第十二集 〈上〉
1
00:00:24,560 --> 00:00:30,240
──周子舒はいつも通り身体を釘に振り回され
夜半に目を覚まし、丸まって胸に手指を押し当てた
2
00:00:30,880 --> 00:00:36,760
内力で抑えず、ただ目を開けて牀に横たわり
窓から射す月華を眺め一心に身体の釘を感じていた
3
00:00:38,400 --> 00:00:40,800
(周子舒):この釘は以前と比べて
4
00:00:40,800 --> 00:00:45,480
発作が起きると もう単なる痛みだけではない
5
00:00:45,480 --> 00:00:49,560
──小刀で胸をかき回すような痛みは
和らいだのか、麻痺したのか
次第に胸にのしかかる息苦しさが増すのを感じた
6
00:00:49,560 --> 00:00:51,800
(周子舒):七竅三秋釘
7
00:00:51,800 --> 00:00:54,280
三秋にして必ず断腸す
8
00:00:55,000 --> 00:00:56,880
三年の時は
9
00:00:57,280 --> 00:00:59,640
既に半分を過ぎた
10
00:01:11,320 --> 00:01:13,000
俺は本当に……
11
00:01:13,480 --> 00:01:15,400
もうすぐ死ぬのか……
12
00:01:18,640 --> 00:01:21,600
実際 死は別に恐ろしいものじゃない──
13
00:01:21,600 --> 00:01:23,680
この二十数年来
14
00:01:24,400 --> 00:01:26,920
経験してきた多くの事が
15
00:01:27,760 --> 00:01:32,120
俺にこの世の何人も 何事も恐れさせなくした
16
00:01:33,600 --> 00:01:38,120
生きるのでさえ恐れないものが
死の何が一体怖いというのか
17
00:01:39,920 --> 00:01:42,200
だが そんな多くを乗り越えた俺が
18
00:01:42,640 --> 00:01:44,360
却ってこの最も自由で
19
00:01:44,360 --> 00:01:46,760
温客行:彼は日向ぼっこをしている
20
00:01:46,760 --> 00:01:47,080
周子舒:いい酒だ
温客行:彼は日向ぼっこをしている
21
00:01:47,080 --> 00:01:47,800
周子舒:いい酒だ
22
00:01:47,960 --> 00:01:49,560
(周子舒):最も快活に思いのままに生きる三年に
23
00:01:49,560 --> 00:01:50,420
張成嶺:あなたは周叔で 大恩人で 師父です
(周子舒):最も快活に思いのままに生きる三年に
24
00:01:50,420 --> 00:01:51,440
張成嶺:あなたは周叔で 大恩人で 師父です
25
00:01:51,440 --> 00:01:52,960
張成嶺:あなたは周叔で 大恩人で 師父です
温客行:老温って呼びました?
26
00:01:52,960 --> 00:01:53,800
温客行:老温って呼びました?
27
00:01:53,800 --> 00:01:54,320
間違いない
28
00:01:54,320 --> 00:01:54,880
間違いない
(周子舒):日数(ひかず)を数えて死を待つのは
29
00:01:54,880 --> 00:01:56,680
(周子舒):日数(ひかず)を数えて死を待つのは
30
00:01:57,800 --> 00:01:59,920
あまりに皮肉じゃないか?
31
00:02:08,240 --> 00:02:12,880
以前の俺は このあり余った三年を
一種の恩典だと思っていた
32
00:02:13,400 --> 00:02:15,360
しかし今ようやく分かった
33
00:02:16,240 --> 00:02:18,680
これはある種の酷刑だったのだと──
34
00:02:21,520 --> 00:02:24,520
これも大概 俺のやった馬鹿げた事の一つなんだ
35
00:02:29,320 --> 00:02:30,240
周子舒:ん?
36
00:02:30,720 --> 00:02:35,160
(周子舒):温客行と葉白衣の二つは
これまで戸を叩いたことはない……
37
00:02:39,760 --> 00:02:44,560
──牀から起き上がると胸を鈍痛が襲い
危うく再び牀に横たわってしまうところだった
38
00:02:44,560 --> 00:02:47,520
周子舒は無意識に牀の敷布を握り絞めた
39
00:03:06,600 --> 00:03:08,440
張成嶺:師父……
40
00:03:08,720 --> 00:03:09,440
私……
41
00:03:09,440 --> 00:03:11,280
周子舒:何しに来たんだ?
42
00:03:11,920 --> 00:03:13,400
張成嶺:師父
43
00:03:13,400 --> 00:03:17,880
ちょうど目が覚めて……眠れないのです
44
00:03:19,840 --> 00:03:21,240
周子舒:それで……
45
00:03:21,800 --> 00:03:25,080
俺に子守唄を歌わせて
お前はすやすや眠るつもりか?
46
00:03:25,080 --> 00:03:27,040
張成嶺:そうじゃなくて……
47
00:03:29,960 --> 00:03:31,400
周子舒:はっきりするのかしないのか
48
00:03:31,600 --> 00:03:33,800
今すぐ話すか屁をひるかどっちだ
49
00:03:37,360 --> 00:03:39,280
張成嶺:師父
50
00:03:39,800 --> 00:03:42,360
また父上たちの夢を見たんです
51
00:03:43,920 --> 00:03:45,880
こんなに経ったのに
52
00:03:45,880 --> 00:03:49,760
どうしてまだ忘れられないんでしょう?
