番外 - 奈何橋
1
00:00:17,880 --> 00:00:20,080
胡笳(フー・ジア):魂来たれよ何ぞ極まらん
2
00:00:20,080 --> 00:00:23,760
魂去れよ江水黒からん……
(*魂来兮何极 魂去兮江水黑《招魂詞》謝翱)
3
00:00:27,680 --> 00:00:30,200
おい こっちだ 付いて来るんだ
4
00:00:42,200 --> 00:00:44,760
柳千巧:平江に柳の色青し
5
00:00:44,760 --> 00:00:47,120
花月遥か相守り
6
00:00:47,120 --> 00:00:49,600
歳歳復た年年
7
00:00:49,600 --> 00:00:52,960
逢いしこの氷の消える後に
8
00:00:52,960 --> 00:00:55,680
あなたは下半句を覚えてる?
9
00:00:56,200 --> 00:01:00,880
于丘烽:幾……幾たび滄海ならせども
10
00:01:00,880 --> 00:01:03,880
山雪……
11
00:01:04,960 --> 00:01:06,920
別る……
12
00:01:07,320 --> 00:01:08,400
胡笳:なあ お二人さん
13
00:01:08,400 --> 00:01:09,640
時間になったぞ
14
00:01:09,640 --> 00:01:12,160
さあ出立だ──
15
00:01:15,520 --> 00:01:17,200
柳千巧:もういい
16
00:01:18,760 --> 00:01:21,160
この人生は終わったわ
17
00:01:21,160 --> 00:01:23,040
一体何に固執していたのかしら……
18
00:01:23,040 --> 00:01:24,200
胡笳:よし
19
00:01:24,200 --> 00:01:27,560
姑娘 そしたら奈何橋のたもとに
行って孟婆湯をもらえ
20
00:01:27,560 --> 00:01:30,160
飲めば前世は残らず過去となる
21
00:01:30,160 --> 00:01:33,080
善を為す者 功徳を諭し 悪を行う者 陰曹に下り
22
00:01:33,080 --> 00:01:35,440
転生すべきは転生すべきで
23
00:01:35,440 --> 00:01:39,120
再び輪廻に入り 始めからやりなおす
24
00:01:42,120 --> 00:01:43,320
柳千巧:うん
25
00:01:53,600 --> 00:01:55,400
于丘烽:千巧……
26
00:01:59,040 --> 00:02:02,080
胡笳:どうした?まだ執着を手放してないのか?
27
00:02:02,200 --> 00:02:06,520
どうしても忘れられないなら
その黄泉で一度水浴びしてみろ
28
00:02:06,520 --> 00:02:09,360
納得したら 俺が再び渡し守に
お前を引っ張り上げさせて
29
00:02:09,360 --> 00:02:11,080
転生に送ってやる
30
00:02:11,080 --> 00:02:14,840
生きてる人の事に 死人が気を揉むものじゃない
31
00:02:14,840 --> 00:02:16,560
于丘烽:黄泉?
32
00:02:16,560 --> 00:02:18,280
胡笳:ん
33
00:02:25,000 --> 00:02:26,800
胡笳:ひとたび黄泉路を行けば
34
00:02:26,800 --> 00:02:28,160
どれだけ長いか忘れることができるほど
35
00:02:28,160 --> 00:02:31,040
長さがあるのが黄泉路だ
36
00:02:31,320 --> 00:02:37,040
お前がずっと忘れられないなら
忘れるまで黄泉に留まってろ
37
00:02:38,760 --> 00:02:40,520
于丘烽:私は……
38
00:02:41,280 --> 00:02:43,880
ならば孟婆湯を飲みに行こう
39
00:02:43,880 --> 00:02:44,760
胡笳:よし
40
00:02:44,760 --> 00:02:47,640
そしたら奈何橋のたもとで忘情水を取って来い
41
00:02:47,640 --> 00:02:51,240
飲めば前世は残らず過去となる
42
00:02:51,400 --> 00:02:52,680
于丘烽:うん
43
00:03:02,680 --> 00:03:10,060
晋江文学城 Priest原作 猫耳FM
音熊聯萌連合出品
44
00:03:10,240 --> 00:03:17,680
古風武侠ラジオドラマ《天涯客》
番外「奈何橋」
45
00:03:33,480 --> 00:03:38,120
鬼差:嗚呼 一の歌よ 歌は窮まることなし
(*鬼差=閻王の役人)
46
00:03:38,120 --> 00:03:42,800
招き来たらぬ魂よ 何所に従う……
47
00:04:00,560 --> 00:04:02,960
胡笳:塵は塵に帰し 土は土に帰す
48
00:04:02,960 --> 00:04:08,960
一碗の湯(タン)を飲めば
前塵尽く忘れ 生まれ変わるのだ
49
00:04:09,160 --> 00:04:15,840
──生前の名を胡笳と自称する鬼差は
感慨に耽るのを好み、孟婆に絡んで喋り続けていた
50
00:04:15,840 --> 00:04:20,200
曹蔚寧は奈何橋のそばにしゃがんで
鬼差が孟婆と話すのを聞いていた
51
00:04:20,200 --> 00:04:22,180
胡笳:なあ 孟婆(モンポ)
52
00:04:22,480 --> 00:04:27,400
あんたの言う浮世の情愛とは
いつも海誓山盟したがるが
(*山盟海誓=主に男女の永遠に変わらない誓い)
53
00:04:27,400 --> 00:04:31,840
数十年の光景に過ぎず 死と生が
一巡りする光景に過ぎないのに
54
00:04:31,840 --> 00:04:36,480
あんたがあんたであり 俺が俺であるのは
考えてみれば可笑しくないか?
