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〜経営の失敗学〜
菅野　寛

“ビジネスに必勝法は存在しない。失敗を巧みに回避するのが勝者だ！”

本書も、手元に置いていて、久しぶりに読み直したけど、沢山の新しい学びがありました💡
成功に再現性はないけれど、失敗には必ず再現性がある。

成功する確率を下げるために、失敗する行動、選択を避けるための知識を深めよう❗️

【メモ】

絶対に成功する方法は無い。
しかし、失敗する理屈を学ぶことで、成功する確率を上げることはできる。

ビジネスとは、そもそも本質的に ”失敗” するものだ

アップルもユニクロも、山ほど失敗している
失敗から、何を学んだか。挑戦をし続けたかで結果は変わる。

成功している事業とは、「持続的に利益を出し、成長のための再投資や経営戦略が機能している状態にあるもののこと」
倒産していなくても、上記の条件に当てはまらなければ、失敗である

同じ勝ちパターンは繰り返されない。
一世を風靡する「独創的なビジネスモデル」で成功した会社は、過去の成功体験に縋り、新しい波によって淘汰される確率が高い

技術や価格などの優位性を競う「ラットレース」に参加した時点で、いつか必ず負ける

ビジネスにおける２つのジレンマ
同質化による失敗
（１）他社と差別化が図れず、失敗してしまう。業界No,1以外は顧客に求められないため
同質化は、業界全体を苦しめ、ラットレースを生み出す。
（２）異質化によって得た成功体験に縋り、社会の変化に適用できず、いつの間にか淘汰される。
◆市場における需要と供給のバランスを意識せよ◆
イノベーションを市場に投下した際、初めは供給が不足するので、爆発的にヒットする。
その後、追随してくる他社は必ず現れるので、需要過多になる。
そこから脱出できなければ、苦しい価格競争に陥り、グローバル企業に負ける。

異質化による失敗
（１）ユニクロの農業への進出
　それまで自社で持っていた経営戦略やノウハウを生かすことができない産業であったため、わずか1年半で撤退した。

（２）コンコルドの墜落
　世界一早い移動用航空機＜コンコルド＞
　しかし、価格や移動時間の快適さなど、自社のベネフィット以上の優位性を他社に提供された結果、全く市場には求められなかった。

失敗から脱出した２つの企業
“ソニー”　＜異質化からの脱却＞
常に新しいチャレンジを続け、沢山の失敗をして、とにかく革新的なものを作るメーカであることを市場にアピールし、熱狂的なファンを作った。
そして、軸となるTV事業は大きな黒字を挙げた。

“パナソニック”＜同質化からの脱却＞
松下電器は“マネシタ電器”
他社の革新的な商品を即座に真似して、さらに品質の高いものを安価に届ける。
業界トップが２位以下に対して行える、圧倒的な力の差による戦い方。

〜その後〜
ソニーは、別事業の成功によって、革新的なチャレンジを続けるスタイルが揺らぎ失速。
パナソニックは、時代の変化とともに、自社のミッションと違った経営戦略を取った結果、苦戦している。

☆多くの成功している商品は、アイデアを市場に“普及”させることができた物である

【成功学の幻想】
成功者とは、成功するための行動を“自然”に行っている。
成功者から成功の法則を聞いても、再現性がないのは、自覚していない“中核”を担うものがあるから。
成功者を側で見て、そのエッセンスを抽出する方が成功するための参考になる。

他社の優位性が高いアイデアを模倣する場合、表層的な部分のみを真似ても成功しない。
価値観や文化、能力、状況を冷静に判断し、自社に当てはめられる戦略であるかどうかを適切に把握して、判断すること。

◆トヨタ生産方式◆
既存の欧米企業が準じていた、多少の余白を全て許さない徹底的な管理によるイノベーティブな現場革命

◆TTTI（トヨタ・テクニカル・トレーニング・インスティチュート）
技術的なノウハウを持つ若手を育てる現場がないことを問題視し、全寮制で無償の技術訓練学校を作った。
圧倒的な倍率で、”やる気”と”ハングリー精神”あふれる人材を集め、大成功につながっていく。

セブンイレブンの成功法則は「ついで買い」
各店舗ごとに異なる顧客ニーズに合わせて、「ついで買い」を発生させられる様、エリアごとの指導員を徹底的に教育し、他社が真似できない画一性を作った。

◆成功はアートである◆
再現性がなく、そこに込められた可視化されない背景や物語が成功の大きな要因である。

アパレル各社の成功戦略
【ZARA】
売れたものを即座に大量生産し、店頭に並べる。
顧客ニーズを最速でリサーチし、生産〜販売までのリードタイムを劇的に変化させた。
流行り廃りのスピード感が高まった業界の中で、常に新しいものを出し続け、不要な広告費を減らし、ターゲット層を絞った（シーズンごとに服を買い換える若者向け）

【ユニクロ】
MADE FOR ALL ⇨ 普遍的に愛される商品は存在する。
王道になり、流行り廃りに左右されない商品を圧倒的な量で作ってコストを下げる

【ポイント】※ローリーズファームなどの多数ブランドを展開している会社
顧客目線での商品開発
売れ残りが発生しない（外さない）から、初めから安価な値段で設定している。
⇨ 不用意なSALEを行わず、利益率をキープしている。
また、店頭の販売員も顧客と同じ目線で会話ができる人を採用し、共感によって販売力を高めている。
○成功と失敗の要因を正しく抽出し、自分に必要な部分のみを身につけよう