53
00:03:50,120 --> 00:03:52,960
私は特別に意気地がないのでしょうか?
54
00:03:57,960 --> 00:04:00,400
師父……
55
00:04:04,680 --> 00:04:06,000
周子舒:入れ
56
00:04:06,160 --> 00:04:07,760
張成嶺:はい!
57
00:04:10,120 --> 00:04:13,680
──張成嶺を部屋に入れ明かりを灯した
58
00:04:16,320 --> 00:04:17,680
周子舒:座れ
59
00:04:21,480 --> 00:04:26,480
──部屋には水もなく、杯を手に取ると
酒壺を開け酒を半分注いだ
60
00:04:28,160 --> 00:04:29,000
周子舒:酒だ
61
00:04:29,000 --> 00:04:30,320
張成嶺:はい
62
00:04:31,320 --> 00:04:35,040
──張成嶺は彼の酒の強さを知らず一口に飲んだ
63
00:04:35,040 --> 00:04:38,640
周子舒はしかめ面を少し緩め
首を傾げて軽く笑った
64
00:04:38,640 --> 00:04:43,640
(張成嶺):やっぱり師父と会ってから本来の顔で
笑っているのを見るのは初めての気がする
65
00:04:44,600 --> 00:04:47,480
江南で師父と初めて出会ってから
66
00:04:47,480 --> 00:04:50,120
私は師父が良い人だと分かっていた
67
00:04:50,240 --> 00:04:53,720
彼はいつも私の様子を煩わしく見ているけど
68
00:04:53,720 --> 00:04:56,480
彼と父上は頭からつま先まで
まるで似てないけど──
69
00:04:56,720 --> 00:04:58,840
だけどどうしてか分からない
70
00:04:59,040 --> 00:05:02,760
彼らが同じ人のように感じる
71
00:05:03,320 --> 00:05:08,280
同じように気高く 強く 私に親切だ
72
00:05:13,440 --> 00:05:15,240
張成嶺:師父……
73
00:05:15,240 --> 00:05:16,760
周子舒:どうした
74
00:05:16,920 --> 00:05:20,240
張成嶺:我々は葉前輩に
ついて行って傀儡荘を見つけて
75
00:05:20,440 --> 00:05:23,080
何年も前の事をはっきり聞いたら
76
00:05:23,080 --> 00:05:27,080
彼らがなぜ私の父上を殺そうと
したか分かるんでしょうか?
77
00:05:29,840 --> 00:05:31,760
周子舒:さあ知らんな
78
00:05:35,400 --> 00:05:37,000
張成嶺:師父
79
00:05:37,000 --> 00:05:41,560
縁もゆかりもない人が人を殺すと思いますか?
80
00:05:42,120 --> 00:05:43,960
私は長い間 考えています
81
00:05:43,960 --> 00:05:45,800
彼らが父上を殺したのは
82
00:05:45,800 --> 00:05:49,400
父上が何か悪いことをしたからでしょうか?
83
00:05:53,960 --> 00:05:55,560
──襟を掴んで引きずり──
84
00:05:55,560 --> 00:05:57,280
周子舒:お前は昼間に居眠りするから
85
00:05:57,280 --> 00:05:59,560
今暇でくだらんことを考えて目が閉じないんだ
86
00:05:59,560 --> 00:06:01,680
出来の悪い鳥は先に飛ぶため
しっかり練功する方がいい
87
00:06:01,680 --> 00:06:02,360
張成嶺:師父
88
00:06:02,360 --> 00:06:04,360
周子舒:まだお前をしごき足りなかったようだ
89
00:06:04,360 --> 00:06:06,600
お前に胡乱な思考を続ける気力があるんだからな
90
00:06:06,600 --> 00:06:07,520
張成嶺:師父
91
00:06:07,920 --> 00:06:11,760
無理です できません 聞いてません!
92
00:06:11,800 --> 00:06:18,440
晋江文学城 Priest原作 猫耳FM
音熊聯萌連合出品
93
00:06:18,760 --> 00:06:26,040
古風武侠ラジオドラマ《天涯客》
第十二集「傀儡荘」
94
00:06:41,760 --> 00:06:42,600
張成嶺:はぃっ!
95
00:06:43,680 --> 00:06:44,720
はっ!
96
00:06:49,040 --> 00:06:50,320
周子舒:チッ
97
00:06:56,480 --> 00:06:57,600
張成嶺:あぁ
98
00:06:57,600 --> 00:06:59,360
師父 待ってください
99
00:06:59,360 --> 00:07:00,200
あぁ!
100
00:07:00,200 --> 00:07:00,840
周子舒:ふん
101
00:07:01,080 --> 00:07:03,400
小石すら避けられないのか
102
00:07:05,520 --> 00:07:06,680
張成嶺:アイヨ……
103
00:07:06,680 --> 00:07:10,760
周子舒:お前に教えた功夫に
“犬が食うクソ”の一手はない
104
00:07:10,760 --> 00:07:12,440
張成嶺:はっ はい!
105
00:07:13,240 --> 00:07:14,360
周子舒:チッ
106
00:07:14,360 --> 00:07:15,440
ダメだ
107
00:07:15,800 --> 00:07:17,120
やり直せ
108
00:07:19,000 --> 00:07:20,040
張成嶺:あぁ!
109
00:07:20,240 --> 00:07:21,440
周子舒:ふん
110
00:07:23,280 --> 00:07:24,640
周子舒:お前な
111
00:07:25,680 --> 00:07:26,960
やり直し!
