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"本当の声を聞かせておくれよ"高木けんすけさん【大宮サポインタビュー】

取材日 2024年2月15日

レッドブル買収報道?に揺れる大宮


ーはじめましてゼロファジです!よろしくお願いします

どうも、よろしくお願いします。

ーインタビューを受けてくださってありがとうございます!

このシリーズまりねえさんとか知り合いで、結構他の人も紹介してたりしたので、「おもしろいな」て思ってまして。

ーあ、じゃあいくつか読んでくださってたんですね?

そうですね。今までの方は何人か読んでますね。

ーああ、ありがとうございます。さあ、ということで始めていきたいんですけど、今日はとんでもないニュースが入ってきましたね?

とんでもないですね(笑)まさか、ですね。

ーまだ確定ではないですが、まさかレッドブルが大宮アルディージャの経営に乗り出すのでは?という

まあ、そうですね。まだ全然わかんないですけどここまで出るってことは。よくよく考えてみると去年の6月ぐらいのホームゲームに、レッドブルの役員とか来てたんですよね。僕あんまりヨーロッパ詳しくないんですけど、なんかテクニカルダイレクターだかGMだか編成をやってる担当の人がNACK5来てるんですよ。

ーほう

だから昨日今日出てきた話じゃなくて。これはもう僕の予想というか推測ですけど、たぶんNTTはここ数年売り手探してたんだと思います。明らかに予算の減り方がおかしかったので。で、ようやく話がまとまったから出したんじゃないのかな?っていうような感じですけどね。

ーたしかにひと頃の大宮の規模感とここ数年の規模感って全然違ってますもんね

そうですね。ちょっと減らし方が急にこんだけ減るっていうのはないので。身売りとかだったらまだあるけど、親会社いるのにこんなに減るっていうことは(笑)・・・ないですから。

ーそうですね

普通じゃないことが起こってるので。売却先を多分ここ数年はずっと探しつつだったんだろうなとしか、ちょっと思えないんですよね。

ーなるほど、そうか

サポーターミーティングでも「正直手放したいんじゃないの?」みたいな質問が実際結構出てて。明確に否定しなかったんですよね。NTTから出向で来てる社長も。

ーうんうん

まあ、だからそういうことなんだろうなとは思ってますけどね。いいきっかけになればいいんじゃないすかね?って。そのぐらいNTTに対してすごいみんなよくない思いを持ってる人が多いので。それこそ昼間も地元のサポーターのやつと話してて。譲れないのは大宮でやってもらうことと、チームカラーを変えないでもらうことと、マスコットはリスのままっていう。その3点は譲れないところだよなぁっていう話は多くの人が多分共通で思ってるところですけど。逆に言うといいきっかけになったらいいんじゃないかな?って思ってる人も多いし、僕も実際そうで。そのぐらいここ数年の流れがほんとに悪すぎるので。同じJ2だったんでよくご存じだと思いますけど。

失速する大宮のここ数年


ー大宮っていうと僕らからすると規模感が全然上のクラブで、いっときJ1で首位を走ってたときもあったし

そうですね。

ーあの頃を知っているので「どういうことが起こってるんだろう?」っていう風に見てましたね

急にこうなったわけじゃなくて、ここ3、4年ずっとこの調子で。まあ、だからJ3っていうのも、いつかはそうなるだろうなって。時間の問題だろうなってのは3年ぐらい前からみんな言ってたので。正直、降格したことについてはなんだろうなぁ。そりゃショックはショックかもしれないけど、みんな「まあ、そうだよね」みたいな部分も結構あるんですよ。

ー僕は大宮がJ3に降格するような戦力だったのか?というとそこまでは思ってなかったんですけど、クラブのビジョンというかグループとしてのなんか一本筋が通ったものが伝わらないとかそういう部分があったのかなぁって他サポ的には思ってましたね

みんなやっぱり言ってるのは、「監督ころころ代えすぎだよね」って。で、百歩譲って同じようなスタイルの監督が継続してんだったらいいけど。たとえば霜田さんと相馬さんって真逆じゃないですか?

