商標と普通名称について 商標が余りにも有名になり過ぎると普通名称になる
「うどんタクシー」について、相手側が、普通名称には商標権の効力が及ばない、という反論をしているそうです。
商標と普通名称について、少し解説をしてみます。
エスカレータ、ナイロン、うどんすき、ういろう。
これらのネーミング、以前は商標として機能していたのですが、余りにも有名になり過ぎてしまい、今では普通名称になったものです。
普通名称になってしまうと、商標を独占して使用することができず、誰でも自由に使えるネーミングになってしまいます。
では普通名称になってしまう理由はどこにあるのでしょうか。
これまで世の中にない製品の名称と商標が結びつくと、その製品を商標で呼ぶようになります。
自動式階段という製品がこれまでなかった時代に、自動式階段にエスカレータという商標をつけました。
その結果、エスカレータと言えば自動式階段を指すようになりました。
このような状態が続きエスカレータが自動式階段を示す普通名称になりました。
デュポン社が開発した世界初の合成繊維にナイロンという商標をつけました。
その結果、ナイロンといえばデュポン社が開発した合成繊維を指すようになりました。
料理のネーミングとして考案されたうどんすき。
今では、うどんを主材料とし魚介類、鶏肉、野菜類等の各種の具を合わせて食 べる鍋料理を意味するものとして広く認識されて普通名称になりました。
当初は外郎家の製造するお菓子を示す固有名称であったういろう。
次第にお菓子の一種を示すものとして広く認識されて普通名称になりました。
その他にも、正露丸、巨峰、アスピリンなど普通名称化したネーミングは少なくありません。
せっかく登録した商標を普通名称にさせないためにはどうすれば良いのでしょうか。
商標の使用の仕方に問題がある場合が少なくありません。
例えば商品説明のなかで普通名称のように商標を記載してしまい、商品の普通名称なのか商標なのか区別がつかない例をみかけます。
このような使用の仕方を続けていると普通名称になりやすくなります。
商標を文章のなかで使うときは、商標をカギ括弧で括り、商標であることを意識した文章にします。
そのような使用方法になっているかどうか、自社の使用だけでなく他社の使用も監視します。
商標は半永久的な財産です。
管理を怠らずに価値を高めていきたいものです。
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