44歳(男性・独身・八段)が、未経験なのにバドミントン教室に行ってみた
昨日、バドミントン教室に行ってきた。
しかもドリブンズのユニフォームを着て。
私の人生の中で、バドミントンは遊びで数回やった程度で、ほぼ未経験と言ってよい。
そんな私がなぜバドミントンを選んだのか?
そしてバドミントン教室での一部始終をお届けする。
■なぜバドミントンに惹かれたのか
そもそもバドミントンを始めようとしたきっかけは、なんなのか。
人生も40を超えると、終わりを意識するようになる。
南2局にオーラスのポジション取りを意識するのと同じだ。
死ぬ瞬間…いや、体が自由に動かなくなるあたりで絶対「あれやっとけば良かった」と後悔している自分が容易に想像できる。
これは多くの人が同じで、何をやっても少なからず後悔は残るものだとも思っている。でも、できるだけその後悔を小さくしたい。
やりきった、とは言えなくても、楽しかった、と言いながらオーラスを迎えたいのだ。
このように終わりを意識しだした私の心に引っかかるのがバドミントンだった。
しかし数あるスポーツの中で、なぜバドミントンだったのか。
フットサルの方がモテそうだし、カバディあたりでブルーオーシャンを狙うという手もある。
バドミントンの魅力として、まず公平性が挙げられる。
たとえばサッカー。
純粋な球を蹴る技術以外に、反則スレスレのタックルどころかシャツの引っ張り合いもある。あれはもう格闘技に近い。
シミュレーションという、わざと転倒して反則を誘う行為だってある。
バスケットも同様だ。
数秒ごとになんらかのファウルで試合が止まるし、それが専門的で難しい印象を与えてしまう。
サッカーやバスケットなど、両軍入り乱れて行う競技はどうしてもファジーな部分が生まれてしまう。
では入り乱れないバレーボールはどうか?
私は学生時代8年間バレーボールをやってきたが、バレーにもファジーな部分が存在する。
タッチネットやワンタッチの判定は、いくら審判が目を凝らしてみても正確にはわからない領域だ。
今、触ったのにな…と思ってスルーされたケースがごまんとあった。
ホールディングやドリブルの規定も明確な線引きがあるわけではない。
どうしたって審判依存になる。
そしてバスケと同様に身長ゲーだ。
では野球はどうか。
現代ではビデオ判定が導入されてだいぶ公平性が増してきたが、ストライク・ボールの判定という要(かなめ)の部分は未だに審判が目視で行っている。
そもそも運動不足による中年太りを解消するために有酸素運動をしたかったので野球は選択肢になかった。
こうやってほとんどの競技が審判によって結果が左右されてしまう。
その点バドミントンは限りなく公平だ。
ドリブルもホールディングもない。
まず、その公平性に惹かれたのだ。
公平性で言ったら、同じネットを使うテニスや卓球も公平なのだが、あいつらは素人がやってもラリーが続かないのが問題である。
私がテニスをやってもホームランを打ってしまうのだ。
さらにある程度のレベルになると、サーブを打つ側が強すぎる。
サーブゲーと言っても過言ではない。
卓球は相手がサーブで回転かけてくると、私が普通に打ち返しただけで明後日の方向に飛んでいってしまう。ずるい。
その点、バドミントンは素人の私でも一応ラリーっぽいことができた。
動画の奥が私。
(ほぼ)初めてやったのに、ラリーができているのがわかる。
回転や変化球など無く、シャトルの軌道と速度だけで勝負する。
サーブ側にアドバンテージはない。(むしろレシーブ側が少し有利だという)
人数も最小限(2人)で楽しめる。
有酸素運動と無酸素運動が複合しており、体を動かすという点では申し分ない。
ここまで公平で、初心者に向いている競技はあるのだろうか。
というのが、バドミントンが心に引っかかった理由である。
■調べてみた
思い立ったが吉日、私は初心者でもバドミントンが楽しめるところがないかと調べてみた。
「バドミントン 初心者 名古屋」
を検索ボックスにぶち込むと、いくつかのサークルや教室が表示された。
たしかに「初心者歓迎」とは書いてある。
しかし、ためらってしまう。
いくら歓迎と書いてあっても、44歳のド素人である男が「バドミントンの公平性に惹かれました!」と言っても気持ち悪いだけではないだろうか?