ーなるほど(笑)

で、また原崎さんっていうのはどっちかっていうと霜田さん的な監督で。何がしたいの?っていうところ。全く一貫性がないわけですよね。だから結局相馬さんで集めてきた選手で去年原崎さんがやることになって。そりゃ難しいですよね。やりたいサッカー全然違うんだから。原崎さんも決して仙台でも悪い監督じゃなかったと思うけど、相馬さんで集めた選手とは合わなかったですよね。やっぱそういうことやってると選手の良さも活きないし、監督の能力も発揮できないしっていうことをずっとやってて。結局クラブがどういうサッカーをしたいとかないんですよね。アカデミーは強いってずっと言われていながら、活かせてないですよね。他所行ってみんな活躍するわけですから。

ーうんうん

っていう意味でレッドブル入ってくれた方がいいんじゃないか?って意見が多いのは、僕はわかるんですよ。

ーちなみに、今年は長澤徹さんが監督として大宮を率いるということで

もう、ほんとに”ファジアーノ大宮”みたいな。長澤監督で選手も濱田水輝が来たりとか、下口稚葉が来たりとか。中野誠也なんかも岡山にいた選手ですもんね。

ーそうですね

結構岡山にゆかりのある選手多いですから。コーチ陣も若宮さんとかフィジカルコーチの奥村さんとか。多分長澤さんが声かけて呼んできたんだろうなっていうメンバーになってますからね。

ーおそらくそうでしょうね

ほんとぜひ岡山のサポーターにはJ3では大宮に注目してもらいたいですし。

ー岡山サポーターは結構北九州と大宮は注目してる人多いと思います。どちらも岡山にいた人がたくさんいるので

ああ、永井龍とか北九州行きましたもんね。

ーそうなんですよ

ほんとに鳥取とか讃岐のときは岡山からも来てほしいですよね。

ーいや、結構行くんじゃないですかね(笑)まあ、徹さん岡山のときと同じサッカーをするかどうかはちょっとわからないですけど。まあ、一本筋が通った人なんで。大宮の停滞した空気みたいなものを変えてほしいなっていうのは思ってます

新体制発表のときに、大宮では長澤ファンがめちゃめちゃ増えたんですよ。

ーああ、そうですか!

やっぱり、なんだろうなあ。彼の言葉の「キックオフからパワー全開」とか「限界まで戦う」とか。そういう当たり前のことなんですけど。

ーうんうん

それが今の大宮は一番できていないので。その辺をすごい、こんなに気持ちのことを言う監督というのはあんまりいなかったのでここ数年ずっと。そこについての期待感はみんなめちゃめちゃ持ってるし。

ーそこが不満というか、変えてほしいところだったんですねみんな

そうですね。戦術云々というよりも、そこがこのチーム一番課題だろうなっていうのはみんな言ってるし。これはあの原博実さんも来たときからずっと言ってるんで。多分原さんもそこを変えたほうがいいだろうっていうことで、長澤さんに声かけてると思うんですけど。FC東京の繋がりのある間柄なので。

ーそうですね

だからほんとに長澤さんで、チームが変わってほしいっていうか。でも、たしかにJ2で岡山を率いていたときと違うのは、一番戦力を持ってるチームなわけじゃないですか。って考えると岡山のときとアプローチとは変わるわけですよね。そこでどういうサッカーになるのかな?っていうのは楽しみではあるし。

ー僕ら岡山サポーターも岡山バージョンの長澤サッカーしか見てないので。ところ変わってどういうサッカーにするのか?はまだ未知の部分なのですごく興味ありますね

そうなんですよね。U-23とかではやってたけど、トップチームでは岡山と次が大宮ですから。どうなるか?でも、ほんとに長澤さんのときの岡山って、対戦しててもかなりいいチームだった印象があるんですよね。

ーまあ、辛抱強いっすよ。長澤さんのチームはね

うんうん。これは大宮は関係ないけど一番印象に残ってるのはプレーオフでアルウィンで勝ったじゃないですか?

ー2016年のプレーオフ松本戦ですね

で、矢島慎也が地元いっしょなんですよ。

ーおお!

矢島もあの後一年だけ大宮に来ましたけど。矢島がいたから結構当時の岡山の試合はちょくちょく見てて。「プレーオフかあ」って見てたらすんごい試合だったじゃないですか?

