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キラッとプリチャンVSアイドルタイムプリパラ!~友情!ダイヤモンドタッグマッチ!!~第4話「ファイト トゥ フューチャー」

・虹ノ咲邸。だいあの部屋。

「……えええ……」

それまでの3試合を虹ノ咲はキン肉マン全巻と共に見ていた。

「……プロレスって聞いてたけどなんかめちゃくちゃすさまじいことになってるんだけど。すずちゃんやさらちゃん空飛んでるし、まりあちゃん液体になるし、えもちゃん両腕折れなかった!?」

「あれが超人レスリングなんだもん」

背後。仮の肉体をもらっただいあがコンディションを整えている。

「だいあは気にしなくていいんだもん。全部だいあとみらいちゃんがやるんだから」

「……それはそれで嫌なんだけど。……はぁ、元々ただみらいちゃんとデュオ歌いたかっただけなのにな。……それもまだ私がミルキーレインボーのデザイナーズ10だってこと隠してるから出来ないんだけどね」

「そうそう。この世界ではデザイナーズ10は神に仕えし伝説の10超人って事になってるから。まあ同じような立場にいる完璧超人始祖と似たようなものだもん」

「へ?そ、それってまさか私がミルキーレインボーのデザイナーズ10だって話したとしたら……」

「だいあは完璧超人始祖並みの実力を持った、全ての超人が崇拝する存在の一人だという事なんだもん。きっとみらいちゃんとももっと仲良くできるんだもん」

「な、何てことしてくれてるの!?完璧超人始祖って漫画見てるけどとんでもない化け物ぞろいじゃない!私プロレスなんてやったこともないのにそんなのと同格のプロレスラーとか言われても何かの冗談でしかないよ!!」

「だいあ……」

「え、なにその私が空気読めない奴みたいな顔。ううう……!!どうしてこんなことになったの~!?」

「あ、みらいちゃんからメールだもん。そろそろ控室に来てくれって。じゃあ行ってくるんだもん」

「ま、待って!」

「だもん?」

「いまのそのだいあの体って本当に大丈夫なの?このシルバーマンみたいに一回しか戦えなかったり戦いづらかったりしない?」

「う~ん、確かに時が来れば消滅すると思うんだもん。でも1回くらいなら全然問題ないと思うんだもん」

「……あの悪魔将軍みたいに私が依り代とかにならなくても大丈夫?」

「だいあ……自分でリングに立ってくれるんだもん!?もしそうならかなり勝率は上がるんだもん!だいあがその体を動かして、だいあが相手の動きとかを分析、弱点とかを見つけ出せればちょっとやそっとの超人強度の差なんてへっちゃらなんだもん」

「……今更なんだけど超人強度って何?キン肉マンとかすずちゃんとかえもちゃんとか戦ってる最中にものすごく上がってるよね、あれ」

「超人強度は超人が生まれた時から持ってるパワーの数値なんだもん。でもそれが絶対的な勝敗を決定づける要素になるわけでもないんだもん。ゆいちゃんとしゅうかちゃんだって2000万パワーちょいで5000万パワーずつもある時の精霊達に勝っちゃったわけだし。逆に7200万パワーになったあんなちゃんに7100万パワーのアンジュさんが力負けしたりあまり基準にしない方がいい、でも確実に影響はある数値みたいな感じなんだもん」

「……だいあや私はどうなの?」

「女神の力を直接借りてるから高い方だと思うんだもん」

「……ふうん」

「それじゃ、みらいちゃんが待ってるから行くんだもん」

「え……!?」

瞬間、虹ノ咲は恐ろしい体験をした。

・特製リング。

「それでは、第一回戦最後の4戦目を開始したいと思います!!」

めが姉ぇのアナウンスでリングに上がる4人。

「身長150センチ、体重41キロ、3サイズは74,59,74で超人強度は94万パワー!完璧超人との戦いではマックスラジアルやジャックチーを撃破した、桃山みらいちゃんと、身長設定148センチ、体重設定なし、3サイズの設定なし、超人強度は1600万パワーのだいあちゃんからなるチーム・ダイヤモンドスマイルと、身長152センチ、体重44キロ、3サイズは79,62,80、超人強度は95万パワーの青葉りんかちゃんと身長158センチ、体重52キロ、3サイズ80,59,80、超人強度は101万パワーのミーチルちゃんからなるファンタジスタプリンセスの入場です!!」

