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第十集

1
00:00:04,820 --> 00:00:07,180
給仕:お客さま ご休憩ですかお泊まりですか

2
00:00:07,180 --> 00:00:08,140
はいなはいな

3
00:00:08,140 --> 00:00:09,840
酒楼の客:数泊したいんだが

4
00:00:10,140 --> 00:00:13,540
今日はせっかくの集まりですから
皆でゆっくり いただこう!

5
00:00:13,540 --> 00:00:15,460
兄さん 酒を!

6
00:00:17,140 --> 00:00:18,660
琴師:ありがとう

7
00:00:18,660 --> 00:00:19,060
給仕:お料理です お客さまごゆっくり

8
00:00:19,060 --> 00:00:21,140
酒楼の客:さあ 飲もう
給仕:お料理です お客さまごゆっくり

9
00:00:21,140 --> 00:00:21,340
酒楼の客:さあ 飲もう
曹蔚寧:……曰く 菊花の香り苦寒より来たり……

10
00:00:21,340 --> 00:00:22,760
琴師:お慈悲に感謝を
曹蔚寧:……曰く 菊花の香り苦寒より来たり……

11
00:00:22,760 --> 00:00:25,320
曹蔚寧:……曰く 菊花の香り苦寒より来たり……

12
00:00:25,320 --> 00:00:26,900
顧湘:違うよ曹兄さん

13
00:00:26,900 --> 00:00:28,640
菊の花は秋に咲くんだ

14
00:00:28,640 --> 00:00:30,900
秋がそんなに寒いのか?

15
00:00:31,960 --> 00:00:34,380
曹蔚寧:詩を詠む人の大半は無病呻吟して
(*无病呻吟=大げさに芸術を語る)

16
00:00:34,380 --> 00:00:35,100
仕事もせず
(*不事稼穑=野良仕事をしない)
 

17
00:00:35,100 --> 00:00:35,620
琴師:ありがとうございます
仕事もせず
(*不事稼穑=野良仕事をしない)
 

18
00:00:35,620 --> 00:00:36,700
琴師:ありがとうございます
曹蔚寧:皆 暇を持て余して
部屋で風月を吟弄する輩で
(*吟风弄月=つまらない詩を作ること)

19
00:00:36,700 --> 00:00:39,260
曹蔚寧:皆 暇を持て余して
部屋で風月を吟弄する輩で
(*吟风弄月=つまらない詩を作ること)

20
00:00:39,260 --> 00:00:42,400
菊の花がどの季節に咲くかも分かってないんだ

21
00:00:42,400 --> 00:00:43,180
琴師:お慈悲に感謝を
菊の花がどの季節に咲くかも分かってないんだ

22
00:00:43,180 --> 00:00:44,180
琴師:お慈悲に感謝を
顧湘:あぁ

23
00:00:44,180 --> 00:00:44,560
顧湘:あぁ

24
00:00:44,780 --> 00:00:47,420
やっぱりクソ暇な本の虫連中は

25
00:00:47,420 --> 00:00:48,980
なんにも分かってないんだな

26
00:00:49,900 --> 00:00:51,700
張成嶺:はぁ

27
00:00:51,700 --> 00:00:54,460
師父と温前輩が出ていってだいぶ経ったのに

28
00:00:54,460 --> 00:00:56,620
どうして戻って来ないんだろう……

29
00:00:56,620 --> 00:00:57,260
琴師:はぃっ!

30
00:00:57,260 --> 00:00:58,220
顧湘:避けろ

31
00:00:58,220 --> 00:00:59,340
張成嶺:あぁ!

32
00:01:00,040 --> 00:01:02,260
──顧湘に後ろ襟を引っ張っられ
温かい血が彼の顔に掛かった

33
00:01:02,260 --> 00:01:03,780
琴師:あぁぁ!

34
00:01:03,780 --> 00:01:05,460
──足元には琴師の片手が落ちていた

35
00:01:05,460 --> 00:01:07,980
顧湘は愛らしい顔を殺伐とさせ
手にした匕首からは血が滴り落ちていた

36
00:01:07,980 --> 00:01:09,220
曹蔚寧:逃げてった?

37
00:01:09,220 --> 00:01:11,260
どうして突然 張小兄弟を攻撃したんだ?

38
00:01:11,260 --> 00:01:12,900
顧湘:ここに留まるのは良くない

39
00:01:12,900 --> 00:01:14,540
行くぞ ここを離れよう!

40
00:01:15,520 --> 00:01:18,460
──手にそれぞれ鉤爪がある十人ほどの
毒蝎の死士の第ニ陣が到着した

41
00:01:18,960 --> 00:01:21,180
毒蝎1:ふん 逃げるつもりか?

42
00:01:21,180 --> 00:01:22,900
毒蝎2:そう簡単じゃないぞ

43
00:01:22,900 --> 00:01:23,940
曹蔚寧:どうなってるんだ?

44
00:01:23,940 --> 00:01:25,460
この人たちはどうして突然襲って来たんだ?

45
00:01:26,080 --> 00:01:27,380
張成嶺:またこの人たちだ……

46
00:01:27,380 --> 00:01:28,700
顧湘:あんた忘れたのか?

47
00:01:28,700 --> 00:01:30,940
毒蝎の死士が その坊やを殺すつもりだって

48
00:01:31,980 --> 00:01:34,020
曹蔚寧:張小兄弟 私から離れないで

49
00:01:34,300 --> 00:01:35,660
顧湘:全くまずい時に来たな……

50
00:01:35,660 --> 00:01:38,060
毒蝎3:紫煞 俺たちの任務はお前には無関係だ

51
00:01:38,060 --> 00:01:39,620
そのガキを黙って差し出せ

52
00:01:39,620 --> 00:01:41,620
その他の交渉は一切せんぞ

53
00:01:41,620 --> 00:01:43,060
曹蔚寧:紫の何?

54
00:01:43,060 --> 00:01:46,580
顧湘:この坊やは うちの主人の良い人の弟子だ

55
00:01:46,580 --> 00:01:48,540
彼に棺桶を用意するようなことがあったら
(*三长两短=不慮の事故)

56
00:01:48,540 --> 00:01:50,900
主人があたしを生きたままバラすに決まってる

57
00:01:50,900 --> 00:01:54,500
──顧湘は横目で茫然とした曹蔚寧と
明らかに戦闘能力のない張成嶺を見て
本当に風蕭蕭として“二水寒し”だと思った

58
00:01:54,500 --> 00:01:55,380
毒蝎3:かかれ

59
00:01:55,380 --> 00:01:57,260
顧湘:お前たちを恐れるとでも?

60
00:01:57,420 --> 00:02:00,960
──顧湘は華奢な眉をねじると
先制を決めて、銭を捨てるかのように
手の中の暗器を投げ出していった

61
00:02:00,960 --> 00:02:06,180
少女は若いが武功は高く、曹蔚寧も詩詞歌は
ともかく、清風剣派の世代の中で最も腕のある
高弟で、二人が手を組めば実力は十分だった

62
00:02:06,400 --> 00:02:12,980
晋江文学城 Priest原作 猫耳FM
音熊聯萌連合出品

63
00:02:13,100 --> 00:02:20,100
古風武侠ラジオドラマ《天涯客》
第十集「旧友」

64
00:02:39,260 --> 00:02:41,500
周子舒:手を顔に持って行くな

65
00:02:41,500 --> 00:02:43,940
お前が易容していると他の者に
知ってもらいたいのか?

66
00:02:44,700 --> 00:02:49,420
温客行:でもずっと顔の薄い蝉の翅のような面具が
落ちてしまいそうな感じがするんです

67
00:02:50,340 --> 00:02:51,560
阿絮

68
00:02:51,560 --> 00:02:54,460
あなた毎日これを貼ってて辛くなかったの?

69
00:02:54,460 --> 00:02:56,940
周子舒:慣れればいいだけだろ?

70
00:03:00,300 --> 00:03:01,980
温客行:阿絮

71
00:03:02,240 --> 00:03:06,820
あなたが心に鬼胎を抱いても
意外とそのように堂々としていられるのは

72
00:03:06,820 --> 00:03:11,500
やはり一層貼り付けて面の皮が二枚だからですね

73
00:03:12,780 --> 00:03:14,140
通行人:見に行ってないのか?

74
00:03:14,140 --> 00:03:16,420
平安酒楼で人が沢山死んでるって!

75
00:03:16,420 --> 00:03:18,820
見たけど すっかり肝を潰したよ

76
00:03:18,820 --> 00:03:18,940
見た見た そんなに年も取ってないのにどうして……
 

77
00:03:18,940 --> 00:03:21,540
見た見た そんなに年も取ってないのにどうして……
周子舒:平安酒楼? もしや……

78
00:03:21,540 --> 00:03:22,060
見た見た そんなに年も取ってないのにどうして……
温客行:行こう!

79
00:03:22,060 --> 00:03:22,660
温客行:行こう!

80
00:03:35,300 --> 00:03:35,700
野次馬:沢山人が死んでるぞ……

81
00:03:35,700 --> 00:03:37,060
この人たちは何なんだ?
野次馬:沢山人が死んでるぞ……

82
00:03:37,060 --> 00:03:39,140
この人たちは何なんだ?
 

83
00:03:39,420 --> 00:03:41,700
家で仕事していてよかった

84
00:03:41,700 --> 00:03:42,140
本当に驚いたよ 逃げられてよかった
家で仕事していてよかった

85
00:03:42,140 --> 00:03:44,500
本当に驚いたよ 逃げられてよかった
 

86
00:03:44,500 --> 00:03:45,100
何の怨みを晴らされたの?

87
00:03:45,100 --> 00:03:46,160
侠士たち:さあさあ どいたどいた──
何の怨みを晴らされたの?