55
00:04:36,760 --> 00:04:40,320
孟婆:胡鬼差 口を慎め
56
00:04:40,320 --> 00:04:41,600
曹蔚寧:はぁ
57
00:04:41,800 --> 00:04:43,960
阿湘はどうなっただろう……
58
00:04:43,960 --> 00:04:45,880
辛くなってないかな……
59
00:04:46,840 --> 00:04:48,200
はぁ……
60
00:04:48,440 --> 00:04:50,200
胡笳:なあ 孟婆
61
00:04:50,400 --> 00:04:53,440
あの馬鹿者は何をぶつくさ言ってるんだ?
62
00:04:57,520 --> 00:05:00,040
俺を無視しやがって……
63
00:05:01,960 --> 00:05:03,120
なあ小僧
64
00:05:03,120 --> 00:05:04,360
曹蔚寧:え?
65
00:05:04,360 --> 00:05:07,280
胡笳:どうして湯を飲まないんだ 人待ちか?
66
00:05:07,280 --> 00:05:08,360
曹蔚寧:あ……
67
00:05:08,360 --> 00:05:10,040
そうです……
68
00:05:10,240 --> 00:05:11,240
胡笳:はぁ
69
00:05:11,240 --> 00:05:14,760
凡人とは福薄愛浅で 皆平々凡々としている
70
00:05:14,760 --> 00:05:19,320
死した後 己の一生を振り返っても
思い残したことはないと感じ
71
00:05:19,320 --> 00:05:23,560
三魂七魄は大半が消え去り ぼやぼやと黄泉路をゆく
72
00:05:23,560 --> 00:05:24,600
鬼差:嗚呼二の歌よ 歌は思い出
三魂七魄は大半が消え去り ぼやぼやと黄泉路をゆく
73
00:05:24,600 --> 00:05:26,200
鬼差:嗚呼二の歌よ 歌は思い出
74
00:05:26,200 --> 00:05:27,920
鬼差:嗚呼二の歌よ 歌は思い出
胡笳:道行けば道忘れ
75
00:05:27,920 --> 00:05:28,080
胡笳:道行けば道忘れ
76
00:05:28,080 --> 00:05:30,400
今夕が何たる夕べかも分からないうちに
77
00:05:30,400 --> 00:05:30,480
奈何橋へ辿り着く
78
00:05:30,480 --> 00:05:33,040
鬼差:招き来たらぬ魂よ長き嘆息せよ
奈何橋へ辿り着く
79
00:05:33,040 --> 00:05:33,480
鬼差:招き来たらぬ魂よ長き嘆息せよ
80
00:05:33,480 --> 00:05:35,640
鬼差:招き来たらぬ魂よ長き嘆息せよ
胡笳:お前みたいに意識が
はっきりした者は滅多にない
81
00:05:35,640 --> 00:05:36,520
胡笳:お前みたいに意識が
はっきりした者は滅多にない
82
00:05:36,520 --> 00:05:37,760
曹蔚寧:えぇ?
83
00:05:37,760 --> 00:05:38,800
あ……
84
00:05:38,800 --> 00:05:40,240
そうですか……
85
00:05:40,240 --> 00:05:41,400
胡笳:そうさ
86
00:05:41,400 --> 00:05:43,480
だが俺も正直にお前に話すが
87
00:05:43,480 --> 00:05:45,120
その浮世の俗念は
88
00:05:45,120 --> 00:05:48,120
ひとたび黄泉へと向かえば基本的には
きれいさっぱり忘れるものなのだ
89
00:05:48,120 --> 00:05:50,320
ただ情を忘れられない者は
90
00:05:50,320 --> 00:05:54,400
四千四百四十四丈の長さを歩いても まだ振り返って
91
00:05:54,400 --> 00:05:57,960
この奈何橋の下でも待ち人を待っている
92
00:05:57,960 --> 00:06:01,840
時には一両日待ち 時には十、二十年待ち
93
00:06:01,840 --> 00:06:05,280
時には生きてる者の一生分を待つ
94
00:06:05,680 --> 00:06:08,040
以前にも ある者が人を待っていたが
95
00:06:08,040 --> 00:06:11,240
ちょっと待つと言って 三百年待ったのだ
96
00:06:11,240 --> 00:06:14,000
じっくり考えてみるんだな
97
00:06:14,000 --> 00:06:15,680
曹蔚寧:さ 三百年……
98
00:06:15,680 --> 00:06:17,440
誰がそんなに長生きできたんですか?
99
00:06:17,440 --> 00:06:20,480
彼が待っていた人って 葉という姓じゃないですか?
100
00:06:20,480 --> 00:06:22,240
胡笳:おい 彼の姓がお前に何か関係あるか?
101
00:06:22,240 --> 00:06:24,240
姓が葉だろうが何だろうが一緒だ
102
00:06:24,240 --> 00:06:27,800
その人生の姓が皇とか帝とかでも
輪廻の泉に飛び込めば
103
00:06:27,800 --> 00:06:30,480
次の人生の姓は豚か犬かもしれないぞ
104
00:06:30,480 --> 00:06:32,360
誰が分かる
105
00:06:32,360 --> 00:06:33,400
ほら
106
00:06:33,600 --> 00:06:37,480
彼はな あの三生石の傍に座って 三百年待って
(*三生石=深い縁のある二人の名が記された石)
107
00:06:37,480 --> 00:06:40,720
戻ったら最初にその者と知り合った場所だった
108
00:06:41,000 --> 00:06:43,880
しかしだな どうなったと思う?
109
00:06:43,880 --> 00:06:45,560
曹蔚寧:どうなったんですか?
