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第13回 勉強会「地域の↓イマココ↓ 現在値を知ろう」

ゼロカーボン社会の実現に向けて、一人ひとりが主役になるための勉強会。

第13回は「地域の↓イマココ↓ 現在値を知ろう」と題して、昨年度の勉強会と地域の現状や活動を確認した上で、東京大学未来ビジョン研究センター教授・国立環境研究所の江守正多さんに「気候危機のリスクと社会の大転換」というテーマでご講演いただき、その後、GREEN WORK HAKUBAのサーキュラービジョンや白馬村のゼロカーボンビジョンハンドブックについてご紹介しました。

日時:2022年5月24日(火)19:00〜20:30
会場:白馬ノルウェービレッジ/オンライン
参加者:50名(会場20名/オンライン30名)

気候危機のリスクと社会の大転換

はじめに、東京大学未来ビジョン研究センター教授で国立環境研究所の江守正多さんに「気候危機のリスクと社会の大転換」と題してお話いただきました。

2021年8月に出されたIPCCの報告書には、「人間活動による温暖化には疑う余地がない」と記載されています。

1850年以降の世界の平均気温の変化を調べてみると、約1℃上昇しています。人為要因(人間の活動による大気中への温室効果ガス(二酸化炭素等)の排出)が無く、自然要因のみのであればほぼ変化がないという計算結果が示されています。

1992年に国連の気候変動枠組条約が採択され、約30年にわたり世界で取り組んできました。
2015年のパリ協定が現在の世界の主要なルールにであり、長期目標は「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」こととしています。
そのために「今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出と吸収源による除去の均衡を達成する」(=カーボンニュートラル、脱炭素)必要があるとされています。

IPCCの報告書には世界の二酸化炭素排出量について5つのシナリオを想定していて、世界の行動により結果がどうなるか変わってきます。

  • 非常に低い(1.5℃を目指す):急激に排出量を減らし、今世紀半ばには実質ゼロにしてその後マイナスになっていくパターン。

  • 低い(2℃を目指す):2070年代くらいに実質ゼロになり、その後マイナスになるパターン。

  • 中間(現状ペース):今世紀半ばに排出量が減り始め、今世紀末時点で実質ゼロを達成できていないパターン。

  • 高い・非常に高い:今後も排出量が増えていくパターン。

2021年末のCOP26が始まる前の段階で各国の施策の目標が全部達成されたとしても「中間(現状ペース)」という状況でしたが、その後世界全体の目標がより高いものに変わり、現在の目標・宣言が全て達成された場合は「低い(2℃を目指す)」になると言われています。
しかし、本当に全てが達成できるかわからないし、「非常に低い(1.5℃を目指す)」には全く足りていません。

それぞれのシナリオに応じた気温の変化(見通し)も示されています。
「中間(現状ペース)」の場合、今世紀半ばには2℃を超え、今世紀末には約3℃上昇してしまいます。
対策が後退してしまうと、今世紀末には4-5℃上昇してしまうと予想されています。
どのシナリオだったとしても、この20年の間に1.5℃を超えてしまうと言われています。「非常に低い(1.5℃を目指す)」シナリオでも、一旦は1.5℃を超えてしまう可能性が50%程度あり、待ったなしの状況となっています。

「非常に高い」と「低い」の気温上昇のシミュレーションを見ると、2050年頃から違いが表れてきて、「低い」シナリオは2050年以降温度上昇が止まったように見えます。
「非常に高い」シナリオでは世界平均で4-5℃上昇していますが、場所によって温度の上がり方は異なり、北半球の高緯度の陸上では特に温度が上がりやすいと言われています。北極海も北極の氷が融ける影響で温度が大きく上がると予測されています。
白馬村も雪が減ることが予測されますが、雪は日射を跳ね返すため温度上昇を防げますが、雪が無くなると熱を吸収しやすくなり温度が上がりやすくなります。

温暖化が進んでいくと何が起こるかというリスクに関して、2月に出されたIPCCの報告書に8つの主要リスクが記載されています。

  1. 低平地沿岸の社会生態系へのリスク
    小さな島国なども含めて、温暖化による海面上昇や高潮等による人間社会や生態系へのリスクが考えられます。

  2. 陸上・海洋生態系へのリスク

  3. 重要な物理インフラ、ネットワーク、サービスに関するリスク
    自然災害等により交通・通信・エネルギー等のインフラに被害が生じると社会的に大きな影響が及びます。

