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第十二集 〈下〉
1
00:00:06,120 --> 00:00:08,480
張成嶺:師父──!
2
00:00:08,480 --> 00:00:11,880
──穴の深さが分からず、周子舒は石壁を
斜め下に一掌打ち込んで落下速度を遅くすると
3
00:00:11,880 --> 00:00:15,720
壁を蹴り、際なく痕なしの絶学の軽功を発揮した
4
00:00:18,960 --> 00:00:21,880
(周子舒):今 張成嶺を掴んで降りた時に
5
00:00:21,880 --> 00:00:24,920
内息の凝滞が少し急迫した
6
00:00:24,920 --> 00:00:27,400
もし石壁を利用してなければ
7
00:00:27,400 --> 00:00:29,760
恐らく打ちつけられてここで死んでいた──
8
00:00:34,600 --> 00:00:35,720
張成嶺:師父!
9
00:00:35,720 --> 00:00:39,080
今落ちてきた地面がまた
ひとりでに合わさりました……
10
00:00:42,400 --> 00:00:44,920
周子舒:これがカラクリなのか──
11
00:00:45,480 --> 00:00:49,200
張成嶺:師父 ここは暗いですね……
12
00:00:49,200 --> 00:00:50,600
周子舒:ん……
13
00:00:53,400 --> 00:00:56,360
この夜明珠はないよりましだ
(*聊胜于无=いささか無きに勝る《和劉柴桑》陶潜)
14
00:00:56,360 --> 00:01:01,920
──幸い、以前温客行と共に地穴に落ちた時に
明かりに使った夜明珠をまだ持っていて
わずかな光だが物を見ることはできた
15
00:01:03,680 --> 00:01:04,440
張成嶺:師 師父……
16
00:01:04,440 --> 00:01:05,020
周子舒:シーッ
張成嶺:師 師父……
17
00:01:05,020 --> 00:01:05,360
周子舒:シーッ
18
00:01:05,600 --> 00:01:07,160
声を出すな
19
00:01:07,880 --> 00:01:09,600
張成嶺:師父 見てください……
20
00:01:10,220 --> 00:01:12,160
その……大蟒蛇(うわばみ)……
21
00:01:12,440 --> 00:01:15,900
──狭い石室の遠くない場所で
光る二つの目が静かに二人を見ていた
22
00:01:15,900 --> 00:01:21,280
周子舒は夜明珠を持ち上げてかざすと
人の腰ほどの太さの大蟒蛇が、虎視眈々と
こちらを窺っているのが見えた
23
00:01:21,920 --> 00:01:24,160
(周子舒):福は二つ揃って来ず
禍は一つきりで行かず
(*福无双至 祸不单行=泣きっ面に蜂)
24
00:01:24,160 --> 00:01:26,480
全く 水を飲んでも歯に挟まるだ
(*喝水也塞牙=まったくついてない)
25
00:01:26,480 --> 00:01:28,320
俺の今の身体では恐らく……
26
00:01:28,320 --> 00:01:30,000
張成嶺:師……師父
27
00:01:30,000 --> 00:01:34,240
わわ私が聞いた話では
大蟒蛇の移動速度は特別速くて
28
00:01:34,240 --> 00:01:36,640
普通の人では端から躱せるものじゃないって
29
00:01:36,640 --> 00:01:38,800
それは大抵歯が悪くて
30
00:01:38,800 --> 00:01:43,160
人を食べる前に必ずまず人を絞め潰すんだそうです
31
00:01:43,160 --> 00:01:44,760
一旦それに絡み付かれると
32
00:01:44,760 --> 00:01:46,840
人はむざむざ死ぬまで絞られて
33
00:01:46,840 --> 00:01:51,120
全身の骨は圧力で砕かれ
内臓はもみくちゃになって集まり
34
00:01:51,120 --> 00:01:54,360
ただ皮膚のあるズタ袋になってしまうんです
35
00:01:54,360 --> 00:01:56,200
それでそいつは消化しやすいと思って
36
00:01:56,200 --> 00:01:57,440
それから一口で人を飲み込んで……
37
00:01:57,440 --> 00:01:58,920
周子舒:黙れ
38
00:02:04,040 --> 00:02:06,360
張成嶺:うわぁぁ 師父!
39
00:02:06,360 --> 00:02:08,000
こっちに来ました!!!
40
00:02:09,000 --> 00:02:15,120
──大蟒蛇は高く跳び上がり喉に狙いをつけたが
周子舒は張成嶺を隅に放り投げてから身を沈めて
白衣剣を逆手で抜き、この畜生の後首を斬りつけた
41
00:02:15,120 --> 00:02:17,760
(周子舒):この蛇の皮膚はこんなに頑丈なのか
42
00:02:18,720 --> 00:02:22,720
俺の手にあるのが白衣剣でなければ
恐らくすでに折れていた……
43
00:02:22,720 --> 00:02:25,360
──白衣剣と大蛇の皮膚が
ぶつかり合うと火花が散った
44
00:02:25,360 --> 00:02:27,900
振り回した長い尾が周子舒の肩を掠め
周子舒は三歩下がった
45
00:02:28,280 --> 00:02:29,640
周子舒:おかしい
46
00:02:29,840 --> 00:02:32,240
畜生なら通常毛や血もそのまま喰うものだ
47
00:02:32,520 --> 00:02:35,800
この大蟒蛇の口の中はどうして生臭さがない?
48
00:02:37,480 --> 00:02:39,800
──大蟒蛇が尾を振り下ろすと石礫が飛び散った
49
00:02:43,920 --> 00:02:47,680
張成嶺:師父……こいつは偽の蛇みたいですよ!
