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プリキャプチャンス・プリパラ2話

・パラ宿。あたしはまたこの町に来た。
「今日は北条そふぃを探さないと……」
確か南みれぃ達と同じ学校に通っていたはず。見つけること自体はそこまで難しくはないと思う。
「……そみあさん、今日もお疲れ様です」
「めが姉ぇ……行ってくる」
ゲートを通ってプリズムストーンを後にする。
昨日初めて来たからまだ慣れない街だけれども学校までの道のりは覚えた。
「あとは南みれぃに見つからないようにしておけば……」
信号が赤に染まる。確か、この状態では渡ってはいけないってルールだったはず。
やることもなく真っ赤な信号の前であたしは手無沙汰に無を待つ。
すると、
「見つけた!」
かわいらしい声がした。同時に目の前に大きな車が止まる。
「……あなたね。最近南委員長を嗅ぎまわってるって言うそみあってアイドルは」
ドアが開き、出てきたのは可愛い声が似合う可愛らしい少女だった。
「……あなたは?」
「私はらいむ。月美らいむ。そみあ?悪いけど手を引いてくれないかしら」
「……何を言っているの?」
「……とにかく乗って」
「……これって誘拐って奴じゃないの?あたし、お金なんて持ってないけど」
「お金なんて私がいくらでも持ってるの。               月美グループって知ってるでしょ?輝グループの子会社の。私、そこのお嬢様だもん」
「……」
輝……輝イブの関係者だろうか。どちらにせよ私には無関係の存在だ。敢えて警戒心の強い黒猫の巣に近寄ることもない。
「あれ、どこ行くの?」
「あなたの指示に従う必要がないだけ。あたしは今から学校に行くの」
「え?もう4時だよ?お寝坊にしては豪快だと思うけど」
「……とにかくあたしは行くから」
「……ソラミスマイルの調査に?」
「……あなた、どうしてそれを……」
「私と一緒に来る気になったかな?そみあちゃん」
「……」


それからあたしはらいむの車に乗ってどこかへと連れていかれる。
……6時までにプリパラに帰れるかな?
「ねえあたしそんなに時間ないんだけど」
「すぐ終わるよ……あ、ほらもう私の家だから」
そう言って到着したのは凄い屋敷だった。ドリームシアターくらいの大きさ。
「……で、あなたはどうしてソラミスマイルの事を知っているの?」
「知ってるものは知ってるんだからとしか言いようがないよ。むしろ聞きたいのはこっちの方。
どうしてみんなソラミスマイルを、真中らぁらを忘れているの?」
「……あたしにも分からないわ。でも何か手掛かりがないかって探して……」
「無理よ。月美グループが総力を挙げて探してるけど真中らぁらって人間はこの世に存在しない。
……あ、落命したってわけじゃないから安心してね。戸籍上真中らぁらって存在がなくなってるの。
こんなの普通じゃない。何かしらの魔法とかが関わってるんじゃないかな」
「……」
「……私、半年前の初心者歓迎ライブでらぁらちゃん、ゆいちゃんと一緒にライブしたことあるの」
「え。あなたも……!?」
「って事はそみあちゃんもだね。これで1つ仮説が出来たんじゃない?あの時、あの二人と一緒にライブをした子だけがあの二人の事を覚えている。
でもそれだけじゃ弱いと思うんだよね。だってそんな共通点とっくに漁ってるけどそれでも私達以外にあの二人を覚えている子はいなかった。
あの時同じライブに参加していた子の中でもね。だからもっとよく知りたいの」
「……何を?」
「私とそみあちゃんには何かしらもっと共通点があるはずなのよ。だから今から私はあなたに全部自分のことを話すわ」
言いながららいむは席を立ち、ばっとその場で服を脱ぎ捨てた。
「な、何を……!?」
「月美らいむ!小学5年生!右利き!誕生日は11月11日!アイドルとしての属性はラブリー!アイドルランクはトップアイドル!身長は137センチで体重は32キロ!
スリーサイズはちょっとよく分からないけど、体のほくろの数は4個!」
「……」
突然目の前の女子小学生が全裸になって個人情報を羅列し始めた。……いろいろと大丈夫なの?
「そみあちゃんも!」
「え、脱ぐの……!?」
それはちょっとまずいんだけど……。
「脱がなくてもいいから答えて!私は、らぁらちゃんを救いたいの!」
「……」
この子には本気を感じる。本気で真中らぁらの事を求めているんだ。
「……あたしはそみあ。右利き。アイドルとしての属性はクール。アイドルランクはデビューランク。身長は155センチで体重は48キロ。
スリーサイズは74・51・74……だったかな?ほくろの数は……もっと知らない」
「歳とかは?」
「……言えない。ごめん」
「……でも、聞いた限りだと右利きの女の子ってところしか共通点がないのよね。そんなのあの中にいたこの9割以上が当てはまってるだろうし」
らいむが服を着はじめる。その中で1枚のプリチケが落ちた。
「それ、スーパーサイリウムコーデ……!?」
「え?あ、うん。そうだよ。前に一度女神ジュリィに会ったことがあるんだ。チーム組んでなかったからグランプリには参加できなかったけど」

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「……」
「もしかしてそみあちゃんもスーパーサイリウムコーデ持ってるの?」
「……持ってないけど女神ジュリィに会ったことはある……」
「え!?ってことはもしかして……!」
「……もしかするかもしれない」
あの時、あの二人と一緒にライブしてそして女神ジュリィに会ったことがある女の子にだけ記憶が残ってる……?
いや、それだけは絶対にないって事はあたしが一番よくわかってるはずだ。
けど万が一って事もある。
「……神チャレンジライブを成功させていながら神アイドルグランプリに参加しなかったアイドルを当たれば見つかるかも!」
「……かもしれないね」
「よし、じゃあさっそく行動に……」
「待って。そろそろ時間だから、あたし帰らないと……」
「あ、そうなの?門限厳しいとか?家どこ?送ってってあげるけど」
「いや、その、プリズムストーンまででいい」
「?変なの」
北条そふぃに関する情報はなかった。けど、真中らぁらを覚えている人物がいたのはかなり貴重な情報だ。
「じゃあそみあちゃん。また明日ここで待ち合わせね」
「……うん。それじゃまた明日」
……新鮮な挨拶だ。けど、不思議と悪くはない。


第2話:らぁらちゃんに会いたい!ラブリーらいむはお嬢様!?