88
00:03:46,160 --> 00:03:47,180
侠士たち:さあさあ どいたどいた──
 

89
00:03:48,340 --> 00:03:49,900
周子舒:高家荘の者だ

90
00:03:49,900 --> 00:03:51,420
侠士たち:皆どけ──

91
00:03:52,020 --> 00:03:53,300
周子舒:死んでるのは……

92
00:03:53,300 --> 00:03:54,700
蝎か?

93
00:03:54,700 --> 00:03:58,780
温客行:見たところ いくつかは
明らかに阿湘が殺ったね

94
00:03:58,980 --> 00:04:03,860
それからいくつかは 曹蔚寧の手に違いない……

95
00:04:07,160 --> 00:04:09,580
あの莫の老いぼれの表情を見て

96
00:04:10,020 --> 00:04:14,820
曹蔚寧の小僧が顧湘と
駆け落ちでもしたみたいじゃない?

97
00:04:15,520 --> 00:04:17,340
周子舒:お前は品がなさすぎる

98
00:04:18,100 --> 00:04:20,980
二人はあの馬鹿を連れたまま
こんな沢山の毒蝎を相手にして

99
00:04:20,980 --> 00:04:22,940
かなりの苦戦だったに違いない

100
00:04:23,660 --> 00:04:25,580
彼らはどこに逃げたんだ?

101
00:04:31,020 --> 00:04:35,100
温客行:今や琉璃甲や毒蝎やらで街中が大騒ぎです

102
00:04:35,660 --> 00:04:41,340
もし阿湘だったら 人のいない方へ逃げるに違いない

103
00:04:41,960 --> 00:04:43,920
周子舒:ならお前は何を待ってるんだ

104
00:04:43,920 --> 00:04:45,140
温客行:阿絮

105
00:04:47,820 --> 00:04:49,300
構うことない

106
00:04:49,300 --> 00:04:52,860
顧湘という娘はあなたが思うほど
そんなに使えないわけじゃない

107
00:04:52,860 --> 00:04:55,100
それにまだ曹蔚寧がいますし

108
00:04:55,100 --> 00:04:57,940
彼ら二人があの少年を護ってますよ

109
00:05:00,000 --> 00:05:03,180
周子舒:温谷主はそんなに
あの小僧の生死を心配してどうした?

110
00:05:03,560 --> 00:05:06,540
温客行:周大人もまたそんなに
あの小僧の生死を心配してどうしたんです?

111
00:05:06,540 --> 00:05:07,620
周子舒:あれは俺の弟子だ

112
00:05:07,620 --> 00:05:09,580
温客行:あなたの弟子なら私の弟子です

113
00:05:09,580 --> 00:05:11,020
我ら二人誰と誰だと?
(*谁跟谁=気の置けない仲)

114
00:05:11,020 --> 00:05:12,180
周子舒:我ら二人俺とおま──

115
00:05:13,100 --> 00:05:14,620
くだらん話はよせ

116
00:05:15,060 --> 00:05:18,660
お前はあの小僧から何か
知りたかったんじゃないのか?

117
00:05:18,660 --> 00:05:20,020
温客行:んー

118
00:05:20,020 --> 00:05:22,620
私に口付けすれば教えます

119
00:05:22,840 --> 00:05:24,580
周子舒:この顔でもお前は口付けて欲しいのか?

120
00:05:24,580 --> 00:05:25,960
腫れ物が出来るのは心配じゃないか?

121
00:05:25,960 --> 00:05:28,340
温客行:死ぬほど爛れても甘んじて受け入れよう
(*心甘情愿=心から喜んで、自ら望んで犠牲になる)

122
00:05:32,920 --> 00:05:35,620
周子舒:当時の容炫と鬼谷の淵源を考えると

123
00:05:35,620 --> 00:05:39,660
恐らく五大家は鬼谷で琉璃甲を手に入れたのだろう

124
00:05:40,540 --> 00:05:45,100
今回 琉璃甲の情報が漏れ 江湖中で
殺到しない者がなかったのは
(*趋之若鹜=アヒルの群れが押し寄せる比喩)

125
00:05:45,340 --> 00:05:50,260
ひょっとすると悪鬼のどれかが俗心を動かされ
無断で谷を出たからなのでは?

126
00:05:52,980 --> 00:05:56,860
もしかすると そいつはうまい具合に
張家壊滅の一件に関係していて……

127
00:05:59,420 --> 00:06:00,940
もしかすると

128
00:06:01,500 --> 00:06:03,460
お前はあの喜喪鬼と同じように

129
00:06:03,820 --> 00:06:09,740
あの日の夜に張成嶺が “ちょうど”
その大胆不敵な悪鬼を見たと思ったのでは?

130
00:06:14,220 --> 00:06:15,820
温客行:そうでなく

131
00:06:16,060 --> 00:06:19,980
もしあの小僧でも知らないなら
私は誰に聞きに行けばいいと言うんです?

132
00:06:20,260 --> 00:06:24,740
周子舒:まさかこの件には
まだ別の重大な内幕があって

133
00:06:24,740 --> 00:06:27,700
僻地に引き篭もってる鬼谷谷主でさえ驚かされ

134
00:06:27,700 --> 00:06:29,860
お前自らそいつを捕まえに
出て来る必要があったのか?

135
00:06:30,540 --> 00:06:32,660
──温客行はニコニコしながら唇を指差した

136
00:06:32,660 --> 00:06:34,140
温客行:口付ければ

137
00:06:34,140 --> 00:06:35,700
私は言う

138
00:06:40,700 --> 00:06:44,660
周子舒:もしお前がこいつを見つけたら
どうするつもりなんだ?

139
00:06:45,240 --> 00:06:50,300
温客行:皮を剥ぎ筋を抜き 千切りみじん切り

140
00:06:50,940 --> 00:06:52,060
周子舒:お前──

141
00:06:53,500 --> 00:06:55,180
温客行:──驚きましたね

142
00:06:56,180 --> 00:06:57,460
周子舒:アイヨ

143
00:06:57,460 --> 00:06:59,060
本当に怖かったぞ

144
00:06:59,540 --> 00:07:01,140
(温客行):この掴みどころのない古狐め

145
00:07:01,140 --> 00:07:02,380
(周子舒):この勿体ぶった大馬鹿野郎め
(温客行):この掴みどころのない古狐め

146
00:07:02,380 --> 00:07:03,940
(周子舒):この勿体ぶった大馬鹿野郎め
 

147
00:07:05,060 --> 00:07:12,180
──二人はそれぞれ内心とは違うネジ曲がった
口元でお互い微笑み合い、まだ三人が息を
しているうちに拾って来るため慌てて道を急いだ

148
00:07:28,920 --> 00:07:32,140
張成嶺:先ほど顧湘姐さんに殺された
おじいさんですが

149
00:07:32,140 --> 00:07:34,740
私は彼に一銅板をあげたんです……

150
00:07:34,740 --> 00:07:36,340
曹蔚寧:阿湘 彼は……

151
00:07:36,340 --> 00:07:39,300
彼はただ……ただ年を取った乞食なだけだった

152
00:07:39,300 --> 00:07:40,740
雇われの殺し手じゃない

153
00:07:40,740 --> 00:07:42,380
君が……彼を殺すと……

154
00:07:42,380 --> 00:07:43,300
顧湘:どうなんだ?

155
00:07:43,300 --> 00:07:44,180
曹蔚寧:あ

156
00:07:44,180 --> 00:07:45,160
顧湘:ふん

157
00:07:45,160 --> 00:07:46,980
名門正派め──

158
00:07:48,480 --> 00:07:49,820
曹蔚寧:そんなつもりはなくて……

159
00:07:49,820 --> 00:07:52,620
阿湘 君がいけないことをしたとは言ってない

160
00:07:52,620 --> 00:07:55,700
じゃなくて……君が手当り次第に
人を殺してると思ってるわけでもない

161
00:07:55,700 --> 00:07:56,940
万一君の間違いなら

162
00:07:56,940 --> 00:07:58,940
万一彼が普通の老いた物乞いだったら

163
00:07:58,940 --> 00:08:00,220
万一……

164
00:08:00,860 --> 00:08:02,079
君が将来知ったら

165
00:08:02,079 --> 00:08:04,660
君の心はきっと辛いと思うんだ

166
00:08:04,660 --> 00:08:05,580
顧湘:なっ

167
00:08:05,580 --> 00:08:08,100
呆れるね なんであたしが辛くなるんだよ

168
00:08:08,340 --> 00:08:09,460
曹蔚寧:辛いものなんだ

169
00:08:09,460 --> 00:08:12,180
君自身が分かってないだけなんだ……

170
00:08:14,060 --> 00:08:15,540
やっぱり早く行こう

171
00:08:15,540 --> 00:08:18,340
周兄温兄のお二人もどこに行ったか分からないし

172
00:08:18,340 --> 00:08:22,540
また蝎の連中が来たら 恐らく
僕たちのせいで他の人が辛くなる

173
00:08:22,540 --> 00:08:23,660
顧湘:ふん

174
00:08:25,300 --> 00:08:28,860
(顧湘):この曹蔚寧……ちょっと心眼が欠けてるけど

175
00:08:28,860 --> 00:08:31,300
その実 人は悪くない

176
00:08:34,620 --> 00:08:35,780
顧湘:早く逃げるぞ!

177
00:08:35,780 --> 00:08:37,700
張成嶺:あぁ

178
00:08:39,260 --> 00:08:41,020
私たちって市場に向かってるんじゃ?

179
00:08:41,020 --> 00:08:42,740
顧湘:当たり前だろ 人通りの稀なところは

180
00:08:42,740 --> 00:08:44,220
殺人放火もっと簡単だ

181
00:08:44,220 --> 00:08:46,180
曹蔚寧:阿湘 君の腰の傷はどうなってる?

