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映画感想2023

78
観た映画の羅列場
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#ドラマ

映画感想『生きる LIVING』

原題「LIVING」 ※ 黒澤明監督の不朽の名作「生きる」をノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本で、イギリスを舞台にリメイクしたヒューマン・ドラマ。 人が死ぬまでに出来る事なんてほんの些細な事だろうけどそれを自分の意志でやるのか何かに身を任せてしまうのかで大きく違う。 惰性で巻かれてしまった“長い物”は解くのにどれだけの時間を要するのか? いや、気付かなければ一生解けないのかもしれない。 主人公ウィリアムズは迫る死をきっかけに人生の意義を見出すがそのきっかけはもっとも

映画感想『ロストケア』

◆あらすじ◆ ある日、老人と訪問介護センターの所長の死体が発見され、捜査線上にセンターで働く介護士の斯波宗典が浮上する。献身的な介護で介護家族にも慕われていた斯波だったが、検事の大友秀美は、彼が勤務する事務所だけ老人の死亡率が異常に高いことに気づく。斯波への疑惑はますます深まり、真実を明らかにするべく斯波と対峙する大友だったが…。 【貧困と介護の実態】この難題への問い掛けは誰も無視出来ない事象であり【理屈と事実の乖離】と言う対峙の本質だ。 人の営みでは善悪

映画感想『零落』

◆あらすじ◆ 8年間、ひたすら走り続けてきた連載が終了を迎えた元人気漫画家の深澤薫。新たな漫画が描けなくなり、鬱屈した日々を過ごすうち、多忙な漫画編集者の妻との間に大きな溝が生じてしまう。そんな中、“猫のような目をした”風俗嬢のちふゆに出会い、彼女に惹かれていく深澤だったが…。 これは観る側の立場で感情がハッキリ別れる作品じゃないかなぁ。 自分が至高であり他人を侮り人間の中に住む陰鬱を露わにする落ち目の漫画家主人公。 若い頃に離れていく彼女から指摘された一言が

映画感想『エンパイア・オブ・ライト』

原題「EMPIRE OF LIGHT」 ◆あらすじ◆ 1980年代初頭のイギリスの海辺の町。地元の映画館、エンパイア劇場で働くヒラリーは、過去に辛い経験をし、今も心に問題を抱えていた。そんなある日、夢を諦めた黒人青年スティーブンが映画館で働き始めることに。上司のドナルドと不倫の関係にあったヒラリーだったが、いつしか若いスティーブンとの距離が縮まっていく。しかし、不況と社会不安の中で、不寛容な世間の荒波が2人に容赦なく襲い掛かってくるのだったが…。 サム・メンデス監督の単独

映画感想『シャイロックの子供たち』

◆あらすじ◆ メガバンク・東京第一銀行の長原支店で現金紛失事件が発生する。お客様係の西木は、濡れ衣を着せられた部下の愛理やその後輩の田端とともに真相を突き止めるべく調査に乗り出す。しかし、そこに待ち受けていたのは、出世コースから外れた支店長やパワハラ上司の副支店長をはじめとする曲者揃いの銀行員たちと、横領や隠ぺい工作、不正融資といった不祥事の数々だったのだが…。 まぁタイトル通り凄く解り易い作品だったなぁ。 「ヴェニスの商人」の解釈重要! プロットの構成、展開もだけど人

映画感想『別れる決心』

原題「韓:헤어질 결심/英:DECISION TO LEAVE」 ◆あらすじ◆ 生真面目な刑事ヘジュンは、男が山で転落死した事件を捜査していて被害者の妻で中国人のソレと出会う。取り調べが進む中で、夫の死にも平然としているソレへの疑いを強めるが、同時にそんな彼女の毅然とした態度に思いがけず惹かれていく。一方ソレもまた、折り目正しいヘジュンに特別な感情を抱き始めるのだったが…。 観終わった後の心境は実に複雑だ。 取り敢えず「あ゙あ゙ッーーーーーー!」と叫びたい気分だった。

