小劇場 - 洞庭
1
00:00:12,160 --> 00:00:14,360
給仕:お客さま こちらへどうぞ
2
00:00:14,800 --> 00:00:17,680
お二階の別室でしたら 静かです
3
00:00:17,680 --> 00:00:19,120
周子舒:必要ない
4
00:00:20,280 --> 00:00:22,280
窓際のここにしよう
5
00:00:24,920 --> 00:00:27,840
黄酒一壺と 松茸と芦笋をもう一度
(*芦笋=アスパラガス)
6
00:00:27,840 --> 00:00:30,120
落花生の煮染め一皿 橙の蒸し餅一つ
7
00:00:30,120 --> 00:00:31,480
すまんが急いでくれ
8
00:00:31,480 --> 00:00:32,560
給仕:はいな!
9
00:00:34,920 --> 00:00:39,520
(周子舒):高家がくれた錦の袍を着ると
やはり人を特別高貴に見せる
10
00:00:40,240 --> 00:00:42,640
店の給仕ですら大いに積極的だ
11
00:00:42,640 --> 00:00:47,120
しかし この七竅三秋釘に吸い取られた身体では
12
00:00:47,680 --> 00:00:49,720
この衣服にもう堪えられない
13
00:00:49,720 --> 00:00:52,200
まるで立派な布を被った骨組みだ
14
00:00:53,280 --> 00:00:56,520
龍袍を着たところで 全く太子には見えんだろう
(*龙袍=皇帝の御衣)
15
00:01:00,560 --> 00:01:02,560
給仕:お客さまの菜です
16
00:01:03,360 --> 00:01:06,000
こちらがお酒です ごゆっくり
17
00:01:10,440 --> 00:01:13,680
江湖人1:この野郎どこの出だ
どこの門派か名乗ってみろ!
18
00:01:13,680 --> 00:01:15,320
江湖人2 :お前にその価値が?
19
00:01:15,320 --> 00:01:17,920
給仕:ああ お二方 傷付けないで仲良くしましょう
20
00:01:17,920 --> 00:01:19,400
万事和を以て貴しとなすです……
21
00:01:19,400 --> 00:01:21,840
こちらにも商売がありますんで
22
00:01:21,840 --> 00:01:24,640
端に寄って入り口の出入りを
お譲りいただけませんか……
23
00:01:24,640 --> 00:01:25,640
江湖人1:失せろ!
24
00:01:25,640 --> 00:01:29,280
(周子舒):この数日は無数の江湖の人物が
洞庭になだれ込んで
25
00:01:29,280 --> 00:01:32,960
三教九流 至る所で諍いが避けられない
26
00:01:34,240 --> 00:01:38,280
これを除いても 各大門派の代表が続々とやって来て
27
00:01:38,280 --> 00:01:41,120
洞庭湖畔は姻戚大会になっている
28
00:01:41,120 --> 00:01:45,080
会えば互いに称賛し合って 誰もが正道の光だ
29
00:01:45,080 --> 00:01:47,760
すっかり耳にたこができた──
30
00:01:48,960 --> 00:01:53,600
全くこんな退屈な時に あの温の奴は神出鬼没と来た
31
00:01:54,200 --> 00:01:58,160
耳元に喧しいのがないのも……
いささか馴染まない
32
00:02:02,240 --> 00:02:07,080
──彼は窓辺で日向ぼっこをしながら
ゆっくりと飲んだ
33
00:02:18,120 --> 00:02:20,080
給仕:お一人さま!
34
00:02:20,080 --> 00:02:22,320
お客さま こちらへどうぞ……
35
00:02:22,320 --> 00:02:23,440
温客行:人を捜してる
36
00:02:23,440 --> 00:02:24,040
給仕:はい
37
00:02:24,040 --> 00:02:26,440
あぁ 窓辺のあちらのお客ですね……
38
00:02:26,440 --> 00:02:27,560
どうぞご自由に
39
00:02:29,160 --> 00:02:32,280
──温客行が入っていくと彼の背中が見えた
40
00:02:32,280 --> 00:02:36,320
多くの人の中でいつでも彼を見つけることができた
41
00:02:36,600 --> 00:02:38,840
(温客行):また日向ぼっこして……
42
00:02:40,000 --> 00:02:41,640
周子舒:私がいつ乞食だと言った?
