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2021シーズンの総括

 いくつかの投稿でいろいろ振り返ってみましたが、幾つかのの主要なトピックを取り上げて、2021シーズン全体の総括をしてみたいと思います。

①CarrascoとLindorのトレードは結局どうだったのか

 まずは昨オフから振り返ってみますと、昨オフ最大の話題はこれでしょう。まずトレードの内容は以下の通りでした。

CLE
C. Carrasco, F. Lindor

          ⇅

NYM
A. Gimenez, A. Rosario, I. Greene, J. Wolf

結局FAまで残り1年、年俸20m以上必要で2020年に成績を落としてトレードバリューが激減したLindorを、健康面に不安があるとはいうものの、年俸12m/2年+OPという割安なCarrascoとセットにしてトレードした訳ですが、ファン含め殆どがCLEが負けという評価でした。その後NYMがLindorと契約延長した分、尚更にそうした評価になったかと思います。

 ではそれから1シーズン終わった今、どうなったでしょうか。マイナーでシーズンを過ごしたGreenとWolfは抜きにして、MLBでプレーした選手の WARを比較してみます。

     fWAR rWAR
F. Lindor   2.7    3.1
C. Carrsco       0.1         -0.9
A. Rosario       2.7          1.9
A. Gimenez       0.8    0.8

昨季以上に不振だったLindor、怪我により前半戦離脱、復帰したものの不調だったCarrscoのNYM勢に対し、開幕後不調でマイナー落ちしたものの後半戦昇格したGimenez、予想外の活躍でSSをほぼ1年守ったRosarioのCLE勢という構図で、fWAR・rWAR共に合計値ではCLEが優っています。勿論WARの数値が全てではありませんが、上記の構図だったのは間違いありません。

 ではこのトレードがCLEの勝ちだったのか、と問われると、そう簡単な話ではないかと思います。フルシーズンではキャリア最悪の成績だったLindorと、2019年に次ぐ好成績だったRosarioのWARがfWARでは同点、bWARに至ってはLindorの方が上なのは守備によるものです。打撃による貢献もさる事ながら、Lindorは守備でもチームに多大な貢献をしていました。一方 Rosarioは緩慢な守備により致命的なエラーも少なくなく、STATS以上にチームの足を引っ張った感が否めません。特に投手陣にとって、MLBトップレベルのSS守備からワーストレベルになった事による負担はいかばかりか、計り知れません。CLEとしては守備に関してLindorには劣るものの、Rosarioよりは遥かに信頼できるGimenezに早期にSSに定着して欲しかったと思いますが、残念ながらそうはなりませんでした。

 結論としてはリスクマネージメントの観点から考えればLindorとCarrascoをトレードしたのは正解だったと思いますが、トレードとしてはGimenez始め若手のこれからの活躍次第とは言え、現段階でも高く評価するのは難しいかと思います。

②シーズン前の補強の是非

 LindorとCarrascoのトレードにより30m以上年俸削減したCLEはその一部を使い2020年シーズンにCLEで活躍後FAになった C. Hernandezと1年$5m+OP6mで、MINからノンテンダーになったE. Rosarioと1年$8mで契約しました。

 その結果はこれまでの投稿で述べた通りです。

結局期待通りの活躍ができず、TDLでトレードされた両人ですが、C. Pilgintonを獲得できたCesarは兎も角、Rosarioはサラリーダンプの為にタダどころかカンフーパンダ、Sandovalを引き取らさせられた挙句、Rosarioは MVP級に活躍してWS制覇に貢献するという散々な結果となってしまいました。

 2020年の活躍を踏まえて穴が埋まっていなかった2BにCesarと、補強ポイントにプログレッシブ・フィールドでの成績が良かったRosarioを補強したのは合理的だったかもしれませんが、結果は失敗だったと言わざるを得ないかと思います。

③開幕ロースターの整理はどうだったのか?

 今季のSTではCarrascoとLindorの穴をどう埋めるかなどいろいろな課題がありましたが、ロースター(26人枠・40人枠)の観点から考えれば
⑴ 守護神だったB. Handらブルペンの穴埋め
⑵ 外野陣の編成 (FA加入のE. Rosario以外の)
⑶ C. Santana(KC)の抜けた1塁に誰が入るか

がテーマだったかと思います。

  ⑴に関しては招待選手のO. Perez、 B. Shaw、H. Hembree、B. Parkerによる競争の結果PerezとShawが選ばれました(Hembreeはリリース後CIN→NYMに、 Parkerは3Aにアウトライト後6月に昇格)。⑵に関しては若手に加えてMIAからクレームしたH. Ramirez、招待選手のB. HamiltonとB. Gamelが加わった競争の結果、J. Naylor、 J. Luplowと B. Gamelが開幕ロースター入りを果たしました。⑶に関してはB. Bradleyと J. Bauersによる争いとなりましたが、Bradleyがオフシーズンに体重を搾りSTで絶好調だったにも関わらずマイナーOPが無くなっていた為Bauersが開幕メンバー入りし、物議を醸しました(しかも開幕スタメンはYu Chang)