  4. 生活水準へのリスク
    経済的な格差の拡大なども含まれます。

  5. 人間健康へのリスク
    熱中症や感染症の増加が懸念されています。

  6. 食糧安全保障へのリスク

  7. 水安全保障へのリスク
    乾燥地域で干ばつが増え、食料や水の確保が難しくなります。 

  8. 平和と人の移動に対するリスク
    温暖化の影響で、元来存在している民族的・宗教的な対立や領土的な緊張が悪化し、紛争の引き金や悪化要因となり、難民の増加などにつながる可能性があります。

リスクの深刻さについて示したグラフです。
「影響の世界総計」は、温暖化による被害額と便益を差し引いたもので、1.5℃くらいまではそれほど影響がないとされています。
「固有の生態系や文化」は、珊瑚礁の白化や死滅、北極圏の先住民族の暮らしやスキーなどの文化も含まれるものですが、すでに影響が影響が生じていて、元に戻すことが難しいものもあり、深刻な問題であると言われています。

何が重要かということは社会の価値判断によりますが、2014年の報告書と2022年の報告書を比べると、全体的に深刻度が増しており、1.5℃〜2℃を超えていくとほとんどのリスクが「高い」または「非常に高い」とされています。

「深刻な被害を受けるのは誰か」を考えてみると、一つは発展途上国の人々、特に乾燥地域で干ばつによる食糧危機・水危機にさらされてしまう人たちや、沿岸低平地や島国で高潮・海面上昇により家が流されたり農地が水に浸かってしまう人たちで、生きるか死ぬかという被害を受けますが、彼らはほとんど温室効果ガスを排出していないため、原因に責任がありません。
温室効果ガスを排出しているのは先進国や新興国など豊かな暮らしをしている人たちで、理不尽であると言えます。
もう一つは将来世代で、今の若い人たちもそうですが、これから生まれてくる人も含めて、後から生まれる人ほど深刻な影響を受けますが、原因を作ったのは前の世代であるため、理不尽であると言えます。
それらの理不尽さは不公平・不正義であり、温暖化が進行すること自体が人権侵害だという考えから、世界的に「気候正義 - Climate Justice」という考え方が浸透してきています。

ここから温暖化を止めるための話をします。
温室効果ガスの大部分は二酸化炭素で、その大部分がエネルギーを創る際に排出されているものです。石炭・石油・天然ガスを燃やしてエネルギーが
創られています。
世界のエネルギーの約8割が化石燃料で創られていて、消費量の推移を見ると、石炭は減少傾向にありますが、石油と天然ガスは増え続けています。
新興国や発展途上国を中心にエネルギーの需要が増え続けていて、それを賄うために石油や天然ガスの需要も増えざるを得ないというのが世界の現状です。
二酸化炭素を排出しないエネルギーとして、原子力はほぼ横ばい、水力と再エネ(太陽光・風力)は増加傾向にあります。
特に、太陽光と風力は加速度的に増加していて、世界的には今後化石燃料に代わるエネルギーにしていくことを目標にしています。再エネを増やしていくだけではなく、化石燃料の消費を減らしていくことが必要となりますが、そのスケール感、壮大なチャレンジであることをこのグラフから感じていただきたいと思います。

気候変動対策にどういう気持ちで向き合うかということを考えたときに、世界では「生活の質を高めるもの」と捉えている人が多いのに対し、日本人は「生活の質を脅かすもの」と捉えている人が多い状況になっています。
これは、日本人は温暖化対策=我慢が強いられると考えている人が多いからだと思われますが、我慢による二酸化炭素削減効果は数%程度が限界であり、ゼロにすることは難しいのではないでしょうか。

脱炭素化は実質ゼロにしなければならないため、社会の大転換(Transformation)が起きる必要があります。大転換は、単なる制度や技術の導入ではなく、人々の世界観・常識が変わる必要があります。今までの常識のまま我慢して減らしましょうというものではなく、二酸化炭素を出さない暮らしを当たり前にしなくてはなりません。

