嘘の日記「断絶」

今日もディスカバリーチャンネルを見るだけの日だった。
やたら存在感のあるテレビで見る世界各地は最高なのだ。

秘境でサバイバル生活をする番組を見て、私だったらすぐに音を上げてスタッフに泣きつくだろなぁなんてことを考えていた。
綺麗な海岸、巨大な砂漠や深い樹林を見て、都会に適した進化(動物としてなら退化)をしている私には到底生き抜けないと考えてしまう。
でも、いつかは自分の目で見てみたいな。
……少し考えてみたが、私には引きこもりが適任だ。


どの番組かは忘れたけど、マレーシアには「バナナ一本を食べる所要時間」という意味の言葉があることを知った。
偏見だが、東南アジアらしくていい言葉だなと思った。
あっちの世界には私のいる世界とは別の時間の流れがある。それに想いを馳せると少し楽しい気分になる。

そういえばタイに行った友人からお土産でお茶をもらったんだった。チャトラムーという有名店のらしい。

茶葉の時点で甘い香りが漂う。これはバニラ?
ググってみるとバニラや八角、オレンジの花がブレンドされているとのこと。下品な甘さではないが紅茶とは思えない芳香だ。

甘いというば、タバコのガラムも甘かったな。暑い国ではすべてのものが甘くなるのか。

この紅茶には様々な飲み方がある。何も入れなくても十分な味だが、ここにミルクや砂糖をいれるのが主流らしい。
どちらもいれたものを『チャー・ノム』
砂糖だけをいれたものを『チャー・ダム』という。
*チャー:お茶。ノム:ミルク。ダム:黒

今日はチャー・ダムで飲んでみよう。確かに暑い夏に飲みたくなる甘さだ。意外とごくごく飲める。いや、これをごくごく飲んだら大変なことになるから少し自制しよう。

こうやって世界のものを身体に取り込んでいるとその地に行った気分になる。
実際には、言葉も文化も何も知らない。私のただの妄想。
別に世界中を飛び回りたいわけでも、知識欲があるわけでもない。
それでも私は妄想する。
日常から少し寄り道できる、希望に似た気持ち良さを得られる。

私と外の世界はほぼ無縁だ。こうやって画面越しや友人のお土産でしか行けない。たまに行きたいと思うが、一生行かないだろう。

休みが取れたら油壷の温泉へ行こうかな。

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