「うぇ、何か情報増えてる……」

「ううう、確かに参加申込書には書いたけど……」

「……ふむ。妾のボディに抜かりはないのじゃ」

「……だいあ?メモするのはよくないんだもん」

「だ、だって……」

みらいの隣にいるだいあ。その胸元のジュエルの中に虹ノ咲はいた。先ほどだいあが実体化した際に何故か入れ替わってしまったのだ。これはこれで虹ノ咲に戦いと言うのはどういうものかを超至近距離で見せることが出来るためだいあはこれで良しとしたのだ。

「でもだいあ、1600万パワーって確かに悪魔将軍よりは上だけどアンジュさんやめるちゃんと比べるとすごく低いね」

「そうだもん。でもさっきも言ったように超人強度は目安に過ぎないから気にしなくていいんだもん。でも他のみんなは友情パワーで何千万パワーとまで上げられるから気を付けるんだもん」

「だいあは使えないの?」

「……だってだいあ、データだし」

「あ、ごめん」

「いいんだもん。それよりそろそろ始めるんだもん」

「ダイヤモンドスマイルからは先鋒・だいあちゃん!!ファンタジスタプリンセスからはりんかちゃんです!!それでは、見合って見合って……試合開始っ!!」

リング中央、激突するだいあとりんか。

「だいあちゃん、りんかちゃん頑張ってー!!」

「み、みらいちゃん、いま私は敵なのに……」

「それがみらいちゃんの優しさなんだもん」

「……そうかもしれないわね。じゃいきましょ!だいあちゃん!」

「だもん♪」

「おおっと!!だいあちゃんもりんかちゃんもリング中央で手のつかみ合いを始めました!!先につかまった方が恐らく関節地獄に誘われるでしょう!!」

「……計算完了だもん」

「え、」

「あぁぁぁっと!!ついにりんかちゃんつかまってしまった!!同時にだいあちゃんが背後に回り込んでパロ・スペシャルを決行!!!りんかちゃんの両腕を背後へと引き寄せ、自身の両足でりんかちゃんの両足をひっかけて移動を封じる!!」

「このまま両手足と腰を粉砕してゲームセットにするんだもん」

「そうはさせんぞよ?」

「だもん?」

次の瞬間、だいあはその目に映る全てを疑った。何故なら戦っている場所が突然昼下がりの特製リングの上から満月の夜の墓場に変わったからだ。さらにパロ・スペシャルで完全に動きを止めていたりんかの体が砂のようにバラバラに砕け散る。

「これは……塩!?」

「ぷー大陸の支配者である妾に不可能はない!」

声。同時に西に見える大海から凄まじく大きな何かが浮き上がってきた。それは大陸だった。その大陸の上に腕を組んだミーチルとりんかが立っていた。

「プラネットマンとかと同じタイプの地形変化形とか!?」

「……多分それどころじゃないんだもん」

だいあが警戒する。同時に海面から無数の半魚人ゾンビが出現して見た目からは想像もできないほど軽快なステップでだいあへと迫る。

「たぁぁぁぁっ!!」

「だいあちゃんラリアット!!その一撃で3体の半魚人ゾンビをまとめて粉砕!!数は多いがもろいようです!!」

「そういう問題じゃないと思うけど……」

「たぁぁぁーっ!!」

「だいあちゃんキックの応酬!次々と半魚人ゾンビを蹴散らしていきます!!しかしまだまだ次々と海から上陸を開始しています!あ!ユヅル君型のゾンビも混じってます!!あ!!粉砕されました!!」

「だいあちゃん!交代しないで大丈夫!?」

「みらいちゃん、大丈夫だもん。これだけの数を生身で相手したらそれだけで大きなハンデなんだもん。ここは義体のだいあに任せるんだもん」

「で、でも、大丈夫?」

「大丈夫だもん」

言いながらだいあはついに海岸まで到着し、上陸しようとしてきた半魚人ゾンビを片っ端から粉砕していく。さらには海面を突っ走り、一気に相手のいる大陸まで上り詰めた。

「おおっと!!ついにだいあちゃん上陸!!そのままりんかちゃんとミーチルちゃんに向かってダブルラリアット!!!が、二人ともガードしました!!」

「りんか!」

「ミーチルちゃん!!」

「おおっと!!ここで二人、オメガグロリアスが行なっていたグロリアスエヴァンタイユに似た扇をモチーフにした関節技でだいあちゃんの両腕を左右に引きちぎらんばかりにがっちりと決めた!!」

