流石に恥【sideリピス】

▼時間軸は適当です。

■お借りしました:テイさん、マルくん、スウィートくん
 
 
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 どうして、こうなった。
 
「えーっと……そのモルペコ俺の手持ちなんだ」
「………」
 
 わたしは思わず抱きしめてしまっていたモルペコを抱いたまま、その身を硬直させていた。
 
 見上げた視線の先にはブルーチームの腕章と腕輪をつけた海賊の仮装をした長身強面体格のいい男性。装いは異なるが、彼には見覚えがある。以前スウィートとともにダグシティのバトルショップを訪れた際に対応をしてくれた店員だ。
 ああ、確かにメガストーンもつけていたしバトルは強そうだしこのイベントに参加しているのも理解は出来るし納得は出来る。うん、それはわかる。彼は現在ぽかんとした様子でモルペコを抱きしめるわたしを見下ろしている。
 
 さらにわたしは男性とは真逆の方に視線を動かす。その視線の先にいたのは絶賛わたしが世話になり続けており、このイベント会場まで連れてきてくれたスウィートだ。
 イエローチームであるスウィートとはイベントが開始して早々に別れて、その後は別に会うことは買えりまではないだろうと思っていたのだが。そりゃあイエローはサポートチームでこのイベントに参加しているのだから鉢合わせる可能性だってあるに決まっている。そりゃあそう。でもその変なものを見たような目は今ばかりはやめてほしい。わかるけれどもわたしにだって羞恥心はある。
 
 つまり何があったかというと。わたしは念願のピカチュウに会えるという夢を実現した後、また夢を叶えることが出来たのだ。
 散歩がしたいと駄々をこねたのか勝手にボールから飛び出してきたビビと共に歩いていると、森の中で美味しそうに木の実を食べるモルペコを見つけた。このイベントの最中なのだから、野生ではなく誰かの手持ちなのじゃないかという考えは一応頭に僅かには過ぎりはしたことだけは言い訳をしておきたい。けれどもなんかもう正直どうでもよかったというか、純粋に嬉しくて可愛さに負けて普通に抱きしめてしまったのだ。
 やはり野生ではなかったのか人懐っこいモルペコはわたしに抱きしめられても逃げる素振りはみせずに抱きしめられてくれていたのだが。思った以上に嬉しさのあまり子どもそのものな腑抜けた顔をしてしまったことや、普段は出さない高い声を出してしまっていたことが今となっては恨めしい。
 それら全てが、偶然鉢合わせた男性とスウィートに目撃されたのだから。しかも男性とモルペコの反応を見る限り間違いなくこのモルペコはあの男性の手持ちだ。勝手にあなたの手持ちを抱きしめてごめんなさいだとか言わなきゃいけないことはまあ色々あるのだが、キャパシティがオーバーしたわたしは咄嗟に叫んでいた。
 
「ばっ、バトルオアトリート!!最大ベット!スウィートは審判してちょうだい!!」
 
 そう、つまりは、自棄だ。ビビがバトル出来るのかと嬉しそうに飛び跳ねたのは可愛いが今はそれに構っていられる余裕はなかったし、抱き締めたままのモルペコをいつ離せばいいのかのタイミングも見失ってしまった。だって可愛いから。
 
 
***
 
 
▼参加登録ポケモンより、「ビビ(ナックラー♀)」でテイさんにシングルバトルを挑ませて頂き、スウィートくんに審判を依頼させて頂きました!
 賭けチップ数は30個にさせて頂いております。
 不都合がありましたら断ってください!

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