50
00:02:48,840 --> 00:02:51,240
──張成嶺が声を出すと大蛇は
すぐに気が付き振り向いた
51
00:02:52,520 --> 00:02:54,080
張成嶺:本当に偽物です!
52
00:02:54,080 --> 00:02:57,120
この蛇はどうして本物のように
動いてるんでしょう……
53
00:02:58,400 --> 00:03:00,000
師父見てくださいよ!
54
00:03:00,000 --> 00:03:01,800
偽の蛇は人を食べられません!
55
00:03:01,800 --> 00:03:03,920
周子舒:この小僧……
56
00:03:03,920 --> 00:03:05,120
──首を持ち上げ彼に飛びかかった
57
00:03:05,120 --> 00:03:08,160
張成嶺:あああ! こっちに来ました!!
58
00:03:09,400 --> 00:03:14,760
自分で命を投げ出そうとする彼を放っておけず
周子舒は大鵬が翼を拡げるように飛び上がると
蛇の側頭を蹴って向きを変えさせた
59
00:03:14,760 --> 00:03:16,960
脛にかすかな痛みを覚えた
60
00:03:16,960 --> 00:03:18,440
張成嶺:師父!
61
00:03:21,200 --> 00:03:22,440
周子舒:聞け
62
00:03:22,640 --> 00:03:24,320
俺がそれを引き付けたら
63
00:03:24,320 --> 00:03:26,040
お前は後ろの洞穴に逃げ込め
64
00:03:26,040 --> 00:03:27,440
ただし奥には行くな
65
00:03:27,440 --> 00:03:28,800
入り口にいて俺を待ってろ
66
00:03:28,800 --> 00:03:29,620
聞こえたな
67
00:03:29,620 --> 00:03:30,560
張成嶺:うん!
68
00:03:31,760 --> 00:03:34,760
──大蛇が頭を振って向き直ると
周子舒は張成嶺の背を押した
69
00:03:34,760 --> 00:03:36,160
周子舒:行け!
70
00:03:37,920 --> 00:03:40,600
──張成嶺は目を閉じて突進した
71
00:03:40,600 --> 00:03:48,160
途中で大蟒蛇とぶつかりそうになり
周子舒が内心大慌てで大蛇の目を剣で突くと
それは決死の勢いで──無論生きていないのだが
飛びかかってきた
72
00:03:51,180 --> 00:03:54,680
──視界の隅で張成嶺が
洞穴の入り口にいるのを見た
73
00:03:57,320 --> 00:03:59,040
(周子舒):石壁の上部の空間は狭い──
74
00:03:59,040 --> 00:04:00,160
ちょうどいい
75
00:04:00,160 --> 00:04:02,720
──石壁に沿ってよじ登り二、三丈ほど
上方に跳び上がった
76
00:04:02,720 --> 00:04:05,960
すぐに大蟒蛇が噛みつこうと追いかけて来たため
周子舒は一息で石壁を蹴って空中で翻った
77
00:04:13,120 --> 00:04:19,520
剣を折るそれの腰でも周子舒ほど柔らかくはなく
二つに折れたようになって狭い空間に
半分繋がったままぶら下がった
78
00:04:22,760 --> 00:04:24,160
張成嶺:師父!
79
00:04:24,160 --> 00:04:26,280
怪我してないですよね?
80
00:04:30,000 --> 00:04:31,760
周子舒:内傷──
81
00:04:31,760 --> 00:04:34,440
それもお前が怒らせたから出てきたんだ
82
00:04:37,000 --> 00:04:38,560
離れるな
83
00:04:38,560 --> 00:04:39,920
張成嶺:あぁっ……
84
00:04:39,920 --> 00:04:45,320
──張成嶺は頭を振ると彼に付いて
大蛇が守っていた洞穴に慎重に入っていった
85
00:04:50,280 --> 00:04:51,720
張成嶺:師父
86
00:04:51,720 --> 00:04:55,080
向こうにあるのは扉じゃないですか?