182
00:08:46,180 --> 00:08:47,540
顧湘:どうって事ない

183
00:08:51,820 --> 00:08:52,980
あっ

184
00:08:52,980 --> 00:08:53,860
曹蔚寧:はっ

185
00:08:53,860 --> 00:08:56,260
封暁峰:張成嶺 どこへ逃げるつもりだ?

186
00:08:57,680 --> 00:08:59,260
顧湘:封矮人

187
00:08:59,660 --> 00:09:02,980
桃紅婆(タオホンポ):張家の坊やは
どんな事に出くわしたんだい?

188
00:09:03,000 --> 00:09:06,420
柳緑翁(リウリュウウォン):心配するな
わしらがお前たちを助けるぞ

189
00:09:07,960 --> 00:09:09,160
張成嶺:彼らは誰ですか?

190
00:09:09,160 --> 00:09:11,020
曹蔚寧:桃紅婆と柳緑翁です

191
00:09:11,020 --> 00:09:13,740
師叔から聞いた話では
彼らは手練れの邪まな二人連れで

192
00:09:13,740 --> 00:09:16,620
年を取ってどんな恥知らずな事でもできるんだ

193
00:09:16,620 --> 00:09:20,460
封暁峰:張成嶺 お前もとりあえずは
名門正派の後継だ

194
00:09:20,460 --> 00:09:24,380
天下の英雄が目下お前の張家の正義を
取り戻してやろうと手立てを考えているところだ

195
00:09:24,380 --> 00:09:28,660
なのにお前は どこから来たかも分からぬ
邪悪な外道二人と共に逃げるとはな

196
00:09:28,660 --> 00:09:30,820
お前の死んだ親父さんが
怒りで生き返ってほしいのか?

197
00:09:30,820 --> 00:09:32,780
張成嶺:貴様……デタラメだ

198
00:09:32,780 --> 00:09:35,300
私の師父と温前輩は良い人たちだ!

199
00:09:35,300 --> 00:09:36,260
顧湘:何のたわ言だ?

200
00:09:36,260 --> 00:09:38,660
封暁峰 姐さんに道を譲りな

201
00:09:38,660 --> 00:09:40,620
背が低いからって切り落とせないと思うなよ!

202
00:09:40,620 --> 00:09:43,340
封暁峰:どこの身の程知らずのクソアマだ!

203
00:09:43,340 --> 00:09:46,380
──背中の大鉈を抜いて顧湘に襲いかかると
曹蔚寧は長剣を鞘から抜いて彼の刃を遮った

204
00:09:46,600 --> 00:09:48,660
曹蔚寧:封前輩 阿湘は若輩者です

205
00:09:48,660 --> 00:09:52,180
彼女と張り合うなら あなたは
威名を堕としたと触れ回るようなものでは?

206
00:09:52,980 --> 00:09:54,580
封暁峰:お前は……

207
00:09:54,580 --> 00:09:56,900
清風剣派のとこの若造か

208
00:09:56,900 --> 00:09:58,960
どうして奴らに同行してるんだ?

209
00:09:58,960 --> 00:10:02,780
曹蔚寧:前輩 この中には恐らく
誤解があると思います……

210
00:10:02,780 --> 00:10:05,500
桃紅婆:老封 お前もちょっと落ち着きな──

211
00:10:05,500 --> 00:10:06,820
封暁峰:ふん

212
00:10:08,180 --> 00:10:10,100
桃紅婆:清風剣派の小僧

213
00:10:10,100 --> 00:10:13,460
お前がこのガキを見つけて
戻って来たのはとても偉かった

214
00:10:13,460 --> 00:10:17,300
婆さんはお前は前途有望だろうと思ってるんだ

215
00:10:17,900 --> 00:10:19,860
曹蔚寧:はい 大前輩に感謝を……

216
00:10:19,860 --> 00:10:21,860
桃紅婆:張成嶺 我らに付いて来るんだ

217
00:10:21,860 --> 00:10:22,740
張成嶺:いやだ……

218
00:10:22,740 --> 00:10:25,900
曹蔚寧:先輩方ご諒察を 若輩は今
張小兄弟を預かっているのです

219
00:10:25,900 --> 00:10:27,660
勝手に他の人に引き渡すことはできません

220
00:10:27,660 --> 00:10:31,660
もし引き渡すなら 高大侠 或いは
趙大侠にも顔を出して頂くべきかと……

221
00:10:31,980 --> 00:10:34,420
柳緑翁:お前は自分が
一角の人物だとでも思っておるのか?

222
00:10:34,420 --> 00:10:36,980
今日こいつを 放せと言ったら放せ

223
00:10:36,980 --> 00:10:39,180
放すつもりでなくとも放せ!

224
00:10:41,140 --> 00:10:43,140
曹蔚寧:阿湘 彼を連れて先に逃げて 早く!

225
00:10:43,140 --> 00:10:44,380
顧湘:あ──

226
00:10:44,980 --> 00:10:46,100
気をつけて!

227
00:10:46,100 --> 00:10:47,220
曹蔚寧:うん!

228
00:10:47,480 --> 00:10:49,260
顧湘:おい 行くぞ!

229
00:10:49,480 --> 00:10:50,940
封暁峰:逃げられると思うな!

230
00:10:50,940 --> 00:10:53,900
──顧湘は両手を袖に引っ込めると
力一杯張成嶺を押して封暁峰を躱した

231
00:10:53,900 --> 00:10:57,460
その推力で高山奴に襲いかかると
向かってくる流星錘を器用に躱し
おもむろに手を上げて白い粉を撒いた

232
00:10:57,460 --> 00:10:59,820
封暁峰:阿山 ど……どうしたんだ?

233
00:10:59,820 --> 00:11:00,820
顧湘:早く!

234
00:11:00,820 --> 00:11:01,780
張成嶺:ああ!

235
00:11:02,460 --> 00:11:03,780
封暁峰:阿山!

236
00:11:03,780 --> 00:11:06,180
高山奴:うぉ──うぁ──

237
00:11:06,180 --> 00:11:09,060
封暁峰:お前の目……なんで血が出てる?!

238
00:11:09,420 --> 00:11:11,860
あのクソ小娘め!

239
00:11:11,860 --> 00:11:15,100
この封暁峰が必ずお前を殺すからな!──

240
00:11:19,020 --> 00:11:21,100
──顧湘は人の多い場所を避け
郊外の野山へ向かった

241
00:11:21,100 --> 00:11:25,020
さっきは仕方なくあんな手を使ったが
怒った封暁峰が曹蔚寧に
怒りをぶつけるのではと心配になった

242
00:11:27,860 --> 00:11:29,140
張成嶺:顧湘姐さん

243
00:11:29,140 --> 00:11:33,140
曹兄さん一人で彼ら三人を
相手にして 大丈夫でしょうか?

244
00:11:34,260 --> 00:11:36,020
顧湘:彼は清風剣派の人だ

245
00:11:36,020 --> 00:11:39,700
無論どうなったって あの老いぼれ怪物たちは
莫懐空と莫懐陽を憚って

246
00:11:39,700 --> 00:11:41,500
手を下すのも三分の情を残すよ

247
00:11:41,500 --> 00:11:43,220
彼の命までは取らない

248
00:11:44,460 --> 00:11:46,580
張成嶺:そういうことか

249
00:11:47,700 --> 00:11:49,580
顧湘:こうなったら賑やかな通りにも行けないし

250
00:11:49,580 --> 00:11:51,860
ここからどうしよう……

251
00:11:52,020 --> 00:11:54,100
主人と周絮は二人だといい加減だけど

252
00:11:54,100 --> 00:11:56,060
少なくとも一人だったら捜しに来れるよな?

253
00:11:56,060 --> 00:11:57,160
毒蝎4:こっちだ!

254
00:11:57,380 --> 00:11:58,820
毒蝎5:いたぞ!

255
00:11:59,340 --> 00:12:01,140
張成嶺:また毒蝎の死士だ

256
00:12:02,180 --> 00:12:03,740
毒蝎6:そのガキを引き渡せ!

257
00:12:03,740 --> 00:12:05,620
毒蝎7:言うことをきけ!

258
00:12:08,080 --> 00:12:10,340
張成嶺:どうすれば……十人以上だ

259
00:12:10,340 --> 00:12:13,100
顧湘姐さんは傷を負ってて勝てない……

260
00:12:13,100 --> 00:12:16,260
──顧湘は助けを求める人も周りにおらず
張成嶺に短剣を押し付けると必死で外に押しやった

261
00:12:16,260 --> 00:12:17,820
顧湘:早く逃げろ!

262
00:12:24,420 --> 00:12:27,100
毒蝎7:そのガキを逃がすな 捕まえるぞ!

263
00:12:28,520 --> 00:12:30,500
(張成嶺):私はどうしてこんな役立たずなんだ

264
00:12:30,500 --> 00:12:32,740
どうしていつも他の人を巻き込むんだ

265
00:12:32,740 --> 00:12:34,820
最初は師父

266
00:12:34,820 --> 00:12:38,260
それから曹兄さんと顧湘姐さんも……

267
00:12:41,960 --> 00:12:44,380
毒蝎7:小僧 どこに逃げるんだ?

268
00:12:46,260 --> 00:12:50,580
張成嶺:どうして……どうして
お前たちは私の死を願うんだ?

269
00:12:50,580 --> 00:12:52,580
私が何か悪い事をしたのか?

270
00:12:52,580 --> 00:12:55,600
どうして他の人は生きて 私はダメなんだ?!

271
00:12:55,740 --> 00:12:57,140
毒蝎6:死にたいか!

272
00:12:58,620 --> 00:13:01,260
張成嶺:命懸けだ やぁぁ──!

273
00:13:03,660 --> 00:13:05,180
温客行:しっかり見たか?

