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洋館の中で見つけた日記 97 【鍋焼きうどん】
20☓☓年。
研究所にて自分らしさを忘れてしまうP-ウイルスが流出した。
瞬く間にウイルスは蔓延。
世界はポカンハザードに陥る。
ポカンから逃れるため古い洋館に駆け込んだ。
そこである日記を見つけた。
読んでいただき、ありがとうございます。
ポカンハザードの世界で日記を書いております。
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◆鍋焼きうどん
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88315066/picture_pc_6342d49765221a3a332dbb38ece24e2d.jpg?width=800)
小さいときの記憶。
私は気まぐれに起き、昨晩作ったレゴの城にブロックを足していく。
すでに姉は小学校、父は会社に行ったようだ。
一人でいるときだけ気がつくのは時計の秒針と冷蔵庫のブーンという音。
10:30になりコナンの再放送を見ていると、母が台所でトントン何かを切っている。
ほどなくテーブルの上に置かれた直径20センチほどの土鍋。
鍋の下にひかれた赤い文字のスーパーのチラシ。
回りは銀紙で覆われている。
母が鍋つかみで蓋を開けると白い湯気が上がり、醤油の香ばしい匂いを感じた。
汁は煮立ち、ほとんど残っていない。
うどんは出汁を吸って柔らかく、醤油色に染まっている。
白くなった卵をスプーンで割ると黄身が流れるが、すぐに予熱で固まった。
紅白のかまぼこが三枚、椎茸、斜め切りされた長ネギ。
どれも甘辛く味が染みている。
うどんを切り分けながらゆっくり食べた。
土鍋は最後まで熱いままだった。
小さい頃うどんを美味しく食べた思い出である。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88315084/picture_pc_bae0d3cdeca2e6d362284b652c4fd232.jpg?width=800)
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