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椎堂かおる作品集

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自作小説をまとめています。一瞬で読める掌編(SS)だけを集めてみました。
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2014年4月の記事一覧

novel: 狂気の缶詰

 十年ぶりで、親友が訪ねてきた。  月の明るい晩だった。  僕がひとり、月を肴に晩酌を楽しんでいると、突如、けたたましいノックの音がして、行ってみると、親友が立っていた。  お互いに十年分の年をとっているはずだが、向きあってみると、昨日別れたばかりのような気がした。 「実は今日は、お前に頼みごとがあって来た」  親友は、久しぶりだなとも、こんばんはとも言わず、いきなりそう切り出した。  戸口で話すのも奇妙だ。  僕は彼を部屋に招き入れ、晩酌のグラスを、もう一人分追加した。