112
00:07:39,520 --> 00:07:41,240
お前のそれは流雲九宮歩なのか?
113
00:07:41,240 --> 00:07:43,160
蜘蛛でもお前より綺麗に這うぞ!
114
00:07:43,160 --> 00:07:45,320
先の数歩はまだ少し踏めているが
115
00:07:45,320 --> 00:07:47,040
後の数歩のそれは何だ?
116
00:07:47,040 --> 00:07:49,960
今すぐここで 始めから終いまでやってみせろ
117
00:07:49,960 --> 00:07:50,880
張成嶺:……はい!
118
00:07:50,880 --> 00:07:53,360
周子舒:もう一度間違えたら
お前のチンケな脚を折るぞ!
119
00:07:55,440 --> 00:07:57,800
張成嶺:流雲飛絮
120
00:07:57,800 --> 00:07:59,880
九宮を踏む──
121
00:08:01,560 --> 00:08:06,600
──張成嶺は足を上げるたびに熟考し
一匹の蟻を踏むことも恐れるように歩を踏んだ
122
00:08:11,160 --> 00:08:14,880
周子舒の横顔に浮かんだ青白く不吉な顔色は
月下では、いささか痛ましい様子に映った
123
00:08:17,800 --> 00:08:19,920
温客行:衣を羽織って
124
00:08:19,920 --> 00:08:22,000
夜は寒い
125
00:08:23,080 --> 00:08:24,600
周子舒:老温?
126
00:08:24,600 --> 00:08:30,680
──いつの間にか後ろに立っていた温客行が
外套で彼をくるみ、静かに隣に座った
127
00:08:33,360 --> 00:08:35,440
温客行:……痛むの?
128
00:08:38,120 --> 00:08:40,480
周子舒:でなけりゃ試してみるか?
129
00:08:41,440 --> 00:08:44,560
──温客行は不意に探るように手を伸ばし
周子舒の襟の重ねを捲った
130
00:08:44,560 --> 00:08:45,720
周子舒:ん?
131
00:08:47,720 --> 00:08:52,880
──周子舒はなぜか避けずにただ座って
その手にある、まだ半分残っている
酒壺をゆらゆらと揺らした
132
00:08:52,880 --> 00:08:57,640
温客行は骨と皮のようにやせ細った胸元と一番上の
釘を見て視線を彷徨わせ、息を吸って襟を戻した
133
00:08:57,640 --> 00:09:00,200
(温客行):彼の胸の釘は……
134
00:09:01,240 --> 00:09:06,600
──二人は何も言わず肩を並べて座っていた
135
00:09:09,760 --> 00:09:11,240
温客行:ねえ
136
00:09:13,320 --> 00:09:15,280
これだけの年月を掛けて
137
00:09:16,080 --> 00:09:21,800
やっとのことでこんな 馬が合って
認め合える人を見つけたんだ
138
00:09:25,480 --> 00:09:28,160
死なずにいることはできない?
139
00:09:36,040 --> 00:09:38,160
周子舒:それは俺が言えることだとでも?
140
00:09:54,080 --> 00:10:03,400
──温客行はもう周子舒を見たくないかのように
視線を逸らすと、中庭で赤子のように左右に揺れて
歩を学ぶ張成嶺をただ見つめていた
141
00:10:12,440 --> 00:10:13,440
張成嶺:あぁ!
142
00:10:15,000 --> 00:10:16,720
温前輩?!
143
00:10:16,720 --> 00:10:18,760
どうしてあなたも小石をお投げになるんですか?
144
00:10:18,760 --> 00:10:21,320
温客行:坊主 いわゆる軽身の功夫は
145
00:10:21,320 --> 00:10:23,840
つまるところ“快(素早い)”の一文字だ
146
00:10:23,840 --> 00:10:26,000
君がそこでのろのろと刺繍してるようなのが
147
00:10:26,000 --> 00:10:27,480
軽功の練習か?
148
00:10:28,160 --> 00:10:30,440
歩法なんて全部まやかしだ
149
00:10:30,440 --> 00:10:33,200
君は一歩も間違えてはいないが
そのようにぐずぐずしていて
150
00:10:33,200 --> 00:10:34,680
役に立つのか?
151
00:10:37,240 --> 00:10:41,200
張成嶺:前輩と師父はただ練気の意見が
分かれてるだけじゃなくて
152
00:10:41,200 --> 00:10:44,520
軽功の練習でも意見が分かれています……
153
00:10:44,520 --> 00:10:44,800
その 私は……
154
00:10:44,800 --> 00:10:46,440
温客行:もっと素早く!
155
00:10:46,440 --> 00:10:48,120
張成嶺:うゎぁ! あぁ!
156
00:10:49,440 --> 00:10:52,000
分かりました前輩! あぁぁ!
157
00:10:53,720 --> 00:10:55,680
──全くついてない日だった
158
00:10:56,640 --> 00:11:02,620
彼は突然の惨事がなければ、将来は
点心のお店を開き、家族を養い、上の世代を敬い
毎日和やかに過ごしたかったことを思い出した
159
00:11:02,620 --> 00:11:06,600
この願いを口に出す勇気はなかったが
今は考えることさえ怖くなりそうだった
160
00:11:13,520 --> 00:11:14,800
周子舒:いいか
161
00:11:14,880 --> 00:11:17,800
先にここで 朝飯を食うぞ
162
00:11:18,320 --> 00:11:19,640
張成嶺:はい
163
00:11:24,840 --> 00:11:28,720
葉白衣:いかに傀儡荘外郭の
陣法を破るかを考えたぞ
164
00:11:28,920 --> 00:11:30,080
今日山に入る
165
00:11:30,080 --> 00:11:31,760
周子舒:“考えた”?
