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2021年 CLE トレードデッドラインの総括


 さて今更ながら今季のTDLを振り返ってみたいと思います。TDL前にいろいろな記事をアップしましたが、それから3ヶ月更新しなかったおかげで()良くも悪くも成果を確認する事ができます。TDL前の予想と併せて振り返ってみたいと思いますが、終わってみればある意味予想通りの展開であり、同時にCLEファンとしてはとてもショックな結果でした。

MLB全体


 やはり最後の最後で沸かせたのはWSHのファイアーセールでしょう。かねてから言われていたM. シャーザー始め来季まで契約の残るT. ターナーまで放出し、一気に売り手に回りました。絶対売りたくないマンのM. Rizzo GMとしては辛い部分があったでしょうね。


 目立ったトレードだけでもかなりありますし、評価を入れれば膨大な量になりますので、個々のトレードには触れません。noteを始めた7月の初めにこれらの記事をアップしましたが、CIN以外はある程度的中したかと思います。


個人的に嬉しかったのはDETとSEAに関して売り手にならないというのが当たったのは嬉しかったです。逆にNYYがこれ程積極的に動くとは本当に予測できませんでした。ここ数年と同様に結局動けないまま終わるかと思っていましたが…。2020年のTDLで全く動かなかったNYYとLADが一番積極的だったのは面白かったです。ただその後の結果を見ればNYYもそうですが、LADも PSで敗退したのは皮肉な話ですね。ただLADに関してはC. KershawとT. Bauerが揃って出場していたらどうだったのか、一MLBファンとして見たかったと思います。

CLEの動き

 それではCLEのTDLの動きをまとめてみます。

C. Hernandez(2B・CLE) ⇄ K. Pilkington (CHW)

言うまでもなくCHWは同地区ライバルにしてTDL時点で地区首位を独走していたチームです(その後地区優勝)。2位のCLEとしては倒すべき相手であるにも関わらず、いくらトレードが必要とはいえ、敵に塩を送る様なトレードは衝撃的でした。そしてその後の会見で責任者のC. Antonettiはその意味合いを認めていました。


これはCleveland.COMの表現ですが、"White Frag DEAL"、白旗を揚げる🏳という事ですね。トレード時点で分かった事ですが、本当に衝撃的でした。

 しかしそれと同時に発表された事がその裏事情を説明すると共に更なる衝撃を与えます。昨季も開幕後戦列を離れて療養していた"Tito" Francona監督が残りシーズンの離脱を発表しました。どの様な時系列かは説明がないので分かりませんが、CesarをCHWにトレードする事に少なからず影響を与えたのではないでしょうか。

また別の投稿で後半戦の総括を予定していますが、Titoの離脱がなければTDLでの動き含めまた違った結果になったかもしれません。

 さてその後どうなったかと言えばCesarはCHWにトレード後CLE時代より更に悪化し、来季のオプションを行使されずにFAとなっています。怪我で今季絶望だったとは言え、C. Kimbrelとのトレードで期待の若手N. Madrigalを放出し、その穴をCesarで埋めようとした訳ですが、来季はどうするんでしょうか。

 一方CLEに移籍してきたPilkingtonは2Aで安定した成績を残し、ルール5ドラフト対象者になった今オフに40人枠入りしました。来季は恐らく3Aか2Aで経験を積みながらMLBデビューを待つかと思われます。同じく2Aで活躍したL. Allen2号同様貴重な先発左腕ですので、MLBレベルで活躍するのを期待しています。

ET 7/30 CLE ⇄ ATL
CLE   Pablo Sandoval 3B → 獲得後即リリース
ATL   Eddie Rosario LF

 これが今回一番の問題トレードでしょう。TDL時点で怪我でIL入りしていたRosarioを予算削減の為何とかトレードしようとしたCLE。まとまったのはR. Acunaの離脱によりOFを探していたATLとの、不良債権化したカンフーパンダこと P. Sandovalを引き取った上でのトレードでした。トレードによりCLEとしては差し引き2.5mの節約になりましたが、Sandovalは1秒もプレーせず即リリースされました。一方Rosarioは8月末に怪我から復帰後大活躍、NLCSでMVPになった事を含めATLのワールドシリーズ優勝に大きく貢献しました。ATLの勇気と慧眼を褒めるべきですが、CLEファンとしてはやり切れない結果となったのは否定できません。