20代の若い奴らばっかりだったら浮いてしまわないだろうか。
下心があると思われたくない。
あまりそういうことを気にするタイプではないのだが、空気は読める。
そこでバドミントンスクールの問い合わせフォームにて、自分の現状を吐露し、聞いてみた。「ほぼ未経験なんですけど」と。
そしたらまずはパーソナルレッスンで基礎を身に付けたほうがいいという返信が来たので、初回体験としてパーソナルレッスンを受けることになったのだ。
■当日
ここんとこの猛暑が一服し、運動日和ともいえる涼しい午前中だった。
事前に買ったラケットやシャトル、あとはタオル・着替え・飲み物を持ち、ドリブンズユニフォームをきて体育館へ向かう。
ワンチャンMリーグを知っていたら
「おお!ドリブンズユニフォームじゃないですか!しかも2019バージョンですね!」
と話が弾むと思ったからだ。
体育館はモリコロパーク公園内にある。
モリコロパークは愛・地球博が行われた公園であり、家から結構距離があって、車でも40分くらいかかった。
しかも広い。
調べたら敷地面積はディズニーランドの4倍らしい。
だからその中の体育館を見つけることができるか不安だったけど、警備員に教えてもらってすぐにわかった。
「ZEROさんですか?」
体育館に入るとすぐに話しかけられた。
コーチは30前後の女性。
(8人いるコーチの中で最年長と言っていた)
当たり前だけどシュッとしていて、いかにもスポーティだ。
すぐにカウンセリングが始まった。
私は教え方も学びたかった。
牌譜検討や家庭教師などのときに、どうやったら相手が楽しく、有益なコーチができるのかを実体験として学びたかったのだ。
現状の運動状況のあとに、目標を聞かれた。
目標を立て、その後の手段を考えることが大事、ということは何かの本で学んだ気がする。
運動不足解消だったり、サークルに参加しても恥ずかしくない程度の技術を身に付けたいというのが当面の目標になった。
実に面白くない目標だが仕方ない。
■地獄のレッスン
カウンセリングが終わり、ウォーミングアップへ。
2つのタブレットが三脚の上にあり、そのうちの1つにウォーミングアップ動画を流す。
ウォーミングアップですらレッスン生それぞれにメニューがあって、初回はごく一般的なメニューのやつを流すことに。
近代的だな…と感じた。
屈伸・伸脚・スキップ…などの、ウォーミングアップをしていくうちに自然と汗ばんでくる。もう疲れてきたw
そしていよいよレッスン開始になる。
まずいきなりラリーをするという。
おそらくレッスン生のレベルをはかる目的だと思う。
距離や速度を変えたり、バックハンドをしてみたり、いろんなショットを試された。必死にくらいついていった。が、何度も空振りしてしまった。
少し緊張したが、やはりバドミントンは楽しい。
「ZEROさんはラケットをシャトルに当てる能力がありますね!」
「バレーをしていただけあって肩の振りが強い!」
と褒めてくれる。
「名前を呼ぶ」「褒める」もコーチングの基本というやつだ。
そこからバドミントンには9種類のショットがあること、その9種類のショットは「基礎打ち」と言われ、これをマスターしてはじめて初心者という枠を脱する、ということを教えてもらった。
たしかにサークル募集の掲示板にも「基礎打ちができればOK!」みたいに書いてあったな。
バレーにはそんなものなかったぞ。
今日はその基礎打ちから2つをレッスン。
まずはラケットの握り方から、振り方までを習得するために、ノックが始まった。基礎打ちの前の基礎というわけだ。
コーチが放ってくるシャトルを次々と打ち返していく。
10本連続で打った後に「こうするとよい」というような具体的なアドバイスの直後にまた10本。アドバイス。10本…の繰り返し。
とにかく打ちまくって体に染み込ませることが大切らしい。
麻雀と同じで打数が正義というわけか。
基礎の基礎を3つやったあと、基礎打ちからドライブとロブの2つのショットを練習したところで終了。
当初、1時間は短いと感じていたが、1時間で本当に良かった。
もうヘロヘロだ。
■感想
感想としては、まず疲れた。
今も腕と足が筋肉痛になっているし、全身を倦怠感が包み込んでいる。
いろんな理由をつけてバドミントンを選んだが、最上位クラスのしんどいスポーツではないかと感じた。
いきなりの激しすぎる運動に体がついていかない。
そのうち慣れると思う。慣れないと困る。
あと、もう一つ感じたのは時間効率の良さだ。
部活のときは、大勢いる部員に対し、先生一人になるから、どうしても教えてもらう密度が薄くなる。特に部に入りたての頃は半分以上ボール拾いだったり、ラインズマンをやらされるハメになる。
