岡村隆史とハルちゃんと
昨日アップした「ハモニカ工場」の事を書き直している頃、岡村隆史のラジオでの発言が炎上していた。
発言の大筋をいえば、コロナウイルスで仕事を失ったような若い女の子が、この騒動が収まった頃、風俗に流れてくる、という話。
それで、思い出した事がある。
「ハモニカ工場」のシナリオを書いていた頃。
「ハモニカ工場」は少し長い小説で、2時間以内の映画にするためには、いくつかのエピソードを削る必要があった、その中のひとつが「ハル」の話だ。
ハモニカ工場の時代設定は昭和29年、まだまだ日本が貧しい時代で、工場ではたらく若い女の子たちも、出稼ぎで東北などから来ている。
ハルも福島からやってきた女の子、貧しい農家から来ている、まだ小さな弟と妹がいる、両親や兄妹に会いたいけれど、その分休んでお給料を減らされるより、その分働いて仕送りしてあげたい、そんな女の子だ。
今井ハルはめったに笑わない無口な少女だったが、たまにニッコリ笑うと、色白の頬にすっと二つのえくぼが出来て、まっ白なツヤのある歯なみが、母親のようなあたたかな親しみをかんじさせた、けして美しくはなかったが、ふるさとのように、なつかしい娘だった。
小説にはそんな描写がある。
そんな子が、突然姿を消してしまう、田舎へ帰ったという話だけど、手紙を出しても返事がない。
物語の後半で、噂話として
田舎へ帰ったはずの今井ハルが、玉の井の売春婦になっていた!
とある。
このシナリオを書いた当時、この話は暗過ぎて、明るい青春映画に似合わないと思い、削ってしまった、ちょっと辛過ぎる話だ。
だけど、もう映画になる事はないだろうけど、このエピソードをふくめて、シナリオを書き直してみたいとも思う。
僕の心の中にハルがいて、どうして私の出番がないの? と言われているような気がする。
そういう仕事が良いとか悪いとかではなく、貧しさからやりたくない仕事をしなくてはいけない状況が辛いのだ、岡村はそういう状況を喜んでいる。
岡村隆史は失言し、謝罪したけど、彼の心の根底に、そういう気持ちが、普通にあったのだと思う。
でも、ハルなら岡村さんの事を、なんと言うだろうか考えたら、「お客さんだもの、来てくれればいいわ」だ。
岡村隆史よ、萎縮するな、自分の気持ちに正直になれ、君に出来ることは、そういう所でお金を使いまくる事だ。
でも、もう岡村隆史を面白いという目で見られない気がする。
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