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ブラウブリッツ秋田vsファジアーノ岡山 マッチレビュー 【0-0】


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スタメン


連戦が終わって仕切り直しの一戦。しっかりと準備する時間が取れてのゲーム。岡山はシャビエルが初先発。そして阿部海大がキャプテンマークを巻いての先発と。これはなかなかいい場面でしたね。秋田の人も喜んでくれたんじゃないでしょうか。左のCBにはそのまま本山。ボランチには田部井ではなく仙波、このへんはちょっと気がかかりなところ。そして、こちらも古巣対決となる齋藤恵太も初先発。ベンチにも輪笠が復帰してきており、秋田ゆかりの選手がそろったゲームでした。

ゲームの流れ


向かい風スタートの岡山は、序盤からロングボールをグレイソンや齋藤恵太に当て、フリックやこぼれ球拾いで前進していく構えを見せます。一方の秋田は、というか秋田はいつでもずっと同じことをしてくるのであとでまとめて説明するとして、滑り出しとしては岡山はまずまず秋田コートにボールを運ぶことは出来ていたと思います。

しかし、秋田のロングボール→クロス→コーナーの地獄コンボがジワジワと効きはじめ、岡山のボックス内での対応があわただしくなっていく。ここ2試合でセットプレーから4点も失点している状態でしたから、秋田のセットプレー地獄は難局でした。

岡山は20分あたりから秋田の442のミドルブロックをパスで攻略しようと試みます。SBをつり出してその裏に抜けるパターン。タテパスをグレイソンに刺して、ポストプレーの落としに抜け出す。など、いろいろと試みるもののやや距離感が遠すぎるかなと。あとは、タイミングのずれも散見されてそこまで思うように運ぶことができませんでしたね。

秋田はFWを下げてでも岡山のボランチの組み立てへのサポートを阻害してくるので、仙波も受けることができす。割とサイドからタテ、タテというような窮屈な攻めを強いられたかなあと。

23分にはFKからゾーンで守る岡山の守備の大外から折り返されて決定機を作られます。さすがにこれだけセットプレーがかさんできたらどうしても、ね。まんまと秋田のやりたい試合に持ち込まれていきますね。

岡山のこの日最大の決定機は29分。齋藤恵太が右サイドで相手のSBをつり出して、その裏にグレイソンが流れる。阿部海大からパスが出て、いったん秋田にコントロールされたボールをグレイソンが再度奪取。シャビエルに流して、フリーで打つもGKに弾かれるというシーンでした。

その後の流れは秋田。ロングボール、カウンターで効率よくセットプレーを獲得し、こぼれ球をミドルと。低リスクで当たれば一発!系のブンまわしサッカーで岡山を殴ってやろうと。効率的ですね、いつもながら。

後半になると岡山は向かい風の影響もあったのか、ほとんど有効な攻撃を披露することはできませんでした。とりわけ、選手が交代していくにつれて攻撃の手筋がどんどんアバウトになっていき、さすがに一緒にやってる時間とかも短いでしょうし味方と呼吸が合わないシーンもしばしば。

秋田に際どいシーンを作られたもののなんとかしのいで勝点1を持って帰るということになりました。しかし、これで4戦勝ちなし。ゲーム内容も良化の気配をあまり感じさせない展開でしたから、ちょっと大丈夫なのか?と心配になるゲームではありました。もうちょっと見ていておもしろい出し物を見せてほしいな、というところです。

アウェイで勝点1もPO目指すなら別に悪かないと思うんですけど、あんまりドローで済ませちゃうと、ホームで取らないといけない勝点目標が吊り上がってしまいます。勝ち続けるって難しいね・・!


試合後の田上大地の発言をめぐるあれこれ



試合後、ゴール裏への挨拶で田上大地が、「4試合でアウェイ3つよ?次ホームで勝つから」という発言を残したことが話題になっていましたね。これもドラマの一幕だなと思いました。

個人的にはここでチームに声掛けした人の言葉の選び方がすごく素敵だなと思っていて、「まだまだこっからよ!もっと点とっていこうよ!」ってすごくいいよね。たぶん、そこまで考えたわけじゃなくてとっさにその場の感じで出た言葉なんでしょうけども。

罵声を浴びせるわけじゃなく、しかし納得がいっているわけでもない。何が見たいのか?もちゃんと伝わるし、求めたいポイントも「そこなんすよね!」というところで、なんだか気持ちを代弁して持ったような気がしてめちゃくちゃよかったです。

田上大地は昇格経験あるベテランですし、サポーターの気持ちも十分に分かったうえでなにを言うか?というところだったと思います。当然、彼が何を言うのか?はサポーターに向けてということもあるでしょうが、やってる選手の代弁者的なところもあったことでしょう。チームメイトもあそこで「大地くん何を言うんだろう?」って見てますからね。