87
00:04:55,080 --> 00:04:57,080
周子舒:壁に沿って立て
88
00:04:57,720 --> 00:04:59,000
張成嶺:あぁ……
89
00:05:06,280 --> 00:05:07,400
周子舒:気をつけろ
90
00:05:07,400 --> 00:05:08,760
張成嶺:うん
91
00:05:20,560 --> 00:05:24,400
──夜明珠を挙げて中を眺めると
そこは埃だらけの小さな石室だった
92
00:05:26,320 --> 00:05:27,760
張成嶺:師父
93
00:05:27,760 --> 00:05:31,000
隅にいる二人は温前輩たちでしょうか──
94
00:05:31,000 --> 00:05:32,240
周子舒:違う
95
00:05:32,720 --> 00:05:34,480
あれは偶人だ
96
00:05:39,040 --> 00:05:41,240
(周子舒):どうりでここが傀儡山荘と呼ばれるわけだ
97
00:05:41,240 --> 00:05:44,280
荘内にはまるで人気(ひとけ)がなく
98
00:05:44,280 --> 00:05:47,360
あたりは奇妙な繰り人形だらけだ……
99
00:05:50,320 --> 00:05:51,800
張成嶺:ねえ師父
100
00:05:52,040 --> 00:05:53,960
この偶人 一人は男で一人は女です
101
00:05:53,960 --> 00:05:56,400
生きてるのと同じようになってます……
102
00:05:56,600 --> 00:05:57,880
周子舒:見るな
103
00:05:57,880 --> 00:05:59,160
お前が先に行け
104
00:05:59,160 --> 00:06:00,360
気をつけろ
105
00:06:00,360 --> 00:06:01,800
張成嶺:うん
106
00:06:01,800 --> 00:06:04,640
──その偶人の関節は大蛇よりずっと
柔軟に見えて、使い古しの手は無理だと思った
107
00:06:04,640 --> 00:06:07,200
張成嶺と背中合わせになり
偶人から目を離さず慎重に歩いた
108
00:06:07,200 --> 00:06:09,640
張成嶺:師父 また前に扉があります
109
00:06:09,640 --> 00:06:10,800
周子舒:どけ
110
00:06:12,400 --> 00:06:13,200
待て
111
00:06:13,200 --> 00:06:14,480
張成嶺:はい
112
00:06:16,934 --> 00:06:22,640
──周子舒は剣を胸の前で横に構え
体を斜にして、古びた扉を押し開いた
113
00:06:25,040 --> 00:06:27,480
張成嶺:また通路です……
114
00:06:28,320 --> 00:06:29,960
周子舒:扉を閉めろ
115
00:06:30,120 --> 00:06:31,400
行くぞ
116
00:06:31,400 --> 00:06:32,400
張成嶺:ええ
117
00:06:37,040 --> 00:06:41,920
──扉を閉じた瞬間、石室の二体の偶人の目が
彼の背中を追いかけ一周した
118
00:06:59,920 --> 00:07:01,440
張成嶺:師 師父……
119
00:07:01,440 --> 00:07:02,640
周子舒:大丈夫だ
120
00:07:02,640 --> 00:07:03,720
しっかり付いて来い
121
00:07:03,720 --> 00:07:04,960
張成嶺:うん!
122
00:07:04,960 --> 00:07:10,200
──周子舒が彼の肩に置いた手は
痩せていても暖かく、かすかな夜明珠の
光を借りて周子舒の横顔を見ると安心できた
123
00:07:10,200 --> 00:07:12,760
(周子舒):この通路はどうしてこんなに長い……
124
00:07:13,200 --> 00:07:16,100
温客行と葉白衣もどこに行ったか分からない
125
00:07:16,600 --> 00:07:19,920
だが彼ら二人は何も問題はないだろう
126
00:07:19,920 --> 00:07:27,040
むしろ張成嶺のような肝心な時に足手まといになる
小倅を連れてる俺の方がより厄介だ
127
00:07:28,960 --> 00:07:32,240
張成嶺:師父 また一枚扉です
128
00:07:32,240 --> 00:07:33,280
周子舒:警戒しろ
129
00:07:33,280 --> 00:07:34,960
張成嶺:はい
130
00:07:34,960 --> 00:07:38,960
──石廊の突き当りに今度は大きな扉があった
131
00:07:43,120 --> 00:07:46,200
周子舒:ここの地面はどうして黒灰色なんだ?
132
00:07:46,600 --> 00:07:47,960
先に進むんじゃない
133
00:07:48,040 --> 00:07:49,360
張成嶺:はい
134
00:07:59,840 --> 00:08:04,040
師父 カラクリは何もないみたいです……
135
00:08:19,360 --> 00:08:21,400
あの滴り落ちて来た水は何ですか!!
136
00:08:21,400 --> 00:08:25,520
さっき投げた銀子がもうこんなに
溶けたんですか?!
137
00:08:37,080 --> 00:08:39,040
この水はどうして増えていってるんでしょう……
138
00:08:39,040 --> 00:08:41,060
師父……
139
00:08:41,060 --> 00:08:43,720
周子舒:この道は通れん 戻るぞ
140
00:08:44,720 --> 00:08:49,400
──この世に踏雪無痕はあっても
雨の中を漂い水滴を避ける軽功は絶対にない
141
00:08:55,480 --> 00:08:57,880
張成嶺:師師師師……師父
142
00:08:57,880 --> 00:08:59,640
こ……これは祟りでしょうか?
143
00:08:59,640 --> 00:09:00,960
周子舒:扉を閉めろ
144
00:09:00,960 --> 00:09:03,080
しばらくは誤って踏み込まずに済む!
145
00:09:03,080 --> 00:09:04,440
張成嶺:はい!
146
00:09:07,040 --> 00:09:09,560
周子舒:それからお前はそこに隠れろ 声を出すな
147
00:09:09,560 --> 00:09:12,880
──その足音は次第に速くなって近づいてきた
148
00:09:12,880 --> 00:09:14,320
(周子舒):この通路は薄暗い
149
00:09:14,320 --> 00:09:16,920
相手がもし奇襲するなら実際非常に簡単だ……
150
00:09:16,920 --> 00:09:20,400
──足音は最後には暴走しているようになり
突然消えた
151
00:09:26,640 --> 00:09:28,040
周子舒:おかしい
152
00:09:28,400 --> 00:09:30,960
どうして張成嶺の呼吸しか聞こえない……
153
00:09:30,960 --> 00:09:32,800
来たのはまさか……
154
00:09:37,520 --> 00:09:38,520
(周子舒):クソッ
155
00:09:38,520 --> 00:09:40,800
さっきの石室の中の偶人だ!
156
00:09:41,880 --> 00:09:46,000
この設計者は本気で全ての者の
行く手を塞ぐつもりだな!
