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第十四集

1
00:00:25,040 --> 00:00:29,120
孫鼎:老孟 来るのが遅いぞ

2
00:00:31,960 --> 00:00:33,920
老孟:どういう事だ?

3
00:00:34,160 --> 00:00:39,520
まさか身の程をわきまえぬ者が
喜喪鬼 孫鼎たるお前を奇襲したのか?

4
00:00:39,520 --> 00:00:40,840
孫鼎:ふん

5
00:00:40,840 --> 00:00:43,880
──屍体の衣服をまくり上げ
腰に鬼面の紋があるのを見た

6
00:00:43,880 --> 00:00:46,120
老孟:それは薛方の者か……

7
00:00:47,720 --> 00:00:51,400
孫鼎:老孟 あんたのその大前掛けは──

8
00:00:51,840 --> 00:00:54,080
老孟:谷主の命に従って換えたのさ

9
00:00:54,080 --> 00:00:56,000
孫兄は何か異議があるのか?

10
00:00:56,000 --> 00:00:57,920
孫鼎:谷主?

11
00:00:57,920 --> 00:01:02,000
あんな乳臭い子や孫の代まで呪われた野郎

12
00:01:02,000 --> 00:01:06,040
あんたがポチ公のように取り入って
走り回る価値はあるのか?

13
00:01:06,880 --> 00:01:09,160
老孟:彼に面と向かってそう言えばいい

14
00:01:11,600 --> 00:01:15,400
孫鼎:こうなった以上 老孟は
谷主にご報告に上がった方がいい

15
00:01:15,400 --> 00:01:19,240
あの薛方は無断で谷を出る
掟を破ったというだけでなく

16
00:01:19,240 --> 00:01:22,960
目下 翻弄された怒りで俺さえ殺すつもりなんだぞ

17
00:01:22,960 --> 00:01:25,640
老孟:最近 谷主と連絡が取れない……

18
00:01:26,920 --> 00:01:28,840
孫鼎:紫煞の小娘は?

19
00:01:29,040 --> 00:01:31,000
老孟:それも情報がない……

20
00:01:33,160 --> 00:01:38,320
お前の見方によると 薛方の
今回のも琉璃甲のためなのか?

21
00:01:40,400 --> 00:01:43,360
孫鼎:薛方は非常に野心的だ

22
00:01:43,360 --> 00:01:45,840
あんたに忠告だ……あんたの谷主にもだが

23
00:01:45,840 --> 00:01:48,080
やはり気をつけるに越したことはない

24
00:01:48,080 --> 00:01:51,400
さもなくば…… ハッ

25
00:01:53,160 --> 00:01:55,560
老孟:沈慎はお前が殺したのか?

26
00:01:56,120 --> 00:01:57,520
孫鼎:ん?

27
00:01:58,600 --> 00:02:00,080
どうした

28
00:02:00,080 --> 00:02:02,360
あんたは俺に探りを入れてるのか?

29
00:02:05,560 --> 00:02:06,920
老孟:孫兄よ

30
00:02:06,920 --> 00:02:09,120
我々明るき者は暗きことを言わぬ

31
00:02:09,120 --> 00:02:12,200
琉璃甲を 誰が欲しくないんだ?

32
00:02:12,360 --> 00:02:14,080
吊死鬼は言うまでもなく

33
00:02:14,080 --> 00:02:17,640
底辺の小鬼たちも皆蠢いている

34
00:02:17,640 --> 00:02:19,880
長舌鬼みたいな奴でさえ

35
00:02:19,880 --> 00:02:24,240
地穴を設置して 生命を賭して谷主を謀った……

36
00:02:27,040 --> 00:02:28,960
誰が琉璃甲を得て

37
00:02:28,960 --> 00:02:32,240
誰が風崖山の主人になるのか

38
00:02:33,200 --> 00:02:34,920
欲しくないなら

39
00:02:34,920 --> 00:02:38,240
何をしたくて あの毒蝎の連中を雇って

40
00:02:38,240 --> 00:02:40,480
張というチビをわざわざ見張っているんだ?

41
00:02:40,480 --> 00:02:42,320
孫鼎:おのれ!

42
00:02:42,800 --> 00:02:45,960
俺は張のガキに薛方を確認させるのだ!

43
00:02:47,680 --> 00:02:48,880
老孟:ははははは……

44
00:02:48,880 --> 00:02:51,640
孫鼎:無常鬼 あんた何のつもりだ?

45
00:02:53,320 --> 00:02:56,840
老孟:それは 孫兄には要らぬ心配だ

46
00:02:56,840 --> 00:03:00,800
あの張の子供は現在 谷主と共にいる

47
00:03:01,120 --> 00:03:05,680
彼が覚えてさえいれば いつでも確認できるのだ──

48
00:03:07,040 --> 00:03:08,560
沈慎は死んだ

49
00:03:08,560 --> 00:03:11,680
高家荘の二つの琉璃甲は翼がなくとも飛んでいく
(*不翼而飞=いつのまにか消えたり広まったりする)

50
00:03:11,680 --> 00:03:16,040
思うに 我々はやはり先に薛方を
捕えてから 決断を下せばよい

51
00:03:16,760 --> 00:03:19,000
どうかな?

52
00:03:20,920 --> 00:03:26,480
──孫鼎は悪意を滲ませ目を細め、馴れ馴れしい
彼の顔をしばらく眺めてから背を向け立ち去った

53
00:03:31,520 --> 00:03:38,400
晋江文学城 Priest原作 猫耳FM
音熊聯萌連合出品

54
00:03:38,520 --> 00:03:45,360
古風武侠ラジオドラマ《天涯客》
第十四集「夢の終わり」

55
00:04:15,320 --> 00:04:17,480
温客行:龍前輩

56
00:04:17,760 --> 00:04:20,320
若輩たちは多くの方法を試みましたが

57
00:04:21,240 --> 00:04:24,400
実際には あなたの身体の鎖を外せませんでした

58
00:04:25,160 --> 00:04:28,280
ただこの部屋と共に火葬するしかできません……

59
00:04:30,400 --> 00:04:32,720
あなたのこの幾年に感謝します……

60
00:04:33,640 --> 00:04:37,040
(温客行):父の秘密を守ってくださった……

61
00:04:39,240 --> 00:04:44,640
温客行:心安らかに前輩 ご冥福をお祈りします

62
00:04:56,860 --> 00:05:02,820
──張成嶺はそう遠くないところから
燃え立つ煙を眺めていたが突然鼻の奥がツンとして
わけもなく悲しくなった

63
00:05:02,820 --> 00:05:09,320
彼の肩に片手が置かれ、張成嶺がぼんやり視線を
上げると、周子舒の両目には炎が映って光り
感情を読み取ることはできなかった

64
00:05:09,320 --> 00:05:11,400
張成嶺:師父……

65
00:05:12,240 --> 00:05:13,640
周子舒:何を泣く

66
00:05:14,560 --> 00:05:17,160
人は誰もが死にゆくんだ

67
00:05:18,080 --> 00:05:19,880
ある者が大笑いして牛飲し

68
00:05:19,880 --> 00:05:24,640
万里の山河を忌憚なく横行し 痕跡なく往来すれば
(*横行无忌=好き勝手する)

69
00:05:24,640 --> 00:05:30,120
ある者は音も立てず沈黙し このような
人跡稀なる地で行き詰まる

70
00:05:30,640 --> 00:05:32,680
ただ数人の見知らぬ者が

71
00:05:32,680 --> 00:05:36,280
言葉なく幽冷で蕭寥なる黄泉路へ送るだけだ

72
00:05:38,000 --> 00:05:45,000
一日一日 あらゆる人が己の夢想に
一歩でも近付いて 恍惚とし

73
00:05:45,760 --> 00:05:50,200
一日一日 またあらゆる人が死にゆく

74
00:05:53,520 --> 00:05:55,760
それこそが江湖だ

75
00:05:55,760 --> 00:05:57,160
張成嶺:うぅ──

76
00:06:18,800 --> 00:06:20,520
温客行:阿絮

77
00:06:20,520 --> 00:06:23,200
私の選んだこの岩はどうかな

78
00:06:29,640 --> 00:06:33,800
張成嶺:前輩 こんな大きな
岩を見つけてどうするんですか?