「だいあちゃん!!」

「おおっと!!ここでみらいちゃん!!サインを出してエントリー!!海面を全速力で突っ走り、10秒足らずで大陸に上陸!!りんかちゃんに向かってドロップキックだぁぁっ!!!」

「ここから先は2対2だよ!」

「みらいちゃん……分かったわ!」

大陸から飛び降り、海面で走りながら何度も激突を繰り広げるみらいとりんか。わずかでも足を止めたが最後奈落の底につながる海へと沈んでいく海上のデスマッチ。みらいがりんかの肩を足場にして空へと跳躍。りんかもやや遅れて跳躍。空中で二人が廻し蹴りの応酬をしながら底なし沼への距離を稼ぐ。そしてついには廻し蹴りの回転力により底なし沼がめくれ上がり、渦が出来上がる。すると、その底の方から銀色の巨人が姿を見せた。

「こ、これってまさか!?」

「そう!みらいちゃんならやってくれると思ってたの!さあ来て!しるくちゃん!!」

底なし沼から渦を巻いて出現したのは5メートルサイズのしるくちゃんだった。

「リンガァァァ!!!」

「うううえぇぇぇっ!?」

「ああああっと!!みらいちゃん、謎の銀色怪物体に掴まれました!!そして発生した渦が静まっていき、みらいちゃん共々怪物が底なし沼へと沈んでいきます!!」

「後でちゃんと助けるから死なずに待っててね!!」

「そ、そんな……!!」

「みらいちゃん!」

「よそ見をしている場合か?」

だいあが沈んでいくみらいを見た瞬間にミーチルが接近。その鳩尾に膝蹴りを打ち込む。打ち込んでからやや遅れてだいあが苦痛に表情を歪める。

「……汝、実は生きた肉体を持っているな?」

「……え?」

「それだけじゃない。2つの心を持っているように見える。……見える。見えるぞよ、人間のそれとは思えないプリズムのきらめきが。つまり汝は……」

「駄目なんだもん!!」

「ああっと!!だいあちゃんがミーチルちゃんを巴で投げたぁぁぁっ!!が、そこへりんかちゃんが飛んできました!!」

「りんか!」

「ミーチルちゃん!!」

「ああああっと!!!りんかちゃんがミーチルちゃんを肩車する形で縦に並んだ!!そしてそのままだいあちゃんへとドリルのように回転しながら突撃を開始する!!」

「……二人が連結しただけなのに超人強度は1200万パワーまで上がってるんだもん……!!」

「えぇぇぇっ!?」

虹ノ咲が驚く中、しかしだいあはそれを正面から受け止める。だが、

「それを待っていたぞよ!!」

「!?」

「ああああああっと!!!ミーチルちゃんがだいあちゃんの両手を掴み、3人まとめて空へと飛びあがった!!これはまさか先ほどツインテールズが繰り出したあの双極必殺技(ツープラトンフィニッシュホールド)でしょうか!?」

「トライアングルテールズバスター改め……」

「ホーンテッドクライシスぞよ!!」

「こ、これは!!!空中でだいあちゃんを底辺にした三角形を作り出し、さらにだいあちゃんのおなかの上に半魚人ゾンビの死体で出来た肉塊が集結!!落下の速度と威力を高めた発展技です!!このままだとだいあちゃんは抵抗できないまま3人分……いえ、そこにさらにゾンビの肉塊の集合体の重量も合わせて背中から岩盤にたたきつけられることになります!!」

「……どうしよう、このままだと……」

「……だいあ、友情パワーだもん」

「え?」

落ちるだいあの中で二人のだいあが会話する。

「この状況を打破するには友情パワーで振り切るしかないんだもん。そうじゃないとこのままだいあの義体はバラバラになって場合によってはだいあにもダメージが行くんだもん。それだけじゃない。だいあとだいあの関係がみらいちゃんにもばれるかもしれないんだもん」

「そ、そんな……!!」

「みらいちゃんのためを思うんだもん!だいあが友情パワーを発動させればだいあにもそれが伝わってこの技を何とか耐えられるかもしれないし、みらいちゃんを助けに行けるかもしれないんだもん!」