人類は化石燃料文明を今世紀中に卒業しようとしています。
化石燃料の枯渇が心配されていた時代から、たくさんあっても使うのをやめる時代へと転換していく必要があります。
石器時代が終わったのは、石が無くなったからではなく、青銅器や鉄器などより良いものができたからです。
化石燃料を卒業するのも、化石燃料の枯渇が理由ではなく、より良いエネルギーを手にした時に達成されると考えられています。
太陽光や風力による発電設備、蓄電池なども価格が低下していますが、あと30年で化石燃料を卒業しなければならないため、多くの人が関心をもって加速させていく必要があります。

「私たちにできること」について、新型コロナウイルス感染症と比較して考えてみます。
感染症の場合、「危機の出口」は、ワクチンが行き渡り治療薬ができて「感染しても治療できる」という状況になれば克服したと言えると思います。
気候危機の場合、「危機の出口」は脱炭素社会への大転換で、再生可能エネルギーによる発電や電気自動車に切り替わり、どんなに関心がない人でも二酸化炭素を出すことはなく、心掛ける必要はありません。
早くそういった状況になることが望ましいため、関心を持った人は調べて情報を発信したり周りの人と話したり、脱炭素に真剣に取り組んでいる企業や政治家・自治体を応援することが重要です。

新型コロナウイルス感染症対策の出口は、ワクチンや治療薬で今回のウイルスは克服できるかもしれませんが、次のウイルスがやってきてまた同じ様なことが繰り返される可能性が高いと言われています。
人間が生態系に踏み入ってウイルスをもらってきてしまうリスクありますし、グローバル化で人や物の移動が世界中に広がり感染が広がりやすい状況になっています。
社会には格差があり、社会的に立場が弱い人たちから深刻な不利益を被って格差が拡大したり再生産されています。
また、国同士の協力が不十分でワクチンを奪い合ったりもしています。
こういった状況のまま新たなウイルスが発生した時には、また同じことの繰り返しになると思われるため、それらの「出口」も問われています。

気候危機も同じで、技術が入れ替われば二酸化炭素は出なくなるかもしれませんが、その時にみんなが幸せかどうかは別の問題で、みんなが幸せになれる出口を求めていかなければならないと思います。
地域の持続可能性についても、より広いスコープで考えていただきたいと思います。

質疑応答

  • これまで「パラダイムシフト」という言葉を使ってきましたが、「トランスフォーメーション」という言葉は広く認知されていますか?

    パラダイムシフトの方が「世界観の変化」という意味を表しているかもしれませんが、基本的には同じような意味合いで使っています。

  • 平均気温の推移のグラフで1990年代に下がっているように見えましたが、何か要因がありますか?

    1970-80年代が横ばいから若干下がっていた時期があります。正確な理由はわかりませんが、大気汚染物質が多く出されて日射を遮って地球が冷えたという説があります。それ以外にも自然の変動で海がたくさん熱を吸収して表面温度が上がらなかったということや、太陽の影響などの理由も考えられます。

  • 社会の仕組みを変える方が個人の行動を積み重ねるよりも早く目標に到達できるのではないかと感じています。気候危機に関して、30年以上前から科学者が研究して声を上げ続けている人たちがいる中で、大きな変化がなかったという印象があります。一方で、テレビのデジタル化など数年で当たり前になっているものもあります。2023年のエネルギー基本計画の見直しをターゲットにして活動していくのがいいのか、もっとテコが効くところがあるのか教えていただきたいです。

    政府の脱炭素宣言やビジネスの認識が変わってきたことで、10年前と比べるとエネルギーのトランスフォーメーションが必要ということは多くの人が認識していると思います。「再エネやります」と言わないと投資が受けられない状況になっていて、それがどの程度本気なのかが問われています。
    再エネ主力電源化については誰も否定しなくなりましたが、100%再エネを目指すべきという人たちと、原子力と火力をバランスよく使っていくべきという人たちに分かれています。再エネ100%も発電量の変動や蓄電、電力系統などの課題があるし、火力については水素やアンモニアが安く大量に調達できるのかという課題もあるし、どちらにしても簡単ではありません。
    原子力や火力も必要だと主張する人の中にも、既得権があって再エネに反発している人と、エネルギーシステムのことをよく考えている人がいると思います。後者の人たちとは建設的な対話をする必要があると感じています。
    エネルギー基本計画に興味を持ったり声を上げたりすることはとても重要だと思います。

  • 山岳リゾートの脱炭素化に向けたトランスフォーメーションはどのようなことが考えられますか?また、東京都と白馬村では規模や価値観も違っていて、白馬村でのトランスフォーメーションについてどう考えたら良いと思いますか?