110
00:06:45,920 --> 00:06:48,200
胡笳:他の良い連れを選んだ
111
00:06:49,220 --> 00:06:52,280
孟婆:胡鬼差 口を慎め
112
00:06:52,280 --> 00:06:55,080
胡笳:はぁ やれやれだ
113
00:06:55,200 --> 00:06:57,840
この者は帝王将相のたぐいで
(*帝王将相=支配者層)
114
00:06:57,840 --> 00:07:00,600
当然従うべき縁があったのは 言うまでもない
115
00:07:02,160 --> 00:07:03,360
若造や
116
00:07:03,360 --> 00:07:05,360
お前が待ってるのは一体どんな人だ?
117
00:07:05,880 --> 00:07:08,400
曹蔚寧:私はお嫁さんを待ってます
118
00:07:08,400 --> 00:07:11,800
胡笳:お前が死んだ時の嫁さんの年は?
119
00:07:11,800 --> 00:07:12,960
曹蔚寧:十七です
120
00:07:12,960 --> 00:07:15,000
胡笳:十七……
121
00:07:16,240 --> 00:07:17,920
当時 俺が死んだ時
122
00:07:17,920 --> 00:07:21,000
うちにも十七の若嫁がいたが
123
00:07:21,360 --> 00:07:23,320
残念なことに……
124
00:07:23,320 --> 00:07:26,440
今や俺も彼女の姿を思い出せない……
125
00:07:28,000 --> 00:07:29,240
忠告してやるが
126
00:07:29,240 --> 00:07:31,080
やはり待つんじゃないぞ
127
00:07:31,080 --> 00:07:33,360
彼女の一生は長かろう
128
00:07:33,360 --> 00:07:36,520
彼女を待っていたら 七、八十の婆さんだぞ
129
00:07:36,520 --> 00:07:39,800
もはや十六、七歳のころの男など覚えていまい
130
00:07:39,800 --> 00:07:43,080
俺はそれはそれは沢山の人が
来ては待ち待っては去り
131
00:07:43,080 --> 00:07:46,720
期待しては傷付くのを見てきた
132
00:07:46,720 --> 00:07:52,600
お前は さっさと前を向いて
孟婆湯を飲んで 嫁などすっかり忘れろ
133
00:07:52,600 --> 00:07:54,240
孟婆:胡鬼差 口を慎め
134
00:07:54,240 --> 00:07:55,360
鬼差:嗚呼三の歌よ 歌は声咽(せいえつ)する
孟婆:胡鬼差 口を慎め
135
00:07:55,360 --> 00:07:57,880
鬼差:嗚呼三の歌よ 歌は声咽(せいえつ)する
136
00:07:57,880 --> 00:07:58,480
鬼差:嗚呼三の歌よ 歌は声咽(せいえつ)する
曹蔚寧:それなら好都合
137
00:07:58,480 --> 00:07:58,760
鬼差:招き来たらぬ魂よ血の泪を流せ
曹蔚寧:それなら好都合
138
00:07:58,760 --> 00:07:59,640
鬼差:招き来たらぬ魂よ血の泪を流せ
楽しみにしてますよ
139
00:07:59,640 --> 00:08:00,200
鬼差:招き来たらぬ魂よ血の泪を流せ
胡笳:え……
楽しみにしてますよ
140
00:08:00,200 --> 00:08:00,640
鬼差:招き来たらぬ魂よ血の泪を流せ
胡笳:え……
曹蔚寧:彼女が少しも
私の顔がどんなか思い出さずに
141
00:08:00,640 --> 00:08:02,960
鬼差:招き来たらぬ魂よ血の泪を流せ
曹蔚寧:彼女が少しも
私の顔がどんなか思い出さずに
142
00:08:02,960 --> 00:08:06,480
少しも憂うことなくウキウキして
私の目の前を通り過ぎるのが一番いい
143
00:08:07,160 --> 00:08:11,120
彼女が通り過ぎるのを見たら 思い残すこともないよ
144
00:08:11,440 --> 00:08:13,720
胡笳:お前は悔しいと思わないのか?
145
00:08:13,840 --> 00:08:15,600
曹蔚寧:では何を悔しがるべきなんですか
146
00:08:15,600 --> 00:08:18,320
それは私のお嫁さんで 私の仇じゃないんです
147
00:08:18,320 --> 00:08:21,560
彼女がご機嫌に見えて 私が喜ばないと?
148
00:08:22,120 --> 00:08:23,360
胡笳:ほう
149
00:08:23,360 --> 00:08:25,400
お前は達観できてるんだな
150
00:08:26,200 --> 00:08:27,960
曹蔚寧:そうなのかな
151
00:08:27,960 --> 00:08:30,000
私のこの人生は他に良いところがなかったから
152
00:08:30,000 --> 00:08:32,400
おおよその事は開き直ってるんです……
153
00:08:33,640 --> 00:08:35,400
一つだけあるとすれば
154
00:08:35,400 --> 00:08:37,520
私は師父に打死(だし)されたので
155
00:08:37,520 --> 00:08:40,960
恐らく私のお嫁さんは開き直れずに
延々と彼に付き合ってしまう
156
00:08:40,960 --> 00:08:42,200
胡笳:ほぅ?
157
00:08:42,400 --> 00:08:46,800
何か大逆不道なことをやって 師父は
お前を打死する必要があったのか?