157
00:09:46,000 --> 00:09:48,360
もしさっきの石室で偶人を反応させていたら
158
00:09:48,360 --> 00:09:51,080
あの場所はだだっ広い空間だったから
159
00:09:51,080 --> 00:09:52,840
偽の蟒蛇を対処ができる腕利きからすれば
160
00:09:52,840 --> 00:09:54,920
まだ十分対応できただろうが……
161
00:09:55,200 --> 00:09:57,360
しかし今 この狭く長い通路では
162
00:09:57,360 --> 00:10:00,560
恐らくどんな蓋世の神功でも
発揮するのは難しい──
163
00:10:00,700 --> 00:10:01,720
周子舒:はっ!
164
00:10:01,720 --> 00:10:06,080
──刃と刃がぶつかると、剣先を軽くしならせて
功力を発し、神鉄の兵器に内力の奔流が加わって
偶人の手の重剣は真っ二つに折れた
165
00:10:06,080 --> 00:10:08,760
偶人は意に介さず指を開いて折れた
剣の柄を落とし、腕を振り回した
166
00:10:08,760 --> 00:10:11,080
(周子舒):この偶人は痛みを知らず 死を恐れない
167
00:10:11,080 --> 00:10:13,080
全身を武器にできるのだ……
168
00:10:13,080 --> 00:10:14,880
次はどうする……
169
00:10:14,880 --> 00:10:18,120
──周子舒は振り下ろした腕を掴み、そのまま
閉めた大扉に背中が着くまで後退した
170
00:10:18,120 --> 00:10:19,840
大扉は偶人に殴られ大穴が開いた
171
00:10:19,840 --> 00:10:22,680
周子舒:あれは もう一体の偶人か?
172
00:10:22,920 --> 00:10:24,160
しまった!
173
00:10:24,160 --> 00:10:26,120
彼女は小僧の方へ向かってるのか?!
174
00:10:26,120 --> 00:10:30,080
──周子舒は身を低くし男偶人の横腕の
一撃を躱すと張成嶺の元へ向かった
175
00:10:30,080 --> 00:10:32,520
(周子舒):小僧があの女偶人の一撃を受けたら
176
00:10:32,520 --> 00:10:33,920
確実に死ぬ!
177
00:10:38,720 --> 00:10:43,240
──女偶人の動きは速く、周子舒は
張成嶺を守るのがやっとだった
178
00:10:43,240 --> 00:10:44,680
張成嶺:師父!
179
00:10:44,680 --> 00:10:49,120
──その偶人が長い簫を棍棒のように薙ぐと
周子舒は避ける場所もなくただ背中で受け止めた
180
00:10:49,120 --> 00:10:50,080
周子舒:小僧 無理だ!
181
00:10:50,080 --> 00:10:51,440
張成嶺:道連れにしてやる!
182
00:10:51,440 --> 00:10:52,760
周子舒:小僧──
183
00:10:52,760 --> 00:10:54,400
張成嶺:やぁぁ──
184
00:10:54,400 --> 00:10:55,480
周子舒:戻れ!
185
00:10:55,480 --> 00:10:57,840
武器すら持たずに……
186
00:11:01,240 --> 00:11:03,880
──突然、女偶人の横の石壁が崩れ落ちた
187
00:11:04,320 --> 00:11:07,460
女偶人は崩れた壁の下で鉄簫を振り回していた
188
00:11:10,200 --> 00:11:12,640
温客行:ここはなんて酷い場所……
189
00:11:12,640 --> 00:11:13,080
周子舒:老温!
190
00:11:13,080 --> 00:11:13,520
温客行:阿絮!
周子舒:老温!
191
00:11:13,520 --> 00:11:14,400
温客行:阿絮!
192
00:11:15,240 --> 00:11:18,520
張成嶺:そ その偶人 壁に押さえられてます!
193
00:11:19,720 --> 00:11:21,520
温客行:どの偶人……
194
00:11:21,520 --> 00:11:25,040
──うっかり踏みつけそうになって
地を払う簫から飛び退いた
195
00:11:25,040 --> 00:11:27,280
温客行:阿絮! 坊主!
196
00:11:28,520 --> 00:11:29,760
私のそばまで来て!
197
00:11:29,760 --> 00:11:30,960
張成嶺:師父は怪我をしてます……
198
00:11:30,960 --> 00:11:32,520
温客行:なんだって?!阿絮……
199
00:11:32,520 --> 00:11:35,120
──大扉から腕を抜いた男偶人も向かってきた
200
00:11:37,080 --> 00:11:39,040
温客行:坊主 先に来い!
201
00:11:39,040 --> 00:11:39,920
張成嶺:じゃあ師父は……
202
00:11:39,920 --> 00:11:40,680
温客行:来るんだ
203
00:11:40,680 --> 00:11:41,760
張成嶺:はい!
204
00:11:42,300 --> 00:11:45,480
──温客行は張成嶺を掴んで振り回すと
壁に開いた穴に放り込んだ
205
00:11:48,960 --> 00:11:49,280
周子舒:俺は平……
206
00:11:49,280 --> 00:11:50,960
温客行:しゃべらないで
207
00:11:51,440 --> 00:11:55,520
──それから身を屈めて周子舒を
抱き起こし、続けてそこに飛び込んだ
208
00:11:58,120 --> 00:12:01,000
温客行:坊主 君の師父を見てろ
209
00:12:01,000 --> 00:12:04,680
──偶人は前後にしか進めず
行ったり来たりしているうちに
女偶人の簫が男偶人の足に当たって倒れた
210
00:12:04,680 --> 00:12:05,520
張成嶺:えぇ?
211
00:12:05,520 --> 00:12:08,120
あの偶人たち ぶつかってケンカになってる!
