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ホーホケキョ、確かに存在していたことを刻む | ZenSounds 撮影日誌 #11

久しぶりの撮影日誌です。みずみずしい緑が土から芽を出す季節になってきました。今回の動画は、そんな春が訪れる少し前、3月10日の朝に撮影した30分になります。気温はまだ1℃でした。

動画の全体を覆うサーーーっというホワイトノイズは、近くに流れる四万十川の音です。朝に発生する川霧が、木々の間から差し込む光を線状に見せる。そんな映像を撮ろうと早朝から山の中へ向かいましたが、この日は霧が一切かからず。諦めて帰ろうかと思ったのですが、この神社の佇まいに目を惹かれたのでレンズを向けることにしました。

撮影を始めてしばらくすると、地元のおんちゃんが軽トラで登場して、なにか準備をし始めました。カメラの前を通り過ぎる去り際に運転席からこれでもか!という勢いで凝視されていたので、笑顔であいさつをすると、車が停まりました。

この日は春祭りの日だったようで、地域のみなさんで掃除して、午後から神主さんが来て祈祷が行われる、とのこと。「午後も来たらどうだ?」としきりに誘ってくれるので、祈祷に参加して、お昼ご飯をたらふく食べさせてもらってから帰ってきました。

突如現れた謎のカメラマンを受け入れて、あれを食べろこれを食べろ、と世話しまくるおじいとおばあ。ぜんぶで20人ほど。20年もすれば彼らの大半はこの世を去り、この神社も朽ちていくのだろうと思います。

世界の政治経済にとってみればなんの意味もない、誰も知らない山の中の神社。その前で、カメラと録音機を間に置いて、立ち尽くしていた。そこになにかの意味を生み出したいと思う心が、今ここに存在している。


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