ずっと「そういうものだから仕方ない」と思っていたが、あれほど時間効率の悪いものはない。上手な人がますます上手になり、下手な人は成長を感じづらい環境だと言える。
今回のパーソナルレッスンは、俺だけのための1時間になる。
俺だけのためのカリキュラムが組まれ、俺だけのためにコーチが付きっきりで細かく指導してくれ、俺だけのために100以上のシャトルを使ってノックをしてくれる。
さらに次回には、今回のレッスンの通信簿を渡してくれるそうな。
良かった点や課題などが書いてあるという。
さらにさらに、レッスンごとに動画を撮っていて、希望者には有料(500円)で自分のレッスンを見ることができる。
SNSやブログでの拡散はダメらしいのでここに貼れないのが残念。
しんどいとへばってしまったが、成長するために最短の道をいける、贅沢な時間だな…と感じた。
料金は1時間で4200円。
4200円のうち、1200円が体育館使用料。
残りの3000円のうち、おそらくスクールに1000円入ってコーチが2000円くらいだと推測している。
見合わないよなー。
少なくともこれだけでは喰っていけない。
副業でやっている人も多く、バドミントンの楽しさを知ってほしい!という思いでやっているのが伝わってくる。
たまたま居合わせた他のコーチとも挨拶したのだが、若くてイケメンばかりで、その爽やかさの圧力に屈してしまいそうになった。
スポーツが好きな人に悪い人はいない。
麻雀好きには悪い人しかいない。
これが私の持論である。(諸説あり)
■大人の趣味とは
福地先生がこの記事にて
富士山に登ってるとして、確かに進んだけど、これってわずか1メートルだよみたいな感じ。
いろんな趣味を持ってたり、いろんな習い事をやってきてると、こういう感覚は持たないんだろうか?
(中略)
センスある人たちは小学生か中学生のときに半年くらいでできちゃったことを、10年経ってもできず、かたつむりのように前進しようとしてるのが俺のダンスだ。
という自分の状況がわかるので、ダンスが上手くなるのは嬉しいけど、上手くなったと言ってもね・・・という気持ちになる。
と疑問を投げかけているけど、趣味って自己満足以外の何物でもないのではないか。
普段、周りの目を気にせずに生きていくスタイルの福地先生だから、意外である。
たとえ1メートルであろうとも、昨日の自分より進んでいることを実感できると嬉しい。何より体を動かして汗をかいているだけで生を実感する。気持ちいい。
趣味とは自己完結するものだ。
誰にも見せなくていいし、誰かと競うわけでもない。
(成果を試す場として、発表会やゲームはあるものの)
小学校のとき、一人でこんな遊びをしていた。
クラス全員の名前を書きだし、それをABC、3つのタイプに割り振る。
サイコロを振って出た目によって相手にダメージが与えられるのだが…
タイプによって与えるダメージが違う。
Aはコツコツタイプ。Bは一撃必殺タイプ。Cはその中間。というように。
HPも設定し、最後の一人になるまでトーナメントを繰り返す、というような大会形式だ。
ベスト8まではHP引き継ぎで戦わせたけど、その頃になるとみんな瀕死になっているので、そこで「HP20回復」などのルールを設け、調整した。
そして4位までに入るとステータスアップの特典をつけた。
攻撃力やHPが増したり、守備力1が付加されるなど。
20大会くらい開催したと思う。
優勝者がどれくらい偏るのかという興味があったが、途中から平松というやつが無双しだして、4連覇を含む6回優勝したところで防御力が6になって、もう誰も勝てなくなった記憶がある。
今でこそくだらねーなとは思うが、当時は異常に面白く感じ、一人でサイコロを転がし続けたものだ。
しかし、小学生の当時もくだらなさは感じていたのだろう。
この遊びは誰にも言わなかったし、大会用のノートも机の引き出しの奥にしまって隠していた。
平松に「お前つえーよ」と言うこともなかった。
長くなったが、趣味ってそんなものじゃないか。
一人でやり、一人で楽しむ。
バドミントンも若者には絶対勝てないことはわかっていても、今はシャトルを返すことだけで楽しく感じる。
それをこうやってnoteにはしたものの、それがどうしても他の人にわかってもらいたいわけでもない。
というわけで、これからも自分だけの楽しみを見つけていこうと思う。
あ、ドリブンズユニフォームは誰にも触れられませんでした。
残念!
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