274
00:13:05,180 --> 00:13:06,820
猛る鷹の兎を捉えるが如く

275
00:13:06,820 --> 00:13:08,340
開弓無悔の如く
(*开弓没有回头箭落子无悔大丈夫=矢を放てば後戻りしない、前進あるのみ)

276
00:13:08,340 --> 00:13:12,220
頂にて弱勢し 圧せば万鈞たり

277
00:13:15,280 --> 00:13:16,940
温客行:窮せずして変われば

278
00:13:16,940 --> 00:13:19,500
すなわち剣勢は浮花浪蕊(ふかろうずい)の如く

279
00:13:19,500 --> 00:13:22,100
不穏にして漂い 窮極にして変われば

280
00:13:22,100 --> 00:13:25,500
すなわち千般万種 皆その中にある──

281
00:13:25,720 --> 00:13:30,060
──彼の刃が鉤爪に引っかかり片手を取られたが
体をひねって短剣を黒衣の胸に必死で押し込んだ

282
00:13:35,980 --> 00:13:37,580
張成嶺:死んだ

283
00:13:37,980 --> 00:13:39,900
私が彼を殺った?

284
00:13:40,980 --> 00:13:42,620
死んだ……

285
00:13:44,540 --> 00:13:46,140
私の手が

286
00:13:46,140 --> 00:13:48,660
自然に動いた……

287
00:13:49,060 --> 00:13:50,180
毒蝎7:クソガキ!

288
00:13:50,180 --> 00:13:51,620
閻王に会いに行け!

289
00:13:51,620 --> 00:13:52,700
──毒蝎の手から黒い煙が吹き出した

290
00:13:52,700 --> 00:13:56,020
(張成嶺):今回は本当に死にそうだ……

291
00:13:59,580 --> 00:14:02,420
長袍の男:白昼に君たちは殺人放火か

292
00:14:02,780 --> 00:14:04,140
張成嶺:誰……?

293
00:14:04,140 --> 00:14:05,580
長袍の男:どうして覚えがないのか

294
00:14:05,580 --> 00:14:08,020
洞庭の気風がかくも悪化の一途を辿っていたとは

295
00:14:08,020 --> 00:14:08,380
(張成嶺):この人は……
洞庭の気風がかくも悪化の一途を辿っていたとは

296
00:14:08,380 --> 00:14:09,700
(張成嶺):この人は……
 

297
00:14:09,700 --> 00:14:14,100
本当に私が見た中で一番 見目好い人だ

298
00:14:14,100 --> 00:14:17,820
──小弩を持った藍の長袍の男は、腰に
白玉の簫を差し、江湖人にも読書家にも見えず
むしろ身分の高い士族公卿に見えた

299
00:14:17,940 --> 00:14:18,980
黒衣の男:うん……

300
00:14:19,520 --> 00:14:23,540
──彼のそばの肩に貂が乗った冷たい表情の男が
瞬く間に彼に近づいて点穴をいくつか突いた

301
00:14:26,700 --> 00:14:27,780
黒衣の男:飲むのだ

302
00:14:27,780 --> 00:14:30,300
これで蝎の毒を消せる

303
00:14:32,040 --> 00:14:34,220
張成嶺:顧湘姐……

304
00:14:34,220 --> 00:14:36,420
助けてください……

305
00:14:36,700 --> 00:14:39,140
長袍の男:君は我々に人を救いに行くのを手伝えと?

306
00:14:39,140 --> 00:14:40,300
どこに?

307
00:14:40,300 --> 00:14:42,300
張成嶺:顧……姐さん……

308
00:14:42,300 --> 00:14:46,140
助けて……彼女を助けて

309
00:14:46,140 --> 00:14:47,280
助けて……

310
00:14:47,280 --> 00:14:50,180
黒衣の男:向こうで毒蝎を倒していた人だな

311
00:14:50,180 --> 00:14:52,020
長袍の男:ならば君は早く行かないのか?

312
00:14:52,860 --> 00:14:55,180
黒衣の男:気をつけろ すぐに戻る

313
00:14:55,580 --> 00:14:58,620
──肩の貂を長袍の男の懐に放すと
すぐに見えなくなった

314
00:14:58,740 --> 00:15:02,580
張成嶺:人が沢山……助けて……

315
00:15:03,100 --> 00:15:04,780
長袍の男:目を閉じて 集中して

316
00:15:04,780 --> 00:15:06,340
余計なことを考えないで

317
00:15:06,340 --> 00:15:09,500
まずは君の命を保ってそれから別の事を考えて

318
00:15:10,780 --> 00:15:14,960
──言葉に従って目を閉じると
貂が懐から出て彼のあちこちの匂いを嗅いだ

319
00:15:14,960 --> 00:15:20,780
空気中に漂うかすかな血の匂いと
繊細な衣服の薫香の香りの中で
張成嶺は次第に意識を失っていった

320
00:15:28,700 --> 00:15:32,100
張成嶺:う……ん……

321
00:15:35,500 --> 00:15:37,740
顧湘:よぉ 目が覚めたな!

322
00:15:37,740 --> 00:15:39,740
黒衣の男:診てやる ひとまず動くな

323
00:15:39,740 --> 00:15:41,620
──マメだらけの手指が張成嶺の脈門に掛かった

324
00:15:41,620 --> 00:15:42,860
黒衣の男:うん……

325
00:15:44,300 --> 00:15:45,740
毒は抜けた

326
00:15:46,940 --> 00:15:50,420
張成嶺:顧湘姐さん 無事だったんですね……

327
00:15:50,940 --> 00:15:53,100
顧湘:大丈夫 かすり傷だ

328
00:15:53,620 --> 00:15:55,460
張成嶺:感謝します……

329
00:15:55,460 --> 00:15:58,140
大侠お二方の命を救って頂いたご恩に感謝します

330
00:15:58,140 --> 00:15:59,380
黒衣の男:よい

331
00:16:00,660 --> 00:16:01,860
長袍の男:目覚めた?

332
00:16:02,620 --> 00:16:05,660
顧湘:七爺さまお座りください
薪拾いの類はあたしがやればいいのに

333
00:16:05,660 --> 00:16:07,340
なんであなたさま御自ら働くんだ?

334
00:16:07,340 --> 00:16:09,980
もとはあたしも人の侍女をしてたんだ……

335
00:16:11,020 --> 00:16:12,740
七爺:なら面倒を掛けるね

336
00:16:14,280 --> 00:16:15,900
黒衣の男:外は寒い

337
00:16:15,900 --> 00:16:18,060
手炉で手を温めろ

338
00:16:18,980 --> 00:16:20,140
七爺:うん

339
00:16:22,100 --> 00:16:22,980
坊主

340
00:16:22,980 --> 00:16:24,420
ましになったかな?

341
00:16:24,420 --> 00:16:27,020
張成嶺:うん だいぶ良くなりました

342
00:16:27,180 --> 00:16:28,660
七爺:君の姓は?

343
00:16:28,660 --> 00:16:29,780
あの者たちは……

344
00:16:29,780 --> 00:16:30,560
張成嶺:え……私──

345
00:16:30,560 --> 00:16:33,540
顧湘:彼はあたしの兄弟だ もちろん姓も顧だぞ

346
00:16:33,540 --> 00:16:36,180
あたしら二人 もとは主人の家で働いてたんだけど

347
00:16:36,180 --> 00:16:38,060
あたしは侍女 彼は下男として働いたら

348
00:16:38,060 --> 00:16:40,060
主人の家が災難に遭うなんて誰が分かる

349
00:16:40,060 --> 00:16:41,860
どこの誰かも分からないのに

350
00:16:41,860 --> 00:16:45,020
あたしたちみたいな下働きも併せて
殺し尽くさないといけないなんて

351
00:16:45,020 --> 00:16:46,300
本当に大徳が欠けてるよ

352
00:16:46,300 --> 00:16:48,060
将来子供が生まれてもきっと尻穴がないね

353
00:16:48,060 --> 00:16:48,940
お二人のお陰で……

354
00:16:48,940 --> 00:16:49,940
黒衣の男:うん?

355
00:16:49,940 --> 00:16:51,620
顧湘:あ……

356
00:16:54,320 --> 00:16:57,820
七爺:君たちは怪我をしているので
本来なら客桟に連れて行くべきなんだが

357
00:16:57,820 --> 00:17:01,920
しかしこの小姑娘が街には追手がいて
安全ではないと言うので

358
00:17:01,920 --> 00:17:03,620
仕方なくここで一夜 窮屈思いをさせるが

359
00:17:03,620 --> 00:17:05,500
明日の朝にまた考えよう

360
00:17:06,100 --> 00:17:09,940
君たち二人はどこか行くあてがあるのかい?

361
00:17:12,040 --> 00:17:16,900
張成嶺:わ 私はありません……

362
00:17:16,900 --> 00:17:18,260
顧湘:実はさ

363
00:17:18,260 --> 00:17:22,460
うちの主人とこの坊やの師父はもともと
あたしたちと合流するはずだったのに

364
00:17:22,460 --> 00:17:25,620
突然 大勢涌いて出てあたしたちを
追いかけるなんて予想してなくて

365
00:17:25,620 --> 00:17:27,580
それで慌てて道を選ばずに逃げて来たから

366
00:17:27,580 --> 00:17:30,580
あたしたちを捜しても
見つけられないかも知れない……

367
00:17:30,580 --> 00:17:34,220
張成嶺:それに曹兄さんは
怪人たちに捕まえられてしまった

368
00:17:34,220 --> 00:17:35,540
顧湘:おい お前──

369
00:17:35,540 --> 00:17:36,660
七爺:ほう?

370
00:17:37,100 --> 00:17:38,740
どのような怪人だい?