212
00:12:08,120 --> 00:12:09,320
温客行:あぁ
213
00:12:10,960 --> 00:12:12,240
阿絮……
214
00:12:12,240 --> 00:12:14,480
どうしてこんなに血が……
215
00:12:14,800 --> 00:12:16,680
ひとまずしゃべらないで
216
00:12:18,320 --> 00:12:19,680
坊主
217
00:12:20,080 --> 00:12:22,440
君は反対側の通路口を見てて
218
00:12:22,440 --> 00:12:24,080
もし何か……
219
00:12:24,080 --> 00:12:25,520
一尺ほどの大きさの
(*一尺=25cmぐらい)
220
00:12:25,520 --> 00:12:29,240
何か丸いものが転がって来たら
走って戻ってきて私に知らせろ
221
00:12:29,240 --> 00:12:31,120
張成嶺:あぁ あ 前輩
222
00:12:31,120 --> 00:12:32,280
私の師父は……
223
00:12:32,280 --> 00:12:33,800
温客行:大丈夫 死なない
224
00:12:33,800 --> 00:12:35,160
張成嶺:あぁ
225
00:12:35,160 --> 00:12:38,240
前輩 あなたのおっしゃる何かって何ですか?
226
00:12:38,240 --> 00:12:39,720
温客行:私も分からない
227
00:12:40,560 --> 00:12:43,640
その壁はそいつに壊されたんだ
228
00:12:44,400 --> 00:12:47,560
張成嶺:はい 守って来ます!
229
00:12:57,480 --> 00:12:59,280
周子舒:俺の服を解いてどうするんだ
230
00:12:59,280 --> 00:13:01,280
上手いこと俺にありつくつもりか?
231
00:13:01,280 --> 00:13:03,000
温客行:もうしゃべらないで
232
00:13:03,280 --> 00:13:04,680
風前の灯なのに
(*吹灯拔蜡=火が消え蝋燭を抜く、お陀仏になる)
233
00:13:04,680 --> 00:13:06,320
まだ無駄口が出てくるの
234
00:13:10,520 --> 00:13:13,360
周子舒:さっきは葉前輩のような
食道楽に穀潰しと罵られ
235
00:13:13,560 --> 00:13:16,100
また お前みたいな口達者に
無駄口と言われた……
236
00:13:16,400 --> 00:13:19,480
温客行:しゃべるのを控えなさい
237
00:13:19,480 --> 00:13:22,120
──温客行が慎重に周子舒の衣服を解くと
胸の釘に目が触れて思わず視線を彷徨わせた
238
00:13:22,120 --> 00:13:24,840
温客行:これは……
239
00:13:25,320 --> 00:13:27,680
周子舒:七竅三秋釘だ……
240
00:13:30,240 --> 00:13:33,000
温客行:……私が見てるのはあたなの背中の傷です
241
00:13:33,880 --> 00:13:37,080
──呼吸をすると胸や背中が
火が着いたように痛んだ
242
00:13:37,080 --> 00:13:41,200
温客行:もう少しで そいつは
あなたの脊梁骨を断てた
243
00:13:41,200 --> 00:13:43,160
信じない?
244
00:13:45,480 --> 00:13:47,440
周子舒:たわ言をやめろ
245
00:13:48,240 --> 00:13:52,360
俺がもし一体の人形に脊梁骨を断たれたとしたら
246
00:13:52,360 --> 00:13:54,520
生きてるのが恥ずかしいだろ
247
00:13:58,080 --> 00:13:59,480
温客行:馬鹿なの?
248
00:13:59,480 --> 00:14:01,640
痛みが分からない?
249
00:14:02,180 --> 00:14:04,240
周子舒:押すな
250
00:14:04,520 --> 00:14:07,000
俺に棒で打たれた方がいい
251
00:14:07,000 --> 00:14:09,520
自分でも試してみろ……
252
00:14:12,960 --> 00:14:18,280
──温客行は珍しく沈黙して周子舒を
助け起こすと後心に手を当て真気を送った
253
00:14:18,280 --> 00:14:22,500
彼は以前の葉白衣のように力を入れすぎて
釘に障るのを心配していた
254
00:14:24,040 --> 00:14:29,120
(温客行):私の人生での練功は 全て
人を傷付け人を殺すためのものだった
255
00:14:29,520 --> 00:14:32,400
これは初めて人を救うための試みになる──
256
00:14:33,360 --> 00:14:38,120
まるで一人の屠殺夫が刺繍針を刺すような……
257
00:14:46,000 --> 00:14:50,880
私が最初から母さまの話を聞いて
医術を学んで身に付けていたら……
258
00:14:50,880 --> 00:14:57,200
今みたいに 小心翼々と
戦々恐々とすることもなかった
259
00:14:57,560 --> 00:15:00,800
ただこの人にこれ以上何かが起こるのが怖い……
260
00:15:26,440 --> 00:15:30,520
──やっと周子舒を開放すると
肩を横にして壁に凭せ掛けた
261
00:15:30,520 --> 00:15:34,720
周子舒は体力の限界を知っていて口元の血痕も
拭わず、痛ましい蒼白な顔で目を閉じていた
262
00:15:34,720 --> 00:15:36,120
温客行:阿絮
263
00:15:37,560 --> 00:15:39,440
眠ってるの?