本人曰くClevelandが寒すぎたとの事ですが、ミネアポリス(ロサリオが昨季まで所属していた)の方が寒いじゃないか、というP. Hoynes記者のツッコミはファンの気持ちを良く代弁してくれています。

7/30 CLE ⇄ HOU
CLE  Myles Straw OF
HOU Phil Maton RHP, Yainer Diaz C

 ここ数年補強必須ポイントとしてほぼ全ての識者から指摘されるOFの中でも最重要だったCFにHOUから Strawを獲得しました。

Antonetti曰く昨年からずっとStraw獲得を打診していたみたいです。自分含めノーマーク(予想記事でも事前には挙がってなかったと思います)の選手に目を付けていたのは流石だな、と思います。 TDL前に噂に上がったB. Raynolds(PIT)やC. Mullins(BAL)で予想された対価を考えれば、現状彼らより実績で劣るものの、少ない対価で良い選手を獲得できたのではないでしょうか。

 Strawを説明すると俊足好守巧打、長打力はあまりなく、四球が少なく三振が多い選手、という所でしょうか。CLE移籍後早速持ち味を存分に発揮しています。来オフから調停、2015年まで保有可能なのもGoodです。

 一方CLEがHOUにトレードしたのはMatonとDiazです。PSを睨んだリリーフとしてトレードされたMatonですが、今季でOPも切れ、チーム内での優先順位も高くなかったのでよかったのではないでしょうか。WS含めPSでもそこそこ活躍していましたが、「これがMatonだよね」という投球だったと思います。

 MatonよりむしろDiazがCLE側のメインピースだったかと思いますが、彼は強打の捕手のプロスペクトとしてローレベルでB. Lavastidaと切磋琢磨していました。結局Lavastidaは残り、Diazはトレードされた訳ですが、薄い捕手層を考えると非常に残念です。HOU移籍後も持ち味を存分に発揮していますので、今後の活躍が期待されます。

7/30 CLE ⇄ TB

Jordan Luplow DJ Johnson RHP
TB    Peyton Battenfield RHP

 2018年オフにPITから移籍して以来ロマン枠としてカルトな人気を集めてきたLuplowが放出されてしまいました…。未だに彼の更なるブレイクを期待する自分としては非常に残念です。正直TBはいつも自分の移籍して欲しくない選手をピックアップしていくので、トレードして欲しくないです。ただ彼の場合やはり健康面がネックですので、選手層の薄いCLEとしては致し方ないかなと思います。TB移籍後PSでグラスラを打つなどロマン枠健在をアピールしていますが、今後どうなるでしょうか。

 彼+DJ Johnsonの対価として移籍してきたBattenfieldはリリーフとしてプロ入りした後先発に転向し、90マイル台中盤の速球とカッターを始めとした多彩な変化球を武器に高い奪三振率と低い与四球率を誇る投手で、CLE移籍後も2Aで好成績を収めました。彼も先のPilkington同様、来季は3Aか2Aで経験を積みながらMLBデビューを待つかと思われます。今季3AのColumbus ClippersはCLEの先発陣の離脱のあおりを受けたこともありまさに投壊と言う言葉がふさわしい惨状でしたが、来季はMLB昇格を狙う若手先発陣のショーケースとして、非常に楽しみな顔ぶれとなっています。

終わりに

 2020年までとは違いre-arrange(再調整)を強いられたシーズンになった中トレードも予算削減が主目的のものとなりましたが、現フロントのトレード戦略をあまり評価していない自分から見てもRosarioのトレード以外は総じて良い評価ができるかと思います。予算削減も果たしつつ、主力のCFと期待できる先発のプロスペクトを左右それぞれ獲得できた訳ですから。それはTDL終了時点でも、それから4ヶ月近く経ってオフシーズンに入った今でも変わりません。

 現フロントに限らずCLEはどちらかというとエースや主砲を放出する時やブロックバスター・トレードの様な派手なトレードより、今回みたいなあまり注目されない時に獲得した選手の方が活躍するような気がします。C. Kluberしかり、Y. Gomesしかり、M. Clevingerしかり。今回獲得したStrawはもとより、PilkingtonやBattenfieldにはその系譜を引き継いで活躍して欲しいと思います。

   (Photo by Emilee Chinn/Getty Images)

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