愚歯

いつだったか、前歯でも奥歯でもない歯が欠けて。
歯医者さんに治療してもらったら、差し歯になったんですよね。

多分それからなんですよね、やけに舌を噛むようになったのは。
舌だけじゃ飽き足らず、下唇の内側も結構な頻度で鋭く噛んでいて、あの差し歯ったら食べ物と自分の区別もつかない愚歯に成り果てているんですよ。

これで謙虚ならまだいいんだけど、やる気だけはもうほんとすごいの。
施設に監禁されて寝ることも許されずにアニマル浜口の動画をひたすらループで見せられた歯みたいな感じ。
わーはっはっはって言いながら食べ物も舌も唇も噛んでる。

ひょっとしたらだけどさ、あの歯医者さんも分かってやってたんじゃないかって思えてきた。ほら、歯科医ってミリ単位で仕事をする先生じゃん?
暴れん坊な差し歯って事くらい分かってたんじゃないのかね。
「はい、では差し歯入れておきましたからもう大丈夫ですよ。」(愚歯ですけど。ウケるー。)
とかだったのでは?

「お大事に〜。」(くっくっく、そいつはもう京子の事も忘れてしまった、本当のアニマルさ。お大事に〜。)

おかげさまで愚歯大暴れですよ。

これやっぱ一回相談した方が良いかなとは思う。
けどなんかさ、一回「先生、どうもありがとうごさいました」とか言って治療終わらせている身じゃん?
今更なんか「やっぱあの時の歯なんですけど…」とか言い出せない。

ましてや確信犯だったのなら、「どうなさいました?」(来た来た、愚歯の所持者がようやくお気付きなすったわ。遅いっつーの!遅いっつーの!)って思われる訳じゃん?
悔しいよね。

僕「最高の仕上がりでした!」

先生「それは良かったです」(ばかな、やせ我慢に決まっている。あの位置にあのアニマルだ、激しく愚歯っちゃってる筈だ。)

僕「あ、でも強いていうならば…」

先生「はい?」(そうだ、正直になりたまえよバカタレが!地獄の口内を隠すんじゃないよ!ぜーんぶお見通しだっての!)

僕「もうちょっと先っぽが尖っていた方が良いかもです。」

先生「そうでしたか」(ま、まさか!愚歯からアニマルが溶け出し、こいつの口内を持ち前の気合で包み込んだとでも言うのか!)



愚歯からアニマルが溶け出して口内を持ち前の気合で包み込むってなに?

大人しく歯医者さんに行ってきます。

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