 ではその判断はどうだったかと言うと、⑴に関しては不調だった時もあったものの、シーズン通してブルペンを支え、約半分(81試合)もの酷使でMLB全体でも最多登板試合数を記録したShawの一方、Perezは開幕後1ヶ月も経たない内にリリースされてしまいました。ワンポイント禁止後起用に苦労したとの事でしたが、ならばなぜ彼を開幕ロースター入りさせたのか、未だに分かりません。ヒットは打たれていたとはいえ、自責点0だった分、尚更です。

 ⑵に関してはHamiltonはSTでリリース後CHWに加入してバックアップ外野手としてCHWの地区優勝に貢献しています。一方Gamelは開幕後絶不調でPerezよりも早く開幕後半月でリリース後、PITに加入してシーズン通してプレーしました。彼らに関しては見切りが早かったという意見もありますが、大活躍した程でもありませんし、判断が難しいです。

 しかし彼らにまして訳が分からなかったのはBauersかと思います。Yu Changが超絶不調だった為一時1塁のレギュラーになったもののさっぱり活躍できず、結局5月下旬にDFAする事になりました。その後Bradleyが1Bのレギュラーになったものの、昇格直後の確変は終わり、結局HR以外そこまでBauersと大差があった訳ではありませんが、なぜBauersを早く見切らなかったのか、疑問です。突如大化けする事を期待したのでしょうか?Bauersを惜しむあまり全てが中途半端になり、結局最悪な結果になった感が否めません。ZimmerやMercadoなど、今季でマイナーOPが切れた選手で同様の事が来季起こらない事を願うばかりです。

④サブスタンス(粘着物資)規制の影響と先発陣の離脱

 今季のMLBで大きなトピックの一つだった、シーズン途中でのサブスタンス(粘着物資)の規制の厳格化ですが、CLEの投手陣では以前から使用の疑いがあり、厳格化後明らかにパフォーマンスが低下したのはJ. Karinchakのみですが、厳格化の前後でS. BieberやA. Civaleが怪我で離脱した為、いろいろな事が噂されました。

記事にも触れてある通りKarinchak以外CLEの投手は直接関係ないと個人的には思っていますが、CLEのみならずシーズン途中のルール変更による影響は少なからずあったかと思います。

 実際CLEでも今季例年に増して怪我による投手陣の離脱が相次ぎ、その結果これまでに何度も投稿した通り開幕時の先発ローテ全員離脱という事態になりました。

先発陣に関しては全員今季中に復帰できましたし、また彼らの離脱中にC. QuantrillやT. McKenzie、E. Morganらの成長という思わぬ成果も得られましたが、PSを逸した事を考えると、本当に残念だったと思います。

⑤Titoの休養

 昨年に引き続き、"Tito" T. Francona監督が健康問題により休養する事になりました。

幸いな事に経過は順調で、来季現段階ではチームの指揮を取る予定というのは朗報です。ぜひ体調を良く整えて来季に臨んで欲しいものです。

 またS. Alomar Jr. 一塁コーチが代理となった昨季と違いD. Hale ヘッドコーチが代理監督となりましたが、予想外の活躍というか、結果として負け越したものの、健闘したかと思います。AlomarもHaleも来季も残留してくれますので、良き参謀として期待しています。

⑥若手の成長

 先に投稿した様にTDLでセラーに回って育成に力を入れた訳ですが、後半戦の総括で述べた様に、ここ数年と同じく投手陣は成長したのに対し、打撃陣は伸び悩むという構図だったかと思います。 

 レギュラー選手の放出により例年にも増して出場機会を与えられたとはいえ、即結果を求められる環境の大変さはいかばかりだったかと思います。さりながら今年デビューしたO. Millerや E. Clementはいざ知らず、その他の選手は変則的な2020シーズンがあったとはいえ、MLBデビューして数年来の選手達です。

せっかくのチャンスが来たにも関わらず、モノに出来なかった感は否めません。

 先のルール5ドラフト前のロースター整理で40人枠入りした選手は来季STが通常通り開催されれば招待されると思います。

先の後半戦の総括で触れた様に彼らがマイナーで着実な成長を見せ、MLBデビューを待つばかりとなった選手もいる一方、既に26人枠入りしている若手野手の中で今季中にレギュラーを獲得できたと言える若手野手は残念ながらいません(途中獲得のM. Strawは除く)ので、ポジションどころか、チーム残留を懸けた、熾烈なSTになりそうです。

終わりに

 TDLの時点で育成に回ったとはいえ、PSを逃してしまった以上、全体的に辛口評価になるのは致し方ないかと思います。個人的にはPSを逃した事より育成に回ってからMLBレベルで成長を見せた若手野手がいなかった事が残念ですが…。来季についての記事をまた後日アップする予定ですが、今季に関しては総じて残念なシーズンだったというのが総括です😫

 大晦日にこの記事をアップできて本当に良かったです(今季と書けなくなりそうなので😅)7月にnoteを始めて以来、拙い表現力の為上手くまとまらず、読みにくい部分もあったかと思いますが、読んで頂いた皆様に深く感謝致します。今年も残りわずかとなりましたが、今年1年どうもありがとうございました。そして来年もどうぞよろしくお願い致します。それでは皆様、良いお年をお迎えください🙇‍♂️

(Photo by Tom Pennington/Getty Images)

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