158
00:08:46,920 --> 00:08:48,280
曹蔚寧:どうしてそんなこと
159
00:08:48,280 --> 00:08:50,720
正邪は両立しないというだけのことじゃないですか
160
00:08:50,720 --> 00:08:54,440
私のお嫁さんは鬼谷の悪人と言われて
私は彼女に付いて行くしかなかったのに
161
00:08:54,440 --> 00:08:59,440
師父は面目を潰されたと
怒りのもとに私を打死しました
162
00:09:00,320 --> 00:09:01,960
胡笳:お前は
163
00:09:02,240 --> 00:09:03,560
恨んでないのか?
164
00:09:03,560 --> 00:09:07,200
曹蔚寧:私はずっと私を連れて来た
あちらの勾魂使大人の言うことを聞いていました
165
00:09:07,200 --> 00:09:09,920
“塵は塵に帰し 土は土に帰す”
166
00:09:09,920 --> 00:09:11,480
内心考えていたのは
167
00:09:11,480 --> 00:09:14,520
どれだけ大きな恨みでも 土の下では安んじるもの
168
00:09:14,520 --> 00:09:17,240
恨みなんて全く値打ちがなく
自分を困らせるものじゃないですか?
169
00:09:17,240 --> 00:09:17,680
胡笳:彼らの言うことを聞くんじゃない
恨みなんて全く値打ちがなく
自分を困らせるものじゃないですか?
170
00:09:17,680 --> 00:09:18,960
胡笳:彼らの言うことを聞くんじゃない
171
00:09:18,960 --> 00:09:20,600
俺たち陰府の勾魂使はな
172
00:09:20,600 --> 00:09:22,640
これまでずっとその文句だけを言い
173
00:09:22,640 --> 00:09:26,160
言い続けて何年かも分からないが
変えることもなく……
174
00:09:26,160 --> 00:09:30,240
孟婆:胡鬼差 口を慎め
175
00:09:32,520 --> 00:09:33,640
胡笳:分かっただろ
176
00:09:33,640 --> 00:09:35,320
俺たちの孟婆もそうだ
177
00:09:35,320 --> 00:09:38,160
俺は奈何橋で何百年も行ったり来たりして
178
00:09:38,160 --> 00:09:41,200
彼女は行ったり来たりする俺に
この一言を言うだけだ
179
00:09:41,200 --> 00:09:43,760
”胡鬼差 口を慎め”
180
00:09:43,760 --> 00:09:44,760
はぁ
181
00:09:44,760 --> 00:09:47,480
この幽陰の地は まったく物寂しい
182
00:09:47,480 --> 00:09:49,120
曹蔚寧:はは……
183
00:09:49,160 --> 00:09:53,960
黒無常:塵は塵に帰し 土は土に帰す
184
00:09:53,960 --> 00:09:56,200
胡笳:おや 黒無常が戻ったか
185
00:09:57,720 --> 00:09:58,040
鬼差:嗚呼四の歌よ 歌は狂欲たり
186
00:09:58,040 --> 00:10:00,360
鬼差:嗚呼四の歌よ 歌は狂欲たり
胡笳:これまた何人連れて戻ってきたんだ?
187
00:10:00,360 --> 00:10:01,480
鬼差:嗚呼四の歌よ 歌は狂欲たり
188
00:10:01,480 --> 00:10:02,960
鬼差:嗚呼四の歌よ 歌は狂欲たり
曹蔚寧:うちの阿湘がもし
お婆さんになってあっちから来るなら
189
00:10:02,960 --> 00:10:04,440
鬼差:招き来たらぬ魂よ故郷に帰れ
曹蔚寧:うちの阿湘がもし
お婆さんになってあっちから来るなら
190
00:10:04,440 --> 00:10:07,360
鬼差:招き来たらぬ魂よ故郷に帰れ
曹蔚寧:きっとお婆さんでも
元気がみなぎってるに違いない
191
00:10:07,360 --> 00:10:08,040
鬼差:招き来たらぬ魂よ故郷に帰れ
192
00:10:08,040 --> 00:10:08,880
鬼差:招き来たらぬ魂よ故郷に帰れ
曹蔚寧:威勢よくて溌剌としてる
193
00:10:08,880 --> 00:10:10,320
曹蔚寧:威勢よくて溌剌としてる
194
00:10:10,320 --> 00:10:11,360
顧湘:なあ!
195
00:10:11,360 --> 00:10:12,480
曹蔚寧:え?
196
00:10:13,320 --> 00:10:15,380
顧湘:なあ! 聞くけどさ
197
00:10:15,380 --> 00:10:16,920
引き連れてきた沢山の魂に
198
00:10:16,920 --> 00:10:21,200
だいたいこれぐらいの背丈で武功が強い奴で……
199
00:10:21,200 --> 00:10:25,360
あと学があって 詩詞なんかに慣れてるの……
200
00:10:25,720 --> 00:10:26,520
なあ!
201
00:10:26,520 --> 00:10:28,360
あんた あたしの話を聞いてんのかよ!
202
00:10:28,360 --> 00:10:32,360
黒無常:塵は塵に帰し 土は土に帰す
203
00:10:32,360 --> 00:10:33,760
曹蔚寧:阿湘!
204
00:10:35,040 --> 00:10:38,000
──顧湘は足を止めて振り返りしばらく呆然とした
205
00:10:38,000 --> 00:10:39,920
顧湘:曹……
206
00:10:40,840 --> 00:10:43,960
──泣きそうになったが我慢して満面の笑みで
小鳥のように彼に飛びついた
207
00:10:43,960 --> 00:10:45,160
顧湘:曹兄さん
208
00:10:45,160 --> 00:10:47,680
あたしを待ってるって分かってたよ!