79
00:06:35,880 --> 00:06:38,360
温客行:龍前輩の墓誌銘を書いてあげるんだ

80
00:06:39,880 --> 00:06:41,640
周子舒:なんて書く予定なんだ?

81
00:06:50,120 --> 00:06:53,080
張成嶺:“丙辰の年 臘月初三”……
(*腊月=十二月)

82
00:06:55,760 --> 00:06:58,840
前輩どうして止めたんですか?

83
00:07:00,040 --> 00:07:02,760
温客行:焦らず ゆっくり書く

84
00:07:02,760 --> 00:07:05,840
まあ明くる年の春先には書き終わるさ

85
00:07:06,360 --> 00:07:09,960
張成嶺:では私は我々が夜に休む
部屋を掃除しに行きます

86
00:07:10,640 --> 00:07:11,880
周子舒:うん

87
00:07:19,880 --> 00:07:25,840
──牢監のそばに客房や下人が住むようなものも
あったが、何年も使われておらず荒れ果てていて

88
00:07:25,840 --> 00:07:33,120
張成嶺が片付けても依然として見るに
耐えなかったが、この数人はすっかり幕天席地に
慣れており、それでどうにかなかった

89
00:07:48,840 --> 00:07:49,920
周子舒:ん?

90
00:07:51,080 --> 00:07:54,120
──周子舒は眠気が覚めても目を開けずにいた

91
00:07:54,240 --> 00:07:55,840
温客行:阿絮

92
00:07:58,600 --> 00:08:01,040
私の部屋は全く人が住めたもんじゃない

93
00:08:01,040 --> 00:08:04,120
壁際に一体 頭に蜘蛛の網を張った偶人がいて

94
00:08:04,120 --> 00:08:05,560
まるで小鬼のようで

95
00:08:05,560 --> 00:08:07,920
私が目を開けると彼と顔を見合わせてしまう……

96
00:08:07,920 --> 00:08:10,440
周子舒:後ろ向ければいい

97
00:08:11,240 --> 00:08:14,160
温客行:私は傀儡の尻には興味がない

98
00:08:15,040 --> 00:08:17,600
ちょっと奥に 私に場所を空けて

99
00:08:17,600 --> 00:08:19,160
──周子舒は死んだふりをした

100
00:08:19,160 --> 00:08:20,680
温客行:阿絮

101
00:08:20,680 --> 00:08:22,960
人として同情心は必要だ

102
00:08:22,960 --> 00:08:25,360
あなたは口癖のように善行で徳を積むと言い

103
00:08:25,360 --> 00:08:28,160
我ら二人生死を共にし あなたと私の
関係であれだけの時を過ごし

104
00:08:28,160 --> 00:08:30,520
私は掛け布団さえ携えてきたのに

105
00:08:30,520 --> 00:08:32,800
あなたが牀台の半分すら分けようとしないのは

106
00:08:32,800 --> 00:08:34,480
妥当なの?

107
00:08:34,960 --> 00:08:36,600
周子舒:先ほどは妥当だと思わなかったが

108
00:08:36,600 --> 00:08:39,920
今はとても妥当だと思う……

109
00:08:40,880 --> 00:08:41,920
おい……

110
00:08:41,920 --> 00:08:44,120
──脚と肩の下に無理やり手を突っ込み
三尺ほど奥へ運んだ

111
00:08:44,120 --> 00:08:45,680
周子舒:俺を下ろせ

112
00:08:46,520 --> 00:08:48,120
温客行:あなたが動きたくないなら

113
00:08:48,120 --> 00:08:50,720
私が動くのを手伝うしかないよね

114
00:08:51,600 --> 00:08:54,680
──鵲の巣を占拠する鳩のように横たわった

115
00:08:54,680 --> 00:08:57,040
温客行:アイヤー

116
00:08:57,040 --> 00:09:00,440
この牀はまことに心地よい

117
00:09:04,080 --> 00:09:06,600
周子舒:この牀は少し小さいと思わないか?

118
00:09:06,600 --> 00:09:09,520
温客行:小さくないね ちょうどいい

119
00:09:09,860 --> 00:09:13,480
──この牀は狭くはなかったが寝返りを
打つのは難しく、無意識に体を硬くした

120
00:09:13,480 --> 00:09:15,720
(周子舒):老温の奴め……

121
00:09:17,360 --> 00:09:21,280
──温客行に背を向けけ無理やり
眠ろうとしたが上手くいかなかった

122
00:09:21,280 --> 00:09:24,240
(周子舒):まだ眠らせないのか?

123
00:09:24,240 --> 00:09:29,920
──温客行が何かするたびに牀板に小さな地震が
起き、周子舒はその全ての動作を感じて苛立った

124
00:09:32,440 --> 00:09:36,440
(周子舒):寝返りばかり いつまでやってるんだ?

125
00:09:36,960 --> 00:09:41,800
それか やはり己の部屋に蹴り返そう……

126
00:09:49,560 --> 00:09:52,240
やっと止まったか……

127
00:10:17,960 --> 00:10:20,440
温客行:阿絮……

128
00:10:21,000 --> 00:10:25,320
──周子舒は突然、背中に
小虫が登ってきたように感じた

129
00:10:25,320 --> 00:10:27,400
温客行:阿絮……

130
00:10:27,400 --> 00:10:29,560
──禄山の爪をそっと周子舒の腰に伸ばした

131
00:10:29,560 --> 00:10:31,360
周子舒:何をまさぐってるんだ!

132
00:10:31,360 --> 00:10:32,920
まだ眠らないのか?

133
00:10:32,920 --> 00:10:37,480
眠らないならお前の部屋に戻って
あの人形としゃべってろ!

134
00:10:37,480 --> 00:10:41,760
温客行:私がここにいるのに
あなたは一言も話さず眠るなんて

135
00:10:42,320 --> 00:10:44,600
私があなたに邪念を抱いていると知らないの?

136
00:10:44,600 --> 00:10:45,660
周子舒:貴様──

137
00:10:45,880 --> 00:10:47,640
温客行:うん?