    観光地としては、そこに来るまでの移動や宿泊などで二酸化炭素が排出されます。白馬高校生が教室の断熱改修をしている映像も見ましたが、宿泊施設の断熱も重要だと思います。さらに、寒冷地で電気自動車がどれくらい使えるかということも検証する必要があります。
    すぐに良いアイデアが出てくるわけではありませんが、普通に考えても出てこないようなアイデアをみんなで考えて実現してほしいです。

  • 長野県ゼロカーボン戦略では、運輸部門において最終エネルギー消費を10分の1にする目標を掲げています。単にガソリン車が電気自動車に置き換われば良いというわけではなく、走行台数や走行距離を減らさなければならないと思いますが、どうお考えですか?

    技術が入れ替わるだけではなく、人々の幸福満足度を維持・向上しながら車の使用が少ない社会にシフトできるかが問われています。
    シェアリングや自動運転などのほか、できるだけ移動しない(オンラインで済ませる)ということも必要になってきます。
    世界の1%の富裕層が全体の15%の二酸化炭素を排出していると言われています。炭素税や富裕税など富裕層が無尽蔵に過剰消費をしないようにする仕組みも必要かもしれません。
    車の代数や走行距離を減らしながらも、みんなが快適・満足であるという社会づくりを考えていく必要があると思います。

  • 東京は暑いと思いますが、白馬は涼しいので、エアコンを使わず快適に過ごすことができます。脱都会で地方に移住するのも良いのではないでしょうか。

    毎週末白馬にスキーをしに行く人が冬場は白馬に住んでテレワークで仕事をできたら、それはトランスフォーメーションと言えます。

  • 脱炭素に関する技術の進展(ガソリン車から電気自動車への転換)や、社会の仕組み(炭素税など)、個人の行動や価値観の変容など様々な要素がありますが、日本が遅れている側面や、これから加速させるために手を入れるべき領域はどのあたりだと思いますか?

    日本は欧州と比べて人々の関心が高くないのが特徴です。オーストラリアで政権が交代しましたが、それも気候変動が一つの争点になっています。化石燃料資源も有する国ですが、どのような形で再エネにシフトしていくのか注目しています。
    欧州なども選挙で気候変動が争点になりますが、日本ではそうなっていません。行政やビジネスの認識は脱炭素になってきていて、市民の認識が遅れているように感じますが、そこにポテンシャルがあるとも思います。
    市民の認識が盛り上がらないまま、行政やビジネスが立つ炭素を主導していく可能性もあり得ると考えていますが、何かのタイミングで多くの国民が関心を抱き、政治にもビジネスにも圧力をかけて変わっていく方が、より良い変化が生み出されると思います。嫌々取り組むのではなく、前向きに取り組む人が増えるとより良い脱炭素社会が実現できるのではないでしょうか。

  • 消費するエネルギーをすべて再生可能エネルギーにすれば気温の上昇を1.5℃に抑えられるのでしょうか。

    世界が再エネ100%に転換するか、化石燃料の使用で排出される分の二酸化炭素を地中に埋めるなど、世界中で二酸化炭素を待機中に放出しない助教が必要になりますが、気温上昇を1.5℃に抑えるためには、あと30年でそれを実現しなければなりません。
    日本は2050年にカーボンニュートラル達成を目標に掲げていますが、新興国や発展途上国も含めて2050年に実質ゼロを達成しなければなりません。中国は2060年、インドは2070年に達成することを目標に掲げていますが、2050年で世界で達成するためにはそれらの国々が達成目標を前倒しするか、吸収技術が進展して先進国がマイナス排出になっている必要があります。