371
00:17:39,540 --> 00:17:42,500
張成嶺:侏儒と巨人の一組と

372
00:17:42,500 --> 00:17:46,900
それから色とりどりの
おじいさんとおばあさんの二人連れ

373
00:17:47,820 --> 00:17:49,540
顧湘:アイヨ……

374
00:17:51,780 --> 00:17:52,940
七爺:誰かな?

375
00:17:52,940 --> 00:17:55,340
黒衣の男:地公封暁峰と高山奴

376
00:17:55,540 --> 00:17:57,580
色とりどりの……

377
00:17:57,580 --> 00:18:00,700
おおよそ桃紅婆と柳緑翁に遭遇したのだ

378
00:18:01,220 --> 00:18:03,220
どれもくだらぬものだが

379
00:18:03,220 --> 00:18:07,380
地位も自負しており
決して毒蝎とは連れ立ちはせぬはず

380
00:18:07,940 --> 00:18:10,860
何をしたら追いかけて来たのだ?

381
00:18:10,860 --> 00:18:13,340
──張成嶺は彼の鋭い眼光で
胸に冷たい石が詰まった気がした

382
00:18:13,340 --> 00:18:15,220
張成嶺:私は……

383
00:18:16,140 --> 00:18:19,220
七爺:小毒物 子供を怖がらせるな

384
00:18:19,220 --> 00:18:20,940
君に聞くけど

385
00:18:20,940 --> 00:18:23,660
君の師父の姓は周じゃないかい?

386
00:18:23,660 --> 00:18:24,420
張成嶺:あ──

387
00:18:24,420 --> 00:18:25,260
顧湘:違うぞ

388
00:18:25,260 --> 00:18:27,340
彼の師父は“粥(ジョウ)”じゃなくて“湯(タン)”で

389
00:18:27,340 --> 00:18:30,020
それに下品で好色なジジイだ!

390
00:18:30,020 --> 00:18:33,940
張成嶺:私の師父は下品で好色な
ジジイなんかじゃない デタラメだ!

391
00:18:33,940 --> 00:18:35,540
顧湘:お前はほんとに──

392
00:18:37,200 --> 00:18:40,140
七爺:こんな賢くてお茶目な小姑娘
どこから来たんだい?

393
00:18:40,140 --> 00:18:41,100
そうだね

394
00:18:41,100 --> 00:18:42,980
我々も悪い人なんかじゃない

395
00:18:42,980 --> 00:18:47,740
合わせて考えると 君のその周師父は
やはり私の昔の親友だろう

396
00:18:48,660 --> 00:18:49,740
顧湘:あぁ?

397
00:18:50,500 --> 00:18:51,980
それじゃあ

398
00:18:51,980 --> 00:18:54,660
彼の師父はなんて呼ばれててどんな容姿だ?

399
00:18:54,660 --> 00:18:57,420
七爺:君の師父の姓は周 名は……

400
00:18:57,420 --> 00:19:01,340
周子舒:もし気付かなければ
この一句を覚えておいてください

401
00:19:01,340 --> 00:19:03,540
七爺:ほう? 何だ?

402
00:19:03,540 --> 00:19:07,380
周子舒:“身は浮き雲に似て
心は飛ぶ絮の如し”

403
00:19:08,180 --> 00:19:11,220
(七爺):子舒の変えた名が
“周雲”か“周絮”か分からぬ

404
00:19:11,220 --> 00:19:14,860
あいつの性質を以てすれば
これぐらいしかないが

405
00:19:14,860 --> 00:19:16,260
試してみるか

406
00:19:16,700 --> 00:19:18,900
七爺:周絮と呼ばれている だよね?

407
00:19:19,300 --> 00:19:22,500
“身は浮き雲に似て 心は飛ぶ絮の如し”の絮だ

408
00:19:22,500 --> 00:19:24,900
それから兄弟に周雲というのがいる

409
00:19:25,500 --> 00:19:27,420
どんな容姿か……

410
00:19:27,420 --> 00:19:30,180
彼が今はどんな容姿かは私も分からぬが

411
00:19:30,180 --> 00:19:33,740
彼は易容をし慣れているが
一貫して進歩なんてしなくて

412
00:19:33,740 --> 00:19:39,180
ころころ変えても 顔色は
青黄色くて品のない容姿の男では?

413
00:19:42,260 --> 00:19:43,180
顧湘:え?

414
00:19:43,180 --> 00:19:45,900
周絮には兄弟がいたのか?

415
00:19:46,640 --> 00:19:48,660
七爺:彼は私の古い友人なんだ

416
00:19:48,660 --> 00:19:50,780
これから彼に知らせを遣るから

417
00:19:50,780 --> 00:19:53,380
二人は明日 私に随行しても構わないが?

418
00:19:53,380 --> 00:19:54,660
張成嶺:ええ!

419
00:19:55,900 --> 00:19:59,500
(顧湘):この二人 藍衣のは微妙だけど

420
00:19:59,500 --> 00:20:03,860
黒衣の男は実際 普段は滅多に見ない達人だ

421
00:20:03,860 --> 00:20:07,620
ここに主人がいたとしても 伯仲の間なだけだ

422
00:20:07,620 --> 00:20:12,180
ほとんど二匹の虫を捻り潰すみたいに
容易にあたしたちを殺るだろうし

423
00:20:12,180 --> 00:20:14,820
騙しはしないはず

424
00:20:16,340 --> 00:20:17,100
顧湘:うん

425
00:20:19,820 --> 00:20:25,620
──七爺は二人の子供が誤魔化されたのを見て
目を伏せ揺らめく火を眺めながら声もなく笑った

426
00:20:36,540 --> 00:20:38,220
温客行:平安銀荘?

427
00:20:39,620 --> 00:20:42,340
ここの人が見つけたと知らせてくれたって?

428
00:20:42,340 --> 00:20:43,820
周子舒:ん

429
00:20:47,220 --> 00:20:48,460
番頭:周さま お待たせを

430
00:20:48,460 --> 00:20:51,900
今日七爺がお着きになりましたので
大当家が知らせに行っております

431
00:20:51,900 --> 00:20:53,340
周子舒:七爺が来た?

432
00:20:53,340 --> 00:20:56,220
番頭:はい 七爺自ら人を連れて来られました

433
00:20:57,460 --> 00:20:59,780
温客行:顧湘と張成嶺がいるって
言いませんでした?

434
00:20:59,780 --> 00:21:02,380
そのちびっ子二人を直接連れてくればいいのに

435
00:21:02,380 --> 00:21:03,700
まだ何か知らせるって

436
00:21:03,700 --> 00:21:05,580
王府に入るみたいだ

437
00:21:06,420 --> 00:21:08,660
(周子舒):温客行はまことに神だな

438
00:21:08,660 --> 00:21:10,620
一発で言い当てるとは

439
00:21:13,500 --> 00:21:14,900
番頭:大当家が

440
00:21:15,420 --> 00:21:19,460
宗平安:周公子 主と大巫が奥でお待ちです

441
00:21:19,460 --> 00:21:21,260
さあ こちらへどうぞ

442
00:21:21,260 --> 00:21:22,900
周子舒:ん

443
00:21:23,220 --> 00:21:24,580
(温客行):大巫?

444
00:21:24,780 --> 00:21:26,580
何の大巫だ?

445
00:21:26,580 --> 00:21:30,660
まさか南疆のあのとんでもなく神秘的な
大呪術師が来ているとでも?

446
00:21:31,940 --> 00:21:36,380
この中原武林は 全くますます散らかってきた来たな

447
00:21:37,100 --> 00:21:40,700
──内堂を進み、年季の入った木戸を開くと
桂花の並んだ小さな中庭があった

448
00:21:40,700 --> 00:21:43,620
ほのかな香りの中、平安は
二人を連れて部屋に入った

449
00:21:43,900 --> 00:21:47,340
宗平安:七爺 周公子がお越しです

450
00:21:49,200 --> 00:21:51,420
七爺:人生四つの大幸のうちの一つは

451
00:21:51,420 --> 00:21:53,620
異郷で旧知に遇うことだ

452
00:21:54,260 --> 00:21:57,060
子舒 久しいな

453
00:21:57,740 --> 00:21:59,820
顧湘:ん?この二人は誰だ?

454
00:21:59,820 --> 00:22:03,540
張成嶺:師父と温前輩?

455
00:22:03,660 --> 00:22:09,220
(温客行):この世の見目好い人物を
私は少なからず見てきたつもりだが

456
00:22:09,580 --> 00:22:12,180
この人に比肩できる者は誰一人いないのでは──

457
00:22:12,180 --> 00:22:15,720
──その眉目は美しく軽やかで
その身が放つ高貴さを抑え風流を纏っている

458
00:22:15,720 --> 00:22:20,980
(温客行):“芝蘭玉樹(しらんぎょくじゅ)”の四文字は
まるっきり彼のために設けられたようだ

459
00:22:20,980 --> 00:22:21,660
周子舒:七爺

460
00:22:21,660 --> 00:22:23,380
大巫

461
00:22:24,180 --> 00:22:27,660
七爺:子舒 君の易容の好みは……

462
00:22:27,660 --> 00:22:30,740
本当にますます賛同し難くなってきたね

463
00:22:33,100 --> 00:22:37,380
周子舒:長年にわたって あえて美人の顔をして
“蔵頭露尾”するのは

464
00:22:37,380 --> 00:22:42,260
小姑娘を除いて 私も
知っているのは九霄の馬鹿一人だけです

465
00:22:42,260 --> 00:22:44,740
──軽く手を伸ばして人皮面具を
拭い取り懐に入れた

466
00:22:44,740 --> 00:22:47,460
顧湘:周絮あんた あんたの顔──

467
00:22:47,460 --> 00:22:49,140
張成嶺:師……師父

468
00:22:49,140 --> 00:22:51,220
顧湘:主人の言ってたのは正しかった

469
00:22:52,020 --> 00:22:52,860
やっぱり美人だ……

470
00:22:52,860 --> 00:22:54,740
七爺:それでだいぶ目に優しいね

471
00:22:55,860 --> 00:22:59,340
子舒 どうして君はそんなすらりとした姿に?

