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朝釣行

朝釣行

ふだん
他人が
恋しくない
私ですが

夜釣りとなると
また
別で

一人で
夜の川を
見ているの
怖い

幽霊は
存在しない
それでも
怖い

少し離れた
同じ岸に

小さな
光が
あるだけで
怖くない

私は
おもに
ハゼをやり

そのひとは
うなぎを
狙っている

夜の方が
釣れるから

ぽつぽつと
あかりが
並ぶ

エサを
おもりで
深みに
なげる

魚が
かかると
鈴が鳴る

向こう岸は
東京だから

夜の
かわらは
意外と
あかるい

それに
人も
少なからず
いる

カップルも
多い

釣り場で
知り合った
あんちゃんは

釣れた時
カップルに
魚の
取り込みを
手伝わせる

と言っていた
面白い

鯉が釣れると
大騒ぎで
カップルの男が
玉網を
みぎにひだりに

取り込むと
にわかに
三人は
盛り上がり

こうして
三人と
一尾

忘れない
夜に
なるかもしれない

DV男も
じっと見ている
無職も
派遣も
釣れるのを
まっている

行きたい
夜釣り

家庭を持つまでは
自由に
やってた

子らも手を
離れたから
勝手にすれば
いいのだ
けれど

なんだか
気が引けるんだな
何故か

早朝ならば
怖くもないし
気も引けない
だろう

早朝の
川も
人が多い

後ろを
通り過ぎていく
すぐに
遠ざかる
ランナー
つぎつぎと

あの人たちは
どうも苦手だ

長生きへの
執着が
強そうで

妻は
四時起き


朝9時に寝る

私は
その間
これを
書いている

誰も
通りかからない
川べりで

バケツに
いっぱいの
うなぎを
くねらせ

妻の
細い髪を
もう長い事
書き写して
いる

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