  • 化石燃料の使用を全廃するには時間がかかると思いますが、回収が必要な二酸化炭素の量はどれくらいか把握できているのでしょうか。

    今後の世界の転換スピード・排出量によって変わるため、現時点で正確な量は言えません。現状排出している二酸化炭素の10分の1を吸収するだけでも相当なコストがかかると思われます。

  • 炭素予算(カーボンバジェット)の考え方はどの程度社会に浸透していますか?気温上昇を1.5℃に抑えるためには、今の排出量だと7年で、2℃に抑えるためには24年で規定量に達してしまうと聞いたことがあります。

    気温上昇は温室効果ガスの累積排出量に比例するため、気温上昇の目標値が定まると排出可能な量が決まるとされています。
    京都議定書の頃はそういった話もされていましたが、残りの排出量が有限な資源であり、それを国家間や世代間でどう分配するかという話になりやすく、我慢の発想になりがちです。目安として大切であることには変わりありませんが、最近では「Race to Zero」(実質ゼロに向けた競争)という考え方で、早く達成するほどルールづくりなどで主導権を取れたり、産業競争力も高まるため、欧州などでは積極的に取り組まれています。

  • 排出された温室効果ガスは植物に吸収されない限り消えないのでしょうか。数百年で自然に無くなることは無いのでしょうか。

    メタンは待機中で変化しますが、二酸化炭素は植物か海に吸収されない限り、二酸化炭素のまま存在し続けます。

  • 日本の国民の認識は高くないように感じますが、政府の認識は高いと思います。それにもかかわらず、石炭火力発電を辞めようとしないのは何故でしょうか。中国やインドも脱石炭に舵を切っていますが、「クリーンコール」は脱炭素の正しい選択肢なのでしょうか。

    石炭火力を新設することには大反対です。今ある施設については、それぞれの考えや想いがあり難しい部分ですが、電力不足の際にのみ稼働するバックアップとしての位置付けなども考えられると思います。
    アンモニアを燃料とした発電も、理論的には可能ですが、安価で大量に確保できるかどうか経営的な判断も必要となります。
    真剣に脱炭素を考えずに石炭火力発電を推進している人もいるので、どういう意図で語られているかということも考える必要があります。

白馬でも多くの人が世界規模の問題に関心を持ち、どう立ち向かうべきか真剣に考えていることがわかりました。地域の文脈を深掘りして、白馬ならではのトランスフォーメーションを考えて実現していただきたいと思います。

地域のゼロカーボンの現在値(地)
〜白馬エリアのゼロカーボンの取り組み紹介〜

サーキュラービジョン GREEN WORK HAKUBAのアウトプット

白馬村観光局事務局長 福島洋次郎さん

GREEN WORK HAKUBAは、白馬村を「サーキュラーエコノミーのまち」としてリブランディングするプロジェクトで、啓発・仲間づくり・ビジョン策定・実装・自走していくことを目標としています。

深刻な雪不足に悩まされる年も多く、白馬村が観光で賑わうのは雪など自然の恵みがあってこそという思いが取り組みの背景にあります。
これからの社会のあり方を、白馬村から考えて発信していく、変えていくことを目指しています。

サーキュラーエコノミーを学び、考え、実践する共創型カンファレンスをこれまでに3回開催して、延べ150社/200名以上の方に参加いただき、海外の事例などを学んだり、社会問題をビジネスとして解決する取り組みを紹介したりしてきました。
イベントをきっかけに、白馬南小学校の教室の断熱改修では参加企業から断熱材を寄付いただくこともできました。

GREEN WORK HAKUBAを通じて、大小様々な企業に白馬に来ていただき、白馬で新しい産業が創出され、そういった事例を見に来たり学びに来たりすることで、人の流れや循環を生み出したいと考えています。
白馬に関わる全ての人のウェルビーイング実現と、地域の自然環境や産業を持続性のあるものにしていくことを目指しています。

白馬高校生も交えて、「サステナブルを遊び、企む、つくる」というビジョンとイメージをつくりました。
詳細はGREEN WORK HAKUBAのWebサイトをご覧ください。

今後、8つのテーマに沿って、地域の企業や団体と参加企業が組んでプロジェクトを進めていきます。

第4回となるGREEN WORK HAKUBAを7月27日から3日間開催します。
ワークショップは50名程度で行いますが、初日はウイング21で行いますので、お気軽にご参加ください。