138
00:10:47,640 --> 00:10:50,440
──腰に乗せた温客行の手は
指先だけでその場を擦っていた

139
00:10:50,440 --> 00:10:55,680
(周子舒):この男の厚顔無恥さはまるで
前に古人なく後に来者なしの境地に到達しているが
(*前无古人后无来者=前人未到、空前絶後)

140
00:10:55,680 --> 00:10:59,440
その上こんなに死んだ豚が熱湯を
恐れぬようなものなのか
(*死猪不怕开水烫=痛くも痒くもない)

141
00:11:01,120 --> 00:11:02,960
周子舒:好きにしろ

142
00:11:03,760 --> 00:11:05,920
温客行:いいね

143
00:11:05,960 --> 00:11:08,480
ならば私は

144
00:11:13,360 --> 00:11:14,920
阿絮……

145
00:11:14,920 --> 00:11:17,600
──彼の手を叩こうと思ったが考えを改め──

146
00:11:17,600 --> 00:11:20,320
温客行:阿絮……

147
00:11:22,760 --> 00:11:25,040
阿絮……

148
00:11:25,040 --> 00:11:27,560
──この上なく強力に硬直した屍となった

149
00:11:27,560 --> 00:11:29,480
温客行:本当に寝たの?

150
00:11:30,760 --> 00:11:39,160
──温客行はしばらく腰をいじっていたが
さすが世に珍しい達人なだけあって定力十分と見え
彼の背後でそっと目を閉じた

151
00:11:53,080 --> 00:11:58,440
寒い日は布団でも保温されず
寝ていると二人は一箇所に固まっていた

152
00:12:03,960 --> 00:12:05,600
温客行:阿絮?

153
00:12:05,600 --> 00:12:07,620
──温客行は少し体を起こし
彼の後心に手を当てた

154
00:12:07,620 --> 00:12:10,400
温客行:どうしたの 痛む?

155
00:12:11,800 --> 00:12:18,200
──周子舒は毎日夜半は眠れないことに
慣れていたが、人がそばにいることを思い出し
気まずくなってただ必死に歯を食いしばって耐えた

156
00:12:18,200 --> 00:12:23,040
周子舒は思わず背中を強く曲げて
布団をきつく握りしめた

157
00:12:23,040 --> 00:12:26,120
寒い十二月でも額には汗が滲んでいた

158
00:12:26,120 --> 00:12:30,560
温客行:すぐに すぐに治まるから……

159
00:12:31,640 --> 00:12:37,300
──彼は周子舒の背中を抱き寄せ、もう一方の手を
腰に回し、自分の胸に彼の頭を凭せ掛けた

160
00:12:37,300 --> 00:12:41,420
まるで悪い夢を見た子供を抱くように
そっと彼の背中をなだめた

161
00:12:41,420 --> 00:12:45,840
(周子舒):……俺たち二人 日中は
互いにズルい手を使って足元をすくう

162
00:12:45,840 --> 00:12:47,880
丁々発止の応酬だ

163
00:12:48,680 --> 00:12:53,840
一字一句 どうでも相手の言葉を
詰まらせなければ気が済まない

164
00:12:53,840 --> 00:12:56,880
温客行:やぁ 堂々たる……

165
00:12:57,160 --> 00:12:58,880
胡桃を食べるのが怖いって?

166
00:12:58,880 --> 00:12:59,600
彼の薄い顔の皮は紙と同じ
胡桃を食べるのが怖いって?

167
00:12:59,600 --> 00:13:02,440
彼の薄い顔の皮は紙と同じ
 

168
00:13:02,440 --> 00:13:04,680
面具を脱げば いとも容易く照れてしまう……

169
00:13:04,680 --> 00:13:05,880
阿絮 あなたは本当に私の心を傷付けますね──
面具を脱げば いとも容易く照れてしまう……

170
00:13:05,880 --> 00:13:09,280
阿絮 あなたは本当に私の心を傷付けますね──
 

171
00:13:15,600 --> 00:13:19,880
(周子舒):夜にはむしろこのように
共にきつく体を寄せ合って

172
00:13:19,880 --> 00:13:22,400
まるで互いに依存し合っているようなのは
(*相依为命=互いに頼って切り離せない《陳情表》李密)

173
00:13:23,760 --> 00:13:26,560
これは無常じゃないか……

174
00:13:33,120 --> 00:13:35,280
温客行:阿絮

175
00:13:36,200 --> 00:13:38,600
もう数日すれば臘八だ
(*腊八=旧暦12月8日)

176
00:13:38,600 --> 00:13:41,240
その後は小年だし
(*小年=旧暦12月23日または24日)

177
00:13:41,240 --> 00:13:43,200
その後は……

178
00:13:46,440 --> 00:13:48,440
阿絮

179
00:13:48,440 --> 00:13:50,320
私たちここにいよう

180
00:13:50,320 --> 00:13:53,360
もう幾日か留まっていようよ……

181
00:13:54,920 --> 00:13:56,960
周子舒:うん……

182
00:14:21,980 --> 00:14:25,560
張成嶺:……山河の異人 岐路を共す

183
00:14:25,560 --> 00:14:29,240
旧墳匿して跡を風雨が侵す

184
00:14:29,240 --> 00:14:32,800
命裏に風塵の侍するところなく

185
00:14:32,800 --> 00:14:37,240
清白に留め得る人間(じんかん)に蕩う……

186
00:14:39,600 --> 00:14:41,080
温客行:その通り

187
00:14:41,520 --> 00:14:44,680
押韻は端正にして 字体は風流

188
00:14:44,840 --> 00:14:47,800
張成嶺:前輩 今日のももう刻み終わりですね……

189
00:14:47,800 --> 00:14:50,360
温客行:お馬鹿さん 何を焦ってる?

190
00:14:50,360 --> 00:14:52,840
手間をかけるほど出来栄えもよくなる……

191
00:14:52,840 --> 00:14:55,680
君の師父の世話をしにいくから

192
00:14:55,680 --> 00:14:57,160
君は怠けるんじゃないぞ……

193
00:14:57,160 --> 00:14:58,160
張成嶺:あぁ

194
00:15:01,000 --> 00:15:06,440
(張成嶺):でも温前輩は墓誌銘を刻む時
あまりに集中しすぎて

195
00:15:06,440 --> 00:15:09,520
龍大前輩に書いてあげていることを
忘れてしまってるんじゃ……

196
00:15:09,520 --> 00:15:14,400
この内容と龍大前輩には少しも関係がないし……

197
00:15:14,400 --> 00:15:15,480
周子舒:張成──

198
00:15:15,480 --> 00:15:18,840
温客行:ああぁ 阿絮どうして出てきたの?

199
00:15:18,840 --> 00:15:21,080
あなたの怪我はまだよくなってない……

200
00:15:23,760 --> 00:15:25,520
周子舒:成嶺

201
00:15:26,120 --> 00:15:28,680
一度 流雲九宮歩をやって見せてみろ

202
00:15:28,880 --> 00:15:30,240
張成嶺:はい!

203
00:15:30,680 --> 00:15:34,480
流雲飛絮 九宮を踏む

204
00:15:37,600 --> 00:15:39,280
温客行:阿絮……

205
00:15:42,480 --> 00:15:47,200
周子舒:出て来ずに お前が彼の
練功を見てるのを当てにするのか?

206
00:15:47,760 --> 00:15:50,720
お前が彼を伴って共に
遊び呆けていなければ問題なかった……

207
00:15:50,800 --> 00:15:52,240
温客行:分かった分かった

208
00:15:52,240 --> 00:15:54,080
なら続きは私が見てる

209
00:15:54,080 --> 00:15:56,480
あなたはまず部屋に入って……

210
00:16:05,200 --> 00:16:09,680
(温客行):兵書に縁なき 棄剣とは何ぞ

211
00:16:10,720 --> 00:16:16,560
英雄自ら林淵に隠れるという

212
00:16:16,760 --> 00:16:21,520
──周子舒は年若いうちから江湖を漂っていて
打たれ強く、二日もするとピンピンしていた

213
00:16:21,520 --> 00:16:24,320
張成嶺:師父 本当に

214
00:16:24,320 --> 00:16:26,400
本当に動けませんよ……

215
00:16:27,320 --> 00:16:29,360
周子舒:ならそのまま剣技を練習しろ

216
00:16:30,640 --> 00:16:31,920
張成嶺:あぁぁ!

