19本目 こどうぐがかり

デビステのてんぷら 19本目 (週刊PONTE vol.20, 2019.3.25)


 ジャグリングの技能が中途半端でも、オリジナリティのあるパフォーマンスを見せたい。そんな時は、小手先に頼るのが手っ取り早い。しかし、ジャグリングにおいて「小手先」と言うと、むしろ小手先こそジャグリングの重要要素であり、小手先に宿る意識こそが道具を操る上での真髄な気もしてくる。
 無論、そんな正攻法の戦いがしたいのではない(ホントは正攻法でやりたいけど、その技術がない)。
 筆者が言いたい小手先とは、いわゆる小道具である。

 前回、Big One Trick、通称ビッグワンと呼ばれる、ジャグてっくの学園祭パフォーマンスにおける、なんでもありの楽しい枠について述べた。
 先輩からの「ジャグリングしなくてもいい」という甘美な誘い文句にホイホイ飛びついた筆者は、モチモチの木やバトエンといった、同世代に対して絶大な威力をもつ小道具をメインとしたパフォーマンスで挑んだ。そして、卑劣なまでにウケた(主に内輪で)。

 人間とは弱いいきもので、一度ウケると当然のように二匹目のどじょうを探してしまう。どじょうハンターとなった筆者は、池や川はおろか、鞄の中も机の中も探した。もちろんロフトやハンズにも足を運んで探した。

 2年目のビッグワン初日は、ショートコント集「椅子取りゲーム」からの3年β組金八先生というなかなか力の入った構成。メインの小道具一本頼りではなく、ちょっとした小道具の手数で勝負した。またこの時、初めてピンではなく、先輩とコンビを組んだ。ソロではなくピンと言いたくなるあたり、ジャグラーというより芸人に近い。もちろん2人での通し練習などせず、本番目前でようやく、こういう内容なのでうまく合わせてください、という打合せ(というか連絡)をしたに過ぎない。コンビを組んだ先輩もまた、ジャグリングよりも口が上手い人だったからこそ成り立ったのかもしれない。この先輩こそ、1回生の筆者を「ジャグリングしなくてもいい」とビッグワンに誘ってくれた恩人であり、諸悪の根源でもある。

 昨年同様、ビッグワン2日目にも連続出場し、演目は「ツッコミたくなる漢字」。スケッチブックに書いた漢字にツッコミを入れていくという非常に斬新かつ知的なネタである。パフォーマンスではなくネタと言いたくなるあたり。ちなみに断っておくが、大人気芸人の厚切りジェイソンがホワィジャパニーズピーポー!のネタでR-1優勝を勝ち取ったのはこの6年後のことである。当時は気付かなかったが、多分あのビッグワンの観客の中に厚切りジェイソンがいたに違いない。

 さらにその翌年も、と続けたいところだが、紙面が尽きたのでまた次回。

 ちなみに、いきものがかりのボーカルの出身地として有名な神奈川県の厚木には、厚切りジェイソンも住んでおり、さらに当時のジャグてっくの合宿場所も厚木だったりする。そう、厚木なので、厚木りジェイソンなのである(本当)。

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きんまめ:ジャグリングサークルジャグてっく元部長。くらいしか経歴がない。デビルスティックと小道具をやっていました。好きないきものがかりの曲はスパイスマジック。好きなジャグラーは特にいません。

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