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ひくひくふるえる
ひくひくふるえる
…このはなはひくひくふるえるめのおくのはからんだのはなのおかたぐりあうものたちのこのはなはひくくふるえるそら…とおくに麦が揺れかぜに樹の葉がほつれ絡まりよせかえすあさのはまのようなしずかなおとだよ…なぜここにとどまっているとこんなにもたゆむのだろうしぼられていくようねじれていくようねじれからまり編まれてゆく細ひごのように身をよじりどうして際まで近寄れないのか…そのはなはすいたらしいあめの匂いふりはじめのあめの丘りょうすべてがいちどきにどのほうこうからもみられたがっているようにひくひくふるえるこごえあっている…手をのばそうとしてとらえられない振幅ではなくわたしじしんがゆすられるのでなくだがとらえられないこのもどかしさでめのおくにかたまって咲きみだれている匂いだかいやさしいたわみのいきるひきつりをひくくつつみこんでゆくなまないたみ…ほとばしるものたちをやわらげ失敗をいやす…そこからとおくのはるかな麦かこむはからんだの樹のなかでながあめがほころぶ…このままで生かすというのか…このあめはふれられぬひくひくふるえているわたしにふるきっとそんなにむつかしいことではないのだろうふるえてしまえばこのひくひくふるえるつぼみを摘まずにすますこともまためのおくあくりるかざりにしておくことも…どうしてこんなにここちよくいたむのだろうかみあわぬおもいがうちがわであわだっているここではこのぬれぬつぼみのなかではなぜいたんでゆくのだろう…みをよじりめのおくにいつもひとりとりのこされてこのいたみをひくくふるえた…
(1986年ごろ 現代詩手帖投稿選外佳作)
ハカランダ(ジャカランダ=ブラジリアンローズウッド)
の花は紫色です ヘッダーの木を紫に読み替えてみてください
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