観客のいないライブの中で -MSSP音楽ツアー-
Twitterを利用している方なら、もしかすると知っているかもしれない。
最近「スパチャ1億円」というワードがトレンド入りした。
3月4日。
とあるアーティストがYoutubeにて”無観客ライブ”を行い、生放送中に”投げ銭”ができるスーパーチャットの合計額が1億円を超えたのだ。
1億円ですよ。億って。そうそう集まるもんじゃないでしょ・・・
そのアーティストの名前はM.S.S Project。
何を隠そう、私の推しである。
私は彼らの無観客ライブに、新しいライブの形を見た気がした。
今回はその感動や気付きを、ここにしたためようと思う。
無観客ライブへの経緯
そもそも「無観客ライブとは?」という感じなので、そこから話をしよう。
M.S.S Project(以下MSSP)は、4人のアラサー(アラフォー?)男性によって構成された、なんでもやるエンターテインメント集団である。
マジで何でもやる。ゲーム実況でも料理動画でもゲテモノ食いでも何でもやる。そんな彼らの活動のひとつ、というよりは主軸に、音楽活動がある。
彼らは8年ほど前から、毎年一度は「実況プレイ+音楽」の両方を楽しめるツアーを行ってきた。前半でゲーム実況、後半でライブ、という形なので、体力のないオタクでも楽しめる構成だ。
そんな彼らが、今年はじめて「音楽オンリー」のツアーを行うことになった。今までは大きな講堂などを借りていた彼らが、ついにライブハウスでツアーをするのだ。Toyosu PITから始まり、Zepp DiverCityで締める。指定席のない、オールスタンディングだ。ガチのライブだ。
しかし、みなさんご存知のように、新型コロナウイルスが登場してしまう。各イベントが次々と自粛、中止をしていき、MSSPのツアーもまた、途中で断念する形となってしまった。
不特定多数の人間が3時間ほど密閉された空間に閉じこもるライブは、確かに現在は危険かもしれない。彼らの決断は多分正しい。
そうとわかっていても、普段おちゃらけて「ウンコー!!!」と叫んでいる彼らが、真剣に「中止になってしまったことへのお詫び」を発表しているのは、ファンとしてあまりにもつらかった。
もちろん自分自身も楽しみにしていたけれど、何より彼らが気がかりだった。初の音楽オンリーツアーが、こんな形で終わってしまうなんて。
そして、現実的な問題として、6公演分のライブハウス+トリを飾る予定だった横浜スタジアムの予約がパーになったことで、彼らは負債を抱えることになった。具体的な値段はわからない。それでも、かなりの額の負債であることは、メンバーの発言から予想された。
こういうこと隠さず言うの、あろまほっと氏らしくて好きです。
さて、悲しみを隠せないファンたちのもとに「3/4にZepp DiverCityで無観客ライブをYoutubeで生放送配信します」という発表が舞い込んだ。
無観客ライブ。つまり、本来やるはずだったツアーを、観客が文字通りゼロの状態で行い、それを無料で生放送公開してくれるということだ。
観客のいないライブ・・・!?!?!??
イエーイとかそういう歓声いっさいナシでやるライブ・・・!?!?!?
嬉しいけど、嬉しいけどさ・・・それって成立するの!?!?
コメントでつながる世界
そんな私の心配は、結果としてまったくの杞憂だった。
ライブはおおいに盛り上がり、私も自宅でペンライトを振りかざし、近所迷惑にならない範囲で叫びまくった。翌日のどは掠れ、腕は筋肉痛になった。
演奏を行うMSSPおよびサポートメンバーの人たちの前には、大きなディスプレイが置かれていた。そこにはYoutubeの生放送中のコメントが流れるようになっていて、きちんとファンの声が彼らに届くように工夫されていた。
ギター担当のきっくんが「お前ら盛り上がってるかー!」と叫べば、コメント欄が「イエーイ!!!!」というノリノリの言葉で埋まっていく。コール・アンド・レスポンスもばっちりだ。
そして何より個人的に感動したのが、スーパーチャットの機能を活かした、ファンたちのサイリウム芸だ。
スーパーチャットは、払う金額に応じてコメントの色が変化する。
200円未満ならば青、500円〜1000円だと緑色、2000円で黄色、10000円以上で赤。ちょうどメンバーカラーにできるのである。
特に、FB777氏のソロ曲では、実際のライブでもサイリウムを全員が一斉に青色にするので非常に幻想的な光景になるのだが、それがYoutubeのコメント欄で再現されているのは非常に面白く、感動的だった。100円という安さもありがたい。
引用元:ユニさん
そして、そんな私たちファンのコメントに応えるかのように、からっぽのライブハウスで全力のパフォーマンスを見せつけてくれるMSSPの姿は、なによりもかっこよく、輝いていた。
きちんとしたカメラワークにも、スタッフさんの尽力を感じたし、サポートメンバーの演奏も素晴らしい。とにかく全てが「ライブを見ている、空気を共有している」という気持ちにさせてくれた。
もともとのライブのチケット代が7000円+ドリンク代500円なので、これを無料で見られるなんて、とんでもない話である。
私はFBさん推しとして、青色サイリウム(100円)や緑色サイリウム(777円)を何度か振らせてもらった。赤色を連打する人は富豪か石油王なのかな?って感じでしたけども・・・
みんなができる範囲で応援できるのが、スパチャの良いところ。
新しいライブの形
無観客ライブ中、きっくん(テーマカラー黄色、ギター担当)は語った。
「オレはライブっていうのは、同じ空間を共有するのが大事だと思ってたんだけど・・・でも今、こうやってネットを通して、みんなとつながってるのを強く感じて、今回、色んな意味で心に残るライブになったと思います。」
うろ覚えなので完全に書き起こしできているわけではないです、すみません。でも大体こんなことを言っていた、はず、多分。
私はこの言葉に、本当に救われた。彼らにとって、このライブは、からっぽのライブハウスじゃなくて、ちゃんと観客がいる、中身のあるライブになったんだ。
それは、ファン冥利につきる話だ。私たちの姿は見えなくても、歓声は彼らに届いたのだ。ついでにお金もな!!!
もちろんYoutubeを通してなので、1億まるまる彼らの懐に入るわけではない。それは承知している。でも良いのだ、私は彼らに貢いだのではなくて、サイリウムを振ってライブに参加しただけなんだから。負債への足しになればいいな、という気持ちも多少はありますけどね。
各イベントが自粛ムードになって、様々な意味で色んな業界が打撃を受けている今、MSSPの無観客ライブは、新しいエンタメの形として、ひとつの例になったのではないかと思う。
なにやら、オペラの無観客公演も決まったらしいですし。制作費1億6千円はすごいですね。そんなすごいものが中止になってしまうのは悲しいよな。
とにかく、すごいものを見せてもらったという感動と、彼らの全力のパフォーマンスに勇気をたくさんもらいました。次にライブで会えるときは、全力で生の声援を届けたいです。
ありがとう、MSSP。大好きだ、MSSP。泥水でした。
おまけ:会場がZepp Ouchi(おうち)なので限界キモオタクムーブをする私
いつもなら外だから耐えてるんだけど 家だと無理だった 完
(旦那に「今の動き、何・・・?」と困惑されました)
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