映画感想『バビロン』

原題「BABYLON」 ◆あらすじ◆ 映画産業が急成長する中、量産されるサイレント映画が莫大な富を生み出していた1920年代のハリウッド。毎晩のように開かれる豪華なパーティの主役は、サイレント映画の大スター、ジャック・コンラッド。そんな贅を尽くした規格外のパーティに潜り込んだのは、映画スターを夢見る怖いもの知らずの新進女優のネリー。彼女はそこで映画製作を夢見るメキシコ移民の青年マニーと出会い意気投合。ネリーが映画関係者の目に留まりハリウッドデビューのチャンスを掴む一方、マニ

映画感想『エゴイスト』

◆あらすじ◆ 14歳で母を亡くし、田舎町でゲイであることを隠して思春期を過ごしてきた浩輔。大人になり、東京で自由気ままな日々を送る彼は、女手一つで育ててくれた母を支えながらパーソナルトレーナーとして働く青年・龍太と出会う。やがて2人は惹かれ合うようになり、時には龍太の母も交えながら、親密な時間を過ごしていくのだったが…。 原作未読。 映像の造りがドキュメンタリータッチで観てるうちになんだか錯覚に陥りそうになった。 それ程役者達が入り込んで演じたとも言えるだろう。 接写多

映画感想『イニシェリン島の精霊』

原題:「THE BANSHEES OF INISHERIN」 ◆あらすじ◆ 1923年、アイルランドの孤島"イニシェリン島"。島民全員が顔見知りののどかな島で、純朴な男パードリックと音楽家で飲み仲間のコルムは、長年友情を育んできた親友同士。ところがある日、パードリックはコルムから一方的に絶縁を宣言されてしまう。理由もわからず激しく動揺するパードリック。許してもらおうとしつこく話しかけるも、余計にコルムを怒らせてしまい、ついには衝撃の宣告をされてしまうパードリックだったが…。

映画感想『ドリーム・ホース』

原題「DREAM HORSE」 ウェールズの田舎の感じが堪んなかったなぁww そんでもって動物達の描写がまぁイイのなんのってね!! そしてやっぱり馬が走る姿は美しい! 超盛り上がりのレースシーンは有馬記念でボルドグフーシュが上がって来た時ばりの興奮!(笑) 椅子から動かない夫、高齢の親、介護と自分の事以外にばかり費やされ、味気無く過ぎてゆく日々…主人公に共感出来る要素は多々ある中この作品は"生きる"と言う事は何か小さくても"熱を実感"する事なんだと伝えてる。 馬主

映画感想『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』

原題「I WANNA DANCE WITH SOMEBODY」 事実、彼女の晩年は「これがあのホイットニーの人生?」と苦しさしか無かった。 有名な国家斉唱は米国人じゃないけど涙が出る程素晴らしかったのを覚えてる。 その歌声の衰えも正直「もう歌わないで」と思ってしまう程で、圧巻の歌唱力で共演のM.キャリーを凌駕したあの圧倒的な歌声はもう聴けないのかと残念な思いでいっぱいだった。 映画のラストはやはり彼女の悲惨な最期を避けていたが彼女の才能に愛を注いだ者とその才能の"産物

映画感想『フラッグ・デイ 父を想う日』

原題「FLAG DAY」 どうした?ショーン・ペン監督! 一家総出で制作したのに自分には何一つ共感出来ず伝わってくるものが無かった。 『6月14日はアメリカ国旗制定記念日の事。この日に生まれたジョンは、自分は生まれながらにして祝福されていると感じ、特別な存在として成功する当然の権利があると信じていた。』 思い込み激しい。 凄い精度の贋札作れるならその技術をもっと他に活かせば?と思うんだがコツコツ働いてたマトモな金よりそっちがイイんだね。 その過程と末路が家族を相当悲