217
00:16:36,200 --> 00:16:38,000
温客行:阿絮

218
00:16:38,000 --> 00:16:40,280
あなたはこの数日休めただけだし

219
00:16:40,280 --> 00:16:41,840
もっと養生してよ

220
00:16:41,840 --> 00:16:43,360
周子舒:俺は平気だ

221
00:16:44,040 --> 00:16:48,120
この小僧も 荘内に長く
居すぎたからかどうか知らないが

222
00:16:48,120 --> 00:16:50,640
全身すっかりだらけきってる

223
00:16:50,640 --> 00:16:52,640
さっきの歩法を見てみろ──

224
00:16:53,120 --> 00:16:55,760
張成嶺:師父! 師父 間違ったのは分かってます

225
00:16:55,760 --> 00:16:58,840
わ 私はすぐに さらに倍の練習をします!

226
00:16:59,600 --> 00:17:01,160
周子舒:何を焦ってる?

227
00:17:05,640 --> 00:17:07,440
そうだ

228
00:17:07,440 --> 00:17:09,360
見る間に年の瀬だ

229
00:17:09,360 --> 00:17:10,920
今年はどう過ごす

230
00:17:10,920 --> 00:17:12,320
お前が準備するのか?

231
00:17:12,520 --> 00:17:13,720
温客行:……私が準備を?

232
00:17:13,720 --> 00:17:15,160
周子舒:そうでなけりゃ

233
00:17:15,160 --> 00:17:17,280
張成嶺にやらせるのか?

234
00:17:17,280 --> 00:17:19,400
幼い頃から甘やかされて育った坊っちゃんは

235
00:17:19,400 --> 00:17:21,720
動作がとろい──

236
00:17:21,720 --> 00:17:23,440
温客行:ならあなたは?

237
00:17:23,440 --> 00:17:24,960
周子舒:俺がどうした?

238
00:17:26,600 --> 00:17:29,040
温客行:……やる

239
00:17:32,020 --> 00:17:39,640
──この冬はあまりに寒く、蜀中でさえ
凍えてしまうほど人も動物も動くことが億劫で
周子舒は出て行くことを忘れてしまったようだった

240
00:17:49,840 --> 00:17:54,360
温客行:万相 刻面に匍匐し

241
00:17:54,880 --> 00:18:00,160
千緒 指尖に蹉跎たり

242
00:18:08,520 --> 00:18:12,640
張成嶺:前輩 私の先ほどの型 できてますよね?

243
00:18:12,640 --> 00:18:14,560
温客行:どうにかね……

244
00:18:15,840 --> 00:18:17,680
張成嶺:師父は何をしに行ったんですか?

245
00:18:17,680 --> 00:18:20,760
朝食後から見えないようですけど?

246
00:18:20,760 --> 00:18:23,680
温客行:年越しの用意を
点検しに行くと言っていたから

247
00:18:23,680 --> 00:18:25,320
心配いらない

248
00:18:25,720 --> 00:18:28,800
君の師父は打つを忘れ食うを忘れずに慣れてる
(*记吃不记打=教訓を忘れ利益だけ思い出す)

249
00:18:28,800 --> 00:18:30,880
私は彼を大事にして死ぬほど大事にしたけど

250
00:18:30,880 --> 00:18:32,080
彼ときたら

251
00:18:32,080 --> 00:18:33,720
毎日からかってみたり

252
00:18:33,720 --> 00:18:35,200
悪態をついてみたり

253
00:18:35,200 --> 00:18:37,760
それに手を変え品を変え君を振り回すこともできる

254
00:18:37,760 --> 00:18:43,240
一部の人はね 生まれながらにして
お上品な命じゃないんだ

255
00:18:45,320 --> 00:18:49,040
でも君は最近 随分積極的に練功して

256
00:18:49,040 --> 00:18:52,440
君の師父に訓練を受けても
恨み言の一つも言わないのは

257
00:18:52,440 --> 00:18:54,640
何か心配事でもあるの?

258
00:18:56,360 --> 00:18:57,880
張成嶺:私は

259
00:18:57,880 --> 00:19:02,440
恐らく師父の怪我が良くなったら
出て行くんですよね……

260
00:19:02,820 --> 00:19:06,360
温客行:来たばかりの頃は
まだここを訝しんでたじゃない?

261
00:19:06,360 --> 00:19:08,600
今はどうしてまた離れたくないの?

262
00:19:09,200 --> 00:19:10,480
張成嶺:だって

263
00:19:10,480 --> 00:19:12,640
ここにいるのは私たち三人だけで

264
00:19:12,640 --> 00:19:14,160
誰も命を懸ける必要はないし

265
00:19:14,160 --> 00:19:16,320
誰かに命を狙われて逃げる必要もありません

266
00:19:16,320 --> 00:19:20,600
せいぜい毎日練功でぼんやりして
師父に叱られるだけです……

267
00:19:20,600 --> 00:19:24,520
以前と比べると ここはまるで
俗世を離れた桃源郷のようです……

268
00:19:24,520 --> 00:19:29,000
師父とそれから温前輩とずっと
ここにいるのがとても嬉しい

269
00:19:29,680 --> 00:19:31,840
温客行:この坊主は……

270
00:19:32,680 --> 00:19:33,280
張成嶺:はっ

271
00:19:33,280 --> 00:19:35,240
温客行:これは──

272
00:19:35,880 --> 00:19:39,160
張成嶺:前輩 この傀儡荘って

273
00:19:39,160 --> 00:19:41,960
幾人分の食器がありましたっけ……

274
00:19:42,440 --> 00:19:44,680
師父 私たちの年越しにまだ使うんですよ!

275
00:19:44,680 --> 00:19:46,840
温客行:ねぇ阿絮 茶碗を置いて!

276
00:19:51,400 --> 00:19:54,800
風起つ霧の深くに碑文現ずる

277
00:19:54,800 --> 00:20:01,080
なお生魂に記す終の百年を

278
00:20:06,440 --> 00:20:15,520
──温谷主は自分で年夜飯を作る日が来るとは
思わなかったが、記念的な意味があると感じて
忙しく立ち働き、張成嶺には鶏を絞める指示をした

279
00:20:15,520 --> 00:20:17,920
張成嶺:お前は 動くな……

280
00:20:21,560 --> 00:20:22,960
動かないで

281
00:20:26,200 --> 00:20:29,160
温客行:坊主 何やってんの?

282
00:20:29,160 --> 00:20:32,080
私が苦労して年の品物を麓から運んで来たのに

283
00:20:32,080 --> 00:20:35,520
君は鶏とただ顔を見合わせるしかしてないの?