ーうんうん

僕は結構長澤さんっていうとあの時のチームの監督だなって印象が強くって。そういう意味でも今年普通にやったらウチと松本が争うんじゃないか?っていう予想が多いですから。そういう意味でも楽しみなところですよね。

ー大宮も松本もJ2に帰ってきてほしいなと思いますね

この対戦がJ3で行われるとは、という。

ーいやー、ほんとに!なにがおこるかわからんですね(笑)

わかんないですねえ。

アイコン不在の街


ーということで、高木さんについていろいろお聞きしていこうと思うんですが、普段はスタジアムではどのあたりで見られてるんですか?

基本ずっとゴール裏ですね。

ー箱推しとか個サポとかでいくとタイプ的にはいかがですか?

僕は完全に箱推しですね。基本的にアルディージャの選手を応援する。まあ、アルディージャの試合がない日に移籍していった選手を見に行ったりとかはありますけど。

ーサポーターとして応援するってこと以外にされている活動とかありますか?

そうですね。”サポーターしては”っていうわけではないんですけど、本業が地元の議員の秘書をやってるんです。

ーああ、そうでしたね!

それで、僕がアルディージャを応援してるっていうのは、アルディージャがメインではなくって、大宮の街のことをやるって上でアルディージャっていうのはめちゃめちゃ有効なツールだと。で、見にいくうちにどんどんハマっていってっていうことなんで。だから議員の秘書の仕事をやりながら、あとは地元で有志のやつらと、たとえばストリートピアノを置いて町おこしをやるとか、商店街の飲食店の方々と連携をして街コンみたいなことをやるとか。そういう町おこし的なことをやっていて。結構その僕がアルディージャのサポーターをしているっていうのはその一環なんですね。

ーうんうん

僕が一番やりたいことは、大宮の住人のシビックプライドを上げたいっていう。

シビックプライド
「市民の/都市の」という意味の「Civic」と、「誇り」を意味する「Pride」から成り立つ言葉であり、「都市に対する市民の誇り」といった概念で使われることが多いです。

まちおこし.com

ーシビックプライド、なるほど

やっぱり『翔んで埼玉』とかもありましたけど。”埼玉都民”って言葉があって、普段は東京で働き東京で遊び埼玉には寝に帰ってくるだけみたいな。埼玉の方が家賃が安いとかいろいろあって、埼玉に住んでるっていう。いわゆる埼玉都民って言われる人たちが大宮の街にも多いんですよ。東京駅にしても新宿駅にしても30分ぐらいで通えてしまうので。

ーそんなに近いのか

僕はすごくそれは悲しいことだなあと思っていて。大宮に住んでいてよかったなあとか大宮の街が好きだなあって思ってもらえる人たちが一人でも増えれば、この街ってもっと良くなっていくんじゃないかな?と思っていて。僕はアルディージャもその一つのツールだと思ってるし、ストリートピアノ置くとか、飲食店のイベントをやるとか、全部つながってるところで。僕はアルディージャにはそういう部分も期待してるし。だからこそ強くあってほしいけど、でもクラブのカラーを変えるとかマスコットが変わるとか、ましてや大宮から移転するみたいなことを外資がやるんであればそれは全く違う話なんで。

ーそうですねえ

今回の話、どうなのかな?って。今めちゃめちゃ気に揉んでるところですよね。

ー大宮の人のシビックプライドを高めるうえで大宮アルディージャがひとつのツールとして有効なんじゃないか?というお話でしたが、具体的に言うとどういうところが響きそうだと思ってます?

やっぱり大宮って統一したイメージがないんですね。「大宮と言えばコレ」っていうような、みんなこれでひとつになるみたいな。たとえば、あんまり知らないですけど仙台の人は七夕祭りで盛り上がるとか。八戸の人はねぶたで盛り上がるとか。そういうものが大宮にはないんですよね。大宮って国道16号ってのが通ってるんですね。16号線沿いっていうのは新興住宅街なんですよ。Jリーグがある街で言うと、大宮、町田、柏っていうあたりなんですけど。そのあたりっていうのは土着の人が少なくて、新興の住民が多くって結構入れ替わりも激しいみたいなところで。やっぱそういう土地っていうのはなかなか郷土愛みたいなものが根付かないんですよ。

ーああ、なるほど!