472
00:23:00,240 --> 00:23:01,860
周子舒:一言では説明できませんが

473
00:23:01,860 --> 00:23:03,980
恐らく……

474
00:23:04,340 --> 00:23:05,980
年を取ったのでは

475
00:23:11,780 --> 00:23:14,260
(温客行):私があんなに長い時間かけて
あれこれ手を尽くして
(*软磨硬泡=目的のためにあらゆる手を尽くす)

476
00:23:14,260 --> 00:23:16,740
もし于丘烽らが屁理屈をこねなければ
(*胡搅蛮缠=不合理なことを言ってごねる)

477
00:23:16,740 --> 00:23:19,860
恐らく今でも阿絮の素顔を見る機会はなかった

478
00:23:20,300 --> 00:23:26,060
この男と来たら 二言三言話すだけで
彼自ら人皮面具を外させた

479
00:23:26,060 --> 00:23:28,420
さらに彼の本名も知っている……

480
00:23:38,220 --> 00:23:39,820
七爺:京城内は……

481
00:23:39,820 --> 00:23:41,820
ずっと息災だったかい?

482
00:23:42,900 --> 00:23:46,260
周子舒:出でる将(しょう)あれば 入る相(しょう)あり

483
00:23:46,740 --> 00:23:49,420
静安公主は小侯爺 賀允行(ハー・ユンシン)に嫁がれ
 

484
00:23:49,420 --> 00:23:50,100
静安公主は小侯爺 賀允行(ハー・ユンシン)に嫁がれ
(温客行):この小白瞼はどこから涌いて来たんだ?

485
00:23:50,100 --> 00:23:50,460
(温客行):この小白瞼はどこから涌いて来たんだ?

486
00:23:50,460 --> 00:23:52,220
周子舒:夫妻両人で遠く西北へ行き
そこに根を下ろしていることでしょう
(温客行):この小白瞼はどこから涌いて来たんだ?

487
00:23:52,220 --> 00:23:54,460
周子舒:夫妻両人で遠く西北へ行き
そこに根を下ろしていることでしょう
(温客行):“七爺” “七爺”と

488
00:23:54,460 --> 00:23:55,060
周子舒:夫妻両人で遠く西北へ行き
そこに根を下ろしていることでしょう
(温客行):名前すら明かせないのか

489
00:23:55,060 --> 00:23:55,620
(温客行):名前すら明かせないのか

490
00:23:55,620 --> 00:23:56,140
七爺:うん……
(温客行):名前すら明かせないのか

491
00:23:56,140 --> 00:23:56,580
七爺:うん……
 

492
00:23:56,580 --> 00:23:57,920
温客行:きっと碌なものじゃない

493
00:23:57,920 --> 00:23:58,420
周子舒:皇上も……
温客行:きっと碌なものじゃない

494
00:23:58,420 --> 00:23:59,140
周子舒:皇上も……
 

495
00:24:00,460 --> 00:24:01,980
まあお元気です

496
00:24:01,980 --> 00:24:03,860
今年は年越しの前に小皇子を授かったばかりで

497
00:24:03,860 --> 00:24:05,460
温客行:ガキども二人

498
00:24:05,780 --> 00:24:07,460
呆けてどうした?こっちへ来い

499
00:24:07,460 --> 00:24:08,860
顧湘:ああ……

500
00:24:08,860 --> 00:24:10,500
張成嶺:あ……

501
00:24:12,280 --> 00:24:14,060
七爺:こちらは?

502
00:24:15,260 --> 00:24:18,700
周子舒:江湖の……友人です……

503
00:24:18,700 --> 00:24:20,660
温客行:江湖の友人?

504
00:24:20,940 --> 00:24:23,380
あなた 前はそんなこと言わなかった

505
00:24:23,820 --> 00:24:24,980
どうしたんです

506
00:24:25,300 --> 00:24:27,900
阿絮はまた遊んでポイ捨てするつもりじゃ
ないでしょうね?

507
00:24:27,900 --> 00:24:28,260
大巫:ん?

508
00:24:28,260 --> 00:24:29,260
七爺:あ……
大巫:ん?

509
00:24:29,260 --> 00:24:30,820
──温客行の胸に手を引き寄せられた周子舒は
彼の肘の麻筋をもう一方の手で弾いた

510
00:24:30,820 --> 00:24:31,860
温客行:チッ……

511
00:24:34,600 --> 00:24:37,900
周子舒:彼は温客行 だいぶ頭がおかしいのです

512
00:24:37,900 --> 00:24:39,180
常々 嘘を吐いており

513
00:24:39,940 --> 00:24:42,000
七爺がいぶかる必要もありません

514
00:24:43,460 --> 00:24:46,700
──手を放させると冷静さを保って
茶杯を持ち上げた

515
00:24:49,220 --> 00:24:50,340
七爺:平安

516
00:24:50,340 --> 00:24:52,060
お前についてる目は何をしてるんだ

517
00:24:52,060 --> 00:24:53,900
まだ周公子に水をお注ぎしないのか?

518
00:24:53,900 --> 00:24:54,860
周子舒:え……

519
00:24:55,260 --> 00:24:57,180
宗平安:あぁ……はい

520
00:24:59,060 --> 00:25:00,200
温客行:ふっ

521
00:25:00,200 --> 00:25:04,660
──周子舒は温客行を睨みつけたが
彼は甘きを舐めるが如く受け入れ
歯痒いほど憎らしい笑みを浮かべた

522
00:25:05,020 --> 00:25:07,020
七爺:当時の金杯 翠翅を想えば

523
00:25:07,020 --> 00:25:09,700
今に到り全て 物是にして人非なり

524
00:25:09,700 --> 00:25:13,580
紅白粉の堆(うずたか)き望月河のほとりの
あの彫欄玉砌は
(*雕栏玉砌=装飾の見事な建物のこと)

525
00:25:13,580 --> 00:25:16,220
今やどんな姿となっているかも分からぬ

526
00:25:16,220 --> 00:25:18,580
君と私は かつて高楼の上で

527
00:25:18,580 --> 00:25:22,180
この先長ければ必ず 酔ずば休まず
しようと約束を交わした
(*不醉不休=しこたま飲む)

528
00:25:22,540 --> 00:25:24,860
しかし私が南疆で待っているうちに
酒はすっかり冷めたし

529
00:25:24,860 --> 00:25:27,180
旧友は却ってちっとも来るつもりがなかった

530
00:25:27,180 --> 00:25:28,300
子舒

531
00:25:28,300 --> 00:25:30,900
君は約束を破ったが 私は違うぞ

532
00:25:31,060 --> 00:25:32,660
今でもまだ覚えている

533
00:25:32,660 --> 00:25:35,780
君に代わって私に細腰の南疆娘を
物色させると言っていたね

534
00:25:35,780 --> 00:25:37,820
私は少なからず心に留めていたが

535
00:25:38,180 --> 00:25:39,220
知らなかった……

536
00:25:39,220 --> 00:25:40,460
温客行:何だって?

537
00:25:40,940 --> 00:25:42,980
阿絮はそんな話までしていたの?

538
00:25:42,980 --> 00:25:43,860
周子舒:あ……

539
00:25:44,140 --> 00:25:45,340
ならばその

540
00:25:45,620 --> 00:25:47,300
七爺は洞庭に着いたばかりで

541
00:25:47,300 --> 00:25:50,180
車を走らせてお疲れでしょうから
我らはお邪魔せずに……

542
00:25:50,340 --> 00:25:52,220
七爺:実際 我々はちっとも疲れてない

543
00:25:52,220 --> 00:25:54,420
子舒 これで少し努力した程度なのに

544
00:25:54,420 --> 00:25:55,420
君はもう行くのか?

545
00:25:55,420 --> 00:25:57,020
掛け直して

546
00:25:57,220 --> 00:26:00,580
古人常に錦瑟(きんしつ)年華を
共にする者なしと嘆く
(*錦瑟年华=過去の華やかな日々を偲ぶ詩《錦瑟》李商隠)

547
00:26:00,580 --> 00:26:02,700
今や君と私は辛うじて再会を果たした

548
00:26:02,700 --> 00:26:05,780
この数年の出来事はもう満杯に
溜まっていて追いつかないほどなのに

549
00:26:05,780 --> 00:26:07,660
どうして焦って行くのかな?

