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日本語を英語にする時には要注意!

時節柄、英語のお手紙を添削させていただく機会をいただいたのだが、日本人が書いた英語の手紙を添削するたびに思うことがある。

それは日本語で考えた文をそのまま英語にしても、同じ文脈で意味が通じる文にならないということだ。

よく日本語はハイコンテクスト、英語はローコンテクストと言われる。

ハイコンテクストとは、コミュニケーションが言語以外の要素(文脈、背景=context)に依存する割合が高いことを指す。日本には「1を聞いて10を知る」「行間を読む」という言葉があるが、これらがまさに日本語がハイコンテクストの言語であることを物語っている。

一方ローコンテクストとは、コミュニケーションがほぼ言語を通じて行われ、文脈や背景に理解は依存せず、文法や言葉選びが明快で曖昧さがないことをいう。日本語話者からすると、そこまで言うの?具体的すぎない?と感じるほどだ。

例えば、分かりやすい中学校英語の例でいうと

日本語では「宿題をする」と言えば、それはほぼ必ずその人の宿題であるはずなので、わざわざ「誰の」宿題なのかまでは表現しない。赤の他人の宿題をしてあげている時だけ「誰の」を付ければよいのだ。

ただし英語では do my homework のように誰の宿題をするのかを常に表さないとなんだか違和感なのである。myがついていないと、え、誰の宿題やってるの?って突っ込みたくなる。
「歯を磨く」   brush my teeth
「友達に会う」 see my friend
「お母さん」 my mother
などもよく知られている同じような例だ。日本人からすればわざわざ自分の歯を磨くなんて言わなくても磨くなら自分の歯だろう、ということでも英語ではmyをつけないと誰の歯を磨くのか分からないということなのである。

では次に実際に今回添削させていただいた例を取り上げてみたい。手紙の中に

The photos which you took in Vienna are full of your warm and kind feelings. Thank you.

という文があった。これは日本語にすれば「あなたが撮ってくれた写真にはあなたの暖かくて優しいお気持ちがあふれています。有難うございます。」という感じだろう。読んでお分かりだと思うが、日本語としては悪くない文だ。むしろなんだか文学的な素敵な表現とも言えるかもしれない。ただこれをそのまま英語にした英文を英語の感覚で読むと日本語で読んだ時のような素敵な意味が感じ取れないのである。

敢えて言うが、私は日本人でネイティブではないため、必ずしも英語ネイティブの人が感じることを正確に感じられているかは定かではない(ならこれを論じるなということかもしれないが、、、)。しかしながら、少なくとも英語に長年触れてきた身として、日本語なら感じられる温かさがこの英語からは感じられなかったのだ。送る相手はオーストリアの方だということだが、その人が「・・・写真があなたの温かく優しい気持ちでいっぱいです」と英語で読んで、ん?どゆこと?という感じになりかねない。

そこで、ハイコンテクストな日本語をローコンテクストな英語に直す作業が必要になる。

「写真があなたの温かく優しい気持ちでいっぱいで有難う」とは具体的には「写真を見ることであなたの温かさと優しさを感じられる⇒写真を見ると~を思い出すし、そのことで当時のことを思い出して感謝したくなる」ということなのではないだろうかと。

そこで
Whenever I see those photos you took in Vienna, I remember your warmth and kindness and feel grateful for everything you did for me.
と、写真とそこから感じられるお相手の温かさや優しさと感謝の気持ちの関係を明確にして添削してお渡しして、手紙の主さんに受け入れていただいた。

このように、手紙であれ何であれ、ご自分で英文を作る時には、日本語だったら通じている表現であったとしても、そのまま英語にするのは避けた方が無難である。そこで改めて、これって具体的にはどういうことなのだろうかと頭の中で整理し直してから英語にしてみよう。そうすることで、ローコンテクストな英語を読む人にも必ず理解してもらえる英文を作ることができるようになるのだ。

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