で、まさに大宮っていうのは典型的な街になってて。これ浦和と違うのは、浦和は土着の人が多い街なんですよ。だからレッズは弱いころからあんだけ盛り上がったわけですよ。大宮と浦和は実は同じさいたま市でありながら全然違う特徴を持った街で。大宮の場合は大宮土着の人間じゃない人の割合が多い街なんで。そういう人にどう大宮に愛着を持ってもらうか?ってなったときに、僕の経験則として引っ越してきたやつを、たとえば小学校に転校してきたやつがいたらとりあえずNACKに連れてくとか週末に。それでアルディージャ好きになって大宮好きになって、今では大宮で家庭構えてるみたいなやつもいたりするんですよね。

ーそうか、そういうことですね

だからそういう意味で大宮のアイコンてなんだろう?っていうときに、多分パッと統一したものはまだ出ないんですね。その、盆栽が有名とか、鉄道の街だとか、こうポツポツといろんな武器はあるんだけど、絶対にこれ!っていうのがないんですよ。そうなったときに、僕は大宮の街といえばアルディージャだっていう風にしていきたいし、ある種なりつつある部分もあるんですよね。もともと大宮っていうのはずっと乗り換えで使う街だったんですよね。

ーほお

だから、大宮駅に来たことはあっても大宮の街には行ったことがないっていう人が関東にはめちゃめちゃ多いんですよ。でも、それが変わったのがアルディージャができたことによって大宮の街に来る人が格段に増えたわけですよね。NACK5に試合を見に。で、大宮の駅からNACK5に向かう商店街もめちゃめちゃオレンジの装飾で飾られたりとかオレンジの自販機があったりとか、街全体がオレンジに染まってきていて。その、なんだろうな、大宮のカラーって言われても盆栽のみどりなんだか、なんなんだかよくわかんない。なんかボンヤリした感じだったのが、もう大宮イコールオレンジっていうのが、割とこう街をパッと見ただけでも結構はっきりしてきてて。だから、アルディージャをもっと推していくことによって大宮の人のシビックプライドって僕は高まっていくんじゃないかな?って。僕がアルディージャを見てる一番の理由なんですよね。

ーある種大宮っていう街を代表するシンボリックな存在として大宮アルディージャが果たす役割は大きい、と

そうですね。

ー関東に住んでないので埼玉がどうとか、大宮がどうとか聞いた事はあるけどよくわからなかったのが、お話を聞いてると合点がいく感じがしますね(笑)

岡山の方って大宮のこととか知らないですよね普通。

ー関東の人がdisりぎみに名前を出してるのを聞いたことがあるみたいな感じですね

そこがアルディージャをがあることによって、岡山の方がアルディージャvsファジアーノを見に大宮の街に来てくれて。大宮の街が僕はほんとに過小評価されてると思うんですよ。一回来てもらえればいい飲み屋さんもいっぱいあるし、おっきい神社もあるし。

ーなんかでっかい街ですよね大宮って

そうなんですよね。めちゃめちゃ楽しいスポットいっぱいあるんで、リピーターになってくれる人も多くって。1回どうやって来てもらうか?っていうときにアルディージャっていうのはめちゃめちゃ有効なツールだと思ってて。だからやっぱりそこなんですよね。僕が一番アルディージャに期待する部分って。

ーなるほど

これはJリーグの前のチェアマンの村井さんも「Jリーグをもっと使ってください」って話をすごいされてたと思うんですけど。シャレン!とかの文脈のときに。で、やっぱりまだまだ日本の行政とか政治っていうのはサッカーを利用できてないと僕は思ってるんですよ。たまに僕の立場でアルディージャの話をしてるとなんか「政治利用してる」みたいなことを言ってくる人もいるんですけど。残念ながら今の日本社会では政治利用できるほどサッカーの地位って高くない。

