EBITDAについて思う。
昨年の暮れに大手M&A仲介会社のM&Aセミナーに参加してきました。
事業会社でM&Aに携わる者として、大手M&A会社のセミナー内容が気になり様子見という斜に構える態度で見てました。
まず、一番に思ったことがファイナンスの知識や前提が不明瞭な人に話す内容としては、非常に練り込まれた内容だと思います。セミナーに参加した方々は非常に希望を持たれたのではないかと思います。
さて、M&Aセミナーに参加して一番に思ったことが、企業価値算出についてです。EBITDAの何倍かがM&Aにおける指標としていることです。正直に言うと、EBITDAの何倍としてM&Aを行うとその企業の事業価値と比較して割高での買収になる可能性が高いです。M&Aは基本的に素人が立ち入ることは難しい分野です。
では、どうしてここ数年の日本ではM&Aが盛り上がっているのでしょうか。それはセミナーでも触れられていましたが、企業の後継者不足です。例えば、オーナー企業でオーナーの子が会社を継がない、あるいは、子に継がしたくない。社員にも適任者がいない。そこで、初めて第三者への売却という選択肢が生まれます。
第三者への売却は、主に株式譲渡で行われます。上場企業の場合は、市場で株式価値が決定しており、それにプレミアムを付加した価格で株式を取得します。しかし、非上場企業の場合は、無論上場しておらず売り手と買い手の双方が合意した価格が株式価値という形になります。この価格決定のプロセスでEBITDAが頻繫に用いられています。
EBITDAでが用いられる要因はいくつか推測できますが、一番はファイナンス初心者でも分かりやすいことでしょうか。これはあくまでも推測ですが。次の要因は、冒頭に述べた売買価格が割高になることです。売買価格が割高であれば、その分M&A仲介会社は手数料が稼げます。つまり、分かりやすさとM&A仲介会社の収益を兼ね備えたEBITDAがM&Aの指標として用いられているわけです。
M&Aの現場において買い手はそれを踏まえた上で、DCF法やマルチプル等を用いて交渉に臨むことをおすすめします。
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