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小劇場 - 七爺

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00:00:05,660 --> 00:00:09,560
──その濃緑の木陰は四季枯れず
萌え輝き鳥渡る

2
00:00:09,560 --> 00:00:13,500
連綿たる山々は美しき人の背のごとく
起伏が続き、果てがない

3
00:00:14,400 --> 00:00:16,140
ここは南疆

4
00:00:16,760 --> 00:00:20,400
路塔(ルタ):山雨来たらんと欲し……
(*山雨欲来风满楼=嵐の前の静けさ)

5
00:00:21,240 --> 00:00:26,880
──少なくとも数百年の古木の下に小卓を置き
十代だが定力の申し分ない少年が宿題をしていた

6
00:00:26,880 --> 00:00:31,820
傍らに中原人の格好をした男が寝椅子の上で
足に古書を広げ目を閉じ心を休めていた

7
00:00:36,040 --> 00:00:37,800
七爺:行かせておやり

8
00:00:39,320 --> 00:00:41,400
お前は宿題に一時辰もかかって

9
00:00:41,400 --> 00:00:42,960
道理で貂が退屈して

10
00:00:42,960 --> 00:00:44,560
鳥と戯れてるわけだ

11
00:00:45,080 --> 00:00:46,520
路塔:ふぅ

12
00:00:49,080 --> 00:00:50,000
七爺:おチビさん

13
00:00:50,000 --> 00:00:51,200
じっとしてなさい

14
00:00:53,280 --> 00:00:54,200
阿伈莱(アシンライ):七……

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00:00:55,560 --> 00:00:56,840
七爺

16
00:00:58,960 --> 00:01:01,520
七爺:阿伈莱か どうした?

17
00:01:01,680 --> 00:01:04,320
阿伈莱:七爺 宗大家令の文です

18
00:01:04,320 --> 00:01:05,480
七爺:ああ

19
00:01:05,480 --> 00:01:07,680
平安か……

20
00:01:13,480 --> 00:01:15,000
彼が?

21
00:01:16,120 --> 00:01:18,400
路塔:父さま 誰なの?

22
00:01:20,080 --> 00:01:23,880
──七爺はすぐには答えず、立ち上がって
ニ歩歩くと、文をゆっくり折りたたんだ

23
00:01:26,000 --> 00:01:27,200
七爺:路塔

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00:01:27,480 --> 00:01:29,280
前にお前に言った

25
00:01:29,720 --> 00:01:34,560
天下の大勢 分ること久しければ必ず合し
合すこと久しければ必ず分る という道理

26
00:01:34,560 --> 00:01:35,560
覚えているか?

27
00:01:35,560 --> 00:01:39,720
路塔:父さまのおっしゃるのは
まるで人の立ちて久しければ座下し

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00:01:39,720 --> 00:01:43,200
座ること久しければお尻に釘が刺さってるのと一緒
みたいな 道理なんかなくて

29
00:01:43,200 --> 00:01:46,840
人はただ生きてるだけで
振り回されるものってことでしょ

30
00:01:47,560 --> 00:01:49,960
阿伈莱:七爺 その……

31
00:01:50,440 --> 00:01:51,680
七爺:阿伈莱

32
00:01:51,680 --> 00:01:53,600
私の代わりにお前の大巫のところへ行って

33
00:01:54,000 --> 00:01:58,040
彼がこの言葉に十分な道理が
あると思うかどうか聞いてみて

34
00:01:59,000 --> 00:02:00,280
阿伈莱:ええ?

35
00:02:01,040 --> 00:02:03,960
──見栄えのしない黒々とした杖を
手に持った黒衣の者が来た

36
00:02:03,960 --> 00:02:07,920
大巫:あなたは一体なぜ暇を持て余すと
事を引っ掻き回すことになるのか

37
00:02:07,920 --> 00:02:09,280
阿伈莱:大巫

38
00:02:09,280 --> 00:02:10,200
大巫:うむ

39
00:02:10,840 --> 00:02:12,070
そなたは仕事に戻れ──

40
00:02:12,200 --> 00:02:13,400
阿伈莱:はい

41
00:02:15,240 --> 00:02:18,800
大巫:北淵 誠実な者をしきりに虐めるな

42
00:02:19,440 --> 00:02:22,720
七爺:うちの店に誰が光臨なさったか当ててみて

43
00:02:22,720 --> 00:02:24,440
かなり珍しいお客さんだ

44
00:02:26,040 --> 00:02:28,360
大巫:大慶の皇帝でなければいい……

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00:02:29,200 --> 00:02:30,200
うん?

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00:02:30,440 --> 00:02:32,280
周荘主か?

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00:02:33,400 --> 00:02:36,640
七爺:小毒物 ちょっと中原に行ってみようか

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00:02:37,240 --> 00:02:39,120
古い友の有事には

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00:02:39,120 --> 00:02:41,840
両脇に刀を受けるのが当然ではないか?
(*两肋插刀=喜んで身を犠牲にする)

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00:02:43,520 --> 00:02:45,640
大巫:あなたは全く……

51
00:02:46,360 --> 00:02:49,440
路塔:父さまのその姿 まるで
友を助けに行くというより

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00:02:49,440 --> 00:02:53,160
賑わいを見物に行って ついでに
友を刀でニ刺しするみたいだ

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00:02:53,160 --> 00:02:54,480
七爺:チッ





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