ーそうですね

政治利用できないんですよ。全然票にならないんで。だからもう政治利用できるぐらいにサッカーを根付かせたいなと逆に思ってるんですけど。

ー僕もサッカーって競技として人気はすごくあるんだけど、実態はそうでもないぞってところあるよなって思うことがありますね

特に、今の議会とか行政の中の人間って野球世代がまだまだ残ってるわけですよ。埼玉なんかは割とサッカーに理解がある地域なんだけど、それこそ今スタジアムでああだこうだやってる秋田とか鹿児島なんてのは年に1回巨人とかソフトバンクが来るような野球場はすごい立派なの作るのにサッカー場は作らないわけですよね。広島もようやくできたけど行政の人とか政治家とサッカーの距離が僕は遠いなっていう風に、どっちのカルチャーにもいるからこそ感じてて。ここを通訳する人間がもっと増えなきゃいけないよなと僕はずっと思っていて。だから結構他所の地域の地方議員さんとか首長さんとかの同じ秘書をやってる人間とかでサッカー好きな人の横の繋がりをどんどん作ってくっていうのを僕はやってるところなんですよ。

ーおお、おもしろい!

実際にJリーグクラブがある市町村の市町村長会みたいなのができててさいたま市の清水市長が旗振り役なんですけど、結構そういうつながりも徐々にできてはきてるんですよね。でもやっぱりまだまだ野球とかに比べると行政のサッカーに対する理解ってまだまだ低くって、そこがいまひとつせっかくその地域にクラブがあるのにその地域のシビックプライドとか幸福感を醸成するのに有効に使えてないと思ってて。岡山はかなり使えてる部類だと思います。

ーそうですね

特にやっぱり首都圏はそこは課題ですよね。地方の方がシビックプライドが高めに出る傾向があるので。首都圏はどうしても他の娯楽もたくさんあるので、サッカーっていうのはなかなか選択肢としては難しいので。そこを通訳する人間をもっと増やさないといけないよなって。

「大宮が好き」と大手を振るって言いにくい風潮


ー高木さんはサポーター歴は何年ぐらいなんですか?

僕はもう20年ぐらいやってますね。

ーいまおいくつですか?

28です。ゴール裏にはNACK5の前の大宮公園サッカー場のときから行ってます。

ーじゃあ小さいときから大宮アルディージャを見にいってるんですね

ちょうど僕が物心ついたぐらいでアルディージャがJリーグに加盟したんですよ。そのぐらいのときから親に連れてってもらったりとかして。僕の地元がさいたま市の西区ってところになるんですけど、旧大宮市の一角で。ウチの叔父さんがかつて地区長をやってたんですよ。スタジアムがあるのは大宮区って中心のところなんですけど、クラブハウスとかそういったものは全部西区にあって。結構選手とかクラブの方からチケットとかいただいたりとか、区役所の方でいろんなイベントがあったりとかして。ウチの叔父さんはあんまサッカー詳しくないんで、僕がレクチャーしたりとかしてたんですけど。そういうつながりもあったりして、ほんとちっちゃいころからゴール裏でなんかわいわいやるのが僕は一番性に合ったんですよね。

ーうんうん

ゴール裏ってあんまり見やすくないっていう人いるんですけど、僕はゴール裏が一番見やすいと思っていて。なんか潮の満ち引きみたいな感じでゲームの流れとかわかるし。逆にたまにメインとかいくとあんまりしっくりこなかったりしますね。だからずっとゴール裏ですね。

ー8歳ぐらいから足繁く通う感じでサポーターライフをスタートされてて、ご両親とかも結構大宮アルディージャに連れてってくれる感じだったんですか?

いや、親はほんとに招待券が来たらたまに行くぐらいで。たまたま家族総出で行って僕だけがドハマりしてるって感じなんで。親は「どこ応援してんの?」って言われたら大宮の人間なんで「大宮アルディージャ」って言うけど、別にNACK5に1年に1回も来ない年もあるし。だから僕が一人でハマってる感じですね。

ーでも、高木さんだけがそこでハマったのすごいですねえ。なんの魔力がかかったんだろう?

僕はもう完全にNACK5だからハマったと思ってて。あれが陸上競技場だったらハマってないと思います。

ーへえ!

だからほんとに近いんですよ。僕は今でも覚えてるんですけど、初めて観に行ったときにバックスタンドに連れてってもらったんですけど、バックスタンドの最前列って選手とハイタッチできるし、アルディとミーヤと僕は写真を撮ったんですね。なんかグリーティング的なことがそこで出来て、それがめちゃめちゃ僕の子ども心に楽しくって。試合の臨場感もすごいし。あと、やっぱチャントが好きなんです。僕はとにかく。チャントが大好きだからずっとゴール裏にいるんですけど、当時はまだ子どもだからシビックプライドとか小難しいこと考えてないけど、同じ思いを多分僕は当時から思っていて。

ーほおお!