209
00:10:47,680 --> 00:10:49,880
──曹蔚寧は彼女をきつく抱きしめた
210
00:10:49,880 --> 00:10:51,760
曹蔚寧:阿湘 君は……
211
00:10:51,760 --> 00:10:54,040
君はどうしてこんな姿で来たんだ……
212
00:10:54,040 --> 00:10:55,120
どうして……
213
00:10:55,120 --> 00:10:57,320
どうしてお婆さんになってないんだ
214
00:10:58,440 --> 00:11:01,840
も もしかして……
215
00:11:03,720 --> 00:11:07,280
──阿湘がこの姿で来たら、ただ死んだ
だけではないと思ってまた急に悲しくなった
216
00:11:07,280 --> 00:11:12,460
万感の思いが交錯し涙がこぼれると
黄泉に落ちて波紋を広げ、渡し守でさえ驚かせた
217
00:11:12,460 --> 00:11:16,440
胡笳は遥か昔の笑みを浮かべて二人を見ていた
218
00:11:16,640 --> 00:11:22,040
この奈何橋の側での出会いだけは
まるで連亘とした悠久の時のようだった
219
00:11:25,880 --> 00:11:27,560
黒無常:お二人さん
220
00:11:27,560 --> 00:11:29,360
時間になった
221
00:11:29,360 --> 00:11:32,040
さあ出立だ──
222
00:11:32,040 --> 00:11:33,400
顧湘:何の催促だ?
223
00:11:33,400 --> 00:11:34,880
くそったれめ 魂を呼び戻してんのか?!
(*叫魂=死にかけの病人に呼びかけて魂を戻す)
224
00:11:34,880 --> 00:11:37,640
胡笳:それこそ魂を呼び戻してるんじゃないか
225
00:11:37,640 --> 00:11:39,760
なんて向こう見ずな若嫁だ
226
00:11:39,760 --> 00:11:42,120
おい 恐妻を持ったな
227
00:11:44,940 --> 00:11:47,240
曹蔚寧:お恥ずかしい限りです
228
00:11:50,640 --> 00:11:52,880
胡笳:もういいな 行くぞ
229
00:11:52,880 --> 00:11:54,680
生まれ変わりの時を間違えるな
230
00:11:54,680 --> 00:11:59,400
ほんの一時でも間違えれば 大富大貴になるはずが
路端の物乞いともなりかねない
231
00:11:59,400 --> 00:12:03,840
もしお前たち二人の分縁が尽きてなければ
来世も再び繋がるだろうさ
232
00:12:06,000 --> 00:12:07,960
顧湘:曹兄さん……
233
00:12:08,640 --> 00:12:11,400
曹蔚寧:うん 行くんだよ
234
00:12:19,740 --> 00:12:22,200
胡笳:さあ 孟婆湯を飲むんだ
235
00:12:25,200 --> 00:12:30,520
顧湘:これを飲んだら すっかり忘れちゃうのか
236
00:12:31,560 --> 00:12:32,800
お婆さん
237
00:12:32,800 --> 00:12:34,360
飲まないのは?
238
00:12:34,360 --> 00:12:35,840
胡笳:小姑娘
239
00:12:35,840 --> 00:12:39,920
孟婆湯を飲まないと 次の一生は牛か馬だぞ
240
00:12:39,920 --> 00:12:41,060
飲むんだよ
241
00:12:41,060 --> 00:12:42,520
顧湘:あたし……
242
00:12:45,200 --> 00:12:48,240
でもあたし忘れたくない……
243
00:12:49,000 --> 00:12:50,840
曹蔚寧:阿湘……
244
00:12:51,600 --> 00:12:53,160
胡笳:えと……
245
00:12:53,160 --> 00:12:54,560
はぁ……
246
00:12:57,560 --> 00:13:00,840
孟婆大人 ほら 融通を利かせてやろう
247
00:13:00,840 --> 00:13:02,120
大したもんじゃないか
248
00:13:02,120 --> 00:13:08,000
俺たちのところでは 数百年数千年と 恋人同士が
最終的に一緒になるのを目にすることもなかった
249
00:13:08,000 --> 00:13:10,520
実のところ……
250
00:13:10,920 --> 00:13:12,560
孟婆:胡鬼差……
251
00:13:12,560 --> 00:13:16,200
胡笳:はいはいはい 口を慎む 慎むさ
252
00:13:19,080 --> 00:13:24,360
鬼差:塵は塵に帰し 土は土に帰す
253
00:13:25,000 --> 00:13:29,680
──孟婆は少し躊躇ったが、突然懐から二本の
紅の紐を取り出し、手に広げて顧湘に差し出した
254
00:13:30,280 --> 00:13:32,320
孟婆:取っておけ
255
00:13:32,320 --> 00:13:34,080
──顧湘は呆気にとられた
256
00:13:35,000 --> 00:13:37,160
胡笳:若奥さん さっさとその紅の紐を受け取れ
257
00:13:37,160 --> 00:13:40,080
孟婆の婆さんの慈悲だからな
258
00:13:40,080 --> 00:13:43,520
これは何世かけても
習得できるとは限らない機縁だぞ
259
00:13:43,520 --> 00:13:44,720
さあ受け取ったら付いて来い
260
00:13:45,200 --> 00:13:46,480
手首に結んでろ
261
00:13:46,480 --> 00:13:50,840
次の人生で出会ったら
お互い知らないという状況を避けられる
262
00:13:52,040 --> 00:13:54,680
顧湘:曹兄さん ほら
263
00:14:02,160 --> 00:14:03,680
孟婆:飲むんだよ
264
00:14:04,600 --> 00:14:06,240
曹蔚寧:感謝します
265
00:14:18,120 --> 00:14:18,960
胡笳:アイヤ
266
00:14:18,960 --> 00:14:21,440
世人に情とは何物ぞと問えば──
267
00:14:21,440 --> 00:14:23,280
孟婆でさえ開眼するのだ
268
00:14:23,280 --> 00:14:25,960
孟婆:胡鬼差 口を慎め
269
00:14:25,960 --> 00:14:27,600
胡笳:はいはいはいはい……
270
00:14:27,600 --> 00:14:27,920
鬼差:嗚呼五の歌よ 歌は多思なる
胡笳:はいはいはいはい……
271
00:14:27,920 --> 00:14:31,880
鬼差:嗚呼五の歌よ 歌は多思なる
272
00:14:31,880 --> 00:14:35,520
命を如何にあるべきと言わん……
273
00:15:16,080 --> 00:15:20,360
──十五年後、洛陽城の李員外の家で
お嬢さんの成人の儀が行われた
274
00:15:21,600 --> 00:15:23,160
下女:お嬢さま!