284
00:20:40,080 --> 00:20:42,600
張成嶺:前輩 私は……

285
00:20:42,600 --> 00:20:43,920
温客行:何だというの

286
00:20:43,920 --> 00:20:45,080
とっとと鶏を絞めなさい

287
00:20:45,080 --> 00:20:47,000
張成嶺:でも でも──

288
00:20:47,000 --> 00:20:50,600
温客行:まさか君はまだあの
大旦那みたいな師父を当てにしてるのか

289
00:20:50,600 --> 00:20:52,920
君は年夜飯を食べたくないの?
(*年夜饭=大晦日の年越し料理)

290
00:20:54,200 --> 00:20:56,320
やぁ 阿絮

291
00:20:56,320 --> 00:20:57,520
起きたの?

292
00:20:58,360 --> 00:21:00,400
張成嶺:おはようございます

293
00:21:00,720 --> 00:21:03,320
温客行:もういいから 早く鶏を絞めに行って

294
00:21:03,320 --> 00:21:06,840
張成嶺:でも前輩 私……それを絞めるのは……

295
00:21:06,840 --> 00:21:09,040
温客行:まさかそいつが君を絞めるの?

296
00:21:09,040 --> 00:21:10,320
さっさと行け

297
00:21:10,320 --> 00:21:12,120
鶏は早く煮込んで

298
00:21:12,120 --> 00:21:13,800
時間を掛けてこそ味が入る

299
00:21:13,800 --> 00:21:15,400
張成嶺:あぁ

300
00:21:15,400 --> 00:21:19,120
──周子舒は枯れ草を咥え、厨屋の
戸口にしゃがんで楽しそうに眺めていた

301
00:21:20,280 --> 00:21:21,560
張成嶺:鶏よ

302
00:21:21,560 --> 00:21:24,160
う 動くな

303
00:21:24,160 --> 00:21:26,440
ちょっと すぐ済むよ

304
00:21:26,440 --> 00:21:28,720
本当にすぐに──

305
00:21:31,800 --> 00:21:33,640
逃げないで!

306
00:21:34,160 --> 00:21:35,400
あぁぁ!

307
00:21:36,400 --> 00:21:37,920
私を啄いてる!

308
00:21:39,520 --> 00:21:40,040
あぁぁ!

309
00:21:40,040 --> 00:21:40,280
あぁぁ!

310
00:21:40,280 --> 00:21:41,560
母さま!

311
00:21:41,560 --> 00:21:42,800
啄かないで!

312
00:21:42,800 --> 00:21:44,160
やめて!

313
00:21:44,160 --> 00:21:46,400
周子舒:まだ少しも成長してないのか

314
00:21:46,400 --> 00:21:48,000
温客行:はぁ

315
00:21:48,480 --> 00:21:50,880
お手数ですが牛刀で鶏を絞めてきてくださいますか

316
00:21:50,880 --> 00:21:51,360
周子舒:俺が?

317
00:21:51,360 --> 00:21:52,240
張成嶺:師父お助けを!!!
周子舒:俺が?

318
00:21:52,240 --> 00:21:54,240
張成嶺:師父お助けを!!!
 

319
00:21:57,240 --> 00:22:00,120
周子舒:小僧 刀を寄越せ

320
00:22:05,240 --> 00:22:07,600
張成嶺:師父すごい!

321
00:22:08,560 --> 00:22:13,320
──彼は人を殺すのも動物を捌くのも手際が良く
腹を開く功夫は更に絶品だった

322
00:22:14,040 --> 00:22:15,480
周子舒:絞めたぞ

323
00:22:15,560 --> 00:22:17,000
温客行:阿絮

324
00:22:17,000 --> 00:22:19,080
あなたはまことに気立てがいい

325
00:22:19,280 --> 00:22:23,080
周子舒:上は廟堂 下は厨房の鬼主には敵わない
(*上得厅堂下得厨房=家事も仕事も完璧)

326
00:22:23,560 --> 00:22:25,440
温客行:阿絮 褒めすぎ

327
00:22:25,440 --> 00:22:28,280
もっと手伝って かまどの火を熾してよ

328
00:22:30,840 --> 00:22:33,040
周子舒:この傀儡は全く邪魔だな

329
00:22:36,440 --> 00:22:39,400
温客行:あの龍とかいう不孝者は
飯を作るのも傀儡を使ってたのか

330
00:22:40,280 --> 00:22:42,720
全く楽しみを知らなさ過ぎるね

331
00:22:42,720 --> 00:22:46,960
食というのは 必ず人の手で
作ったのを食べるからこそ

332
00:22:46,960 --> 00:22:49,120
精気があって風味がある

333
00:22:49,120 --> 00:22:51,920
それに愛情もあるかもしれない……

334
00:22:52,560 --> 00:22:54,320
あなたが夜に味わってみたら

335
00:22:54,320 --> 00:22:58,440
あなたのために心をこめて作る
年夜飯がいかに違うか分かるでしょ

336
00:22:58,440 --> 00:22:59,680
周子舒:チッ

337
00:23:02,880 --> 00:23:05,600
この火バサミはどう掴むんだ──

338
00:23:07,000 --> 00:23:10,120
温客行:そのかまどは愛情こめて
見つめ合うほど値打ちがあるの?

339
00:23:10,120 --> 00:23:12,080
さっさと火を熾して

340
00:23:12,660 --> 00:23:14,560
周子舒:……分かった

341
00:23:21,480 --> 00:23:23,960
どれだけ薪を放り込めばいいんだ?

342
00:23:23,960 --> 00:23:26,320
あとでまた薪を入れるのは面倒だ

343
00:23:26,320 --> 00:23:28,520
続けて詰め込んでおこう

344
00:23:41,560 --> 00:23:44,160
温客行:ケホケホ……

345
00:23:44,720 --> 00:23:46,000
どういう事?

346
00:23:46,000 --> 00:23:46,640
周子舒:そうだ

347
00:23:46,640 --> 00:23:48,000
温客行:どうして黒煙が立ってるんだ?

348
00:23:48,000 --> 00:23:49,760
周子舒:どうして煙が立つんだ?

349
00:23:53,240 --> 00:23:55,720
温客行:これはどれだけ薪をくべたの!

350
00:23:59,920 --> 00:24:03,000
アイヨご先祖さま 部屋を焼くつもり?!

351
00:24:03,000 --> 00:24:04,800
周子舒:こ……この薪が悪い

352
00:24:04,800 --> 00:24:08,880
こんなに煙が出るのは 大概湿りすぎてるからだ

353
00:24:10,720 --> 00:24:13,440
温客行:……分かった分かった 行けそうだから

354
00:24:13,440 --> 00:24:14,920
さっさとお引取りになって

355
00:24:14,920 --> 00:24:17,480
やるよ 私がやればいいからね!

356
00:24:17,480 --> 00:24:18,720
あなたとあなたのお弟子さんはさっさと
出て行ってご馳走をお待ちくださいな

357
00:24:18,720 --> 00:24:20,280
周子舒:俺は──
あなたとあなたのお弟子さんはさっさと
出て行ってご馳走をお待ちくださいな

358
00:24:20,280 --> 00:24:20,840
あなたとあなたのお弟子さんはさっさと
出て行ってご馳走をお待ちくださいな

359
00:24:20,840 --> 00:24:22,280
温客行:さあ行った行った

360
00:24:31,680 --> 00:24:38,120
──暗くなると外はますます寒くなり
北西の風は窓に吹き付けていた

361
00:24:50,080 --> 00:24:52,080
張成嶺:料理が揃いました!

362
00:24:52,080 --> 00:24:56,080
──部屋には幾つか火鉢があって暖かく
温めた酒の香りが広がってきた

363
00:24:56,080 --> 00:24:58,760
温客行:阿絮 味見してみて

364
00:24:58,760 --> 00:25:00,040
周子舒:ん

365
00:25:00,800 --> 00:25:02,360
温客行:どうかな?

