見出し画像

fanstanceは、無事に解散できました。


zetto_pom
@AccessFish
·
3月22日
ちょっと待って。
ラスクエがバンド組むなら、オタクがコピーバンド組むべきじゃない?
で、SAMURAIでライブ…は、無理でも、MVぐらい作るとか…!?

はじめは、悪ふざけでした。
楽器未経験のラストクエスチョンが、楽器を初めて触るところからたった4か月でバンドライブをするという大型企画。
そこにオタクという立場から乗っかってみたら面白いんじゃない?という、冗談を言ったのが3月22日0時06分。youtube上で各メンバーの担当楽器が決まったことを発表したタイミングでした。
この時の私は、この文章を読んでいる大半の人と同じ
「楽器とかやってみたいけど、絶対大変だよね。」
というふんわりとした想像をしているだけでした。

春というには少し暖かすぎる渋谷スクランブル交差点近く。
ライブハウスから駅へ戻る道すがらでした。

「ぜっとさん。僕、ドラムやるんで、やりましょうよ。バンド。」

人を巻き込むというのは、本当に恐ろしい話です。
私一人の話であれば、こんな140字に満たない冗談なんてスルーしてしまえばいいものを、誰かを巻き込むということは、そうもいかないのっぴきならない状態になるということ。
でも、その時の私は「面白そうじゃん」と言ってしまったのです。
何をすればいいのかわからない、何を買うのかもわからない、誰が見たいのかもしれない、でも「やろう」という意志だけがあるバンドというにはおこがましい集団ができた瞬間でした。

4月。ラストクエスチョンのメンバーたちが、新宿SAMURAIのスタッフさんと練習している様子がyoutubeにアップされる中、30過ぎのおっさんは、池袋の楽器屋さんに飛び込みました。
「ギター、触ったことないんですけど、どれを買ったらいいんですか?」

「はい。お願いします。」
店員さんとのやり取りはこの2つの言葉で完結しました。
入店から会計まで約10分。
ギターって、こんな簡単に買えるんだ。と感心したものです。
鏡の前で、ギターを抱え、「すっげー!ギタリストじゃん!」
と喜んだのも束の間。最初の壁にぶち当たります。

「で、これ、どうやって弾くの?」

そらそうです。知識も、技術も、楽譜さえもないんですから。

ギターを手に入れた私が次に動いたのは「助けて。と言って回る」ことでした。
ラストクエスチョンのメンバーに「楽譜、いただけませんでしょうか?」という無茶をお願いし、新宿SAMURAIのスタッフさんから「バンドやる人って誰ですか?」と聞かれながら、コード譜を頂戴しました。
ツイッターでは「交換用の弦はこれ。カポタストってのがいる。」と聞けば、そのまま購入。
よく行くコンカフェのキャストさんが楽器ができると聞き「ベースとドラムの楽譜作ってくれないか?」とお願いして、承諾してもらったり。
レンタルスタジオに「スタジオの予約の仕方を教えてほしい。」と電話もしました。
推しとチェキを撮って、サインを書いてもらっている間に「あの曲の、この部分の右手って、どうやってる?じゃんじゃかじゃかじゃか。でいいの?」と教えていただいたりもしてました。
ラストクエスチョンのオタクたちにも無理やり楽器をやらせてみたり、楽器の選び方を教えてもらったり、なによりどうしても見つからなかったベースを引き受けてもらったり。
たくさんの人に、たくさん助けてもらいました。

オタクの悪ふざけだったこの企画が、本当にたくさんの人から「なにか、面白いことやってるんでしょ?頑張ってよ。」と応援していただいたことにたくさん励まされました。

ひっそりつぶやいた冗談は、いつの間にか私にとって、様々な人を巻き込んでしまった一大プロジェクトとなっていったのです。

たくさんの人が支えてくれた結果、一つの形となって、皆さんに公開できました。

https://www.youtube.com/watch?v=QyOggmA5bfg

巻き込まれてくれた皆様、本当にありがとうございました。
30過ぎたおじさんに、新しい趣味ができました。

fanstanceという名前のバンドは、無事、解散することができました。
本当に楽しかったし、全力で遊ばせてもらいました。
ただ、心残りはあります。
なので、もう少しだけ、バンドの一人としてではなく、あくまでただのfanとしてのstanceで、せっかくできた趣味と付き合っていきたいと思います。

now loadingsが再結成しても、たぶん、fanstanceは再結成できないだろうな。たった一つの動画を作り上げるだけで大変だったもん。
私のリソースをたくさん費やして、何とか形になったプロジェクトだから。

最後に、3月22日、冗談をつぶやいた私へ。
君が無責任につぶやいたツイートは、実は大きな責任を含んだとんでもない発言だったことを思い知ることになる。
しかし、安心してほしい。君の、あるいは僕の背負った責任はどうやら果たせているようだ。
でも、8月22日の僕はこの思い出を一点の曇りなく笑顔で「完ぺきだった」と話せるわけじゃない。なぜなら、こんな長い文章を書くぐらいなんだから。知っているだろう?この僕の性格を。
はっきり伝えておくと、君の、あるいは僕の正義は、少しだけ達成されない。
僕の力不足だったことは謝っておく。ただ、僕ではどうしようもなかったんだ。すまない。
ただ、概ね成功するから安心してほしい。少なくとも、僕はそう思っている。

買ったその日には「このプロジェクトが終わったら、さっさとギターを打って、そのお金で打ち上げをしよう。」と思っているが、実際は、夏の終わりも見えてきた今日この日もギターを触ることになる。
どうやら私は、次の楽しいことをやろうとしているみたいだ。

だから、君は迷うことなく、その発言の責任を取ってほしい。
きっとそれなりに楽しいから。

いつか僕らが、この日々のことを未来で思い出したとき、
笑顔で話しながら、この歌が僕らに届きますように。

2021-08-23 zetto_pom

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?