私の母

私が小さい頃、母は食の好き嫌いを、絶対に許してくれなかった。
そのお陰で、どこで誰と食事をしても、なんでも食べられる。

そんな母も年齢と認知症のせいか、歳と共に食の好き嫌いが増えた。

私が勤め先の社員旅行で家を空ける事があり、いつもお世話になっている介護施設の方に、朝食のパンの購入をお願いした。

固い食感を嫌う様になった母は、メロンパンが嫌いになっていた。
その事を介護施設の方に、伝え忘れていた。

定番のメロンパンだけに、ヘルパーさんのどなたかが購入されていた。案の定母は食べずに残していた。

帰宅した私は母に、好き嫌いするなと云う意味を込めて
『お口がお上品になったな』と嫌味を言ったところ
母が『おほほ〜』と返してきた。
笑ってしまった。笑った時点で私の負けである。

母はまだまだ強かった。

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