366
00:25:03,760 --> 00:25:05,360
周子舒:悪くない

367
00:25:06,320 --> 00:25:08,320
温客行:──ん? 坊主

368
00:25:08,320 --> 00:25:09,280
どうしたんだ?

369
00:25:09,280 --> 00:25:11,880
張成嶺:あ……なんでも……

370
00:25:11,880 --> 00:25:15,800
ただ こんなに色々な事が起こって

371
00:25:15,920 --> 00:25:19,920
まさか師父と温前輩と一緒に
年越しできるとは思わなかったので

372
00:25:24,200 --> 00:25:26,640
温客行:お馬鹿さん

373
00:25:26,640 --> 00:25:28,040
早く食べよう

374
00:25:28,040 --> 00:25:29,720
私の腕前を味わって

375
00:25:29,920 --> 00:25:31,160
張成嶺:うん!

376
00:25:35,920 --> 00:25:38,120
(周子舒):正月か……

377
00:25:44,240 --> 00:25:47,120
正月とは人々が一年苦労を重ね

378
00:25:47,120 --> 00:25:49,720
春節には世情が安定してることを願い

379
00:25:49,720 --> 00:25:53,080
一家全員がちゃんと家に帰って
団らんできることを願う──

380
00:25:55,440 --> 00:25:57,480
生きるのは易しくない

381
00:25:57,480 --> 00:25:59,000
望んでみても

382
00:25:59,000 --> 00:26:01,520
内心悔しい思いをしないこともない

383
00:26:01,960 --> 00:26:04,040
ただ幾千年もこのように過ごし

384
00:26:04,040 --> 00:26:06,560
これしきの悔しさは骨の内に沈み込んで

385
00:26:06,560 --> 00:26:09,400
もう顕山露水することはない
(*不显山不露水=山や水を際立たせない、ひけらかさない、喧伝しない)

386
00:26:13,640 --> 00:26:16,880
ただ正月のこの一日だけはたちまち開放され

387
00:26:16,880 --> 00:26:19,000
ぱらぱらと敷いた爆竹で

388
00:26:19,000 --> 00:26:21,200
大きな音を鳴らす

389
00:26:21,520 --> 00:26:24,400
普段では食べるのさえ惜しいものを持ってきて

390
00:26:24,400 --> 00:26:27,120
しっかり自分を労ってやる

391
00:26:28,320 --> 00:26:32,480
一年の始めにそんな放縦を楽しめば

392
00:26:33,280 --> 00:26:35,320
たとえ困難が待っていても

393
00:26:35,640 --> 00:26:37,720
家族がいる限り

394
00:26:37,720 --> 00:26:39,840
この年も変わらずに過ごしていける

395
00:26:40,120 --> 00:26:42,560
張成嶺:温前輩 この菜は本当に美味しいです!

396
00:26:42,560 --> 00:26:44,240
温客行:それは

397
00:26:44,240 --> 00:26:46,520
私が君の師父のために特に心を込めて作ったんだ

398
00:26:46,520 --> 00:26:47,960
周子舒:チッ──
私が君の師父のために特に心を込めて作ったんだ

399
00:26:47,960 --> 00:26:48,600
私が君の師父のために特に心を込めて作ったんだ

400
00:26:51,200 --> 00:26:53,440
(周子舒):例年この時期は

401
00:26:53,880 --> 00:26:58,920
いつも京城の望月河で月娘の歌を聞いていた

402
00:26:59,640 --> 00:27:04,840
金吾は戒めを解き 繁華を極め尽くす
(*金吾不禁=夜警が警戒を緩める《西都雑記》)

403
00:27:08,440 --> 00:27:09,600
周子舒:ん?

404
00:27:09,600 --> 00:27:11,600
温客行:ね 食べ物食べて

405
00:27:11,600 --> 00:27:13,520
酒飲み

406
00:27:13,960 --> 00:27:19,640
──これまで奪わずば喜ばずの人だった
温客行が、柔らかい笑顔で菜を碗に入れると
彼はそっと心の琴線を弾かれた気がした

407
00:27:19,640 --> 00:27:22,520
(周子舒):ただあの いわゆる
数十年ものの上等の旨い酒は

408
00:27:22,520 --> 00:27:24,160
どうやら

409
00:27:24,160 --> 00:27:27,240
この時この手中にもう香りはない

410
00:27:28,400 --> 00:27:29,840
周子舒:ん

411
00:27:32,440 --> 00:27:37,360
温客行:それにしても本当に この人生で
最も年らしい年を過ごせてるよ

412
00:27:37,720 --> 00:27:39,960
張成嶺:温前輩

413
00:27:42,080 --> 00:27:44,160
温客行:例年今日は

414
00:27:44,160 --> 00:27:50,400
ただ鈴生りの 機嫌を取るか或いは
寝首を掻こうとする者の対応をして

415
00:27:50,400 --> 00:27:52,880
その後は顧湘と二人で

416
00:27:52,880 --> 00:27:56,680
そういう意味で 何杯か酒を飲んでも

417
00:27:56,680 --> 00:27:59,240
彼女とは何も話すことがないし

418
00:27:59,240 --> 00:28:02,920
何となくまた一年を過ごすしかない

419
00:28:08,600 --> 00:28:10,280
家がなければ

420
00:28:10,280 --> 00:28:12,440
何が正月なんだ?

421
00:28:12,440 --> 00:28:15,240
自ら惨めになるだけだ

422
00:28:16,720 --> 00:28:21,000
張成嶺:前輩 今年は師父と私が共にいます……

423
00:28:21,600 --> 00:28:25,800
周子舒:お前のあの 紅……藍顔の知己は?

424
00:28:27,120 --> 00:28:28,560
温客行:阿絮

425
00:28:28,560 --> 00:28:30,800
こんなちゃんとした正月なのに

426
00:28:30,800 --> 00:28:32,200
むやみに酢を飲まないで

427
00:28:32,200 --> 00:28:33,680
周子舒:誰が……

428
00:28:35,240 --> 00:28:41,600
──周子舒は酒を引っ掛けようとしたが
結局惜しくなり何度もためらった後
自分の口に放り込んだ

429
00:28:47,840 --> 00:28:49,000
温客行:坊主

430
00:28:49,320 --> 00:28:51,920
食べ終わったら 爆竹に火を点けるかい?

431
00:28:52,080 --> 00:28:52,840
張成嶺:あるの?

432
00:28:52,840 --> 00:28:53,880
温客行:あるよ!

433
00:28:53,880 --> 00:28:56,080
年越しの荷物の中に……

434
00:28:56,440 --> 00:28:58,920
あ! 食べ終わってから遊べ──

435
00:28:58,920 --> 00:29:00,000
おい! 坊主!

436
00:29:00,000 --> 00:29:01,440
張成嶺:お腹いっぱいです!

437
00:29:03,920 --> 00:29:06,320
張成嶺:師父! 前輩! 本当に爆竹があります!

438
00:29:06,320 --> 00:29:08,720
それに花火がたくさん──

439
00:29:09,520 --> 00:29:10,560
温客行:行ってみる?

440
00:29:10,560 --> 00:29:11,920
周子舒:ん

441
00:29:16,280 --> 00:29:19,880
──周子舒は階段に座り、温客行も座った

442
00:29:19,880 --> 00:29:21,080
温客行:また飲んでる!