550
00:26:09,100 --> 00:26:10,380
顧湘:これはまさに

551
00:26:10,380 --> 00:26:15,300
“相い思いし一夜を知る多少ぞ
春眠死ぬほど睡って暁を覚えず” だな
(*相思一夜情多少=想いあう情は果てしない《燕子楼》張仲素 *春眠不觉晓《春暁》孟浩然)

552
00:26:15,300 --> 00:26:18,780
成嶺ちゃん やっぱりねえ
二人で曹兄さんを助けに行こう

553
00:26:18,780 --> 00:26:23,100
こいつらお互いに張り合って酢を飲むのに
忙しくって 全く頼りにならない

554
00:26:23,100 --> 00:26:24,340
張成嶺:あ……え……

555
00:26:26,360 --> 00:26:28,260
七爺:小姑娘 焦ることはない

556
00:26:28,260 --> 00:26:31,500
君の曹兄さんが清風剣派の人なんだったら

557
00:26:31,500 --> 00:26:33,740
その者たちは彼をどうすることも出来ないよ

558
00:26:33,740 --> 00:26:37,820
逆に君たちがもし備えが足りぬまま 急いて行けば

559
00:26:37,820 --> 00:26:38,760
それこそ彼の罪名が確実となり
彼に面倒が増えるだけだ──
 

560
00:26:38,760 --> 00:26:40,580
それこそ彼の罪名が確実となり
彼に面倒が増えるだけだ──
(温客行):この人の話は 

561
00:26:40,580 --> 00:26:41,380
それこそ彼の罪名が確実となり
彼に面倒が増えるだけだ──
(温客行):取り留めがないし 文墨を振り回して

562
00:26:41,380 --> 00:26:43,460
(温客行):取り留めがないし 文墨を振り回して

563
00:26:43,460 --> 00:26:45,100
韻律も平仄もない

564
00:26:45,100 --> 00:26:48,380
無駄話の多い者はやはり人に嫌われるのだ

565
00:26:48,380 --> 00:26:52,460
美人でもダメだし 絶世の美人でもダメだ

566
00:26:53,480 --> 00:26:55,220
温客行:お二方の休息のお邪魔はできません

567
00:26:55,220 --> 00:26:56,540
我らはまだ用事があります……

568
00:26:56,540 --> 00:26:59,060
阿絮 行きますよ……

569
00:27:01,480 --> 00:27:02,900
大巫:周荘主

570
00:27:04,140 --> 00:27:06,060
血色が良くない

571
00:27:06,060 --> 00:27:07,940
少し凝滞しているようだ

572
00:27:08,540 --> 00:27:11,980
あなたの脈を診てみてよいか?

573
00:27:12,240 --> 00:27:13,540
七爺:どうした?

574
00:27:14,020 --> 00:27:16,380
大巫:これは脈を診てこそ正確に話せる

575
00:27:17,420 --> 00:27:19,580
しかし周荘主には直言をお許し願いたい

576
00:27:19,580 --> 00:27:21,460
あなたの様子は

577
00:27:21,460 --> 00:27:24,320
油が尽き灯りが枯れる兆しが現れているようだ
(*油尽灯枯=命の火が消える)

578
00:27:24,320 --> 00:27:26,200
一体何事なのか

579
00:27:26,200 --> 00:27:27,840
──温客行は周子舒を放し
不真面目な顔を強張らせた

580
00:27:27,840 --> 00:27:29,300
七爺:どうした

581
00:27:29,540 --> 00:27:32,420
赫連翊は君さえも手放したがらなかったのか?

582
00:27:32,420 --> 00:27:34,080
──皇帝の名を口にしたが誰も気に留めなかった

583
00:27:34,080 --> 00:27:35,460
周子舒:七爺

584
00:27:36,540 --> 00:27:38,860
あそこがどんなところか

585
00:27:39,340 --> 00:27:43,380
彼……もまたどのような人か

586
00:27:43,380 --> 00:27:45,820
まさか私よりご存知でなかったとでも?

587
00:27:47,660 --> 00:27:49,660
大巫には手数を掛ける

588
00:27:50,900 --> 00:27:52,900
──周子舒は大巫に手首を差し出した

589
00:27:55,580 --> 00:27:56,940
大巫:うん……

590
00:27:56,940 --> 00:28:00,560
──大巫は三本の指を周子舒の脈の上に置くと
ますますきつく眉をしかめた

591
00:28:00,560 --> 00:28:02,060
大巫:聞いた話では

592
00:28:02,060 --> 00:28:05,140
天窗には七竅三秋釘という物があるらしい……

593
00:28:06,080 --> 00:28:07,540
周子舒:いかにも

594
00:28:11,120 --> 00:28:13,340
大巫:あなたは三月ごとに一本打ち入れ

595
00:28:13,340 --> 00:28:15,820
それを体内で発展させた

596
00:28:16,180 --> 00:28:18,420
経脈は少しずつ枯死してゆくが

597
00:28:18,420 --> 00:28:22,380
精神の転倒には至っておらず
幾分か内力は保存できている

598
00:28:22,380 --> 00:28:23,940
ではないか?

599
00:28:25,080 --> 00:28:27,140
周子舒:大巫は目が利く

600
00:28:31,220 --> 00:28:32,380
温客行:あ……

601
00:28:33,300 --> 00:28:34,420
あなたには……

602
00:28:34,420 --> 00:28:37,340
七爺:小毒物 手立てはあるか?

603
00:28:39,880 --> 00:28:42,700
大巫:あなたが一度に七本の釘を打ち入れれば

604
00:28:42,700 --> 00:28:44,420
意識は混濁するが

605
00:28:44,420 --> 00:28:47,180
ただしそれを抜く方法を考えられた

606
00:28:47,820 --> 00:28:52,180
その後もし集中して養生すれば
幾分か回復もできただろう

607
00:28:52,740 --> 00:28:55,100
だが あなたの体の釘はひと度 抜き取ると

608
00:28:55,100 --> 00:29:00,420
その身の内力が枯死しかけている経脈を全て寸断し

609
00:29:00,420 --> 00:29:03,460
その時には神仙でも手立てはない……

610
00:29:04,220 --> 00:29:09,840
──葉白衣がこの話をした時は二度と
聞きたくないと思ったが、今大巫が口を開いた時
内心やはり幾分か希望を持っていた

611
00:29:10,760 --> 00:29:14,420
周子舒:この話は早く私に話しておくべきだった

612
00:29:14,420 --> 00:29:18,580
大巫に七竅三秋釘をも抜き取る
神通力があると先に知っていたら

613
00:29:19,020 --> 00:29:21,740
天窗には更に万全の方法に換えさせて

614
00:29:22,100 --> 00:29:25,300
網をすり抜けた魚も残さぬだろう

615
00:29:26,600 --> 00:29:29,940
(周子舒):最初は三年の気ままな日々を
過ごせればいいと思っていた

616
00:29:30,620 --> 00:29:35,140
だが周りの騒々しい者たちのせいなのか

617
00:29:35,300 --> 00:29:39,740
あるいは 多くの騒々しい事に深入りしたからなのか

618
00:29:41,460 --> 00:29:44,940
今はいささか名残惜しい……

619
00:29:52,360 --> 00:29:54,640
七爺:まだ他に方法はあるか?

620
00:30:02,200 --> 00:30:06,580
周子舒:ひとまず失礼して
日を改めてまたお目にかかります

621
00:30:07,820 --> 00:30:08,780
温客行:ん……

622
00:30:08,780 --> 00:30:10,100
大巫:待たれよ

623
00:30:10,500 --> 00:30:11,460
あるいは……

624
00:30:11,460 --> 00:30:12,700
温客行:ん?!

625
00:30:12,700 --> 00:30:14,660
──周子舒の手首を掴み、その場に引き留めた

626
00:30:14,660 --> 00:30:16,820
温客行:大巫は何を考えたんです?

627
00:30:17,980 --> 00:30:19,860
大巫:周荘主

628
00:30:20,260 --> 00:30:21,260
もし……

629
00:30:24,160 --> 00:30:26,780
もしあなたが一身の功力を捨て去れば

630
00:30:26,780 --> 00:30:28,940
あるいは五分の見込みが立つかも知れぬ

631
00:30:28,940 --> 00:30:29,420
あなたの命を守り……

632
00:30:29,420 --> 00:30:33,580
周子舒:この身の功夫を廃して
私にまだ何があるのです?

633
00:30:33,580 --> 00:30:35,460
私はまだ私なのか?

634
00:30:35,460 --> 00:30:39,540
でなければ 私が生きている必要などあるのか?

635
00:30:57,340 --> 00:31:00,420
──周子舒は人皮面具を
貼り直すことさえしなかった

636
00:31:00,420 --> 00:31:03,580
どうせ今このあたりでは誰も彼を知らない

637
00:31:04,740 --> 00:31:07,980
胸の奥に窒息しそうな辛さを感じた

638
00:31:11,020 --> 00:31:12,540
大巫:周荘主

639
00:31:12,780 --> 00:31:14,260
もし……

640
00:31:15,660 --> 00:31:18,180
もしあなたが功力を捨て去れば

641
00:31:18,180 --> 00:31:20,580
あるいは五分の見込みが立つかも知れぬ

642
00:31:23,180 --> 00:31:25,540
(周子舒):武功を捨て去るとはどういうことだ?

643
00:31:27,100 --> 00:31:29,740
まるで魂のない人ではないか

644
00:31:30,060 --> 00:31:32,460
ならば最初から馬鹿になって

645
00:31:32,460 --> 00:31:35,700
ぼんやりしいている方がまだ気分がいい──

646
00:31:40,120 --> 00:31:42,540
もしも七魂が去った六魄ならば
(*七魂去了六魄=肉体から魂が消えること )

647
00:31:43,020 --> 00:31:45,540
もしも最後の尊厳を失ったならば

648
00:31:46,420 --> 00:31:49,700
浮生の借りはただ死あるのみじゃないのか?
(*浮生所欠只一死《過淮陰有感》呉偉業)

649
00:31:50,640 --> 00:31:52,660
俺は生きていたいが

650
00:31:53,140 --> 00:31:55,820
辛うじて残喘(ざんぜん)を保つつもりもない……
(*苟延残喘=虫の息で生きること)

651
00:31:59,940 --> 00:32:01,140
張成嶺:師……

652
00:32:01,260 --> 00:32:02,540
顧湘:シーッ

653
00:32:16,400 --> 00:32:19,660
周子舒:汩(いつ)として余
将に及ばざらんとするがごとく
(*時は無駄に流れて)

654
00:32:20,260 --> 00:32:23,100
年歳の吾と与にせざるを恐る……
(*年月が自分を待たないのが怖い)

655
00:32:25,340 --> 00:32:28,660
朝(あした)には阰(おか)の木蘭を搴(と)り
(*朝は丘の木蘭の花を摘んで)

