53本目 刺激、還暦

デビステのてんぷら 53本目 (週刊PONTE vol.54, 2019.11.25)

先日ご報告しました、明石市の文芸祭の表彰式に出向いた。仕事でもあまり着ないスーツで出向いた。
(短編)小説部門の他に随筆、児童文学、詩、短歌、俳句、川柳とそれぞれの受賞者がホールに集まって来るのだが、露骨に年齢が高い。感覚的には60歳くらいが平均なんじゃないかと思う。地方自治体の文芸祭、〇〇市文学賞なんて、往々にして地元のおじいちゃんおばあちゃんが応募のメイン層なのだから当然の帰結なのである。欠席された受賞者もいたが、一般の部ではおそらく私が最年少だっただろう。

表彰式自体は特に何があったわけでもなく、壇上でペコペコしていただけなのだが、面白かったのは同日各部門ごとに行われた講評会である。小説部門では、四角く囲んだ机に選考者(作家)たちと受賞者がつき、自分の作品についてあれやこれや言ってくれる。受賞者4人で順番にそんなことをやっていく。適当に褒めそやし褒めそやされで終わりなのかと思っていたが、ホントに忌憚のない意見が飛び出る刺激的な講評会だった。2時間ミッチリ。
「私はこれは文学だとは思いませんでした」
「ここの表現は鼻につきましたね」
「ありきたりな主題で新鮮さがない」
「起伏がない展開で印象に残らなかった」
「この表現方法をとった必要性を感じない」
バチバチなのである。
私はというと、そんなにちゃんとした批評を求められると思ってなかったのでザッとしか他の作品を読んでおらず、内心焦りながらその場で読み直してなんとか感想を捻り出していて、それはそれで刺激的な時間を過ごしたのであった。

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きんまめ:ジャグリングサークルジャグてっく元部長。くらいしか経歴がない。デビルスティックをやっていました。分野によって感想の強さって異なるよねって思いました。文学って厳しめじゃないですか。好きなジャグラーは特にいません。

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