大宮の街が好きだってことをやっぱりみんな大手を振るって言えない風潮があるんですよ。みんなその自虐的に語るというか、これは大宮に限らず埼玉県民全体に言える傾向としてあるのかもしれないけど。「大宮が好きだ」「埼玉が好きだ」っていうのを大手を振るって言うと、なんか変なやつおかしなやつみたいな空気になんかなるんですよ。僕は子どものころからすごいそれが嫌だったんですね。

ーうんうん

NACK5の隣に氷川神社っておっきな神社があるんですけど。あそこは武蔵の国の一の宮で中心的な神社なんですけど。僕はお食い初め以来七五三とか人生の節目節目で氷川神社でやってるんですよ。その隣にある清水園っていう大宮の人間に言ったら絶対知ってる料亭があるんですけど、そこで親戚の集まりなんかも全部やってて。それでNACK5とか氷川神社とかあの界隈って僕の人生の全部みたいなところで。僕は純粋に大好きな街だし、大好きな人もいっぱい住んでるし。近所の氷川だんごってめちゃめちゃおいしいだんご屋さんがあるんで。人が来たらみんな案内してるんですけど。

ーおおっぴらに「大宮が好き」って言えないところを解放してくれる場所でもあったってことですね?

そうなんです。それを言えないんだけど、スタジアムに行くともうみんな大宮コールをしたりとか。チャントで「愛してるぜWe are オレンジ」とかあるわけですよ。こんなに大宮を愛してるって大声で叫べる場所って大宮の街の中で多分NACK5スタジアムだけなんだろうなあと思って。普通の街中でそんなこと言ってたら大宮の人間にすら「なにあのひと?」目で多分見られるんですよ。

ーへえ、そうなんですね

この大宮の人間の自己肯定感の低さとかがすごい嫌で。それを変えるツールは何なのか?っていうと、やっぱアルディージャなんですよね。

政治家の夢を抱き始めた子供時代


ーなるほど。サッカーとの出会い的にはどのぐらいでのタイミングですか?

NSCK5でアルディージャを見たときがサッカーとの出会いで。僕は別にサッカー部でもないし、草サッカーとかフットサルはやりますけど全然競技経験がある人間でもないし。だからもし、仮に大宮アルディージャがカバディのチームだったら僕はカバディファンだったんだと思うんですよ。サッカーチームだから応援してるんじゃなくて、大宮だから応援してるので。さすがにこんだけ毎週見てると競技のこともそれなりに語れますけど。別に僕はいまだにサッカーが好きなわけではないと思ってるんですね。大宮が好きで大宮にあるチームがやってる競技がサッカーだからサッカー見てるだけなんです。

ーその感じはよくわかりますね。今から振り返ってみて小学校の頃とかはどういう感じの子どもだったと思います?

今こういう仕事してるのとつながってんなぁって思うのが、僕の選挙歴デビューは小学生の時の児童会長選挙なんですよ。

ーおお、はやいっすね(笑)

僕は小学校の頃の夢は3つまで絞ってたんですね。

ーへえ!

政治家がひとつ目、サッカー選手が二つ目、歌手が三つ目だったんです。多分、人前でなんかやるのがすきなんですよね。どっちかというと。ただ、ある程度のところで「どう考えてもサッカー選手と歌手にはなれねえ」ってことに気づくんですよ。そこは才能がないとどうにもなんない仕事なんで。

ーそうですよねえ

政治家だけは努力と計画でなんとかなるだろうと思って、今はその道を歩んでるところなんですけど。だから当時から人前でなんかやったりしゃべったり演じたりっていうのは好きな子供でしたね。

ーなんか習い事とかしてました?

僕はずっとテニスやってるんです。小学校3年生からずっとやっていて、中学テニス部、高校テニス部、大学テニスサークルで、今も遊びで仕事終わりにテニスやったりするんで。競技としては僕はもうずっとテニスですね。

ー中学校とか高校とははずっと地元で行かれる感じですか?