656
00:32:29,780 --> 00:32:33,300
夕(ゆうべ)には洲の宿莽(しゅくぼう)を攬(と)る──
(夕方には中洲の冬に枯れない芳草を取る)

657
00:32:35,200 --> 00:32:38,340
……日月(じつげつ)は忽として其れ淹(とど)まらず
(*月日は留まることなく)

658
00:32:39,460 --> 00:32:42,540
春と秋 其れ代序(だいじょ)す
(*春と秋が立ち代わり過ぎてゆく)

659
00:32:43,500 --> 00:32:46,700
草木の零落を惟(おも)い
(*枯れ落ちる草木に思いを馳せれば)

660
00:32:47,660 --> 00:32:51,060
美人の遅暮を恐る……
(*麗しい人の老いてしまうことが怖い《離騒》)

661
00:32:51,180 --> 00:32:53,100
温客行:阿絮……

662
00:32:56,540 --> 00:32:59,200
──温客行はその骨ばった後ろ姿を見つめていた

663
00:33:02,180 --> 00:33:04,060
周子舒:……雪だな

664
00:33:05,100 --> 00:33:08,780
──鬢の長い髪が横顔を鞭のように打つと
彼は目を閉じてその痛みだけを感じた

665
00:33:08,780 --> 00:33:11,540
温客行は突然言葉にしがたい
怒りを覚え、指が震えた

666
00:33:11,540 --> 00:33:14,100
(温客行):何ゆえ英雄は総じて末路に帰し

667
00:33:14,100 --> 00:33:17,380
何ゆえ紅顔は終いには老いさらばえるのか

668
00:33:17,380 --> 00:33:19,660
造化とは何だ

669
00:33:19,660 --> 00:33:23,860
何によって生まれて人となり
造化のなすがままにされるのか

670
00:33:31,900 --> 00:33:33,260
温客行:阿湘

671
00:33:33,260 --> 00:33:34,380
顧湘:ん?

672
00:33:34,380 --> 00:33:36,460
温客行:お前は曹蔚寧の馬鹿が好きなのか?

673
00:33:36,460 --> 00:33:37,900
顧湘:主人……

674
00:33:38,560 --> 00:33:40,340
温客行:お前は彼をいいと思うのか?

675
00:33:40,340 --> 00:33:41,540
顧湘:あたし──

676
00:33:42,100 --> 00:33:44,660
曹蔚寧:万一君が間違っていたら
万一君が将来知ったら

677
00:33:44,660 --> 00:33:47,380
君の心はきっと辛いと思うんだ

678
00:33:47,380 --> 00:33:49,920
彼を連れて先に逃げて 早く!

679
00:33:49,920 --> 00:33:51,300
私も呼んでいいかな?

680
00:33:51,300 --> 00:33:53,060
阿湘って

681
00:33:54,440 --> 00:33:57,740
顧湘:曹兄さんは結構いいよ

682
00:33:57,740 --> 00:34:01,220
話ができるし 学もある……

683
00:34:04,060 --> 00:34:05,500
温客行:だな

684
00:34:06,740 --> 00:34:09,820
“春眠死ぬほど眠って暁を覚えず”のような話も

685
00:34:09,820 --> 00:34:11,980
彼だけが言えることだ

686
00:34:11,980 --> 00:34:14,140
顧湘:春は眠いし秋はくたびれて夏はうたた寝だ

687
00:34:14,140 --> 00:34:16,060
春に人はみんな眠くなるものだし

688
00:34:16,060 --> 00:34:18,540
死ぬほど眠れば眠りから覚めないじゃないか

689
00:34:18,540 --> 00:34:21,100
ほら 曹兄さんの言うことはもっともだろ

690
00:34:21,100 --> 00:34:26,620
口を開くたびに“菊花の香り苦寒より”な本の虫どもに
比べて優れてるのはちょっとどころじゃない

691
00:34:28,060 --> 00:34:29,580
温客行:よし

692
00:34:30,180 --> 00:34:31,980
ならば我らは彼を助け出しに行こう

693
00:34:31,980 --> 00:34:33,780
顧湘:でもさっき七爺が……

694
00:34:33,780 --> 00:34:35,220
温客行:人を救いたいなら人を救え

695
00:34:35,220 --> 00:34:37,140
人を殺したいなら人を殺せ

696
00:34:37,140 --> 00:34:38,860
好きなようにするだけだ

697
00:34:39,180 --> 00:34:41,580
天下で誰がこの私の行く手を
阻むことができるか見てやろう

698
00:34:41,580 --> 00:34:43,620
べらべらとあれだけ喋って何になる?

699
00:34:43,860 --> 00:34:46,100
彼みたいな体中酸味を帯びた小白瞼の書生に
(*一身酸气=嫉妬ばかりする)

700
00:34:46,100 --> 00:34:47,420
何が分かる!

701
00:34:47,780 --> 00:34:50,580
阿絮 来る来ない?

702
00:34:53,100 --> 00:34:54,420
周子舒:お供しないとでも?

703
00:34:54,420 --> 00:34:55,940
温客行:よし!

704
00:34:56,120 --> 00:34:57,420
阿湘

705
00:34:57,980 --> 00:35:00,900
誰かを救いたいと願うなら ただ救い出すだけだ

706
00:35:01,500 --> 00:35:04,140
私自らお前に付き添って大暴れしてやる!

707
00:35:05,700 --> 00:35:07,900
“这人间困境几何”
(この世に苦境 幾ばくか)

708
00:35:07,900 --> 00:35:11,580
“得超脱又几个”
(逃れ得るのは幾人か)

709
00:35:11,580 --> 00:35:14,740
“如敢以生死来涉”
(敢えて生死を賭ければ)

710
00:35:14,740 --> 00:35:17,820
“孑然是天涯客”
(それは独りの天涯客)

711
00:35:17,820 --> 00:35:21,300
“谁辞别庙堂 醉山河”
(廟堂を離れ 山河に酔う人が)

712
00:35:21,300 --> 00:35:24,220
“沐得天光赏春色”
(天光浴びて 春色を味わえば)

713
00:35:24,220 --> 00:35:31,100
“欲做闲云鹤 偏又生纠葛”
(たゆたう雲間の鶴ならんとも しがらみまた生じる)

714
00:35:31,180 --> 00:35:34,220
“飞絮身 偏走黄泉路”
(身を飛絮として 黄泉路を進めば)

715
00:35:34,220 --> 00:35:37,660
“看尽英雄嗔癫群鬼舞”
(英雄は尽き憤懣の群鬼が舞うを見る)

716
00:35:37,660 --> 00:35:40,700
“黑白错 风崖起疑雾”
(黒白違えて 風崖に疑いの霧は立ち)

717
00:35:40,700 --> 00:35:44,100
“妙手设局待谁入”
(妙手の罠に誰かが嵌まれば)

718
00:35:44,100 --> 00:35:50,220
“六合渺渺 纵是无觅处”
(六合は遙か たとえ行くあてなくとも)

719
00:35:50,220 --> 00:35:57,100
“携酒来 拔剑去 自有归宿”
(酒を携え来て 剣を抜いて行く 帰る宿がある)

720
00:36:23,420 --> 00:36:25,780
“正邪道人心叵测”
(正邪で人心は測れず)

721
00:36:25,780 --> 00:36:29,180
“甘苦自取自舍”
(甘苦を自ら選び取り)

722
00:36:29,180 --> 00:36:32,620
“遇知己明眸澈澈”
(巡り合った知己の瞳は明澄にして)

723
00:36:32,620 --> 00:36:35,660
“如举灯过渊泽”
(灯を掲げ沢の淵を渡るなら)

724
00:36:35,660 --> 00:36:39,060
“谁以鬼行世 恨善恶”
(世を行く鬼として 善悪を恨む誰かの)

725
00:36:39,060 --> 00:36:41,940
“红袍褪身识得”
(紅い袍を落とせば見える)

726
00:36:41,940 --> 00:36:48,740
“一眼竟万年 情痴终不赦”
(一眼万年の恋情 ついぞ赦されることなし)

727
00:36:48,820 --> 00:36:51,820
“飞絮身 偏走黄泉路”
(身を飛絮として 黄泉路を進めば)

728
00:36:51,820 --> 00:36:55,260
“看尽英雄嗔癫群鬼舞”
(英雄は尽き憤懣の群鬼が舞うを見る)

729
00:36:55,260 --> 00:36:58,380
“黑白错 风崖起疑雾”
(黒白違えて 風崖に疑いの霧は立ち)

730
00:36:58,380 --> 00:37:01,980
“妙手设局待谁入”
(妙手の罠に誰かが嵌まれば)

731
00:37:01,980 --> 00:37:07,900
“六合渺渺 纵是无觅处”
(六合は遙か たとえ行くあてなくとも)

732
00:37:07,900 --> 00:37:14,260
“携酒来 拔剑去 自有归宿”
(酒を携え来て 剣を抜いて行く 帰る宿がある)

733
00:37:14,700 --> 00:37:17,900
“天欲晚 风雪袭巴蜀”
(天は暗きを欲し 風雪が巴蜀を襲う)

734
00:37:17,900 --> 00:37:21,340
“何幸借这温存 不孤独”
(幸いにもこの温もりがあれば孤独でなく)

735
00:37:21,340 --> 00:37:24,300
“问余生 怎舍好眉目”
(余生に問う 眉目の好しを)

736
00:37:24,300 --> 00:37:27,860
“三秋如梦也愿赴”
(三秋の夢の願いを手放せるかを)

737
00:37:27,860 --> 00:37:34,060
“六合渺渺 自有自在处”
(六合遙かに 己の居場所があれば)

738
00:37:34,060 --> 00:37:40,960
“竹林响 忘沉浮 寻光欲渡”
(竹林は響き 浮沈を忘れ 光を求め渡らん)





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