週末ホームゲームが全然ないのはたしかにキツイかもしれない。もしかしたら、そこの部分でチーム内にも「ちょっとしんどいな」みたいな感じがあるのかもしれないですね。まあ、このあたりは想像するしかないのでわからないことですが、次節のホーム熊本戦でどんな出し物を見せてくれるのか?楽しみにしたいなと思います。


先制点が取れな過ぎて退屈な前半


試合の内容についてももう少し。

ファジスキーくんが紹介していたように、やはり岡山は先制点が取れない。取れないから競ったゲームになるし、セーフティリードがないと交代して休ませる手が打てないから選手が休めない。よって疲労が蓄積する。というように、ゲームで先制点をとれるかどうか?は再三指摘しているポイントでした。

この試合でも前半は決定の数でも秋田の方が上回っており、岡山の攻撃はとても湿っぽかったなと。1週間あったのでもう少し相手を困らせる攻撃を披露してくれるのかな?と思いましたが、整った秋田の守備を崩すシーンはわずかなもので、ほとんど問題を起こすことはできませんでした。なおかつ、セットプレーの数では圧倒的に差があるように、FKやCK自体の数も少ない。どうやれば得点を取るのか?なかなかイメージが沸きにくいところです。

うーん、やはりチームとしてやりたいこと、選手間の連携などがまだまだチグハグというところなのかもしれないですね。後半メンバーを交代させると、不具合がさらに強調されることとなりほとんど秋田のゴールに迫ることすらできなくなりました。これではどうやっても勝つのは難しい。残念ながら退屈なゲームだったというほかないでしょう。

これで4戦勝ちなし。優勝とか自動昇格とかを見据えるなら、このあたりが食らいつけるかどうかの際のところじゃないでしょうかね?勝点ペースも1試合2ペースから足を踏み外してしまった。どこまで理想を追うのか?目指す理想形は完成するのか?するんだとしたらいつなのか?それで間に合うのか?いろいろと疑問は沸いてきますが、きっと過去最強のファジアーノ岡山になってくれると思うので。少しでも早く「強い岡山」の片りんを見せてほしいなと思います。

秋田っぽいサッカーとはどういうものか?


この試合でもいつもどおりのサッカーを見せていたブラウブリッツ秋田ですが、彼らのサッカーはとてもシンプルです。華麗さはないですが、その分思い切りがよく勢いがあります。では大まかにどういうことをやっているのか?を解説してみましょう。


秋田は細かいショートパスの交換をやらずにロングボールを蹴り込んできます。相手の最終ラインにスペースがあればそこへ。なければタッチラインに近いところでハイボールを競らせてセカンド勝負に持ち込んでいきます。


ボールのあるサイドでセカンドボール争いは発生しますが、その際にどちらが拾うのか?が重要になってきます。そのカギとなるのは2つあって、選手の反応と人口密度です。つまり、どのくらいこぼれ球に反応できるか?(藤田息吹がとびぬけてるやつ)と、どのくらいこぼれそうなところに人を配置できるか?ということです。

秋田はここでのこぼれ球を重視しているので、このように人を集めてボールサイドの人口密度を高めてくるわけですね。そうすると拾う確率が上がる。
拾ったらそこからクロスなりなんなりに持ち込んでフィニッシュにつなげていくと、こういう算段ですね。

仮にこぼれ球争いで負けてもいいんです。だって人はいっぱいいるわけですからそのままプレッシャーかけに行けばいいし、そこでとれなくても別に構わない。


スロワーは適当なのでごめんやで

相手を追い込んでタッチラインに逃げさせたら秋田の勝ち。なぜならロングスローがあるから。これで密集を相手のペナルティエリアの中に作り、今度はそこでゴネていく。アクシデンタルに空いてくる選手がシュートを打てるかもしれないし、PKみたいな事故も起こせる。なので、効率がいい。

こうしたサッカーは主にJ3で磨かれたものだと思いますけど、非常に手堅く戦えるのが特徴で負けにくいんですよ。しかも、選手に難しいことを全然要求しないので思い切って迷いなくプレーしてくる。そこの判断のスピードとかで差が出て、うまいサッカーをやろうとしているチームが足元をすくわれると。そういう傾向があるのかなと思います。

で、ここからは余談ですがこうした秋田やいわきのような思い切りのいいサッカーには源流があると思っていて、

ひとつは反町さんの松本山雅。もうひとつは相馬さんの町田ゼルビアです。秋田はまさにこの2つのチームのいいところをどっちも取ったようなチームになっていると思います。

というのも、あそこまで執拗にセットプレーにこだわる姿勢はソリボールと揶揄された反町松本の執着心を彷彿とさせますし、密集させると選手のうまさの差を誤魔化せるぞ!ってアイデアを持ち込んだのは相馬さんの町田だったからです。この2チームに共通しているのは技術的に優れた選手ばかりをそろえなくても勝てるチームを作れるということです。つまりお金がなくても勝てる。