白馬村のゼロカーボンビジョン - ハンドブックの展開

株式会社リコー 齊藤達郎さん

白馬村は、2019年に気候非常事態宣言、2020年にゼロカーボンシティ宣言を発しました。2021年に地域の現状把握と各種調査、具体的な戦略などを盛り込んだ「白馬村ゼロカーボンビジョン」を策定しましたが、内容も盛り沢山で専門用語も多く、住民や事業者に分かりやすく伝える必要があります。
そこで、ハンドブックを村民編と企業編に分けて作成し、どんなことに取り組んだら良いのか、その時にどんな補助制度があるのか、お金をかけずに何ができるのかといったことを記載しています。

住民や企業の傘下なくしてゼロカーボンは実現できません。
広報はくばでも毎月少しずつビジョンの内容をお知らせしていますが、本日会場でハンドブックを配布しますので、ぜひご活用ください。

八方尾根スキー場の脱炭素化への道

八方尾根開発株式会社SDGsマーケティング部 松澤瑞木さん

気候変動による深刻な雪不足で、2月でもゲレンデ下部に雪が無い年もあり、人工降雪機を稼働して二酸化炭素を排出して雪を作って対応していました。この状況をなんとか解決しなければならないと社内にSDGsマーケティング部を設置して、二酸化炭素排出に向けた取り組みが始まりました。

リフトや降雪機、レストラン、温泉施設、事務所、寮など全て含めると、電力会社4社と113の電力契約を締結しています。電力使用量は、リフトと降雪機だけで全体の80%を占めているため、そこから着手することにしました。2022年4月に全てのリフト・降雪機・ゲレンデ内の飲食施設をCO2フリー電力に切り替え、麓にある温泉施設も8割程度を切り替えました。

ゲレンデ上部には自然研究路があり、固有種も含めて多くの高山植物が自生しています。気候変動が進行すると生態系が脅かされる可能性が高いことから、地域のボランティアやパトロールと協力して環境保全に努め、希少な動植物を守る活動もしています。

その他にも、圧雪車に走行システムを搭載して効率的な作業に努めたり、レストランで地産地消に取り組んだり、施設の照明のLED化やリフト券の回収・リサイクル、学習旅行プログラム、社内横断型の勉強会など、できることを一つずつ取り組んでいます。
また、社内だけで取り組むのではなく、地域の団体などとも協力しながら、持続可能な地域を創っていきたいと思っています。

HAKUBAVALLEY TOURISMのSDGs

一般社団法人 HAKUBAVALLEY TOURISM SDGs小委員会 草本朋子さん
(代理:渡邉宏太さん)

HAKUBAVALLEY TOURISM(以下「HVT」)は、大町市・白馬村・小谷村の3市村広域DMO(観光まちづくり団体)です。組織の中にSDGs小委員会があり、索道事業者(スキー場運営会社)や宿泊施設、飲食店など観光事業者や行政が集まり、持続可能な観光地域づくりに取り組んでいます。

観光事業者が取り組むチェックリストを作成し、2030年までに域内のすべての事業者が取り組みを実践し、山岳エコツーリズムの聖地となることを目標に掲げています。

HVTではSDGs特設サイトを開設し、事例紹介やイベント情報の発信を行なっています。観光事業者はぜひ参加登録して、情報を受け取ったり発信したりするのに活用してください。
また、動画や冊子を制作し、普及啓発に努めています。
7月5日(火)〜7日(木)にかけて、3市村で学習会を開催するほか、2022年度は参加登録していただいた事業者の中からいくつか事例として取り上げてショートムービーを制作する予定です。

お知らせ・閉会

今回は江守さんから気候変動の全体的なお話をいただきましたが、次回以降は自分たちの暮らしにおいてどんなことができるのか、テーマを設けて開催していきます。

次回は6月16日(木)19時から「雪国とおひさまの物語」と題して、飯山市で太陽光発電や自給自足に取り組んでいる尾日向梨沙さんにお話いただきます。
また、そのソーラーパネルの設置に携わった太陽光生活研究所の高島健さんにもお越しいただき、技術的なお話も伺う予定です。

運営をお手伝いいただける方も随時募集しています!
お気軽にご連絡ください。


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