水洗式(ウオッシュド)と
非水洗式(ナチュラル・アンウオッシュド)
による精製法を説明しました。

今回はその中間?的な精製方法についてです。
水洗式(ウオッシュド)と非水洗式(ナチュラル・アンウオッシュド)
との差は、収穫から生豆を精製する過程で水を使うか使わないかです。

ウオッシュド程の量は使わないけど全く使わないわけではない精製方法が
あります。それが『セミウオッシュド』や『パルプドナチュラル』
と呼ばれる精製方法です。

セミウオッシュド ・・準ウオッシュドという感じですかね。
 たくさんではないけど、水は使うんだよねというニュアンスがあります

パルプドナチュラル・・ナチュラルはわかるけど、パルプドがわかんない。
 パルプは、日本語で果肉の意味。コーヒーの果肉は、他の実と比べて
 薄く、食用には向かないようです。実際にコーヒーチェリーを
 食べたことがありますが、サクランボなどに比べても果肉の部分は
 少なく感じました。
 外皮と果肉を剥がした状態をパルプドと呼ぶようです。
 この状態で乾燥させることから、パルプドナチュラルと言うのでしょう。

セミウオッシュドを採用する要因には、産地の気象条件、付加価値が
あるようです。
産地の気象条件によるセミウオッシュドで有名なのは、スマトラ式です。
スマトラは、インドネシアにある島の名前。
インドネシアの代表的な品種マンデリンで多く用いられる精製方法です。
ウォッシュドと同じ工程で水洗まで行い、
パーチメントとミューシレージが残った状態で、半日~1日ほど
天日乾燥させます。
すると外側は乾燥し内側の豆の中はまだ水分が多い状態になります。
このとき内側まで完全に乾燥しきっていません。

パーチメントを外す脱穀作業を行い、最終乾燥をかけて仕上げます。
ウオッシュドコーヒーだと1~2週間必要な乾燥期間が3日程度と短く、
気象の影響を受けにくくなります。

乾燥前の生豆は非常に柔らかいので、乾燥中に豆が変形しやすくなり、
いろいろな形の豆が多くなります。色も独特で深緑色。

スマトラ式で精製した豆です。ゴツゴツした印象があります。

先日手にしたマンデリンは、焙煎後でしたが、青い香りがしました。
相方と、「なんだか生のピーマンに似た香りだね」と言い合いました。
もちろん抽出したコーヒーは非常に美味しかったです。はい。

付加価値をつける目的(と思う)のセミウオッシュドの代表例は
コスタリカのハニープロセスです。先日ワールドカップで日本が
対戦したあのコスタリカです。
なぜハニープロセスとも呼ばれるかといいますと、
ミューシレ―ジスペイン語でミエルと言うそうです。
ミエルには蜂蜜(ハニー)の意味もあるので、ハニープロセスと呼ばれる
ようになったようです。

スマトラ式と同じく外皮と果肉を取る工程はウォッシュドと同じですが、
意図的にミューシレージを残したままにします。
このまま天日干しにすることで、ミューシレージが持つ糖分や酸味が
生豆に浸み込み、甘みや透明感を感じられる味わいになります。
この精製方法は大量の水や発酵槽を必要としないため、
近年注目されつつあり、コスタリカ以外にも広がっています。

ブラジル産の豆でパルプド・ナチュラルと書かれている場合は、
この精製方法です。

ハニープロセスではミューシレージを除去する割合と乾燥期間によって
呼称が異なります。
「ホワイトハニー」「イエローハニー」「レッドハニー」「ブラックハニー」と呼ばれ、後者になるほどミューシレージの量が多くなります。

'イエローハニー'はミューシレージを約25%残して6~8日間乾燥したもの。 'レッド ハニー'は50%残して12~14日間、'ブラック ハニー'はミューシレージをそのままにし表面の果肉だけ除去して約1ヶ月乾燥させます。

ミューシレージの残し具合といってもミューシレージはものすごく
薄い層なので、厳密にパーセントを判断するのは難しいと思われます。
おそらく水洗時間や感覚で分けているのではなかろうかと。

ミューシレージが残っている豆ほど表面の色が濃くなっています。

先日見学した国産コーヒーの精製方法では、少量の水と機械で
ミューシレージの付着した豆の部分とそれ以外の果肉・外皮とに
見事に分類されていました。

ですから、ハニープロセスですね。

以上、コーヒーの精製方法についてまとめてみました。

最近では、セミウオッシュドやナチュラルの精製方法で豆を発酵させる
技術が研究されています。
果肉やミューシレージに含まれる糖分を活用し、微生物や菌の働き(発酵)
により、コーヒーにその産地独特の風味、香り、味をつけようという
動きです。
コーヒー豆の『発酵』については、次回以降に別立てで紹介したいと
思います。

今回は、長く難しくなりましたが、
最後までご覧きありがとうございました。

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