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岡田有希子さんの事。

Twitterに「岡田有希子さん誕生日おめでとう」と書きこんでいる人がいて、ちょっとタメ息をつく。

岡田有希子と聞いても、ピンとこない人が多いと思う、岡田有希子さん、8月22日が誕生日で、生きていたら、47才だそうだ。

調べれば、あの日が、何年の何月何日の何時かぐらいまで判るが・・・
あの日、僕は秋葉原にいた、NECの98シリーズと呼ばれるパソコンを買おうと思っていた。

何軒かの店を廻り、外に出ると、秋葉原の街はちょっと騒然としていた、秋葉原中のテレビが岡田有希子自殺の速報を流していたからだ、トップアイドルの飛び降り自殺は衝撃的な事件だった。

皆がテレビの前に集まり、ナニがあったのかと覗き込むように見ていた。

記憶はその一週間ほど前に飛ぶ。

助監督をしていた僕は成城にあった、宝映スタジオという所にいた。2時間ドラマの助監督としては、まだ3本目ぐらいで、世界中で一番出来の悪い助監督だった。

スタッフルームが、そのスタジオにあり、夜だったが、小道具か何かの積み込みでスタジオに来ていたと思う。

スタジオの中庭のような所に1本の木があり、1匹の子猫がいた。色々なスタッフにエサを貰っていたであろう子猫は近づく僕に逃げもせず、おとなしく撫でられていた。

しばらくして、一人の女の子が現われて、一緒に子猫を撫で始めた、目が合ってニコッとした、岡田有希子だった。

一番下っ端の助監督とトップアイドル、違う組ではあるし、会話も無かったが、僕からその場を離れるのも失礼な気がして、しばらく2人で子猫を撫で続けた。

その時、彼女は何を考えていたのだろう、それから一週間の命だった。
僕に何か出来たとは思わないけど、今でもふと思い出す。




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