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非漢字圏から見れば日本語も中国語も同じ

特許明細書の翻訳の見積の依頼があった

この世界、事務所に翻訳を依頼したら、翻訳会社に比べて高いのは当たり前なので断られることは想定済み

翻訳の怖さという感覚を持っているのは弁理士だけだろうから、翻訳ミスの責任から開放される方がありがたい

断られたあとに一抹の不安がよぎったのは、どこに翻訳を依頼したのかということ

日本語ができる、という程度で特許翻訳はできないのだが、そんな事情に精通しているとは思えないのが今回の現地エージェント

出来上がった翻訳は特許翻訳とは言えないような代物だった

ただし、原文レベルでも特許明細書にしては雑な文章だし、フェイスフルの翻訳を作成するのだから、パリ優先のように意訳をするわけにもいかない

Wordの文章チェックが頻繁に作動するので、よく見ると日本語になっていないところが多々ある

中国人が翻訳したということはすぐにわかった

頻繁に「の」が入る

中国人による日本語のくせは、形容詞のあとに必ずと言っていいほど「の」が入ること

おいしい牛乳がおいしいの牛乳のような感じである

ところどころ簡体字も混ざっている

日本語Wordを使えば、文章チェックが入るのに、と思いながら、最低限の修正に留める

メールのCCを見てみると、中国代理人のアドレスも含まれていた

中国へ移行させるときに英文和訳ができるかどうかを中国の代理人に問い合わせたのだろう

インド人からすれば、漢字を使うのだから、日本語もできると思ったのだろう

潜在的に翻訳の問題を含んでいるのだが、それが顕在化するかどうかは分からない

雑な日本語でも審査官が理解できればよいのだが

外国人にとって日本語の壁は高い

例え漢字を使うとはいえ、中国語は英語に文法体系が似ているから、和英なら何とかなっても英和の特許翻訳を非ネイティブが行うのはまず無理だろうと思っていた

需要自体が少ない日本語、しかも英和をやる中国人がいるとは思わなかった

非漢字圏から見れば漢字と言えば中国
漢字がわかるなら日本語もわかるだろうと思っているのだろう


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