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コロナ禍の航空会社

今年ももう8月。暑い盛りでもコロナの勢いは増すばかり。とはいえ以前程の緊張感もなく、GoToキャンペーンは見切り発車。だったらあの緊急事態宣言は何だったの?と後出しの評価も様々。その間ほぼ駐機場と化した飛行場の映像にはゾッとするものがありましたが実際航空会社の業績はどうだったのか。

企業の決算情報は金融庁のEDINETにXBRLとして登録されます。本日時点(8/1)で日本の航空会社では唯一スターフライヤーが6月期の四半期決算を提出していたので可視化してみます。

見出しに挙げたチャートは営業損益段階のPL。売上は通常の約3分の1。チャートの黄色い部分は損益で、マイナス側に表示される場合は赤字を意味します。要するに売上より費用の背が高い状態。にしても営業損失が売上を上回るというこの惨状。飛行機が飛ばなければ航空会社が成り立つはずもなく必然の結果。この状況では貸借対照表(BS)にも顕著に影響が現れます。

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四半期2期連続赤字で純資産も3分の1程度にまで落ちています。純資産が減る一方で固定負債は増加。純資産比率は純資産を総資産で割ったもの。なので、赤字で純資産が減少した上に負債が増えると純資産比率は一気に小さくなります。固定負債の推移を見てみると、長期借入で3月期以降30億円程の資金調達を行っています。

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コロナ禍ではスターフライヤーに限らず多くの企業が突然売上が蒸発、営業キャッシュフローが極端に落ちていて、借入等で当面の資金手当てを行っています。

コロナ後はどうなるのか? 当面のGoToキャンペーンはカンフル剤にはなるかと思いますが、航空機は便数を増やすにも限度があるので効果も限定的かと。以前のような航空需要が戻らなければずるずる行ってしまうかもしれません。

大手のANA、JALの6月期についてはまだEDINETに登録がありませんが、3月本決算時のBS/PLこんな感じ。

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財務的には一旦破綻を経験しているJALの方が多少保守的に見えます。3月本決算では両社とも通期営業黒字を確保していますが、4Qは四半期単期で赤字です。スターフライヤー同様今期1Qは更に厳しいはず。中小のスターフライヤーと違って大手は航空機等の資産も大きく、大幅減収の中でそれが財務的にどのように響いてくるのか興味深いところ。両社の1Q登録を待ちたいと思います。

財務諸表ハックでは、掲載しているチャート他、上場各社の経営分析チャートを公開しています。航空業界、ANA, JAL, スターフライヤー、ソラシドエアの財務チャートは以下のURLで参照ください。

https://www.tukuttemiru.biz/zhack/?seccode=E04273+E04272+E26084+E04280&lang=jp

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