275
00:15:23,160 --> 00:15:26,240
旦那さまと義兄弟の契りを結んだ
宋(ソン)大侠が来ましたよ!
276
00:15:27,560 --> 00:15:29,560
李家のお嬢さん:来たって言うだけでいいじゃない
277
00:15:29,560 --> 00:15:32,440
宋おじ上は見たことがないわけでもないし
278
00:15:32,440 --> 00:15:36,480
下女:彼はお嬢さまと同じく手首に紅い
痕のあるあちらの宋公子と一緒にお出でですよ
279
00:15:36,480 --> 00:15:39,880
旦那さまに縁談を持ちかけて
お嬢さまを娶るとおっしゃってます!
280
00:15:39,960 --> 00:15:42,520
李家のお嬢さん:誰があんな
お馬鹿さんに嫁ぐのよ!
281
00:15:42,520 --> 00:15:46,520
しょっちゅう説文嚼字してるのに
詩詞でさえ間違って諳んじてる
282
00:15:46,880 --> 00:15:51,040
下女:でも お嬢さまは宋公子の話は
筋が通ってるって言ってませんでしたか──
283
00:15:51,040 --> 00:15:55,560
春は眠いし秋はくたびれて夏はうたた寝で
人は春には眠くなるもの
284
00:15:55,560 --> 00:15:57,840
死ぬほど眠ったら目覚めないんですよね?
285
00:15:58,000 --> 00:15:59,680
李家のお嬢さん:あたしがいつ言ったの!
286
00:15:59,680 --> 00:16:02,320
あいつが小さい頃に
初めて会ったらもう馬鹿だったのに
287
00:16:02,320 --> 00:16:04,320
誰が彼に嫁ぐのよ!
288
00:16:04,320 --> 00:16:06,160
李員外(リー・ユアンワイ):湘児 さあ
289
00:16:06,160 --> 00:16:08,320
宋おじ上に顔を見せて
290
00:16:08,320 --> 00:16:10,280
李家のお嬢さん:うん 宋おじ上こんにちは
291
00:16:10,280 --> 00:16:14,640
李員外:こちらは宋おじ上の子息で お前と同じ年だ
292
00:16:15,600 --> 00:16:18,400
宋家の子息:わ…… わ……
293
00:16:18,400 --> 00:16:21,960
私は 姓を宋 名を寧
294
00:16:21,960 --> 00:16:23,400
洛陽の人士で
295
00:16:23,400 --> 00:16:27,480
独剣大侠 宋成功(ソン・チョンゴン)は私の父……
296
00:16:27,480 --> 00:16:28,800
父です……
297
00:16:28,800 --> 00:16:29,680
李家のお嬢さん:父上
298
00:16:29,680 --> 00:16:31,160
彼は何か持病が?
299
00:16:31,160 --> 00:16:33,600
李員外:こら 父はどう教えたのだ
300
00:16:33,600 --> 00:16:35,280
早く謝らないか!
301
00:16:35,280 --> 00:16:36,960
宋大侠:はははは
302
00:16:36,960 --> 00:16:39,660
李員外:宋兄 私めの教育がなってないのだ……
303
00:16:39,660 --> 00:16:40,440
宋大侠:構わぬ構わぬ
304
00:16:40,440 --> 00:16:41,240
下人:童の言に禁忌なしですな!
宋大侠:構わぬ構わぬ
305
00:16:41,240 --> 00:16:42,680
下人:童の言に禁忌なしですな!
宋大侠:李兄 阿湘はとびきり可愛いらしい
306
00:16:42,680 --> 00:16:43,480
宋大侠:李兄 阿湘はとびきり可愛いらしい
307
00:16:43,480 --> 00:16:44,520
下人:宋公子はどうして耳が真っ赤なの?
宋大侠:李兄 阿湘はとびきり可愛いらしい
308
00:16:44,520 --> 00:16:45,360
下人:宋公子はどうして耳が真っ赤なの?
309
00:16:45,360 --> 00:16:46,480
下人:宋公子はどうして耳が真っ赤なの?
宋大侠:以後 阿寧は阿湘を守ってあげなさい
310
00:16:46,480 --> 00:16:48,520
宋大侠:以後 阿寧は阿湘を守ってあげなさい
311
00:16:48,520 --> 00:16:50,240
彼女がずっと天真爛漫でいられるよう
312
00:16:50,240 --> 00:16:51,480
下人:どうやら小さい頃に決めたこの縁談は
正しかったようね はははは……
彼女がずっと天真爛漫でいられるよう
313
00:16:51,480 --> 00:16:51,680
下人:どうやら小さい頃に決めたこの縁談は
正しかったようね はははは……
314
00:16:51,680 --> 00:16:53,320
下人:どうやら小さい頃に決めたこの縁談は
正しかったようね はははは……
宋家の子息:あ うん!