264
00:15:46,480 --> 00:15:53,480
──温客行はしばらく周子舒の顔を見ていたが
耐えきれず突然俯いて
そっと彼の口元に吸い付き血痕を舐めた
265
00:15:53,480 --> 00:16:00,200
手を伸ばして周子舒の鬢の毛に手を挿し込むと
二人の呼吸は極めて近くなった
266
00:16:06,360 --> 00:16:09,680
周子舒:全く人の危急に付け込む
小人の振る舞いだな
267
00:16:12,800 --> 00:16:17,200
温客行:まるで君子のように言う
268
00:16:18,080 --> 00:16:20,320
──周子舒は苦しげに顔を背けたが
温客行に顎をつままれた
269
00:16:20,320 --> 00:16:22,160
温客行:なんで避けるの
270
00:16:22,160 --> 00:16:24,520
あなたには良心がないの?
271
00:16:24,520 --> 00:16:26,520
あなたために傷を癒やしたのに
272
00:16:26,760 --> 00:16:29,720
これっぽっちの儲けすらないの?
273
00:16:37,520 --> 00:16:42,280
周子舒:俺はしばらく身を売る予定はない
274
00:16:44,520 --> 00:16:48,600
温客行:人が形勢不利の時
何が起こるか知ってます?
275
00:16:50,880 --> 00:16:51,720
強
276
00:16:51,720 --> 00:16:52,840
強 制
277
00:16:52,840 --> 00:16:54,000
強 制 売
278
00:16:54,000 --> 00:16:56,080
強 制 売 買
279
00:16:56,080 --> 00:16:58,200
──温客行は意味不明な目で彼を見つめた
280
00:16:59,640 --> 00:17:01,880
周子舒:お前はがっつきすぎだ
281
00:17:02,840 --> 00:17:07,240
──温客行は彼から手を離し頭の後ろで手を組んで
寝転ぶと、長い足で反対側の壁を踏みしめた
282
00:17:07,240 --> 00:17:09,080
温客行:まあでも
283
00:17:10,480 --> 00:17:12,600
ひとまず借りにしておいていい
284
00:17:14,080 --> 00:17:16,100
しばらくここで休もう
285
00:17:17,600 --> 00:17:20,720
この奇門遁甲は私たちもよく分かってないし
286
00:17:21,200 --> 00:17:23,040
ちょっとゆっくりしてからまた方法を考えよう
287
00:17:23,040 --> 00:17:24,560
周子舒:ん……
288
00:17:28,840 --> 00:17:35,280
──周子舒は精力が尽きていて、目を閉じると
半ば昏睡のような眠りについた
289
00:17:41,240 --> 00:17:46,680
温客行は頭を横に向けて、低く抑えた
一定の呼吸で眠っているらしい彼を見ていた
290
00:17:57,680 --> 00:18:00,240
大巫:もしあなたが一身の功力を捨て去れば──
291
00:18:00,240 --> 00:18:03,520
あるいは五分の見込みが立つかも知れぬ
292
00:18:03,520 --> 00:18:05,080
あなたの命を守り留める
293
00:18:12,120 --> 00:18:14,160
(温客行):少しだけ……
294
00:18:14,880 --> 00:18:17,560
彼を引き留めることができるかも知れない
295
00:18:18,040 --> 00:18:20,240
いくらか苦痛があっても
296
00:18:20,920 --> 00:18:23,080
でも少しだけ
297
00:18:23,600 --> 00:18:27,040
阿絮を引き留められるとしたら──
298
00:18:30,760 --> 00:18:34,800
──彼の手のひらが躊躇い、まだ触れても
ないうちに、冷たい手指が彼の腕に掛かった
299
00:18:35,200 --> 00:18:36,960
周子舒:何をする気だ?
300
00:18:41,760 --> 00:18:43,960
他の者には分かるまいが
301
00:18:44,720 --> 00:18:48,600
まさかお前も分からないのか?
302
00:18:48,600 --> 00:18:50,800
──温客行はそっと手を傍らに置いた
303
00:18:50,800 --> 00:18:52,680
温客行:はい
304
00:18:54,360 --> 00:18:56,840
私は分かってます
305
00:18:56,840 --> 00:19:01,040
──彼が徐に腕を下にやると、地面にはその一掌で
くっきりと半寸の深さの掌印が押された
306
00:19:02,480 --> 00:19:04,760
温客行:私は分かってる……
307
00:19:47,840 --> 00:19:50,160
張成嶺:しまった どうして寝てしまったんだ
308
00:19:50,160 --> 00:19:51,280
誰?
309
00:19:52,040 --> 00:19:54,480
師父! 温前輩!
310
00:19:55,640 --> 00:19:57,040
周子舒:付いてこい
311
00:19:57,040 --> 00:19:58,360
張成嶺:あっ
312
00:19:59,720 --> 00:20:02,480
師父 怪我は良くなったんですか?
313
00:20:03,160 --> 00:20:04,560
周子舒:そんな早く良くなるか
314
00:20:04,560 --> 00:20:06,360
俺は人じゃないのか?
315
00:20:07,680 --> 00:20:09,400
張成嶺:じゃあ師父は……
316
00:20:09,400 --> 00:20:11,840
自分で歩けるんですか?
317
00:20:12,240 --> 00:20:16,100
周子舒:でなけりゃ俺は今何をしてると思うんだ?
318
00:20:18,440 --> 00:20:20,040
張成嶺:師父
319
00:20:20,040 --> 00:20:21,480
つまり私は……
320
00:20:21,480 --> 00:20:23,280
あなたの怪我がそんなに重……
321
00:20:23,280 --> 00:20:28,320
周子舒:だからお前は俺がこの鬼門の地で
なよなよしてるはずだと思ってるのか?
322
00:20:28,320 --> 00:20:29,760
まさかお前は俺をおぶるつもりか?