443
00:29:21,080 --> 00:29:22,240
周子舒:チッ

444
00:29:22,240 --> 00:29:23,280
酒杯を返せ……

445
00:29:23,280 --> 00:29:24,480
温客行:ダメ

446
00:29:24,480 --> 00:29:29,600
──彼の酒杯を奪うとわざと彼と同じところに
口を付けて残りの酒を飲み、まだ
物足りないとばかりに杯の口を舐め尽くした

447
00:29:29,600 --> 00:29:31,200
温客行:やっぱり……

448
00:29:31,200 --> 00:29:33,880
独特の風味があるね

449
00:29:33,880 --> 00:29:35,600
周子舒:お前……

450
00:29:36,040 --> 00:29:38,080
自分の湯呑みはないのか?

451
00:29:39,480 --> 00:29:41,400
温客行:阿絮……

452
00:29:42,160 --> 00:29:43,760
周子舒:何してるんだ

453
00:29:44,160 --> 00:29:46,560
また悪巧みか何かを思いついたのか?

454
00:29:46,820 --> 00:29:48,880
温客行:じっとして……

455
00:29:50,020 --> 00:29:52,520
どうしてこんなに手が冷たいの

456
00:29:55,240 --> 00:29:57,280
暖めてあげよう

457
00:29:57,280 --> 00:30:00,520
──温客行は彼の手を握ると、懐に引き入れた

458
00:30:01,360 --> 00:30:06,800
周子舒は彼を見ようとしなかったが
耳の付け根が少し熱くなったのを感じた

459
00:30:07,160 --> 00:30:10,440
張成嶺:師父! 温前輩! 点火しますよ!

460
00:30:17,080 --> 00:30:19,280
温客行:この年は

461
00:30:19,280 --> 00:30:22,880
まことにこの一生で最も楽しいものだった

462
00:30:55,320 --> 00:31:01,620
──冬が過ぎ、暖かくともまだ少し寒い時期は
草木の清々しい香りにも僅かに寒さが滲む

463
00:31:02,380 --> 00:31:08,520
一層暖かくなった幾千の大山に囲まれた蜀中では
温谷主が周子舒と布団と奪い合っていた

464
00:31:08,520 --> 00:31:10,080
温客行:阿絮……

465
00:31:10,080 --> 00:31:13,080
周子舒:俺はわざわざお前のために
部屋を成嶺に片付けさせたんだ

466
00:31:13,080 --> 00:31:14,920
どうしてまた来たんだ

467
00:31:14,920 --> 00:31:16,880
(周子舒):年の始めから

468
00:31:16,880 --> 00:31:20,800
温とかいうインチキ膏薬は牀に居座りに
来るのに 己の掛け布団さえ持って来ず

469
00:31:20,800 --> 00:31:25,160
何を言うやら“布衾多年 冷たきこと鉄に似たり”だと
(《茅屋為秋風所破歌》杜甫)

470
00:31:25,160 --> 00:31:26,320
周子舒:布団を返せ!

471
00:31:26,320 --> 00:31:28,760
(周子舒):もうすぐ啓蟄だというのに──
(*惊蛰=3月6日頃、旧暦2月頭)

472
00:31:28,760 --> 00:31:30,000
全く放り出すにも放り出せない

473
00:31:30,000 --> 00:31:32,000
温客行:あの部屋にはうちの阿絮がいないんだから

474
00:31:32,000 --> 00:31:33,520
私は行かない!

475
00:31:33,520 --> 00:31:37,680
──ボロボロの布団を二人で引っ張り合い
おおよそ沾衣十八跌の接近戦の全ての武芸を試した

476
00:31:37,680 --> 00:31:39,360
周子舒:お前な……

477
00:31:39,360 --> 00:31:42,240
──最後には布団がいらないほど汗をかいた

478
00:31:42,240 --> 00:31:44,620
周子舒:お前は全く ますます厚顔無恥に──

479
00:31:44,620 --> 00:31:47,840
──百十数手の後、温客行は片手で布団を
抱え、もう片手で周子舒の腕を枕に押し付けた

480
00:31:47,840 --> 00:31:48,960
温客行:阿絮

481
00:31:48,960 --> 00:31:50,600
早く牀に上がって

482
00:31:50,600 --> 00:31:51,760
夜風は寒い

483
00:31:51,760 --> 00:31:54,800
私が抱いて寝るから 寒くないって保証する

484
00:31:58,560 --> 00:32:01,360
周子舒:ふん 俺の手を押さえるな

485
00:32:01,360 --> 00:32:03,320
俺の上からどけ!

486
00:32:07,360 --> 00:32:09,480
周子舒:お前は一に香らず二に硬く

487
00:32:09,480 --> 00:32:12,000
胸に並んでるくそったれは肋板(ろくばん)だ
(*肋板=船の底の梁板)

488
00:32:12,000 --> 00:32:15,240
抱くならお前より牀板(しょうばん)のがましだ

489
00:32:15,240 --> 00:32:16,920
温客行:でたらめだ!

490
00:32:16,920 --> 00:32:19,000
私は肋板じゃない

491
00:32:19,000 --> 00:32:20,560
信じられないなら触って!

492
00:32:21,120 --> 00:32:22,360
どんな感じ?

493
00:32:22,360 --> 00:32:24,600
とても充実してない?

494
00:32:24,920 --> 00:32:26,480
アイヨ!

495
00:32:26,480 --> 00:32:29,040
──周子舒は膝を蹴って、まるで
汚い物を触ったかのように手を振り払った

496
00:32:29,320 --> 00:32:31,920
温客行:まことに奇妙なことは毎年あって

497
00:32:31,920 --> 00:32:34,240
上手くありつかれても気にしないのに

498
00:32:34,240 --> 00:32:37,760
ありつく方のあなたが 意外にも
こんな闇雲にしゃちほこ張ってる

499
00:32:39,200 --> 00:32:41,960
一般にこの手の状況下では……

500
00:32:41,960 --> 00:32:43,760
周子舒:この牀がお前のなら

501
00:32:43,760 --> 00:32:45,560
俺は成嶺に片付けさせたお前の──

502
00:32:45,560 --> 00:32:50,800
──布団を抱えていた彼の手が怪しく弧を描いて
肩に乗ると、周子舒は肩を沈め肘を曲げて外した

503
00:32:51,080 --> 00:32:53,620
突然、半身が麻痺したように感じて倒れ込んだ

504
00:32:53,620 --> 00:32:55,640
ちょうど温客行が懐を広げて待っていた

505
00:32:55,640 --> 00:32:57,360
温客行:一般にこの手の状況は

506
00:32:57,360 --> 00:33:00,320
全て 欲求不満を見透かされるのを恐れてるのです
(*做贼心虚=悪い事をして後ろめたい)

507
00:33:00,320 --> 00:33:03,640
ほら 自ら懐に飛び込んで来たじゃない?

508
00:33:03,920 --> 00:33:05,960
(周子舒):瓜子の殻……

509
00:33:05,960 --> 00:33:08,120
なぜ夜寝る時でさえ

510
00:33:08,120 --> 00:33:10,680
いつでも暗器になる瓜子の殻を身に着けて

511
00:33:10,680 --> 00:33:12,720
他人を急襲する必要があるんだ……

512
00:33:12,920 --> 00:33:14,480
温客行:私を見てどうしたの

513
00:33:14,480 --> 00:33:16,320
実はまだ胡桃もある

514
00:33:16,320 --> 00:33:18,680
だけどそれは人にぶつけると痛すぎるから

515
00:33:18,680 --> 00:33:20,800
食べない?

