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プリキャプチャンス・プリパラ4話

・月川ちりは真中らぁらの事だけではなく真中のんのことまで覚えていた。
「答えてください。のんはどこへ行ったのですか!?」
「……あ~、その前に1つ言っておきたいことあるるんだけどよ」
「何ですの!?」
「……俺様は別に何でもやってわけじゃないし情報屋でもない。知ってることと知らない事とがある。
そもそも俺様は確かに真中らぁらの事は覚えてるし夢川ゆいも覚えてる。けど、今どこで何してるのかまでは知らない」
「……そんな、」
「いつの間にかそっちで勝手に話が大きくなってたみたいだな。……けど、俺様に勝てたお嬢様には1つだけ教えてやるぜ」
「何ですの?」
「真中のんかは分からないが、らしいって奴を見た場所なら教えてやるって言ってるんだ」
「何ですって……!?」


第4話:原因不明!消えたアイドル


・時間は夜7時を回った。くうらに案内されてあたし達はプリパラ内の特殊な場所である地下パラへと進んだ。
「そみあちゃん、門限あったんじゃなかった?大丈夫?」
「……大丈夫。それよりらいむやちり、くうらは大丈夫なの?そろそろ遅い時間だけど」
「わたくしは既に連絡済みですし。やっとつかんだ情報ですのよ。見逃せるはずがありませんわ」
「俺様は全然問題ないぜ」
と言うわけで4人全員が行動を共にしている。
「そろそろだぜ」
くうらの案内で地下パラに到着した。本来プリパラは学生の女の子をメインにした施設だ。
だから6時くらいまででほとんどの施設は閉まってしまうのだけど、「シニア」向けの夜開店する施設も最近出来たらしい。
この地下パラはその一種だ。
「地上のプリパラはチーム組んだのがわいわいきゃーきゃーとやるのがメインだが地下は違う。ここではソロがメインだ。
大会なんてものはないが、一度でもライブした奴はレートが用意されて常にランク付けされるのさ」
「地上のプリパラと違って観客が少ないからアイドルランクが上がりにくいのもあって地下では地下でのランクを別に用意したって感じだね」
……それはそれでどこかおかしいような気がする。夜を司る方の精霊は最近チームを組んだばかりだから逆なのでは?
気にはなるけど今は真中のんを探そう。もしかしたら真中らぁらに関する手掛かりがあるかもしれない。何せ姉妹なのだから。
「お、噂をすれば例のチームが登場だぜ」
「チーム?地下ではチームは組まないのでは?」
「組まないなんて言ってないぜ?メインじゃないだけで。だがまあ、あいつらに関して言えばこの言葉もまあ無意味か」
「……どういう……」
ちりの言葉は遮られた。ライブが始まったのだ。しかもこれはさっき聞いたばかりの歌・シュガーレスフレンドだった。
「甘くなるのはこれから」
「え……!あれは、トライアングル!?」
ちりが驚く。トライアングル。確か真中のんが編み出した一人三役のチームだった気がする。立体映像を記憶させてあたかも3人いるように見せる常軌を逸した方法。
地下の薄暗いステージで踊る3人はとてもどれかが立体映像とは思えない、生きた人間にしか見えない。
「……けど、」
あたしなら分かる。あの中に生きた人間は一人しかいない。それが本物の真中のん。
「みーんなー!!超ありがとう!!」
「永久凍土に響き渡る私達のライブ、」
「天下一ぴっぴ!」
トライアングルのライブが終わり、電光掲示板に表示されたいいねのゲージが集まっていく。
「……おっほ、やるなちびちゃんず。ランクアップしたぞ。これで地下パラ内のトップ5に入ったんじゃないのか?」
「……」
ちりがステージに向かっていく。が、その肩をくうらが掴んだ。
「何で止めますの!?」
「ここでは実力だけが正義って事さ。上での理屈は通じない。お嬢様があのちびちゃんずと話したいならライブで勝つだけだ」
「……いいですわ。ここであの時果たせなかった、VSトライアングルを行ないましょう」
そうしてちりが再びステージに向かった。……けど、また足を止めた。
「……」
「どうしたお嬢様?」
「申し訳ございませんが、ここはあなた方に任せますわ」
「あ、ちょっとちりちゃん!?」
らいむが声をあげるもちりはどこかに行ってしまった。
……あたし達に任せるってどういうこと?
「へえ、面白そうじゃねえか。俺様も久々に地下で暴れまくってやろうかな」
「くうらちゃんが一人で勝手にするなんて危険すぎ!私もやるよ!そみあちゃんは!?」
「……やる」
あの子に話があるのはちりだけじゃないんだ。
「……あら?」
あたし、らいむ、くうらの3人でステージに上がる。
「あなた達は……」
「トライアングル、勝負よ!」
「……超いいですよ」
「……チーム名は?」
「何ぴっぴ?」
「……え、チーム名?」
どうしよう。チーム名なんて決めてないし。てかチームじゃないし。
「チーム名?名前はまだないでいいじゃねえか」
「え、流石にそれ適当過ぎない!?」
「ライブするのに名前なんていらねえっての!おいちびちゃんず!俺様達が勝ったらお前達の身ぐるみ全部剥がせてもらうぜ!」
「え!?」
「聞きたいことがあるだけだから!」
二人でくうらを小突いた。
「で、何歌う?Make it?」
「ありきたりすぎないか?ギラギャラとかどうだ?」
「それ男プリの歌だよくうらちゃん。……ここは無難にキラッとスタートで!」
「……最近の課題曲だね」
どこか遠くの町発祥の歌だって聞いたことがある。
「じゃあ、超聞かせてもらいましょう!チーム:名前はまだないさんのキラッとスタート!かのペロ!」

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結果から言えば散々な出来だった。
属性がバラバラって言うのもそうだけど好き勝手ばかり動き回るくうらはもちろん、あたしとらいむもまだ一緒にライブが出来る程息が合ってなかった。
「あらら。超残念です。これじゃ勝負にならないですね」
「テンション氷河期。未達オブブリザード」
「出直してくるぴっぴ!」
「ま、待って!!どうしても聞きたいことが……」
「……あなた達じゃまだお姉ちゃんには会わせられない」
「……え!?」
最後にそれだけが聞こえ、しかしあたし達はスタッフによって外につまみ出されてしまった。
「ぢっくじょおおおおお!!!お前達が足を引っ張りすぎるからこうなるんだぞ!?」
「くうらちゃんが好き勝手しすぎるんだよ!!まだソロでやった方がましだったよこんなの!」
「二人とも落ち着いて……あたしだって悔しいし、こんなのってないって思ってるよ……!!」
思わず壁を殴る。痛みは制限されている関係でない。何より、全てに対する怒りでそんなの微塵も感じそうになかった。
「……何してますの」
そこへ浮かない顔のちりが来た。
「ちり……」
「……わたくしにあなた達を責める資格なんてありませんわ」
「……ちりちゃん、どこ行ってたの?」
「……仲間を見かけたんですの。のんのほかにもう一人、わたくしの大切なチームメイト……」
「……太陽ペッパー」
「……そう。でも、煙玉で撒かれてしまいましたわ」
「け、煙玉!?」
「……こんなの用意するアイドルなんて決まってますわ。……今日はもう遅いですし明日そのアイドルを追いますわ。また午後4時にプリズムストーン前で集合ですわ」
「……俺様はもう少しここで暴れていくぜ」
「くうらちゃんも帰るの!目を付けられたらまずいんだから!」
慌ただしく3人は帰ってしまった。
「……」
もどかしいな。