323
00:20:29,760 --> 00:20:30,400
張成嶺:もちろん──
324
00:20:30,400 --> 00:20:31,240
温客行:あぁ
325
00:20:31,240 --> 00:20:32,840
私がおぶる
326
00:20:33,800 --> 00:20:36,120
あなたを抱っこしてもいい
327
00:20:36,120 --> 00:20:37,960
周子舒:冗談言うな
328
00:20:46,200 --> 00:20:47,560
張成嶺:師父……
329
00:20:47,560 --> 00:20:50,360
先ほどあそこで大きな音がしませんでした?
330
00:20:50,360 --> 00:20:51,600
周子舒:うん
331
00:20:52,400 --> 00:20:53,920
温客行:待って
332
00:20:54,640 --> 00:20:56,440
剣を貸して
333
00:20:56,440 --> 00:20:59,720
──周子舒を引き寄せ白衣剣に手を伸ばして
掴んで取り出すと、刀身に指を走らせた
334
00:20:59,720 --> 00:21:02,120
温客行:この剣は間違いない
335
00:21:02,800 --> 00:21:08,420
──地下道の角を曲がったところの男が
指を出して彼の剣先を弾き返すと、温客行は
すぐに手を変え、電光石火で十手ほど切り結んだ
336
00:21:08,420 --> 00:21:12,760
周子舒の手にある時は非常に清らかな軟剣は
温客行の手の中では毒壊疽のように詭異だった
337
00:21:12,760 --> 00:21:13,720
周子舒:葉
338
00:21:13,840 --> 00:21:15,240
葉前輩
339
00:21:19,240 --> 00:21:20,440
温客行:やぁ
340
00:21:20,440 --> 00:21:22,120
誤解ですよ
341
00:21:22,120 --> 00:21:23,720
純然たる誤解です
342
00:21:23,720 --> 00:21:26,480
真っ暗で分からなくて……
343
00:21:26,480 --> 00:21:29,000
葉白衣:デタラメばかりだな
344
00:21:29,600 --> 00:21:30,800
ん?
345
00:21:30,800 --> 00:21:34,400
お前はどうしてそのみっともない姿に
なってしまったんだ……
346
00:21:36,520 --> 00:21:38,440
周子舒:若輩は全く使い物になりません
347
00:21:38,440 --> 00:21:40,000
まるでただの穀潰しです
348
00:21:40,000 --> 00:21:41,080
葉白衣:ん?
349
00:21:41,080 --> 00:21:43,560
……お前は己を分かってるようだな
350
00:21:43,560 --> 00:21:45,000
こっちに来い
351
00:21:45,320 --> 00:21:48,120
周子舒:はい……ん?
352
00:21:49,000 --> 00:21:50,920
なんで俺を支えてるんだ
353
00:21:51,120 --> 00:21:52,440
俺は足が不自由か?
354
00:21:52,440 --> 00:21:55,000
温客行:あの老怪物が来たのに何を強がってるの?
355
00:21:55,000 --> 00:21:56,360
行くよ
356
00:22:18,440 --> 00:22:21,040
周子舒:この年寄りは本当に幾らか腕があるようだ
357
00:22:21,040 --> 00:22:23,760
この四方八方に通じる鬼洞と
まるでそっくりな場所で
358
00:22:23,760 --> 00:22:26,640
俺と温客行でもそれぞれ危険な目に遭ったが
359
00:22:26,640 --> 00:22:30,400
彼に付いて行くと驚くほど順調だ
360
00:22:30,400 --> 00:22:32,400
張成嶺:前方に大堂があります
361
00:22:32,400 --> 00:22:34,760
葉前輩 入ってみますか?
362
00:22:34,760 --> 00:22:36,400
葉白衣:うむ
363
00:22:43,840 --> 00:22:45,520
張成嶺:これは何が来てるんですか!
364
00:22:45,520 --> 00:22:46,120
温客行:躱せ坊主!
365
00:22:46,120 --> 00:22:47,000
張成嶺:うゎぁ!
温客行:躱せ坊主!
366
00:22:47,000 --> 00:22:47,800
張成嶺:うゎぁ!
367
00:22:47,800 --> 00:22:49,400
──反射的に張成嶺を後方へ蹴り飛ばした
368
00:22:49,400 --> 00:22:50,400
温客行:危ない
369
00:22:50,400 --> 00:22:52,520
そいつはちょっとでも触れると炸裂する!
370
00:22:52,520 --> 00:22:55,440
──温客行は周子舒を抱き上げて
三、四丈ほど飛び上がった
371
00:22:55,440 --> 00:23:01,040
四方八方から湧き出る一尺ほどの球は
少しでも触れると爆発し、温客行はこれに追われて
地道を鼠のように彷徨っていたのだった
372
00:23:01,040 --> 00:23:06,560
葉白衣は冷静に球が押し寄せてくるのを見て
何の手かは分からないが前方に一掌押し出した
373
00:23:08,720 --> 00:23:09,960
周子舒:はっ
374
00:23:12,040 --> 00:23:13,600
張成嶺:葉 葉前輩は
375
00:23:13,600 --> 00:23:17,320
運気して障壁を立てて爆破を遮ったんですか
376
00:23:17,720 --> 00:23:19,920
(温客行):この老いぼれ食道楽──
377
00:23:27,680 --> 00:23:29,320
葉白衣:まだ出て来ぬか!
378
00:23:29,320 --> 00:23:30,480
はっ!
379
00:23:30,480 --> 00:23:31,760
温客行:誰だ!
