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美しい暴力

最近また気温差が変な感じですね。
そのせいか気持ちも体もフワフワしているこの頃です。

今のところ、私は『それいけ!アンパンマン』のような子供向け映画や、SF映画の感想を書いていることが多いですが、実は、『サスペンス』『ホラー』『バイオレンス』『スプラッタ』系の映画の方が好きです。
(ただし、ジャパニーズホラーだけは心の底から苦手です。呪怨のCMを見ただけで夜中にトイレに行けなくなるくらい苦手です)

今回は、中でも『バイオレンス』についてお話します。

タイトルの通り、私はバイオレンスに一種の美を感じる人間です。
ただし、暴力ならなんでも良いわけではありません

「暴力は何がなんでも無理、どういう理屈でも無理」という方は、この時点で読むのをやめることをおすすめします。

「暴力の何がおもしろいんだ」「暴力にお前は一体何を求めてるんだ」という方は、是非このままお付き合いください。


フィクションにおける暴力の「美」

「バイオレンスものが好き」と言うと、「物騒だね」「悪趣味だね」と言われることがあります。正直、否定しづらいところです。
ですが、私の好きな『バイオレンス』映画は、「暴力を正しく美しいものとして描いたもの」に限ります

「暴力に正しいも美しいもないだろう、暴力はただの暴力だ」という意見をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。ごもっともです。現実における暴力は、暴力でしかありません

ですが、フィクションの世界において、暴力はひとつの美と化す、と私は思っています。

私の好きなバイオレンス作品の具体例を出すならば、

・クエンティン・タランティーノ監督 『レザボア・ドッグス』
・ ニコラス・ウィンディング・レフン監督 『ドライヴ』
・デヴィッド・リンチ監督 『ブルーベルベット』

などがあります。

これらに共通しているのは、「キャラクターが、自分の思い描く理想・目指す目的のために、純粋に”手段”として、自分と互角・あるいは上位の相手に暴力を行使している」という点です。

自分でも「何言ってんだ?」という感じなので、もうちょっとわかりやすく伝えられるか頑張ってみます。

例えば、言うことを聞かせるために、大男が自分よりずっと小さな少女を殴る。ひとりでは何もできないチンピラが、集団でひとりをリンチする。

これは、美しくありません。まったくもって面白みがないです。ただ胸糞わるいだけの暴力です。(身の回りに存在する現実の暴力も、この手のものが多い気がします)

一方で、マフィアの男が、自分の目的のために邪魔な存在を消すために、相手に拳銃を向け、何のためらいもなく撃つ
もしくは、とにかく相手を殺さなければ死ぬ、という状況で、主人公がナイフをとり、至極淡々と、向かってくる相手を刺す

これらの暴力こそ、私の求めるものです。

つまり私は、自分も同じようにやられる可能性があることを理解した人間が、それでも目的のために行使する「暴力」に美しさを感じるのです。

そして、その描写はできるだけ淡々としていると、より素晴らしいです。

痛そうな場面を求めているのではありません。
あくまで「暴力」は手段でしかないのです。

ですから、長々と苦しむ描写であったり、血がビチャビチャ吹き出して叫んだり、そういうのは特に必要ありません。「あ、死んだな」と観客に伝わるように、さっくりと簡潔に、リアルに描写されていれば、それで十分なのです。

その点で、『ドライヴ』は、特に素晴らしく美しいバイオレンス作品です。
この映画には「必要だから振るわれる暴力」しか存在しません。


さいごに

いかがでしたでしょうか。

いかがも何も、気分悪くなったぞコラ、という方、申し訳ありません。
ですが、読んじゃったものは仕方ないので、何か楽しい映画でも見てこの記事のことはすっぱり忘れてください。『ショーシャンクの空に』や『トゥルーマン・ショー』などがおすすめです。心洗われる名作です。

なんとなくわかる、という方、是非おすすめの映画があればお教えください。
タランティーノ監督の作品は、大体さっぱりしたバイオレンスが多いので大好きです。『パルプ・フィクション』も名作ですよね。

ちなみに『ブルーベルベット』をご存知の方で、「あれは思い切り強者が弱者をいたぶる映画じゃないか!」と矛盾に気づいた方、ご名答です。
ですが、私の思う「美しい」点は、冒頭の主人公がアレを発見するシーンです。あれこそ、簡潔に恐怖を感じさせる、素晴らしいバイオレンス表現だと思っています。

そのうち『スプラッタ』や『ホラー』など、語れなかった他のジャンルについてもまとめてみたいところです。

ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

サポートしていただけると心身ともにうるおいます(主にご飯代にさせていただきます)。ここまで読んでくださってありがとうございました!