166
00:11:32,520 --> 00:11:36,440
この傀儡荘の迷陣の解き方を今考えた?
167
00:11:36,440 --> 00:11:38,160
葉白衣:入るれるならいいじゃないか
168
00:11:38,160 --> 00:11:40,280
お前にいつ考えたか関係あるのか?
169
00:11:41,360 --> 00:11:44,680
(周子舒):そのお前があれだけ自信満々に
人を役立たずと罵ったのか?!
170
00:11:46,400 --> 00:11:47,560
温客行:坊主
171
00:11:47,560 --> 00:11:48,240
張成嶺:あ
172
00:11:48,480 --> 00:11:49,440
温客行:さあ
173
00:11:49,440 --> 00:11:51,040
朝飯を食べに行こう
174
00:11:51,040 --> 00:11:52,880
食べたら出発だ
175
00:12:07,840 --> 00:12:12,000
──山々をぐるりと回り、林に入った
176
00:12:14,000 --> 00:12:15,160
温客行:阿絮
177
00:12:15,160 --> 00:12:16,640
あなた見過ごしてますけど
178
00:12:16,640 --> 00:12:18,960
あの葉ってのは朝飯に包子を八籠食べて
179
00:12:18,960 --> 00:12:21,560
特大の丼ぶりで白粥を二杯飲んだ
180
00:12:21,560 --> 00:12:24,080
どこからこれだけの食欲が出てくると言うの──
181
00:12:24,320 --> 00:12:25,920
洞庭から蜀中まで
182
00:12:25,920 --> 00:12:28,280
道中で彼が食事する時を除いて
183
00:12:28,280 --> 00:12:30,920
あの山が轟き海がうねるが如く
千軍を横掃するが如く席巻する勢いの
184
00:12:30,920 --> 00:12:33,560
彼が生き物であると人に示せますか
185
00:12:33,920 --> 00:12:38,040
普段はまるで一体の歩く人形なだけなのに……
186
00:12:38,040 --> 00:12:39,440
周子舒:もういい
187
00:12:39,440 --> 00:12:40,840
彼を煽るな
188
00:12:40,840 --> 00:12:42,120
温客行:あぁ
189
00:12:43,440 --> 00:12:45,160
張成嶺:師父……
190
00:12:45,320 --> 00:12:46,120
周子舒:離れるな
191
00:12:46,120 --> 00:12:47,200
張成嶺:はい
192
00:12:47,480 --> 00:12:49,800
周子舒:この林はどんな
不思議なことがあるか分からない
193
00:12:50,120 --> 00:12:54,680
ただ常に何か正体不明の危機感を抱かせる
194
00:12:54,680 --> 00:12:56,960
十分注意しろ……
195
00:12:56,960 --> 00:13:02,800
──彼の腕を引っ張る師父の細い手指は
力強く、厚手の綿入りの衣を透して
掌の温度が伝わり安心感があった
196
00:13:04,440 --> 00:13:07,940
葉白衣でさえ硬い顔で
歩いたり止まったり極めて慎重だったが
197
00:13:07,940 --> 00:13:11,720
張成嶺だけは何が起こるのか分からず
今日は休みになったと密かに喜んでいた
198
00:13:11,720 --> 00:13:13,640
葉白衣:甲乙東方に木
199
00:13:13,640 --> 00:13:15,800
丙丁南方に火
200
00:13:15,800 --> 00:13:17,240
庚申西方に金
201
00:13:17,240 --> 00:13:17,680
庚申西方に金
温客行:阿絮
202
00:13:17,680 --> 00:13:18,520
葉白衣:壬癸北方に水
温客行:阿絮
203
00:13:18,520 --> 00:13:19,400
葉白衣:壬癸北方に水
温客行:彼は何を数えてると思う?
204
00:13:19,400 --> 00:13:20,800
温客行:彼は何を数えてると思う?
205
00:13:20,800 --> 00:13:21,880
葉白衣:戊己中央に土……
温客行:彼は何を数えてると思う?
206
00:13:21,880 --> 00:13:23,120
葉白衣:戊己中央に土……
周子舒:何をしてるかは 俺も分からん
207
00:13:23,120 --> 00:13:25,280
周子舒:何をしてるかは 俺も分からん
208
00:13:26,040 --> 00:13:27,560
本来なら……
209
00:13:27,560 --> 00:13:31,520
俺が遣わした者にもカラクリの達人と
奇門遁甲に精通した者がいた
210
00:13:31,520 --> 00:13:32,240
葉白衣:地支相合は六対と成り
211
00:13:32,240 --> 00:13:35,080
葉白衣:地支相合は六対と成り
周子舒:どうして一人も傀儡荘に
辿り着かなかったんだ?
212
00:13:35,080 --> 00:13:35,440
周子舒:どうして一人も傀儡荘に
辿り着かなかったんだ?
213
00:13:35,440 --> 00:13:37,760
温客行:人に地図を描かせたんじゃなかった?