J3から勝ち上がってくるチームのタイプはおおまかに2つあると思っていて、ひとつはレノファ山口に代表されたボールをつないで華麗なサッカーを披露するタイプ。最近だと大木さんの熊本とかはこっちですね。小林さんの北九州もそうでしたよね。

一方は秋田やいわきなどに代表されるタイプで、どちらかというとこちらの方がJ2残留率は高い印象です。華麗なサッカーを披露するとごっそり選手を引き抜かれていずれJ3に落ちていきます。秋田やいわきも最近は注目されていて選手をだいぶ抜かれるとはいえ、華麗なサッカーを作るほどにはチームにフィットさせるのが難しくないのだろうと。シンプルだから基本的には。

そうすると選手の補充もしやすくなるし、そんなうまい選手集めてこなくてもいいわけです。だから候補にしやすい選手も多いだろうと。そういうわけで引き抜かれ耐性的にも優れているんじゃなかろうか?というところです。


理想を追うのか?現実を取るのか?


さて、われらが木山ファジはどのような道を歩むのだろうか?やや不安に思う内容が続いています。岡山の場合は開幕当初でいわば秋田的なサッカーを展開して成果が出たわけですよ。なので、あれをベースとしてキープしつつ、そこにいろいろバリエーションを増やしていきたい!という路線を考えているんだろう?と思うんですよね。

というのも、開幕戦あたりのサッカーにフィットした前線はやはり木村・岩渕・グレイソンだったわけですが、グレイソンはいいとして、2シャドーに入る選手のタイプに種類が豊富なんですよね。

以前紹介したように、ポスト役ができるタイプ(太田など)もいれば、足元で受けて光るタイプ(田中、シャビエルなど)、強度が高いタイプ(木村、岩渕など)というようにいろんな選手がいますと。

木村太哉が得意な仕事をシャビエルに求めても意味がないし、その逆もまた無理な話でしょう。木村・岩渕とは違うタイプの選手を入れるとチームとして出てくるカラーにも変化が生まれることになります。

そういういろんな選手の組み合わせで出来ることを増やしつつ、戦っていけるチームになっていきたいのかなあ?ということを感じさせる秋田戦のもがきっぷりではありました。

しかし、今年は頂点を目指すのであまりにもトップと離されるともう追いつけなくなってしまいます。すでに1試合あたり勝点2のペースから一歩離脱してしていまっているので、食らいついていけるかどうか?は注意深く見ないといけない。

チームを熟成させるために遠回りをいとわないのは木山さんらしいと思うし、3年目なので自分も慣れてきました。なので待つぞ!という気持ちです。しかし、それがどのタイミングでかみ合ってくるか?ほんとにその理想は形になるのか?あるいは、2022年のように現実に合わせていくのか?そこの瀬戸際のところかなあと。

もしかしたらすでにこれはやれそう!という手応えをつかんだ開幕戦あたりの形に回帰するのかもしれないですし、そこはもう4月5月のチームの伸び次第なのかな?という気がしています。ちなみに、相馬さんの町田を作った立役者の一人が岡山の村主コーチというのはすごく示唆的だなと思います。

はたして岡山はどう転がっていくんだろうか。熊本戦が楽しみです。


やわらかフットボール観戦会やってきました!


この秋田戦の行われた4月14日、かねてから告知してましたようにやわらかフットボール観戦会@クラフトレインボーを開催することができました。

正直、5人くらいかな?と思っていたところ、立ち見のひとも一杯!というくらいの盛況ぶりで、失礼だけどあそこまでクラフトレインボーに人がパンパンになったのは初めて見ました。

試合内容が試合内容だったので、めちゃくちゃしゃべりにくかったですが、楽しんでいただけたようで開催して良かったなと思います。自分もなかなかファジサポさんとお会いする機会がないので、こういうイベントをたまにやって交流できるともっと楽しいだろうなと思いましたです。

初回ということもあり、お店の開店時間の告知をし忘れて待たせてしまったり、試合開始前にドリンクが間に合わないなど、不手際があった点については申し訳なかったなと反省です。次回があれば、改善点をもっと良くして、来てくれた方が余計な心配や気を使ったりしないでいいような空間にしていきたいなと思います。





こんな風にサッカーを言葉にできるとすごく楽しくなってきます。そのために必要なベーシックな知識を、YouTubeのメンバーシップでやっているサッカー観戦入門講座『やわらかフットボール』でお伝えしています。
今年の第2期は、5月9日から開講しますので興味のある方のご参加をお待ちしております。以下に、講座の概要と第1期の初回無料ライブの動画を貼り付けておきますので、ぜひチェックしてみてください!


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