380
00:23:50,800 --> 00:23:53,560
周子舒:俺と過保護という言葉は
生まれつきの腐れ縁か
381
00:23:53,560 --> 00:23:54,440
温客行:もう一球私に寄越して!
周子舒:俺と過保護という言葉は
生まれつきの腐れ縁か
382
00:23:54,440 --> 00:23:55,240
温客行:もう一球私に寄越して!
383
00:23:55,240 --> 00:23:57,640
もう一度あの老いぼれに当ててやる!
384
00:23:57,640 --> 00:24:00,640
葉白衣:おい龍の 俺は当時の容炫が
どんなだったか知っておかねばならん!
385
00:24:00,640 --> 00:24:05,120
龍雀:若者よ 良き事をなせ
386
00:24:05,120 --> 00:24:08,200
その剣を手に取り わしをすっきりさせてくれ
387
00:24:08,200 --> 00:24:12,560
温客行:阿絮 あなたも私と一緒に残ることにして
388
00:24:12,680 --> 00:24:14,160
周子舒:あぁ
389
00:24:16,100 --> 00:24:18,300
“这人间困境几何”
(この世に苦境 幾ばくか)
390
00:24:18,300 --> 00:24:21,980
“得超脱又几个”
(逃れ得るのは幾人か)
391
00:24:21,980 --> 00:24:25,140
“如敢以生死来涉”
(敢えて生死を賭ければ)
392
00:24:25,140 --> 00:24:28,220
“孑然是天涯客”
(それは独りの天涯客)
393
00:24:28,220 --> 00:24:31,700
“谁辞别庙堂 醉山河”
(廟堂を離れ 山河に酔う人が)
394
00:24:31,700 --> 00:24:34,620
“沐得天光赏春色”
(天光浴びて 春色を味わえば)
395
00:24:34,620 --> 00:24:41,500
“欲做闲云鹤 偏又生纠葛”
(たゆたう雲間の鶴ならんとも しがらみまた生じる)
396
00:24:41,580 --> 00:24:44,620
“飞絮身 偏走黄泉路”
(身を飛絮として 黄泉路を進めば)
397
00:24:44,620 --> 00:24:48,060
“看尽英雄嗔癫群鬼舞”
(英雄は尽き憤懣の群鬼が舞うを見る)
398
00:24:48,060 --> 00:24:51,100
“黑白错 风崖起疑雾”
(黒白違えて 風崖に疑いの霧は立ち)
399
00:24:51,100 --> 00:24:54,500
“妙手设局待谁入”
(妙手の罠に誰かが嵌まれば)
400
00:24:54,500 --> 00:25:00,620
“六合渺渺 纵是无觅处”
(六合は遙か たとえ行くあてなくとも)
401
00:25:00,620 --> 00:25:07,500
“携酒来 拔剑去 自有归宿”
(酒を携え来て 剣を抜いて行く 帰る宿がある)
402
00:25:33,820 --> 00:25:36,180
“正邪道人心叵测”
(正邪で人心は測れず)
403
00:25:36,180 --> 00:25:39,580
“甘苦自取自舍”
(甘苦を自ら選び取り)
404
00:25:39,580 --> 00:25:43,020
“遇知己明眸澈澈”
(巡り合った知己の瞳は明澄にして)
405
00:25:43,020 --> 00:25:46,060
“如举灯过渊泽”
(灯を掲げ沢の淵を渡るなら)
406
00:25:46,060 --> 00:25:49,460
“谁以鬼行世 恨善恶”
(世を行く鬼として 善悪を恨む誰かの)
407
00:25:49,460 --> 00:25:52,340
“红袍褪身识得”
(紅い袍を落とせば見える)
408
00:25:52,340 --> 00:25:59,140
“一眼竟万年 情痴终不赦”
(一眼万年の恋情 ついぞ赦されることなし)
409
00:25:59,220 --> 00:26:02,220
“飞絮身 偏走黄泉路”
(身を飛絮として 黄泉路を進めば)
410
00:26:02,220 --> 00:26:05,660
“看尽英雄嗔癫群鬼舞”
(英雄は尽き憤懣の群鬼が舞うを見る)
411
00:26:05,660 --> 00:26:08,780
“黑白错 风崖起疑雾”
(黒白違えて 風崖に疑いの霧は立ち)
412
00:26:08,780 --> 00:26:12,380
“妙手设局待谁入”
(妙手の罠に誰かが嵌まれば)
413
00:26:12,380 --> 00:26:18,300
“六合渺渺 纵是无觅处”
(六合は遙か たとえ行くあてなくとも)
414
00:26:18,300 --> 00:26:24,660
“携酒来 拔剑去 自有归宿”
(酒を携え来て 剣を抜いて行く 帰る宿がある)
415
00:26:25,100 --> 00:26:28,300
“天欲晚 风雪袭巴蜀”
(天は暗きを欲し 風雪が巴蜀を襲う)
416
00:26:28,300 --> 00:26:31,740
“何幸借这温存 不孤独”
(幸いにもこの温もりがあれば孤独でなく)
417
00:26:31,740 --> 00:26:34,700
“问余生 怎舍好眉目”
(余生に問う 眉目の好しを)
418
00:26:34,700 --> 00:26:38,260
“三秋如梦也愿赴”
(三秋の夢の願いを手放せるかを)
419
00:26:38,260 --> 00:26:44,460
“六合渺渺 自有自在处”
(六合遙かに 己の居場所があれば)
420
00:26:44,460 --> 00:26:51,360
“竹林响 忘沉浮 寻光欲渡”
(竹林は響き 浮沈を忘れ 光を求め渡らん)
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