214
00:13:37,760 --> 00:13:37,960
周子舒:そうだ
215
00:13:37,960 --> 00:13:38,880
葉白衣:合中の生克まさに封じて分清す
周子舒:そうだ
216
00:13:38,880 --> 00:13:39,560
葉白衣:合中の生克まさに封じて分清す
217
00:13:39,560 --> 00:13:41,600
葉白衣:合中の生克まさに封じて分清す
周子舒:彼自身が描いた地図を持って
再び人を連れて探しに行った時は
218
00:13:41,600 --> 00:13:43,400
周子舒:彼自身が描いた地図を持って
再び人を連れて探しに行った時は
219
00:13:43,400 --> 00:13:44,720
一人も帰って来なかった
220
00:13:44,720 --> 00:13:45,080
温客行:うん?
221
00:13:45,080 --> 00:13:45,760
葉白衣:子丑卯戌に巳申
温客行:うん?
222
00:13:45,760 --> 00:13:48,320
葉白衣:子丑卯戌に巳申
223
00:13:48,560 --> 00:13:49,720
葉白衣:相合の中 克を帯び冲する……
224
00:13:49,720 --> 00:13:50,960
葉白衣:相合の中 克を帯び冲する……
温客行:もし……そんな人でさえ
225
00:13:50,960 --> 00:13:53,080
温客行:もし……そんな人でさえ
226
00:13:53,080 --> 00:13:54,920
ここで折れていたとすると
227
00:13:55,320 --> 00:13:58,440
この老いぼれ食道楽は信頼できるってこと?
228
00:13:58,440 --> 00:13:58,520
周子舒:彼は──
229
00:13:58,520 --> 00:13:59,280
葉白衣:お前の者は奇門遁甲に精通していたのか?
周子舒:彼は──
230
00:13:59,280 --> 00:14:00,920
葉白衣:お前の者は奇門遁甲に精通していたのか?
231
00:14:01,840 --> 00:14:03,760
葉白衣:そいつらの親玉が
このように使い物にならんとすると
232
00:14:03,760 --> 00:14:06,620
下の者ができるのは穀潰しじゃないのか?
233
00:14:06,800 --> 00:14:08,080
この先の道は危険だ
234
00:14:08,320 --> 00:14:11,080
死にたくなければ俺の足跡を踏んで行け
235
00:14:13,120 --> 00:14:14,080
温客行:チッ
236
00:14:14,320 --> 00:14:16,000
あいつの食べる量で
237
00:14:16,000 --> 00:14:18,920
さらに他の者が穀潰しだとよく言えたな
238
00:14:20,200 --> 00:14:21,160
周子舒:ん……
239
00:14:22,520 --> 00:14:23,600
小僧
240
00:14:23,600 --> 00:14:24,720
俺に付いてこい
241
00:14:24,900 --> 00:14:26,040
踏み間違えるなよ
242
00:14:26,040 --> 00:14:27,120
張成嶺:はい!
243
00:14:52,480 --> 00:14:54,440
張成嶺:師 師父
244
00:14:54,440 --> 00:14:56,600
こ この周り全て──
245
00:14:56,600 --> 00:14:57,720
周子舒:人骨だ
246
00:14:58,800 --> 00:14:59,400
張成嶺:ひッ──
247
00:14:59,400 --> 00:15:00,680
師父
248
00:15:00,680 --> 00:15:02,960
私たちが捜している人は
249
00:15:02,960 --> 00:15:04,960
何をしてこんなところに
住むことになったんですか?
250
00:15:04,960 --> 00:15:06,400
周子舒:俺が知ってるのか?
251
00:15:06,600 --> 00:15:09,840
林は広いんだ どんな鳥でもいるんじゃないか
252
00:15:11,280 --> 00:15:13,280
張成嶺:なら彼はこんな辺鄙なところに住んで
253
00:15:13,280 --> 00:15:16,200
しかも色んなカラクリを仕掛けて
一歩ごとにびくびくしていたら
254
00:15:16,200 --> 00:15:19,480
万一自分も外出して道に迷ったら
どうするんでしょう?
255
00:15:19,480 --> 00:15:23,320
自分で置いた牀下の鼠取りに
引っ掛かるようなものじゃないですか?
256
00:15:23,320 --> 00:15:25,680
周子舒:自分で置いた牀下の鼠取りに掛かる?
257
00:15:25,880 --> 00:15:26,880
張成嶺:そうです
258
00:15:26,880 --> 00:15:29,360
私が小さい頃に一度 部屋に鼠が入って
259
00:15:29,360 --> 00:15:30,600
どうしても捕まえられず
260
00:15:30,600 --> 00:15:33,320
牀の下に二つ鼠取りを置いたのです
261
00:15:33,320 --> 00:15:36,480
果たして次の日の朝 忘れて足を下ろしたら
262
00:15:36,480 --> 00:15:39,120
鼠取りに足を挟まれてしまいました
263
00:15:42,280 --> 00:15:43,120
本当ですよ
264
00:15:43,120 --> 00:15:45,400
鼠取りに挟まれると人でも痛いのです……
265
00:15:46,120 --> 00:15:47,280
周子舒:黙れ
266
00:15:48,080 --> 00:15:50,000
足元を見てろ
267
00:15:52,480 --> 00:15:54,400
張成嶺:はい 師父
268
00:15:55,400 --> 00:15:56,960
周子舒:己の尺度で人を測るな
(*以己度人=自分の考えで人を推し量る)
269
00:15:57,360 --> 00:15:59,800
世の中にお前のような間抜けが幾人いるんだ?