315
00:16:53,320 --> 00:16:54,320
下人:どうやら小さい頃に決めたこの縁談は
正しかったようね はははは……
宋家の子息:父上と李おじ上はご安心を
316
00:16:54,320 --> 00:16:55,280
宋家の子息:父上と李おじ上はご安心を
317
00:16:55,280 --> 00:16:58,000
私の一生 今から死に至るまで
318
00:16:58,000 --> 00:16:59,800
一日一刻数え上げても
319
00:16:59,800 --> 00:17:03,720
決して片刻も阿湘の事を裏切りはしません
320
00:17:04,680 --> 00:17:06,040
下女:だけどお嬢さま
321
00:17:06,040 --> 00:17:07,960
あなたも常日頃 宋公子のことを
話してるじゃないですか……
322
00:17:07,960 --> 00:17:09,080
李家のお嬢さん:何なの!
323
00:17:09,080 --> 00:17:10,400
まだ言うの!
324
00:17:10,400 --> 00:17:12,200
まだ言うか!あっち行って
325
00:17:12,200 --> 00:17:14,640
下女:分かりました言いません言いません……
326
00:17:15,360 --> 00:17:18,160
旦那さまがあなたを宋大侠たちに会わさせなさいと
327
00:17:18,160 --> 00:17:19,680
早く行ってくださいよ……
328
00:17:19,680 --> 00:17:20,880
李家のお嬢さん:ふん
329
00:17:20,880 --> 00:17:23,240
まだ髪を梳いてない
330
00:17:23,680 --> 00:17:26,280
前にあのお馬鹿さんが私に
紫晶の珠花飾りをくれたの……
331
00:17:26,280 --> 00:17:27,720
下女:はいはい
332
00:17:27,720 --> 00:17:29,840
今すぐお付けしますよ──
333
00:17:30,560 --> 00:17:33,880
──まさに青梅の季節
竹馬に乗って来る者有り──
334
00:17:41,320 --> 00:17:43,720
隣人:あら 李員外家のお嬢さんが結婚するの?
335
00:17:43,720 --> 00:17:44,680
そうじゃない?
336
00:17:44,680 --> 00:17:48,720
聞いた話では青梅竹馬の宋公子に嫁ぐそうよ!
(*青梅竹马=幼馴染)
337
00:17:48,720 --> 00:17:50,280
あれまあ それは本当にめでたい事だ!
338
00:17:50,280 --> 00:17:54,600
この十里に及ぶ嫁荷を見たら さあさあ
早く新婦の慶びのおこぼれをもらいに行け!
339
00:17:56,840 --> 00:18:00,920
司式:これより良縁を結び 好配を契り
340
00:18:00,920 --> 00:18:04,720
赤縄(せきじょう)を繋ぎ 白頭共に末永く
341
00:18:04,720 --> 00:18:08,880
花美しく月円く欣燕のごとく
342
00:18:09,960 --> 00:18:13,120
将に泳海枯れ石爛れるとも
343
00:18:13,120 --> 00:18:19,000
鴛侶としてまずは盟し 謹んでこの契約を結ばん──
344
00:18:19,720 --> 00:18:22,720
天地に一拝──
345
00:18:23,680 --> 00:18:26,200
曹蔚寧:皇天后土 実所共に鑑み
346
00:18:26,200 --> 00:18:29,000
天長地久尽きる時あれど この情綿綿と絶える期なし
347
00:18:29,000 --> 00:18:32,360
顧湘:曹兄さん あたしを待ってるって分かってた!
348
00:18:32,360 --> 00:18:34,680
司式:高堂に二拝──
349
00:18:34,680 --> 00:18:38,880
莫懐空:はははは お前みたいな小僧に
見込みがないのは分かっておる
350
00:18:38,880 --> 00:18:41,840
今後お前の嫁さんと肥えた子を生せば
351
00:18:41,840 --> 00:18:44,280
わしがその祖師叔となってやるぞ!
352
00:18:44,280 --> 00:18:45,520
満月の酒を飲ませてくれ!
353
00:18:45,520 --> 00:18:46,240
満月の酒を飲ませてくれ!
温客行:ちょっと使い走りに行って
354
00:18:46,240 --> 00:18:47,160
温客行:ちょっと使い走りに行って
355
00:18:47,160 --> 00:18:50,480
戻ってくればお前に通り二条の嫁荷を準備してやる
356
00:18:50,480 --> 00:18:50,680
どうだ?
357
00:18:50,680 --> 00:18:51,360
どうだ?
周子舒:嬢ちゃん
358
00:18:51,360 --> 00:18:52,200
周子舒:嬢ちゃん
359
00:18:52,200 --> 00:18:53,520
どうしたんだ
360
00:18:53,520 --> 00:18:54,880
他人は責任を持たない
361
00:18:54,880 --> 00:18:55,680
君自身が決めることだ
362
00:18:55,680 --> 00:18:56,680
司式:夫妻に対拝──
君自身が決めることだ
363
00:18:56,680 --> 00:18:57,800
司式:夫妻に対拝──
364
00:18:57,800 --> 00:19:02,000
顧湘:じゃあ もしあんたの師父が
父さん母さんのいないお転婆を嫌がって
365
00:19:02,000 --> 00:19:04,200
あたしたちが一緒になるのを
望まなかったらどうする?
366
00:19:04,280 --> 00:19:07,200
曹蔚寧:なら僕を拐かして
二人でかけおちだ!
367
00:19:07,200 --> 00:19:07,880
顧湘:こら!
368
00:19:07,880 --> 00:19:09,080
あたしがそんなに飢えてんのかよ!