地元は小学校の6年間だけで、そこから埼玉県内の中高エスカレーターのところに行ったんですけど。大宮ではなくて、まあほとんど隣町で新座市ってところなんですけど。それこそ大宮アルディージャVENTUSっていう女子チームが十文字学園っていうところなんですけど、十文字の近くなんですね。そうですね、ずっと地元の付近で進学していった感じですね。

ーもちろん中学高校に行ってもサポーターとしては継続してという

なにぶん受験がないもんですから。

ーああ、そっか!

受験がない学校なもんだから、結構サッカーのサポーターとか野球のファンとかアイドルの追っかけとかそういう趣味を高校の時点で持ってるやつがたくさんいる学校で。埼玉の学校なのでやっぱアルディージャのサポーターとレッズのサポーターと真っ二つなんですよ。学校のエリア的にもどっちもいるような場所なんで。

ーそこの学校内のライバル意識みたいなのはないんですか?(笑)

学校内はほんとにどっちもいるような感じで。浦和の学校に行ったり、大宮の学校に行ったりするとどっちかに偏るのかもしれないですけど。高校のときなんかは結構アウェイなんかも行ったりしましたね。さすがに遠くはお金とかもあるから行けなかったですけど。鹿島とかそのくらいだと行っちゃったりしてましたね。

ー大宮アルディージャと浦和レッズだとダービー関係じゃないですか?だから、学内でも勝ったり負けたりすると煽ったり煽られたりがあるのかな?と思ったんですけど

いや、やっぱりありますよ。僕らテニス部はなんか知らないけどサッカー好きが多くって。結構部活終わった後に、新座駅の駅前にフットサルコートがあったんですよ。そこ2時間ぐらい借りてフットサルやってて、日によってはテニスの練習よりフットサルの方が長いじゃん!みたいな日もあったりとか。そこは毎回アルディージャのユニフォームで参加するし、レッズのユニフォームで参加するやつもいるし。僕は海外はトッテナムが好きなんですけど。まあ、アーセナルが好きなやつもいて。そこはやっぱ煽りあいになりますよね。

ーでもなんか楽しそうですよね

ほんとに受験に縛られない生活だった分、なんかそういうところはすごい充実してたかな?って今振り返ると思いますね。中学でも高校でも、その小学校のときに政治家とサッカー選手と歌手に絞り、サッカー選手と歌手が消え、政治家だけが残ったレールの上は多分ずっと歩いてるんですよ。

ー小学生からずっとそのルートは残ってたんですね

そうですね。小学生からずっとですね。今思うと変わった少年で。まあ、今も「変わってる」ってよく言われますけど(笑)選挙の開票速報とかすごい好きだったんですよ。

ーああ!じゃあ興味がそもそも強くあったんでしょうねえ

だったんです。人前で何かするのが好きっていうので、TVでなんかしゃべったり演じたりする仕事って何かな?って考えたときに政治家っていうのがなんか僕には魅力的に映って。僕ら受験がなかったんで、高校なんかは大学みたいな選択単位制の授業なんかが結構あるんですね。そんときも政治の話とか、興味のあった分野たとえば環境政策の話とか、いろんなそういう授業を取ったりして。

ー高校でそんなのあるんですね?

そうなんですよ。高校のときに第二外国語の授業も取れたりして。僕はそこで韓国語を一通りやってたんで、大学入ってからの第二外国語がめちゃめちゃ楽だったんですけど。それで大学の学部選ぶときも、迷わずに法学部政治学科があったんで、そこを選んで。大学に入ってからも議員の事務所でアルバイトしたりとかして、そのまんま秘書になってっていうことなんで。熱量は強くなったり弱くなったりしたのかもしれないけど、小学校からそこは一貫してますね。政治家よりも違う職業が将来の夢の上位に来たことは僕一回もないと思います。

ーそういう政治関連のことを勉強したりするのは苦にならないって感じですか?

そうですね。全然苦にならないですね。政治家になりたいって人間でもやっぱりドブ板選挙的なことが嫌だっていう人多いんですけど。朝から駅に立つとか、一軒一軒回ってお話をするとか僕はそういうのを楽しいと感じるタイプなんですね。違う意見の人と話をしたりとか、地元の選別も世代もカルチャーの違う人といろんな話を聞いたりとか話をしたりとか。大学に入って門をたたいてそういう議員のお手伝いをする中で、僕は性に合うんだろうなあって思って今に至ってる形ですね。

ー区長をされてた叔父さんの影響ってありますか?