516
00:33:21,360 --> 00:33:23,040
周子舒:どうした

517
00:33:23,040 --> 00:33:24,640
俺を抱いて放さないのは

518
00:33:24,640 --> 00:33:28,400
もしや やはり夜伽するつもりか?

519
00:33:29,480 --> 00:33:32,200
温客行:願ってもない

520
00:33:33,080 --> 00:33:34,680
周子舒:おい……

521
00:33:35,000 --> 00:33:38,840
──温客行は彼を体ごと布団に巻き込んで
肩を押さえていた手で下衣の縁に沿ってまさぐった

522
00:33:38,840 --> 00:33:43,940
京城を離れ江湖に入ってから、彼の体には傷があり
事件が次々と起こりそれどころでなく、また
周子舒はあまり人と親しくしたことがなかったので

523
00:33:43,940 --> 00:33:46,840
温客行が軽くその気にさせると、彼の体は
火がついたように暴走しそうになった

524
00:33:46,840 --> 00:33:49,360
周子舒は彼の手首を掴んで歯ぎしりした

525
00:33:49,360 --> 00:33:51,160
温客行:阿絮

526
00:33:51,160 --> 00:33:53,360
私に任せてくれないのに

527
00:33:53,360 --> 00:33:55,240
点穴が解けていないふりをしてたの?

528
00:33:55,240 --> 00:33:58,200
周子舒:谷主のご厚意 私はやはり……

529
00:33:58,200 --> 00:34:00,240
ご 辞 退 申し上げる

530
00:34:00,240 --> 00:34:02,160
温客行:遠慮なんて

531
00:34:02,160 --> 00:34:04,000
それは違う

532
00:34:04,000 --> 00:34:07,560
辞退は却って失礼です

533
00:34:08,720 --> 00:34:11,120
周子舒:実のところ恐縮している

534
00:34:11,120 --> 00:34:11,640
温客行:はっ

535
00:34:11,640 --> 00:34:13,080
周子舒:小僧?

536
00:34:13,080 --> 00:34:19,640
──周子舒が温客行を押しのけ外衣を羽織って
出ていくと、温客行は五指を鼻先に近づけ
うっとり吸い込んでからゆっくり隣室へ向かった

537
00:34:20,260 --> 00:34:21,680
張成嶺:ダ ダメだ……

538
00:34:21,680 --> 00:34:22,040
周子舒:小僧

539
00:34:22,040 --> 00:34:22,640
張成嶺:やめろ……
周子舒:小僧

540
00:34:22,640 --> 00:34:22,840
張成嶺:やめろ……
 

541
00:34:22,840 --> 00:34:23,260
張成嶺:やめろ……
周子舒:小僧

542
00:34:23,260 --> 00:34:24,240
周子舒:小僧

543
00:34:24,240 --> 00:34:25,200
張成嶺!

544
00:34:25,200 --> 00:34:26,960
張成嶺:殺さないで!

545
00:34:27,600 --> 00:34:29,200
周子舒:張成嶺!

546
00:34:32,040 --> 00:34:34,760
張成嶺:師 師父

547
00:34:34,760 --> 00:34:36,360
温前輩……

548
00:34:37,240 --> 00:34:39,400
周子舒:……一先ず横になれ

549
00:34:39,400 --> 00:34:43,880
──彼の頭を撫でてから
彼を押し留め布団を引っ張り上げた

550
00:34:43,880 --> 00:34:45,560
周子舒:寝ろ

551
00:34:45,560 --> 00:34:47,320
俺がここにいる

552
00:34:49,000 --> 00:34:50,840
張成嶺:師父

553
00:34:50,840 --> 00:34:52,800
夢を見たんです……

554
00:34:52,800 --> 00:34:56,080
全身をしっかりと包んだ一人の男が

555
00:34:56,080 --> 00:34:59,520
手にした一振りの刀を 母上の首に突きつけ

556
00:34:59,520 --> 00:35:02,240
父上に“物はどこだ”と問い詰めていました

557
00:35:02,600 --> 00:35:05,160
もしかしてこれって……

558
00:35:05,720 --> 00:35:08,840
温客行:その男はどんな顔で どんな特徴があった?

559
00:35:15,840 --> 00:35:19,840
張成嶺:夢の中でははっきり見えなくて……

560
00:35:22,680 --> 00:35:25,040
周子舒:ならばその者の手指は

561
00:35:25,040 --> 00:35:28,920
五本だったか それとも
四本だったかは見えなかったか?

562
00:35:31,960 --> 00:35:35,280
張成嶺:思い出せない……

563
00:35:39,320 --> 00:35:41,320
周子舒:大丈夫だ

564
00:35:41,560 --> 00:35:43,660
寝ろ……

565
00:35:44,120 --> 00:35:45,560
張成嶺:うん……

566
00:36:17,160 --> 00:36:21,880
周子舒:俺たちはもう十分長いこと
この傀儡荘に留まっていた

567
00:36:22,960 --> 00:36:24,840
戻るべきだな

568
00:36:25,600 --> 00:36:30,400
──温客行は突然後ろから彼に抱きついて
顔を彼の肩に当てた

569
00:36:30,400 --> 00:36:32,520
温客行:この日々は

570
00:36:33,040 --> 00:36:35,680
まるで束の間の楽しい夢のようだった……

571
00:36:37,000 --> 00:36:40,640
だけどどうしてこんなにすぐに覚めてしまうのかな

572
00:36:52,780 --> 00:36:57,320
《天涯尋春》

573
00:36:57,320 --> 00:37:00,640
歌:柯暮卿

574
00:37:12,880 --> 00:37:18,400
“客行天涯谁敌谁友”
(天涯の客行 誰が敵で友なのか)

575
00:37:19,280 --> 00:37:25,000
“十载烟云一杯酒”
(雲烟る十年に一杯の酒)

576
00:37:25,760 --> 00:37:31,020
“身似飞絮过江南锦绣”
(飛絮のごとき身で江南錦繍を過れば)

577
00:37:31,020 --> 00:37:34,520
“冰销后 花月遥对平江柳”
(氷の融けたる後 花月遥か対う柳の平江)

578
00:37:34,520 --> 00:37:36,480
温客行:そうじゃなく……
“冰销后 花月遥对平江柳”
(氷の融けたる後 花月遥か対う柳の平江)

579
00:37:36,480 --> 00:37:37,880
温客行:もう所帯持ちでしょ?
“冰销后 花月遥对平江柳”
(氷の融けたる後 花月遥か対う柳の平江)

580
00:37:37,880 --> 00:37:38,200
温客行:もう所帯持ちでしょ?
 
 

581
00:37:38,200 --> 00:37:39,760
温客行:周相公
 

582
00:37:40,120 --> 00:37:41,800
周子舒:そんなとこまで管理か

583
00:37:41,800 --> 00:37:43,800
お前は俺の嫁か?

584
00:37:44,440 --> 00:37:45,720
温客行:阿絮

585
00:37:46,200 --> 00:37:49,920
見えないけど あなたにはまだこんな能力がある

586
00:37:50,840 --> 00:37:52,440
周子舒:温娘子

587
00:37:52,440 --> 00:37:54,960
お前は本当に人をムカつかせる






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