気持ち悪い老人の気持ち悪い話。

気持ち悪い老人と思われるのも、あまりうれしくないので書くのをためらっていたが、やはり不思議な体験だったので、気持ち悪い老人を受け入れて書いておこうと思う。

寝ていて、足がつる、なんてことは誰でもあると思う、なぜ{つる}のかは知らないけど、そんな経験はよくあるので、対処方も心得ている、足を思いっきり伸ばしたり、足の指を広げてみるとか、体制を変えるとか、{つって}無い方の足で、{つった}足をたたくとか……

まあ、そんな、いくつかの事を試せば、だいたい{つった}部分もほぐれてくる。

その日も寝ていて、急に足がつった、イタイイタイイタイと心で叫びながら、いくつかの対処法を試す、経験上、せいぜい1分だ。

しかし、その日に限って、どうにもならない、どうなったのかよく分からない、どんどん痛さは増すようだけど、耐えられないほどでもない。

ただただ、足の指が変な恰好で開いていて、どうする事も出来ない。

幸い枕元には携帯がある、何時かわからないが、別室で寝ている妻を起こすか、でも、起こしてどうなる? もう少し耐えれば、自然とほぐれるか……

寝たままの姿勢で、そんな痛みに耐えていたが、起き上がって足の指をもんだ方がいいのか、そんな事を考え、起き上がろうとしていた時、背中に違和感を覚えた。

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ここからが、気持ち悪い老人の話になるのだけど、枕元に小さなぬいぐるみが置いてある、まだ子供たちが小さかった事、ファストフード店の子供向けセットのおまけでもらった、クマのプーさんと、コブタちゃんだ。

「クマのプーさん」の物語が好きなので、子供たちが見向きもしなくなったので、私の所に来た。

このところ、私の住む町も急に寒くなってきたので、気持ち悪い老人、もしくは、心やさしい老人は、プーとコブタが寒いだろうと、ベッドの中に入れてあげたのだ。

そんな日に、足がつった。

つった足はどうにもならないまま、かなり時間が経ち、起き上がろうとした時、背中に違和感を感じたのだ。

あ、と思い、体をずらすと、寝相の悪い私の体の下から、つぶされたプーとコブタが出てきた、と同時に{つった}部分が急にほぐれておさまった。

ああ、君たちも痛かったんだね、きっと。

そう思うしかなかった。




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