270
00:16:02,000 --> 00:16:03,320
俺の前を歩け
271
00:16:03,800 --> 00:16:04,840
張成嶺:あぁ
272
00:16:05,600 --> 00:16:06,880
温客行:少年
273
00:16:07,160 --> 00:16:09,400
世人が身を隠す所以は
274
00:16:09,400 --> 00:16:12,000
実のところ幾つかの原因しかない
275
00:16:12,280 --> 00:16:16,960
仇敵が彼を殺そうとしていると思って
276
00:16:16,960 --> 00:16:19,960
誰にも見つからない場所で
縮こまっていなければならないか……
277
00:16:19,960 --> 00:16:20,800
周子舒:まるで
278
00:16:20,800 --> 00:16:22,320
鬼谷のように?
279
00:16:23,480 --> 00:16:25,000
温客行:あなたがそう言うなら……
280
00:16:25,360 --> 00:16:26,760
そうでしょう
281
00:16:29,040 --> 00:16:31,840
周子舒:なら谷主は当時 これまたどうして
天を怒らせ人に恨まれる事をして
282
00:16:31,840 --> 00:16:34,000
鬼谷に隠れ込むことになったんだ?
283
00:16:34,840 --> 00:16:35,920
温客行:私が?
284
00:16:36,360 --> 00:16:38,640
私は当然 比較的特別で
285
00:16:39,080 --> 00:16:40,720
何もしてませんが
286
00:16:40,720 --> 00:16:42,920
ぼんやりしてるうちに入ってしまいました
(*稀里糊涂=物事がはっきりしていない)
287
00:16:43,880 --> 00:16:46,120
今考えても分からないのは
288
00:16:46,320 --> 00:16:48,400
私はこのように良い人なのに
289
00:16:48,400 --> 00:16:52,080
どうして悪鬼どもと一緒に
これだけ長く生きてきたのか
290
00:16:53,760 --> 00:16:59,480
まこと泥より出づるも染まらず
清漣に濯われても妖ならず
(*出淤泥而不染 濯清漣而不妖《愛蓮説》周茂叔)
291
00:17:02,720 --> 00:17:03,960
温客行:阿絮
292
00:17:04,200 --> 00:17:07,400
あなたは本当に私の心を傷付けますね──
293
00:17:08,600 --> 00:17:10,160
ね 少年
294
00:17:10,520 --> 00:17:12,040
君は私が良い人だと思う?
295
00:17:12,040 --> 00:17:14,160
張成嶺:うん! 前輩は気が良く武功が良く
296
00:17:14,160 --> 00:17:15,520
物語を語ることもできます!
297
00:17:15,520 --> 00:17:17,000
当然良い人です!
298
00:17:17,640 --> 00:17:19,200
温客行:やはり子供は良いね
299
00:17:19,200 --> 00:17:21,640
良心的で ものの道理を分かってて
300
00:17:21,640 --> 00:17:24,200
誰が彼に良くしたか ちゃんと覚えている
301
00:17:24,200 --> 00:17:26,480
誰かさんとは違って……
302
00:17:27,560 --> 00:17:29,200
アイヤー
303
00:17:30,040 --> 00:17:31,160
周子舒:無駄話をやめろ
304
00:17:31,520 --> 00:17:32,880
さっさと行くぞ
305
00:17:36,480 --> 00:17:38,960
(周子舒):鬼谷谷主は普通の首領とは違う
306
00:17:38,960 --> 00:17:43,320
高崇のような 己が正義の者だと
思っている連中を統率している者は
307
00:17:45,200 --> 00:17:47,360
ただ“天下の大義”という数文字を用いるだけで
308
00:17:47,360 --> 00:17:50,440
その連中を 自ら地に描いた牢に囚えることができる
(*画地为牢=限られた範囲でのみ活動が許される)
309
00:17:51,200 --> 00:17:52,960
そして天窗の首領は
310
00:17:52,960 --> 00:17:55,480
暗殺者と密偵の集団を統率する
311
00:17:59,280 --> 00:18:03,680
天窗の組織の背後には 森厳にして重厚な皇権があり
312
00:18:05,000 --> 00:18:06,600
編成してから今に至るまで
313
00:18:06,600 --> 00:18:10,520
俺を除いて それに挑んだ者はまだいない
314
00:18:10,520 --> 00:18:11,320
温客行:少年
俺を除いて それに挑んだ者はまだいない
315
00:18:11,320 --> 00:18:12,400
踏み間違えるなよ……
316
00:18:12,400 --> 00:18:13,460
張成嶺:はい 温前輩!
317
00:18:13,460 --> 00:18:13,840
張成嶺:はい 温前輩!
(周子舒):しかし鬼谷は 亡命の徒の群れだ
318
00:18:13,840 --> 00:18:17,000
(周子舒):しかし鬼谷は 亡命の徒の群れだ
319
00:18:17,000 --> 00:18:19,920
彼らはまるで究極に凶悪な毒虫のようで
320
00:18:20,120 --> 00:18:22,800
狭く窮屈な一つの缶(ほとぎ)に閉じ込められ
321
00:18:22,800 --> 00:18:27,560
互いに殺し合うことが唯一の生き残る道だ
322
00:18:28,040 --> 00:18:31,480
鬼衆:百鬼夜行に生魂を捧げろ──
323
00:18:31,960 --> 00:18:36,120
殺せ!殺せ! ははははは!
