29本目 コアラの待ーち合わせ

デビステのてんぷら 29本目 (週刊PONTE vol.30, 2019.6.10)

先週、台湾vs日本、コアラのマーチ一本勝負、的なことするためにわざわざ台湾まで出向いたものの、レフェリーである筆者の舌が愚鈍過ぎた結果、笹を割ったようなスパッとした評価を下せなかった。
日本のコアラと台湾のコアラ、違うような変わらないような、笹いな違いがあるようなないよう。目を閉じて、眉間にしわ寄せながら、味わうというより疑うように食べるのもしんどいので、途中から、どうせ腹に入ったら一緒や!と身も蓋もなく開き直って、普通に食べた。
笹笹書いているが、笹はコアラではなくパンダである。

さて、コロンに引き続き、そんなコアラのマーチにも高校時代の友人から教えてもらった衝撃の食べ方があるので紹介しておこう。無論、一昔前に話題になった、未開封の状態でシェイクして巨大なチョコクッキー球体にするとかいう粗暴なものではない。

その食べ方に出会うまで、筆者は4つ角を先にかじって、コアラの身動き奪ってから本体を食べていたのだが(陰険)、友人の食べ方はよりエレガントで高度なものだった。簡単に言うとコアラを半分に割るのだが、胴体真っ二つではない。コアラの上下に歯を当てて、強すぎず弱すぎずの絶妙な加減で万力のように締めていくと、なんと印刷面と裏面にきれいにスッパリ分割されるのである。玄妙にして神妙、コアラが描かれた面だけが分離される。名付けてこれ、妙技ユーカリ離脱!

中側のチョコがくっついててきれいにスッパリ割れないのでは?と訝る方もあろう。しかし、コアラ内部がチョコで満たされているというの消費者の理想論であり、トッポの幻影に捕らわれているに過ぎない。実際の充填率はせいぜい25%程度。人生同様そんなに甘くはない。加えて、コアラの背面にチョコ注入口があるので、チョコは印刷面のクッキーにのみへばりついているのだ。だから、きれいにスッパリ上手くいく。

コアラも人生も、内側に余裕を持ってる方が上手くいくものなのである。

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きんまめ:ジャグリングサークルジャグてっく元部長。くらいしか経歴がない。デビルスティックをやっていました。おせちに出てくるレンコンも穴から先が見通せるという縁起物なので、コアラがおせちの仲間入りする日も遠くないなと感じます。好きなジャグラーは特にいません。

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と、うまいこと締めくくったところで1つ問題が。

しばらく前に、昔の記憶を懐かしみながら、上のようなコアラのマーチの食べ方を書き、PONTE寄稿用のメモ帳アプリに保存しておいたのである。 
その後台湾へ飛び、日台コアラ交流戦のため久しぶりにコアラのマーチを食べたわけである。もちろん上記のユーカリ離脱方式で食べようとしたのだが、なんと、まったくキレイに割れないのである。台湾のはおろか日本のも。なんというか、クッキーがグシャる。パカッという感じになる気配すらない。
果たしてこれは、単にコアラ側の仕様変更で割れにくくなっただけなのか。パカッと割れるコアラは、あるいは、幽体離脱でもした私が見た幻だったのか。

旅というものは情け容赦無く、己の信ずるところを揺るがす契機となるのである。

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きんまめ:ジャグリングサークルジャグてっく元部長。くらいしか経歴がない。デビルスティックをやっていました。コロンはそのままではダメなので、クリームほじって先が見通せるようにして重箱に入れましょう。クリームは栗きんとん役として。好きなジャグラーは特にいません。

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