「みらいちゃんのため……」

と、そこでだいあが背中から岩盤にたたきつけられる。

「ホーンテッドクライシス完遂だぁぁぁぁぁっ!!!!だいあちゃん、背骨が砕けていないかどうか心配です!!あ、生身じゃないからその心配もないんだっけ?」

「……でも、どうやらそれも違うみたいですよ」

「あれは……」

3人が見る。砕け散った岩盤。その上にりんかとミーチルは立っていた。そして、その二人をだいあが持ち上げていた。その髪はツインテールがほどけていただけでなく茶色に染まっていた。

「こ、これは……!!」

「……みらいちゃんのため、みらいちゃんのため……」

「おおっと!!まさかのだいあちゃん今のを食らってダウンしていません!!ばかりか相手の二人を持ち上げています!!」

「食らっていないわけではないでしょうね。ダメージセンサーを見ると、腰骨にヒビが入っています。その上、超人強度が1600万パワーから3000万パワーにまで上がっています」

「……おかしいですね。だいあちゃんは元々実体がない存在。でも今回のタッグマッチに参加するために義体を得たと言っていました。それに、酷な話ですがだいあちゃんは生命体ではありません。そのため友情パワーも使えない筈です」

「……何かが起きたとみるべきですね」

「あああ!!!だいあちゃん動いた!!両手で持ち上げた二人をそのまま地面にたたきつけ、Wニードロップで二人の尾てい骨を粉砕した!!」

「だいあ?だいあ、どうしちゃったんだもん!?」

「みらいちゃんのため、みらいちゃんのため、みらいちゃんのため……」

「これは!!だいあちゃん、二人の髪を掴み上げてから大ジャンプ!!こ、これは!!マッスルインフェルノのようにりんかちゃんをサーフボードとして空中を疾走!!さらにミーチルちゃんをタワーブリッジに仕立て上げています!!」

「あのマッスルインフェルノ、しゅうかちゃんのVIPと違ってキン肉族に受け継がれてきた本物の技ですね。さらにタワーブリッジの精度も恐ろしいものです。あれは100%の正確さだけじゃない、これまで血の滲むような訓練をしてきて初めて繰り出せる本物の技です」

「……それが今回初めて肉体を手にしたバーチャル超人に出来る事なのでしょうか……?」

「…………不可能ではないと思うけれど多分、あのだいあちゃんは間違いなく義体ではなく実体があると思う。しかも生きた人間があれを使ってる。どういう訳かは知らないけれどもだいあちゃんは生きた人間に憑依してその体を使って今回の試合に臨んでいた。でも今は違う。だいあちゃんに乗っ取られた生身の人間がその制御を奪い返してあの友情パワーと呼ぶのも難しい謎の力を発動させて相手への攻撃を行なっています」

「……それを鑑みると、だいあちゃんに肉体を奪われていたあの人は正式にマッスルインフェルノを継承されるべき特別な存在と言うことになりますね」

「……ええ。そしてあの背格好、声。……私が知る限り該当者は一人しかいないわ。それに、だとすると……」

「あぁぁぁぁあっと!!!ついにマッスルインフェルノが炸裂!!りんかちゃんが岩盤の横から激突しました!!だ、だけじゃありません!!岩盤を貫通し、反対側の岩盤から突き出ていきました!!」

「みらいちゃんのためみらいちゃんのため……」

「ううう、」

「りんかちゃん倒れる!!!底なし沼の水面に着水!!何とか沈まないようにと背後から半魚人ゾンビが抑えています!!しかしその間にだいあちゃんは次なる技へと入りました!!頭突きです!!頭突きでミーチルちゃんを空高く連続で吹っ飛ばしていきます!!これはまさかキン肉族3大奥義が1つ、マッスルリベンジャーか!?」

「みらいちゃんのためみらいちゃんのため……」

「な、汝!!とらわれるのはよせ!!今は汝が汝自身の肉体を使っているのだぞよ!!……ええい、聞く耳持たずか……!ならば仕方ない!!!」

「あああっと!!ミーチルちゃん、全身が炎のように燃え上がります!!これは友情パワー……いいえ!!1年前のもう一人の自分みちるちゃんとの戦いの時に両者が使っていた黄金の炎!!相手を思いやる奇跡の友情パワーです!!現在超人強度は8000万パワー以上!!」

「うぬは目を覚ませ!!」

「みら……きゃう!!」

「ああっと!!ミーチルちゃん、だいあちゃんに頭突きのカウンター!!だいあちゃんの頭突きが止まり、上昇も停止!!あ!!ミーチルちゃんが両足でだいあちゃんの頭を挟みました!!これはシザーズネックです!!シザーズネックのまま宙返りして落下していきます!!」