324
00:18:40,760 --> 00:18:43,160
鬼衆:死人となれば道を塞ぐことはできぬぞ!
325
00:18:43,400 --> 00:18:45,040
奴を殺せ!
326
00:18:45,440 --> 00:18:46,800
死ね!
327
00:18:57,840 --> 00:18:59,760
(周子舒):十万陰幽の地は
328
00:18:59,760 --> 00:19:01,800
どちらかが死にどちらかが生きる
329
00:19:01,800 --> 00:19:04,320
不道徳で 不条理で
330
00:19:05,120 --> 00:19:07,480
ただ強者のみを尊ぶ
331
00:19:07,760 --> 00:19:09,400
最後にあるのは
332
00:19:09,400 --> 00:19:13,200
一切を呑み込むに足りる
凶猛さと残虐さだけだ
333
00:19:13,720 --> 00:19:18,080
そしてただ蠱王となった蟲だけが
再び日の光を見ることができる
334
00:19:32,800 --> 00:19:35,280
温客行は上手く偽装できている
335
00:19:35,760 --> 00:19:39,640
多くの場合 俺でさえ勘違いして
336
00:19:40,520 --> 00:19:43,600
彼はただの饒舌な普通の男だと思うだろう
337
00:19:44,400 --> 00:19:47,400
張成嶺:温前輩 あなたがさっき言ったこと以外で
338
00:19:47,400 --> 00:19:50,000
隠れている理由がまだあるんですか?
339
00:19:50,280 --> 00:19:51,960
温客行:もちろん
340
00:19:52,080 --> 00:19:54,320
他の者に殺されるのを恐れる以外に
341
00:19:54,320 --> 00:19:58,080
もう一つ 人に身を隠させる理由がある
342
00:19:58,400 --> 00:20:00,080
それは悲しみだ
343
00:20:00,080 --> 00:20:01,080
周子舒:あ?
344
00:20:01,080 --> 00:20:02,160
張成嶺:えぇ?
345
00:20:02,320 --> 00:20:03,800
温客行:彼は内心で分かってるんです
346
00:20:03,800 --> 00:20:07,600
最も会いたいと思う人はもう会えないと
347
00:20:07,600 --> 00:20:09,960
それで思い切って己をここに埋めてしまった
348
00:20:10,680 --> 00:20:14,240
時が経てば 自分を慰めて言うことができる
349
00:20:14,240 --> 00:20:19,200
彼が見つからないのは ただ
彼も探し出せないからに過ぎないと
350
00:20:19,200 --> 00:20:21,200
張成嶺:あ……あぁ
351
00:20:24,480 --> 00:20:26,920
温客行:君の師父が将来もしいなくなったら
352
00:20:27,480 --> 00:20:31,760
私もこのような場所を見つけて
身を隠すんじゃないかな
353
00:20:31,760 --> 00:20:35,600
そうでなければ外に行って
街をゆく美人が目に入っても
354
00:20:35,600 --> 00:20:38,320
最も自分の想いに沿った人に
どうやっても会えないのは
355
00:20:38,320 --> 00:20:40,320
とても辛いんじゃない?
356
00:20:42,280 --> 00:20:46,320
周子舒:俺はまた お前は俺と
生死を共にすると言うのかと思ってたぞ
357
00:20:46,640 --> 00:20:49,040
温客行:私が言ってもあなたは信じないでしょ
358
00:20:50,160 --> 00:20:51,760
張成嶺:まるで……
359
00:20:51,760 --> 00:20:54,320
琴を投げ割った愈伯牙(ユ・ボヤ)みたいですね
(*伯牙摔琴=音色を聞いて真意が分かる友を失い琴を捨てた伯牙の故事)
360
00:20:54,320 --> 00:20:54,600
周子舒:え──
361
00:20:54,600 --> 00:20:55,640
温客行:あ?──
周子舒:え──
362
00:20:55,640 --> 00:20:56,280
温客行:あ?──
363
00:21:03,040 --> 00:21:05,360
張成嶺:違いましたか?
364
00:21:06,400 --> 00:21:10,240
温客行:天下にもう高山流水を理解する者はいまい
365
00:21:10,800 --> 00:21:15,080
正しくもあり……間違いでもある
366
00:21:16,060 --> 00:21:18,800
周子舒:葉前輩に付いて行け 遅れを取るなよ
367
00:21:19,200 --> 00:21:20,240
張成嶺:はい!
368
00:21:25,280 --> 00:21:26,040
葉白衣:静かに
369
00:21:26,040 --> 00:21:27,280
周子舒:ん?
370
00:21:43,200 --> 00:21:46,040
張成嶺:師父! 地面が動いています!
371
00:21:46,040 --> 00:21:49,440
温客行:私はこの食道楽を信頼できないって
言ったのに あなたはまだ信じてない!
372
00:21:49,440 --> 00:21:50,520
はっ!
373
00:21:51,040 --> 00:21:54,400
──周子舒が彼を相手にする暇もなく
地面が裂けるように大きく揺れ動いた
374
00:21:56,000 --> 00:21:57,480
張成嶺:うわぁ!
375
00:21:59,200 --> 00:22:00,840
周子舒:小僧 掴まってろ!
376
00:22:00,840 --> 00:22:02,360
張成嶺:うぁあ!あぁ!
