嘘の日記「Ollie」

『ご自由にお書きください』
『いまどうしてる?』
俺が毎日見る文字だ。
今日も今日とて、ネットに引きこもる。
ネトフリとYouTubeの毎日。未来は見えない。何も起こらない。

しかし、今日は月に一度の一大イベント!
雑誌『Ollie』の発売日なのだ!
俺の本棚にギッシリ詰まったOllieの数々を見よ。引きこもりなのにこんな雑誌を読んでるの?なんてナンセンスな質問はやめてくれよ。

何年も着てダルダルになった部屋着からスケーターファッションに着替え、外に飛び出す。散歩と食べ物の買い出し以外ではほとんど外出しないから新鮮な気分だ。曇っていても心は晴れやか。
今日は近所のコンビニによるのはやめておこう。本屋へ直行だ。

本屋。小説を読まない俺にとって無縁な土地だが、毎月14日だけは聖地になる。
俺が目当ての雑誌はスケーターにとって聖典だろう。しかし、スケボーをやっていない俺。だけど、中身のかっこよさに魅かれ何年も集めている。

引きこもりの俺に様々なカルチャーを教えてくれた雑誌は素晴らしい。今月も最高にかっこいい。あこがれる。
俺に知らない遊びを教えてくれた先生だ。

こんなこと言っても明日にはまた元のひきこもりになるのか。
東京には、土地によっていろいろな顔がある。俺には雑誌だけを楽しみに生きるという顔しかない。

雑誌の中の住民にはならないと思っている。しかし、あこがれはある。
Ollieは俺に夢を与えてくれた。それと同時に現実も教えてくれた。
将来のことを考えるのは不安だ。それでも時間は前に進む。
自分から動けが変わることだってある。これもOllieが教えてくれた。そうやって妄想を重ねる。未来に淡い期待を膨らませ、将来に希望をもって生きる。だから、人生は切なくて楽しい。

俺も雑誌の中の彼らのように夢を実現させるために生きていかないと。夢を与えてくれたのだから、今度は夢を現実に変えてこっちから驚かせてやる。

本棚を眺めた。

今日は断捨離でもするか!

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