見出し画像

横浜に今月できるロープウェイの解説①ここがすごい「短期間」「エアコン」

はじめまして、Zip Infrastructure株式会社の須知と申します。
私は自走型ロープウェイという新交通システムを開発しているベンチャーの社長です。こんな未来を目指して日々開発をしています。

突然ですが、皆さん、今月横浜に日本初の都市型ロープウェイができることをご存じですか?

「YOKOHAMA AIR CABIN」という名前で桜木町駅-ワールドポーターズ間の600mを5分で結ぶロープウェイで、山やスキー場ではない都心部に作られるロープウェイとしては日本初の事例になります!運営会社は泉陽工業さんという、みなとみらいの観覧車を運営している会社です。そして驚くべきことに費用は全額民間持ちです。


うちの会社もタイプは異なるのですがロープウェイを開発しているということで、おそらく関係者以外で日本で一番詳しく解説できるだろう、ということで解説を書くことにしました。(元気があれば②と③も書く)

①ここがすごい(本記事)
A計画から建設までの流れと驚くべき短期間での実施
B日本初の「エアコン付き」

②採算大丈夫?
A収入予想
B支出予想
C赤字?黒字?

③今後の課題
A高すぎた建設費
B年次点検
Cバッテリー劣化
D曲がれない

というわけで今回書くのは①制度面でのすごさです!

A計画から建設までの流れと驚くべき短期間での実施

今回のロープウェイ、最初のきっかけはこれでした。
横浜市、「まちを楽しむ多彩な交通の充実」に向けた公募の実施(2017年)

ここでロープウェイだけではなく、シャトルバスやら、ヘリやら、船やら、連接バスやらが応募されていることが確認できます。

そして次の発表がこれ
横浜市と泉陽工業でロープウェイ建設に向けての協定を結ぶ(2019年)

ただこの頃には既に環境影響評価審査なども進んでいるので、水面下では計画は進んでいて、ある程度行けそうになった段階で協定が結ばれていることがわかります。(下記資料の日付が2019年3月3日となっている)

そして下記記事から2020年2月には土木工事が始まっていることがわかります。ということはここまでに路線免許を取得し、ボーリング調査なども終わっているということだと思われます。

まとめると

①横浜市がいろいろな交通の提案を受け付け(2017年)
②横浜市と泉陽工業で協定を結ぶ(2019年)
③工事開始(2020年)
④運行開始(2021年)

というタイムラインになっています。実はこの5年という短期間で計画、建設、運行開始をしているのってすごいことで、通常の鉄道や地下鉄で20-30年かかっていることを考えると驚異的なスピードです。

横浜市もお金は出していないながら、スムーズな行政手続き(桜木町駅前や道路の占有許可等)にかなりの尽力をしたことが伺えます。


B日本初の「エアコン付き」

次にロープウェイとしてのすごい点を書きたいと思います。
タイトルにもある通り、実はこれまでのロープウェイ、ゴンドラにはエアコンがついておらず、今回が初めての設置になります。

なぜ、今までエアコンの設置が難しかったのでしょうか。それはロープウェイ独特の運行形態が大きな理由の一つです。

通常の交通機関と異なり、
①途中で降りることができない
②それぞれの搬器(ゴンドラ)に車掌が乗務していない
ことから循環式のロープウェイでは火災が命取りとなります。
実際に運転手が乗務していても100人以上も死亡するような大事故がケーブルカー(途中での乗り降りが困難)で発生していたりします。

これらの理由から基本的にロープウェイには火災の原因となるような大規模な電池というのは搭載が見送られてきました。(通信用の鉛蓄電池くらいしか許されていない)

しかし、通信用の容量の小さい電池では数kWの電力が必要なエアコンには対応できません。そこで今回エアコンのために大容量の電池を設置することになり、索道設計基準のルールを一部置き換える必要があったようです。

しかし、こういった乗り物に新技術を導入する際はどのようにすればいいのでしょうか。鉄道や車はまた異なると思いますが、ロープウェイの場合は3つで
①軽微な変化をもたらす新技術
そのまま地方運輸局に免許申請をして、審査してもらう

②中程度の変化をもたらす新技術
索道設計基準の書き換える部分が明確であり、数値の書き換え等(最高速等)であれば、交通環境安全研究所の索道部門が審査を担当する(2008年、びわ湖バレイロープウェイはそれまでを2m/s上回る12m/sのロープウェイを設置し、交通研が審査をした)

③大きな変化をもたらす新技術
それまでの索道設計基準を大きく変更する場合は、第三者委員会を組成し、そこで安全性の議論をする

今回のエアコン導入についてはどうも③の手段を取ったらしく、メーカーのかなりの意気込みがうかがえます。というのも、この第三者委員会はメーカの自費で行う必要があるためです。

まとめると

これまで火災の可能性があるため設置できなかった大容量電池&エアコンを設置するために、メーカは自費で第三者委員会まで作って既存基準を書き換えた。

さいごに

ということでYOKOHAMA AIR CABINのすごい点を「短期間」「エアコン」という面から書いてみました。皆さんの質問、反応をお待ちしています。

また、Zipではこれまでのロープウェイの問題点(3回目で書くことになると思います)を解決する自走型ロープウェイを開発するメンバーを募集中です!気軽に連絡ください!


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
11
Zip Infrastructure 株式会社代表取締役 自走型ロープウェイ「Zippar」を開発中 https://zip-infra.co.jp/ https://twitter.com/suchi_space