一九三六年 屏東⑹ ー 蕃人の頭目は権妻をマミーと呼ぶ
若松町の見本蕃屋に立ち寄る。先日の蕃人がいたのでコーヒの劣悪振りを抗議すると、奥から小供が泣きながらやって来て「ニホンノオジサン、オトーサンヲイジメナイデクダサイ」と喚き叫ぶ。全然泣き止む気配がないので十銭玉を渡すとケロリとして奥に帰っていった。見本蕃屋には自分以外の客は居らず件の蕃人と雑談していたのだが、流暢な日本語で今度は「処女の品評会」と題する猥談を語るのであった。自分は屏東に蕃人の娼妓はいるのかと聞いてみたら、皆台東花蓮宜蘭から来た土人ばかりで我々はしないと云う答えだ