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日本全国酒呑み音頭

私は持病のドクターストップによりお酒が飲めないが、主人は酒豪もとい「ザル」である。日本各地を巡ったが、旅行といえば各地の居酒屋にて現地の居酒屋へ足を向け、美味しいつまみと地酒で一杯ときたもんだ。旅先ごとに出会う銘酒は主人の楽しみとなっている。そのくらい日本各地で必ず銘酒がある。

神戸、灘の酒蔵、菊正宗酒造
 同じく灘にある酒蔵、桜正宗酒造

数年前に関西旅行した折に訪れたのが、神戸市にある灘地区である。「灘の生一本」で有名な酒処、飲み比べしながらの酒蔵巡りが楽しい。
気をつけて頂きたいのは、あちこち試飲出来るのでほろ酔い気分になるため、運転手を確保するか公共交通機関を利用されたい。

日本最北端の酒蔵、北海道増毛町の国稀酒造

一昨年、コロナ禍の中、GoToトラベルを利用して日本最北端の酒蔵、北海道増毛町の国稀酒造まで足を向けた。
小さい町ではあるが、なんと三國シェフ監修のもとで作られたというオーベルジュがあり、お箸でも食べられるフレンチのフルコースに酒蔵で購入したばかりの日本酒を持ち込むと、ワインのサーブの代わりに日本酒をサーブしてくれるという、おもてなしの良店であった。

良い酒、良い景色と呑兵衛を連れ歩くと良いことがある。
全国の美味しい食と酒を求めてふらつこう。

我が家の一例を持ち出したように、そういった各地の地酒の製造・販売に一役買っている制度が「酒」特区ではなかろうか。
その「酒」特区制度に基づく地域の盛り上がりを日経新聞記事の図表をお借りするとともに参照して綴っていく。

「酒」特区とは、2003年に施行された構造改革特別区域法によって認められた特区の一つである。特区の認定を受けると、域内で新たに酒の醸造所を設置する際に酒税法で定められた年間の最低製造量が適用されない若しくは制限が緩和されるそうだ。
ブドウやコメなど、そのエリアで採れた特産物を酒の原料とすることが条件であり、対象の酒類は段階的に拡大、現在ではどぶろくやワインなどの果実酒の他にリキュールなどが製造できるという。構造改革特区の中でも成功といえる例に当たるようだ。

2022年6月24日付 日本経済新聞 
「酒」特区、活気も醸す 全国の認定醸造所10年で1.7倍 より

上記表にあるように、「酒」特区が最も多かったのは意外に思われるかと思うが長野県で26ヶ所、以下は酒どころの高知県、秋田県と続いていく。
特区の認定を受けた醸造所も2020年度末には全国で300ヶ所を超えて10年前の1.7倍となっているそうだ。

これは、また酒蔵巡りと称して、主人を連れ出し国内旅行せねば。
酒どころはいい風景も撮れるのだろうなと思いつつ。

そして、各地の「酒」特区の様子をお伝えしたい。

・北海道
北海道は上記地図でも多いのがご理解できると思われるが特区が11件あり全国7位と多いお土地柄だ。ワインでの特区認定が中でも多いという。
りんご、さくらんぼといった果実栽培やウィスキーなど酒造りで有名で歴史ある余市町では、ワインで特区認定を受けており新規参入も相次いでいるそうだ。
例えば、食品専門店「カルディーコーヒーファーム」を運営するキャメル珈琲(東京・世田谷)傘下の「キャメルファームワイナリー」や、「日本ワイナリーアワード2022」で5つ星評価を受けた「ドメーヌ タカヒコ」など有名なワイナリーがブドウ栽培から一貫生産している。

・東北
東北は、6県合計で58の酒特区がある。ことどぶろくに関しては、各生産者が創意工夫を凝らして全国を牽引している。福島県二本松市のふくしま農家の夢ワインやシードル(りんご酒)などもあるが、やはり東北はどぶろくのこだわりが強いようだ。2006年から開催している「全国どぶろく研究大会」では岩手県遠野市を皮切りに計15回のうち8回が東北で行われた。福島県国見町ではコロナ禍中の2021年に醸造所とレストランが一体となった店舗でどぶろくの醸造・販売を始めた。秋田県遠野市の「阿仁マタギ特区」ではマタギの里観光開発が運営する秘境の宿・打当(うっとう)温泉マタギの湯で宿泊客にどぶろく「マタギの夢」の提供を始め、人気を呼んでいるという。

・関西
酒造のハードルを下げる国の特区制度を活かして農家などが作る製品を地域内外に拡販する取り組みが広がっている。国税庁の2020年度統計年報によると、大阪圏(大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山)の酒類生産量(製成数量)は全12圏域の中で 2番目に多いそうだ。
和歌山県みなべ町では梅酒、兵庫県養父市の洋菓子製造カタシマはどぶろくをジェラートにした「どぶロック」を開発した。京都府福知山市の大江町では「酒呑童子の里大江どぶろく特区」の認定を受けた。

あと、北信越の酒特区などもどぶろくやシードルの生産が盛んである。

このように、全国津々浦々と酒どころが増えている昨今であるが、このコロナ禍でなかなか旅行の機会がないと思われる。
しかし、ここは思い切って一つ観光がてら一杯盃を傾けるのはどうだろう。

…我が家も道中の楽しみにして、また空路や陸路で旅路に出ようか。


各地の銘酒の詳細については、下記日経新聞記事をぜひご一読されたい。

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