377
00:22:02,600 --> 00:22:09,280
──周子舒が張成嶺を掴んで大木の枝に
降り立つと、その枝は作り物のように折れ
驚いた周子舒は身を翻して幹に足を引っ掛けた
378
00:22:09,280 --> 00:22:12,680
張成嶺:師父 温前輩と葉前輩がいません!
379
00:22:12,680 --> 00:22:13,680
周子舒:あいつらは──
380
00:22:13,680 --> 00:22:15,080
──大木も瞬く間に倒れ
381
00:22:15,080 --> 00:22:16,920
張成嶺:師父!
382
00:22:16,920 --> 00:22:21,160
──突然彼の足元に何もなくなり、電光石火で
張成嶺を懐に守る以外、何もできず落ちていった
383
00:22:39,360 --> 00:22:42,640
主題歌《天涯客》
384
00:22:42,640 --> 00:22:45,840
歌:柯暮卿
385
00:23:05,200 --> 00:23:07,400
“这人间困境几何”
(この世に苦境 幾ばくか)
386
00:23:07,400 --> 00:23:11,080
“得超脱又几个”
(逃れ得るのは幾人か)
387
00:23:11,080 --> 00:23:14,240
“如敢以生死来涉”
(敢えて生死を賭ければ)
388
00:23:14,240 --> 00:23:17,320
“孑然是天涯客”
(それは独りの天涯客)
389
00:23:17,320 --> 00:23:20,800
“谁辞别庙堂 醉山河”
(廟堂を離れ 山河に酔う人が)
390
00:23:20,800 --> 00:23:23,720
“沐得天光赏春色”
(天光浴びて 春色を味わえば)
391
00:23:23,720 --> 00:23:30,600
“欲做闲云鹤 偏又生纠葛”
(たゆたう雲間の鶴ならんとも しがらみまた生じる)
392
00:23:30,680 --> 00:23:33,720
“飞絮身 偏走黄泉路”
(身を飛絮として 黄泉路を進めば)
393
00:23:33,720 --> 00:23:37,160
“看尽英雄嗔癫群鬼舞”
(英雄は尽き憤懣の群鬼が舞うを見る)
394
00:23:37,160 --> 00:23:40,200
“黑白错 风崖起疑雾”
(黒白違えて 風崖に疑いの霧は立ち)
395
00:23:40,200 --> 00:23:43,600
“妙手设局待谁入”
(妙手の罠に誰かが嵌まれば)
396
00:23:43,600 --> 00:23:49,720
“六合渺渺 纵是无觅处”
(六合は遙か たとえ行くあてなくとも)
397
00:23:49,720 --> 00:23:56,600
“携酒来 拔剑去 自有归宿”
(酒を携え来て 剣を抜いて行く 帰る宿がある)
398
00:24:22,920 --> 00:24:25,280
“正邪道人心叵测”
(正邪で人心は測れず)
399
00:24:25,280 --> 00:24:28,680
“甘苦自取自舍”
(甘苦を自ら選び取り)
400
00:24:28,680 --> 00:24:32,120
“遇知己明眸澈澈”
(巡り合った知己の瞳は明澄にして)
401
00:24:32,120 --> 00:24:35,160
“如举灯过渊泽”
(灯を掲げ沢の淵を渡るなら)
402
00:24:35,160 --> 00:24:38,560
“谁以鬼行世 恨善恶”
(世を行く鬼として 善悪を恨む誰かの)
403
00:24:38,560 --> 00:24:41,440
“红袍褪身识得”
(紅い袍を落とせば見える)
404
00:24:41,440 --> 00:24:48,240
“一眼竟万年 情痴终不赦”
(一眼万年の恋情 ついぞ赦されることなし)
405
00:24:48,320 --> 00:24:51,320
“飞絮身 偏走黄泉路”
(身を飛絮として 黄泉路を進めば)
406
00:24:51,320 --> 00:24:54,760
“看尽英雄嗔癫群鬼舞”
(英雄は尽き憤懣の群鬼が舞うを見る)
407
00:24:54,760 --> 00:24:57,880
“黑白错 风崖起疑雾”
(黒白違えて 風崖に疑いの霧は立ち)
408
00:24:57,880 --> 00:25:01,480
“妙手设局待谁入”
(妙手の罠に誰かが嵌まれば)
409
00:25:01,480 --> 00:25:07,400
“六合渺渺 纵是无觅处”
(六合は遙か たとえ行くあてなくとも)
410
00:25:07,400 --> 00:25:13,760
“携酒来 拔剑去 自有归宿”
(酒を携え来て 剣を抜いて行く 帰る宿がある)
411
00:25:14,200 --> 00:25:17,400
“天欲晚 风雪袭巴蜀”
(天は暗きを欲し 風雪が巴蜀を襲う)
412
00:25:17,400 --> 00:25:20,840
“何幸借这温存 不孤独”
(幸いにもこの温もりがあれば孤独でなく)
413
00:25:20,840 --> 00:25:23,800
“问余生 怎舍好眉目”
(余生に問う 眉目の好しを)
414
00:25:23,800 --> 00:25:27,360
“三秋如梦也愿赴”
(三秋の夢の願いを手放せるかを)
415
00:25:27,360 --> 00:25:33,560
“六合渺渺 自有自在处”
(六合遙かに 己の居場所があれば)
416
00:25:33,560 --> 00:25:40,460
“竹林响 忘沉浮 寻光欲渡”
(竹林は響き 浮沈を忘れ 光を求め渡らん)
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