43
00:02:42,080 --> 00:02:44,840
壁の隅を陣取って日向ぼっこしてるだけだ
44
00:02:44,840 --> 00:02:47,080
私は首まで黄土に埋まった人間だ
45
00:02:47,080 --> 00:02:50,660
酒を飲む以外 あとは飯を食らって死を待つだけなら
46
00:02:50,660 --> 00:02:53,080
日向ぼっこでなく何をする?
47
00:02:57,320 --> 00:02:58,720
良い酒だ
48
00:03:04,520 --> 00:03:09,320
(温客行):この人はどこにいようとも
座る姿はまるで自由気ままだ
49
00:03:09,320 --> 00:03:13,400
背中は普通の人のように
いつも伸びているわけではないが
50
00:03:13,400 --> 00:03:18,680
たいてい ただ張ってない弓が
優雅さを損なわない弧を描いているだけで
51
00:03:18,680 --> 00:03:21,200
ゆったりと自由で……
52
00:03:21,200 --> 00:03:24,480
まるで心の中に何もないようだ
53
00:03:24,480 --> 00:03:26,840
周子舒:兄さん 一壺酒おかわりを
54
00:03:26,840 --> 00:03:28,080
給仕:あぁ はいな!
55
00:03:32,280 --> 00:03:34,040
(温客行):彼のこの様子は
56
00:03:34,040 --> 00:03:37,560
まるで私のこの四方を駆けずり回る様を
嘲笑ってるようだ──
57
00:03:38,080 --> 00:03:40,400
明らかに心は多くの事を抑えているのに
58
00:03:40,400 --> 00:03:43,600
却ってどうでもいい風に
装わなければならない私を──
59
00:03:44,800 --> 00:03:46,880
給仕:お客さまお酒でございます
60
00:03:47,400 --> 00:03:49,120
(温客行):周絮……
61
00:03:49,840 --> 00:03:54,120
人 浮草の如く 身は柳絮の如し
62
00:03:56,080 --> 00:03:58,760
人々:お客さん これは店の新物の桂花酒です
63
00:03:58,760 --> 00:04:02,040
人々:数日前の歌の娘さんはどうして来てない?
(温客行):世の有り様は果てなく広がる 三山六水
(*三山六水=山が三割水が六割人の生活は残りのほんの一割にすぎない)
64
00:04:02,040 --> 00:04:02,480
人々:数日前の歌の娘さんはどうして来てない?
(温客行):どのような人が決然とその身一つで
何にも動じずに天地の間(はざま)を行けるのか
(*满不在乎=全く気にしない様子《執政府大屠殺記》)
65
00:04:02,480 --> 00:04:05,800
人々:この新鮮な鮎は本当に美味いぞ
(温客行):どのような人が決然とその身一つで
何にも動じずに天地の間(はざま)を行けるのか
(*满不在乎=全く気にしない様子《執政府大屠殺記》)
66
00:04:05,800 --> 00:04:08,480
人々:坊やこっち来て
(温客行):どのような人が決然とその身一つで
何にも動じずに天地の間(はざま)を行けるのか
(*满不在乎=全く気にしない様子《執政府大屠殺記》)
67
00:04:08,480 --> 00:04:10,760
人々:この子は食べたのを全部服に……
(温客行):何も心に留めず 何にも急かされずに?
68
00:04:10,760 --> 00:04:12,760
(温客行):何も心に留めず 何にも急かされずに?
69
00:04:22,700 --> 00:04:23,760
周子舒:おい……
70
00:04:23,760 --> 00:04:26,160
温客行:周兄どうして一人で飲んでるんです
71
00:04:26,160 --> 00:04:29,440
私がいなくて 少し寂しかったのでは?
72
00:04:29,440 --> 00:04:31,120
私が恋しかった?
73
00:04:35,640 --> 00:04:37,120
このお酒は
74
00:04:37,520 --> 00:04:40,240
まあまあってところですね
75
00:04:40,960 --> 00:04:43,600
周子舒:兄さん 良い酒に換えてくれ
76
00:04:43,600 --> 00:04:45,640
お勧めの菜をもう二つ
77
00:04:45,640 --> 00:04:48,040
勘定は彼に付けてくれ
78
00:04:48,040 --> 00:04:49,040
給仕:はいな!
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