【失敗学の有用性】
○成功の必要条件は「戦略」＊「努力」＊「運」
＜負けない戦略＞＜他社を凌駕する努力＞＜時の運＞
これらは、必要条件であって十分条件ではない。
全部揃っていても、負けることはある。
しかし、一つでもかければ、負ける確率は一気に高くなる。

“手間” や “プライド” を理由に、地道な「負けない戦略」を選べずに負ける企業が多い

【陥りがちな失敗のパターン】
○考えるアプローチ、思考がずれている

○経営における最終目的は成果（利益）を上げること
＜意思決定＞と＜アクション＞が無ければ、成果は出ない。
　戦略を練るだけでなく、無作為に行動を命令する事でもない

“意思決定” はスピードとバランスが重要
不完全な情報しか集まっていない状況で、決断する癖をつけておくこと。
意思決定の遅れは、諸悪の根源になる。
いつまでに意思決定をするのか、締め切りを自分で設け、情報を集める。

○そもそも目指すべきゴールを正しく描けているか？
「何」の為にコストカットをするのか
「どんな未来」に向かって、この手段を選ぶのか、必ずゴールを想像すること。

◆長期的なビジョンを持ち、市場の変化を精緻に捉え、自社のレールを丁寧に正確に引いていこう。

○戦略に筋は通っているか？
「戦略」とは企業の将来像と、それを達成するための「地図」である。
　個々の企業が「どうありたいか」を考え、「いかにして辿り着くか」を描いたシナリオ。

目的地：企業として、どうありたいか？
ルート：どのようにして、目的地へたどり着くか？
視点：何を重要視するか？

戦略策定時は、「多重人格者」になろう
“ネアカ人間” ⇨ “心配性人間” ⇨ “鳥の眼人間”
多角的な角度で、何度も検証を重ね、実行しよう。

◆顧客が求めていない価値を提供してしまう◆
・顧客は「見栄」や「自尊心」のためにお金を払うケースがある
・技術者は「見栄」や「自尊心」のために、他社の革新的なアイデアを批判し、受け入れられない
・顧客が商品に求めている“本当のニーズ”を把握して、適切な価格で届けること

・リサーチは、実際に想定している消費者の意見で無ければ、意味がない
　アメリカ在住インド人の意見で、インド向けの商品を作っても、既に価値観が違っている

・競合相手は「顧客」目線で考えること。
「顧客」が購入時に思いつく、他の選択肢全てが競合相手となる
⇨新規開拓では、未だ選択肢に慣れていないターゲットへのアプローチを重要視せよ

◆定性的なロジックの詰めで満足して、定量的な数字まで落とし込めていない◆
・自社の掲げる目標は市場規模に沿っているのか？
⇨市場は細分化し、できるだけ正確な数字を参考とする。

・楽観的な数値で社員を期待させ、悲観的な数字でリスクを正確に把握せよ
⇨撤退も適切な戦略の一つ。損益分岐点と引き際を決めておく。

・ダウンサイドリスクを見極める
⇨ビジネスは失敗するもの。
立ち直れない失敗をしないように、引き際を判断する。

・常に現時点の ”撤退コスト” を想像しておけ

◆リスクや不確実性に対処しない◆
「リスク」と「リターン」は、比例関係にあるので、「リスク」を避けるのではなく、「マネージメント」することで、成功を掴む。

４つの失敗パターン
１） 予定調和を信じて、１つのシナリオで進んでしまう
最も綺麗なストーリー以外の道に進んでいくことを予想していない状態。
社会の環境は常に変化し続けていることを念頭に置く。
※ミクロな事象は予測が難しいけれど、マクロトレンドは情報を集めれば読める

２） 一旦作ったプランに固執し過ぎて、軌道修正できない
予測不可能な変化は必ず訪れるし、そもそも人間は必ず失敗するので、即座に失敗を感知し、シナリオを書き換える修正力＝挽回力こそ、最強の武器である

３） 成功しなかった場合の次の打ち手（プランB）を持たずに、走り出す
もしくは、”サンクコスト”に目が行き、判断が遅れる。

４） 未来を「創る」のではなく、「予測」し「追随」しようとする
二番煎じでは、業界トップにはなれない（自社の立ち位置によって戦略の変更はあり）

◆地雷排除に固執し過ぎて、戦略が尖っていない◆
・失敗は再現性があるので、全ての失敗を本当に取り除いた時、他者との差が無くなる
他社との差別化のため、自社ならではの尖り（魅力）は必要
⇨自らリスクに近づき、イノベーションによって、リスクをチャンスに変える
失敗しても立ち直れる体力を残しておく

・イノベーションは「半歩先」⇨ 革新的過ぎるとユーザーには理解出来ない

◆実行に必要な徹底度が足りていない◆
・アクションプランが浸透していないため、社内のパフォーマンスが上がっていない
「誰が」「何を」「いつまでに」行うか、チーム全員が共有できるように明文化する。

・全てのアクションの「前」と「後」の変化や反応をチェックする
⇨ 上記が無いアクションは、全く意味が無い

・ビジネスを成功させるために必要な能力を有しているか。
　足りなければ、育てるか、外部から呼んでくる。

・戦略は所詮 “計画” である。 ”実行” にしか結果は伴わない。

◆実行者の意識・行動を変えていない◆
・新規プロジェクトの立上げには、素晴らしい戦略よりも泥臭い熱意を持った人材が必要

・人は「頭」⇨「心」⇨「体」の順番で変化していく
　理解し、納得し、行動を変えてこそ、成果に変化が現れる。

◆企業理念＝ビジョンを明文化し、社内全土に浸透させろ◆