政令市の区長っていうのは別に政治家じゃないんですよ。

ーあ、そうか

役所の人間なんです。ウチの叔父は当時大宮市役所に勤めていて、さいたま市になるってときにそのとき60近かったのかな?結構いいポストにいたので。市長が任命してやることになって。だから教育委員長的なポストなんですよ。

ーなるほどなるほど

だからまあ、別に選挙で選ばれたりとかしてる人間じゃなかったので。でも、そういう家だったのでちっちゃい頃から地元の市議会議員さんとか地元の代議士さんとか結構出入りをする環境ではあったんですね。割とその政治家が身近に感じられる環境にいたっていうのは間違いなくあったのかなって思います。

ー先ほどいろんなカルチャー・背景を持つ人の話を聞くのが好きってお話があったと思うんですけど、多様性とかその人の持ってる個性みたいなものを尊重するって考え方って結構持てない人は持てないところがあるじゃないですか?

そうですね。

ー高木さんはそういうタイプとは違うと思うんですけど、そういう部分ってどういう風につちかわれたと思いますか?

僕としては意識的にトレーニングしたことはなくって。もう、元来好きだったんですよね(笑)だからなんだろう?何でつちかわれたのか?って言われるとこれ結構難しくって。なんでしょうね?逆に言うと僕はそういうのが苦手な人の気持ちはあんまりわからないのかもしれない。僕はもともとそういうのが好きで、逆に同じ意見の人間と話しててもあんまりおもしろくないというか。そう思っちゃうほうで。当然、アルディージャのサポーター同士で試合後に飲み行ったりするのも楽しいけど、僕はそれ以上に相手のサポーターとかと交流したりするのが好きで。アウェイなんか行くと知り合いのサポーターなんかいるとそいつと飲んだりしたりとか。ほんとに知り合いがいないような・・・特に今年J3なんでそういう相手多いんで。

ーたしかに(笑)

テゲバジャーロ宮崎とか行ったって知ってるやついないわけですよ。そういうときだったら相手のサポーターがいるようなお店に突撃したり。僕は結構そういうの好きなんで。そういう性格の人間は割とサポーターには多いのかなっていう。まあ、いろんなひといますけどね。割とそういうタイプの方がサポーター生活は楽しめるのかな?って気がします。

ー大学生活になってくると行動範囲も広がってきたりして結構いろいろサッカー見に行けたりしたと思うんですけど

はい。

明治時代から続く大宮と浦和の因縁


ー長いサポーター生活の中で「あれを体験したことは大きかったな」みたいに覚えてることってありますか?

一番覚えてるのは、2017年の4月30日。いまでも日付まで覚えてますけど。NACK5で浦和とダービーだったんですね。その試合まで・・・もう4月末ですよ。未勝利だったんです。前の年にJ1最高順位で4位だったんですけど。当時は渋谷監督で。今から考えると戦力落ちてたのかもしれないけど、当時は家長とか出ましたけど代わりに大前選手が入ってきたりとか結構補強もしてたんで。今年はほんとに優勝狙っていけるんじゃないか?って言われてたところが、ふたを開けてみたら4月30日の時点で未勝利。しかもその前の試合がパナソニックスタジアムでガンバ大阪戦だったんですけど、0-6とかで負けてるんですね。

ーうーん

もうほんとにチームどん底の状態で。めちゃめちゃゴール裏も雰囲気悪いみたいな。僕は吹田も行ってましたけど、試合後の雰囲気とか最悪だったんで。どうしようか?ってときに、ホームでダービーだったんですよ。逆に浦和は当時首位でなんか1試合平均3点ぐらい取ってるみたいなミシャのときで。めちゃめちゃ調子よかったんですよね。興梠とかラファエル・シルバとか当時いるときで。ほんとに首位と最下位のカードで。

ーああ

すごいコントラストみたいな試合で。勝ったんですよ。1-0で。茨田のゴールで。あの試合のときになんだろうな?・・・普段はそんあにアルディージャ!って言わない大宮の人も浦和に勝ったときだけはめちゃめちゃ盛り上がるんですよ。

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