「妾の新技・アステカセメタリーじゃ!!」

「現在の回転速度及び落下速度は時速600キロ!!このままだいあちゃんが背中から岩盤にたたきつけられた場合背骨の粉砕骨折は必至!!奇跡の友情パワーなら相手を殺さないことが可能ですが、どうなる!?」

「いえ、めが姉ぇさん。よく見てください。ミーチルちゃんはリバースで放っています。あの回転だとたたきつけられるのは背中ではなく正面側になります」

「今のだいあちゃんはおっぱいそこそこ大きいのでそれがクッションにもなるでしょうから内臓系も陥没することはないでしょう。おっぱい禁止したいですね……。尤も食らってしまえば大ダメージは避けられないと思いますが」

二人の解説。そしてだいあが岩盤にたたきつけられそうになった時。

「だいあちゃん!!」

底なし沼が大爆発した。そして爆炎と大飛沫の中から燃え盛る桃色の炎を纏ったみらいが飛んでくる。

「おおおっと!!みらいちゃんまさかの復活!!ときめきのピンクジュエルの力を開放しています!!現在超人強度は4200万パワー!!」

「だいあちゃん!!」

「……みらいちゃん……!」

空中でみらいがだいあにかかったミーチルの両足を解除、逆にWスピンアームソルトで側面からミーチルを岩盤にたたきつける。

「くっ!!」

「あああっと!!奇跡の友情パワー敗れる!!!」

「奇跡の友情パワーは相手を救うための力。でも別に相手を救いたい友情パワーの持ち主がいた場合にはそちらが優先されてしまうようですね」

「みらいちゃんは優しいですからね。流石あいらさんの3番弟子候補です」

なるが笑い、あいらが赤面すると、今度は沼からしるくちゃんが飛び上がってきた。その手の上にはりんかもいる。

「スピニングシルクラフト!!」

しるくちゃんが高速で回転し、岩盤の上にいたみらいとだいあにスタンプを仕掛ける。

「だいあちゃん!やれる!?」

「……うん!!」

それを、二人は真っ向から受け止めた。だけでなく力の勢いを途中からそらすことでしるくちゃんの両足をへし折る。

「しるくちゃん!?」

「だいあちゃん!!あの技、行けるかな!?」

「あの技……もしかして……!!」

言うや否やみらいはりんかを肩に担いで跳躍。次いでだいあもミーチルを腰から持ち上げて跳躍。

「あああっと!!これはみらいちゃんがりんかちゃんにキン肉バスターを、だいあちゃんがミーチルちゃんにキン肉ドライバーを仕掛けています!!この体勢はまさか、あの技の前触れでしょうか!?」

「……あれは……」

医務室。えもがモニタを見て表情を変える。その中でキン肉ドライバーを仕掛けているだいあに肩車する形でキン肉バスターを仕掛けているみらいがドッキングする。

「間違いありません!!これは、かつてみらいちゃんとえもちゃんがペアを組んでいた頃に多用!!あんなちゃんさらちゃんペアをも打ち破った伝説の双極必殺技(ツープラトンフィニッシュホールド)!!!」

「「マッスルドッキング!!!」」

ドッキングした2つの技が、両足を折られて悶絶しているしるくちゃんの腹に爆撃。しるくちゃん、りんか、ミーチルの3人が同時に吐血。

「マッスルドッキング完全に決まりましたぁぁぁぁっ!!!あいらちゃんなるちゃん二人のサインも出ています!!これは完全に勝負ありです!!勝者は、みらいあちゃんとだいあちゃんのコンビ・ダイヤモンドスマイルです!!!」

歓声が上がる。同時に戦場が元の特製リングに戻る。

「やったね、だいあちゃ……あれ、もしかして虹ノ咲さん……?」

「……え、」

そこで初めてだいあは、いや虹ノ咲は自分の姿が元に戻っていることに気付いた。

「そ、それだけじゃないわ、みらいちゃん……」

「りんかちゃん……!?」

「元々私たちに与えられた9つのジュエルはだいあちゃんから与えられたもの。さらに今回、みらいちゃんのジュエルの力は発動したけれども私のジュエルは発動しなかった……。つまり、虹ノ咲さんは……」

「や、やめて!!!」

「あ、虹ノ咲さん!?」

リングから降りた虹ノ咲はそのまま走り去っていった。

「……虹ノ咲さん……」

その後ろ姿をみらいは眺めることしか出来なかった。