369
00:19:09,080 --> 00:19:10,000
曹蔚寧:いやちがうちがう
370
00:19:10,000 --> 00:19:11,200
ちがうよ
371
00:19:11,440 --> 00:19:14,480
じゃあ僕が花摘み強盗に鞍替えしたふりで
372
00:19:14,480 --> 00:19:16,880
君を拐かして 二人でかけおちだ
373
00:19:17,480 --> 00:19:22,180
司式:夫婦と認め 洞房へ送れ──
374
00:20:22,180 --> 00:20:27,700
“客行天涯谁敌谁友”
(天涯の客行 誰が敵で友なのか)
375
00:20:28,580 --> 00:20:34,300
“十载烟云一杯酒”
(雲烟る十の歳月に一杯の酒)
376
00:20:35,060 --> 00:20:40,320
“身似飞絮过江南锦绣”
(飛絮のごとき身で江南錦繍を過れば)
377
00:20:40,320 --> 00:20:47,180
“冰销后 花月遥对平江柳”
(氷の融けたる後 花月遥か対う柳の平江)
378
00:20:47,580 --> 00:20:50,740
“江湖一醉大梦三秋”
(江湖に酔えば 三秋の大夢)
379
00:20:50,740 --> 00:20:54,520
“人心善恶只为情仇”
(人心の善悪ただ恩仇のため)
380
00:20:54,520 --> 00:21:01,300
“却不枉萍水知交许白首”
(それでも萍水の知己 白首なろうとも悔いはなし)
381
00:21:01,700 --> 00:21:03,860
“不过 蓬蒿旧梦”
(ただ 草葉の旧き夢に過ぎぬ)
382
00:21:03,860 --> 00:21:07,820
“自在余生 懒知欢与恨”
(自在なる余生に 愛憎を知ることなく)
383
00:21:07,820 --> 00:21:10,300
“偏要 刀剑交锋”
(ひとえに 刀剣を交え)
384
00:21:10,300 --> 00:21:14,580
“把盏笑问 慰这孤独人”
(盃を掲げ笑って問えば 孤独なる人の慰めになろう)
385
00:21:14,580 --> 00:21:17,820
“渺渺黄泉 只葬狂嗔”
(渺渺たる黄泉に ただ葬られし狂気)
386
00:21:17,820 --> 00:21:22,140
“茫茫鬼蜮 谁为谁掌灯”
(茫々たる悪意の中で 誰がために火を灯すのか)
387
00:21:22,140 --> 00:21:28,020
“此处长明 有红尘”
(ここは長明 紅塵に有り)
388
00:21:54,500 --> 00:22:00,940
“万鬼成窟寸光微漏”
(万鬼の巣窟 かすかな光を漏らす)
389
00:22:00,940 --> 00:22:07,580
“以免惊鸿白衣瘦”
(細き白衣の美しき君を離さぬよう)
390
00:22:07,580 --> 00:22:12,460
“倾心日久薄衾胜貉裘”
(日々心寄せれば毛皮に勝る薄衾)
391
00:22:12,460 --> 00:22:19,780
“如厮守 巴山夜雪也暖昼”
(寄り添い合えば 巴山の夜雪も昼は暖かく)
392
00:22:19,780 --> 00:22:23,020
“玉壶冰心碾转谁手”
(一片の氷心 誰の手に渡ろうとも)
393
00:22:23,020 --> 00:22:26,900
“情丝剥尽才知剔透”
(情の糸を解けば透徹たるを知る)
394
00:22:26,900 --> 00:22:33,460
“最不忍一眼春风难如旧”
(吹きゆく春風 耐え難くともいつかは変わる)
395
00:22:34,140 --> 00:22:36,260
“不过 蓬蒿旧梦”
(ただ 草葉の旧き夢に過ぎぬ)
396
00:22:36,260 --> 00:22:40,420
“自在余生 懒知欢与恨”
(自在なる余生に 愛憎を知ることなく)
397
00:22:40,420 --> 00:22:42,700
“偏要 刀剑交锋”
(ひとえに 刀剣を交え)
398
00:22:42,700 --> 00:22:47,100
“把盏笑问 慰这孤独人”
(盃を掲げ笑って問えば 孤独なる人の慰めになろう)
399
00:22:47,100 --> 00:22:50,220
“渺渺黄泉 只葬狂嗔”
(渺渺たる黄泉に ただ葬られし狂気)
400
00:22:50,220 --> 00:22:54,540
“茫茫鬼蜮 谁为谁掌灯”
(茫々たる悪意の中で 誰がために火を灯すのか)
401
00:22:54,540 --> 00:22:59,580
“此处长明 有红尘”
(ここは長明 紅塵に有り)
402
00:22:59,580 --> 00:23:02,220
“不过 天光一缕”
(ただ 一縷の天光に過ぎぬ)
403
00:23:02,220 --> 00:23:06,380
“生死几轮 何幸付热忱”
(重ねた生死に 情熱注ぐことの幸運を)
404
00:23:06,380 --> 00:23:08,660
“哪管 前尘旧闻”
(どんな過去の風聞でも)
405
00:23:08,660 --> 00:23:12,940
“是假是真 心动有余温”
(嘘か真か 心動かす余熱があり)
406
00:23:12,940 --> 00:23:16,060
“迢迢风崖 无可容身”
(迢迢たる風崖 身の置き場なく)
407
00:23:16,060 --> 00:23:20,300
“痴痴人间 从不止方寸”
(痴れたる人の世 思いのままに)
408
00:23:20,300 --> 00:23:26,380
“天涯解剑 好寻春”
(天涯に剣を放ち 春を尋ねる)
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