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[部報]#4 あまり色々決めないワケ

いつも部活にご参加いただきましてありがとうございます。
今日もちょっとしたコラムといいますか、時々ご質問いただくときに決まった答えを返さないことがあるのでその理由について書きたいと思います。

先日のシーンですが、手縫いのガイドを引くときに何ミリの幅で引きますか?とご質問された時に、特に決めておらず、テストして見ながら決めると回答しました。

その理由は色々あるのですが、一つは〇mmという幅に決める理由(必然性)が特にないという事、もう一つは革の厚みや使用する菱目打ち、糸によってその幅は変動するので毎回同じ数字に決まらないというのが主な理由です。
実際ちょっと引いてみて、見て決めればいいと考えています。

流石にコバにギリギリすぎると菱目打ちが脱落してしまったり、最後仕上げで整えるときに削る部分がなくなってしまったりする可能性があるので避けるべきですし、内側についてもあまりに内側過ぎるとポケットが小さくなってカードが入らなくなったり、コバがめくれやすくなったりという問題も出てきます。そのような極端なものだけ避ければあとは見た目で決めればいいのでは?と思っています。

また、もう一つの数字を決めない理由は、〇ミリと決めて工具をその数字通りにセッティングするとだいたいの場合その決めた数値の幅で線は引けません。というのも、革には厚みがありますから、例えば3mmに線を引こうと決めてディバイダ―などを3mmにセットして引いてみると、革に乗っていない側が下に下がるのでその分乗ってる方が外側にずれてしまいます。したがって、その分を考慮して実際には3mm以上の幅でセッティングしないといけないわけです。そして革の厚みも毎回作るものによって変わりますから、あの時は3.5mmでセッティングしたらうまく行ったとしても、今回がそうとは限らないのです。そして、ディバイダ―を使うのか、マルチステッチンググルーバーを使うのかでも数字が変わり…
つまり、毎回実際に引いてテストしてみないと狙った線を引くことができません。だったら最初から目分量でいいのでは…と思ってしまい、それ以来測って決めるということをやめました。なので、ご質問頂いても回答が準備されていなかったりします。
もちろん使う糸によってもその見た目は変わります。5番を使えばすっきり見えるラインでも、0番で縫うとコバギリギリでなんか窮屈…なんてこともあります。

見た目の美しさは主観によるところですので、実際に自分が良いと思うラインを狙っていただきたいという意味も込めて、ここに何mmで線を引いて下さいという指示は(構造上問題が起きない限り)あまりしないようにしています。縫い目でも自分カラーを大切に。

実際には2~4mmの間に収めることが多いですが、2mmはかなり細い糸の場合だけです。使う糸に太さによって決めていることが多いかなと思います。まぁ迷ったら3mmでいいかな…(結局)
ただやはり2.9mmだったらだめなのかというとそうでもないし、3.1mmだったらどうかというと別にそれも問題ありません。3mmという数字そのものに必然性はないのです。

じゃぁ最初から測る手間を省いてしまおう、というのが僕のたどり着いた現時点での回答となります。なんとなくこの辺で…と、都度測っています。
なによりフィーリングで決められるようになっておくと、毎度測る手間が省けますので時短になります。同じ工具を使用して同じものを連続して作るときは、数字を決めたほうが効率がいいかもしれません。

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